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質問・条例提案

2022.03.25

本会議 斉藤まりこ都議(足立区選出)の討論

2022年3月25日の本会議で、斉藤まりこ都議(足立区選出)が討論を行いました。

 

 

動画(都議会ホームページです。令和4年第1回定例会 >3月25日(金曜日)本会議(議案の議決など)をご覧ください。)

★2022年都議会第1回定例会 討論全文(原稿)です。


 日本共産党都議団を代表して、第1号議案、一般会計予算ほか34議案に反対し、その他の知事提出議案に賛成、議員提出議案に賛成の立場から討論を行います。

 都立病院条例の廃止や、東京都が直接医療を提供する病院事業の廃止条例など、都立・公社病院を独立行政法人化する議案が、まもなく採決に付されます。新年度予算案にも、都立・公社病院の予算は6月までしか組まれていません。
 私たちはいま、都立病院百数十年の歴史の、大きな曲がり角に立っています。

 質疑をとおして、独法化を進める東京都の論拠は、すべて破たんし、問題点が鮮明になっています。

 知事は、コロナ対策を強化するための独法化だと言い始めました。しかし、都が独法化の成功例として高く評価してきた大阪では、医療提供体制が弱体化し、人口当たりのコロナ感染死亡者数は全国で突出していることを、わが党は明らかにしました。
 一方、全国約2千3百の医療機関の中で、コロナ専用病床確保数の1位から11位までを都立・公社病院が占め、全国で最も先進的、柔軟にコロナ対応しています。
コロナ対策のための独法化という話は、成り立ちません。

 「行政的医療を将来にわたって提供する」ための独法化という説明も、破たんしました。
 将来にわたって病院の統廃合はしないと言えるのか。わが党の追及に東京都は、統廃合を否定しないばかりか、石原都政が八王子、清瀬、梅ケ丘の3つの小児病院を廃止し、統廃合したことを評価する答弁をしました。
 わが党が本会議一般質問で取り上げたように、行政的医療、地域医療を大幅縮小させた小児病院廃止の痛みは、いまなお深刻なものです。
 ところが東京都は、まったく反省していないことが、はっきりました。そして独法化は、小児病院廃止・統廃合の延長線上のものであることが、白日の下にさらされました。
 行革推進法が、地方公務員の数を減らして、行政にかかる財政支出を削減するために独法化を進めるよう地方自治体に求めていることを、わが党は指摘しました。ここに独法化の本質があります。医師・看護師をはじめベテラン職員の存在は、医療の質に直結します。
独法化により、都立病院の職員6千838人をまるごと定数削減すること、全体の奉仕者である公務員の立場を強制的に奪うことは許されません。
 都立・公社病院の独法化の検討は、地方自治法に違反して出された提言からスタートしたことも明らかになりました。
地方自治法は、一部の専門家などによる恣意的な行政への介入を防ぐため、条例で設置する附属機関ではない専門家の会議などは、意見を取りまとめて提言などをしてはならないと定めています。
附属機関ではない都立病院経営委員会が、都立病院の経営形態は独法化が一番望ましいと提言したことは、明確な自治法違反です。

 独法化について知事は、都民にていねいに説明すると言ってきましたが、実際は質問にまともに答えない、それどころか都民を欺く説明をする態度を続けてきました。
 都立・公社病院を守れと求める運動はますます広がり、署名は、累計35万人を超えています。都民、職員の理解、合意は得られていません。
 このような状況で、しかもコロナ禍のさなかに、独法化を強行することは、断じて許されません。
 議員一人ひとりの決断が、東京の医療体制に重大な影響を及ぼします。都立・公社病院の独法化は、いまここで立ち止まることを、すべての会派、議員のみなさんに、改めて心から訴えるものです。

 新型コロナのまん延防止等重点措置は解除されましたが、1日当たりの新規陽性者数は、昨年夏の第5波のピークを上回っています。変異株の割合も4割近くまで急増しています。感染の再拡大が強く懸念されます。
 ところが昨日、モニタリング会議の開催を週1回から月2回に減らすことが突如示されました。これでは、また後手後手になります。毎週開催するよう強く求めるものです。
 第7波から都民を守るためにも、わが党が提案した高齢者施設や保育園でのPCR等の検査の抜本的拡充、ワクチン接種の促進、医療機関への財政支援の充実などを早急に進めるよう求めます。

 新年度予算案は、都民の暮らしと営業を守る対策が極めて不十分です。コロナ禍に加えて、原油高騰や物価高、ウクライナ情勢の影響などにより、暮らしの困難は深刻さを増しています。一方、都税収入は、IT企業や大手製造業の業績好調により史上最高水準です。
 この税収増を、国保料の軽減、高齢者の補聴器購入費補助、都営住宅の新規建設、小中学校の少人数学級の拡大、中小企業・小規模事業者に対する事業復活支援金の上乗せ・横出しなど、暮らしと営業への支援、貧困と格差の是正に、思い切って充てるべきです。

 予算案では、住民の反対が強い特定整備路線などの大型道路予算が約1千億円に膨み、国際競争力を口実にした臨海部などの大規模開発予算は4割増になっています。とりわけ、工事の一部差し止めの仮処分を受け、破綻が明らかになった外環道の掘進再開は重大です。           
 IR・カジノ誘致の調査費や、羽田新飛行ルートを固定化・拡大する羽田空港機能強化の調査費も引き続き計上されています。
    こうした不要不急の大型開発などの予算は、抜本的見直しが必要です。

 神宮外苑で千本におよぶ樹木が伐採・移植される一方で、超高層ビルやホテルが建設され、年間4万7千トンものCO2を排出する計画に、都民や若者の批判が高まっています。
 この再開発のために、陸上競技に不可欠なサブトラックの整備をやめたことや、十年前から森元首相の個人的な意向を強く受けて進められた計画であることも明らかになりました。樹木伐採も再開発も立ち止まるべきです。

 わが党は不要不急の事業を見直し、都民の命と暮らしを支える施策を充実させるための予算の組み替えを提案しました。予算のわずか3・4%を組み替えるだけで99項目に及ぶ都民要求が実現できます。
この提案こそ、コロナ禍で苦しむ都民の願いに応えるものだと確信するものです。

 18歳までの医療費助成について、2023年度からの実施に向けて準備費が計上されたことは重要です。中学生までの医療費助成も含めて、窓口負担や所得制限をなくすように、都の支援を充実させることを改めて求めます。

 またわが党は、都独自に18歳までの国民健康保険料・保険税の均等割の負担をなくす条例案を提出しています。均等割の負担は子育て世帯にとって、とりわけ重いものです。皆さんのご賛同を心より訴えます。

 新年度中の実施が表明されたパートナーシップ制度は、申請するふたりの意思が尊重され、みんなで祝福できる制度にしていくことが大切です。こども基本条例を踏まえ、ファミリーシップと合わせて実現することなど、充実させることを求めます。

 痴漢・盗撮対策として女性専用車両の拡充を求めてきましたが、交通局が導入拡大について検討すると答弁したことは大事な一歩です。朝のラッシュ時間だけでなく、終日、全線での導入を求めるものです。
   都立高校の入試への、株式会社ベネッセコーポレーションが行う英語スピーキングテストの活用が、新年度から始まろうとしています。       採点における正確性や公平性が担保できず、民間事業者の利益相反の恐れがあり、都民の納得を得られるものではありません。きっぱり中止すべきです。

 さいごに、ロシア軍によるウクライナ侵略は国連憲章に明確に違反するものであり、しかも核兵器の使用について言及していることは断じて許されません。
国際社会と連帯して平和的解決を追求すると同時に、いまこそ、戦争の惨禍を語り継ぎ、平和のメッセージを世界に発信する取り組みが重要です。
 東京都では、平和祈念館の建設が凍結されてから23年が経ちます。都と都議会による共同の検討会を設置するなど、力を合わせて前に進めることを心から呼びかけて、討論を終わります。       

 以上