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質問・条例提案

2022.05.28

文教委員会 英語スピーキングテストの「延期・見直し」を求める請願 とや英津子都議(練馬区選出)

2022年5月27日の文教委員会で、英語スピーキングテスト(ESAT-J)の「延期・見直し」を求める請願について、とや英津子都議が質問を行いました。

★都議会速記録より


○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
 私からも、請願第三号、都立高校入試へのスピーキングテストの導入の延期、見直しに関する請願について伺っていきたいと思います。
 この請願の願意は、都において、都立高校入試への中学校英語スピーキングテストの結果の導入の延期、見直しを求めるというものであります。
 私どもは、請願理由にあるとおり、採点の公平性、家庭の経済格差によるテストへの影響、不受験者の問題など、どれを取っても都立高校入試選抜に活用するにはあまりにも問題が多過ぎることから、延期、見直しに賛成です。
 今、私どもは、五月十四日から英語スピーキングテストについてアンケートを行っているんですが、十日間で二百人を超える人たちが回答を寄せてくださいました。
 その中には、自由記述欄で、子供の将来を左右する受検に公平性に欠けるテストを導入するのはやめてほしいとか、都立高校を受検するとなれば、テストを受けなければならなくなり対策が必要になりますとか、一月の結果を見て一旦決めた志望校を変更しなければならない受検生も出てくるなど、心配や中止を求める声が多数寄せられています。
 保護者や関係者のこうした声は、英語スピーキングテストの様々な問題点が解決されず、納得を得られていないことの証左であります。
 本来、教育は、英語を話すことの楽しさ、心が弾むような異文化との交流などを学べるよう、環境をまず整備すべきだと考えます。
 しかし、今回提案されております英語スピーキングテストの入試への活用は、子供たちの願いや教員の日頃の努力に応えるものになっていないのではないかと思います。
 今日は、この立場から、保護者や専門家、当事者も寄せていますが、こうした声を、寄せられている疑問点を中心にお聞きをしていきたいと思います。
 三月にも質疑をさせていただきましたが、まず、採点の公平性、正確性についてであります。
 英語スピーキングテストは、アチーブメントテストとして実施され、それが都立高校の入試選抜に活用されるわけですが、最も重視されなければならないのが採点の公平性、正確性です。
 三月の質疑の際に、都教委は、現地への視察はこれからということでした。今、質疑の中で、フィリピンに最近行かれたということです。この答弁を聞いていましたら、十五日から十七日までの間に採点センターを訪問したと。セキュリティや採点体制について直接確認をして、ESAT-Jの採点に係るノウハウも構築されていた、公平、公正な採点ができる環境であったと確認してきたということです。
 公平な、公正な採点ができる環境とは、どういうことをいうのかということです。三月の質疑の答弁で、部長は、複数の者による採点、審査を経て結果を確定してまいりますと。採点は、大学の学位や英語教授法の資格を持つ者など、高度な英語力と英語教育に関する専門性を有する者が事前に本テストの採点に係る研修を受講し、基準を満たした者のみが専任で行っているということでした。しかし、これでは、大体何人で採点をするのか、どこの社員なのか、やはり分かりませんでした。
 フィリピンに行かれたんですから、改めてお聞きします。
 フィリピンでの採点は、採点センターの専任者が採点するということですが、学力評価研究機構の社員が行うのでしょうか。その関連会社なのでしょうか。体制はどうなっているのか、何人で採点するのか、お答えいただきたいと思います。

○瀧沢指導推進担当部長 現地の施設の確認の事項についてでございます。
 現地で採点する採点者につきましては、今、理事からもお話があった資格等々を有しているということを確認してきております。
 また、学力評価研究機構の職員が現地におりまして、視察にも一緒に当然行くわけですけれども、それの関連している会社に属する専任者が行うということを確認しております。
 それから、人数につきましては、必要な採点期間中に採点するのに十分プラスアルファの人数を確保しております。細かい人数につきましては、採点のセキュリティを担保する上で、秘匿事項に関わると思いますので、ここでの言及については控えさせていただきたいと思います。

○とや委員 学力評価研究機構の社員ではなくて、関連会社の専任の社員だということです。人数については十分用意しているけれども、その体制については秘匿事項だというふうにおっしゃいました。結局、聞いていることについては具体的にはお答えいただけませんでした。
 このフィリピンに行ったときの様子をお聞きしたんですが、現地に行っても採点をしている現場を確認していません。今回のスピーキングテストは、ベネッセが協定を結んで、採点は学力評価研究機構が行うけれども、実際にやるのは関連会社だと。実際、誰が採点するのか、何人で行うのかが不明です。
 このため、都民からは、例えばベネッセですから、進研ゼミやGTECの採点者などが英語スピーキングテストの採点も行うのではないかとか、そういう人たちが同一人物として採点をするのではないかと懸念の声も上がっています。これについてはいかがでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 採点に係る採点者につきましてですけれども、先ほど来お話をしていますように、高い専門性を有する者を特別に充てております。
 また、研修を行い、それに合格した者のみということで、その採点業務に当たる採点者というのは、社員の中でも非常に高い専門性を有している者に限られます。
 それと併せまして、ほかの、例えば今、進研ゼミというお話がありましたが、そのような業務と兼務するということはないというふうに規定をしておりまして、それも確認してきたところでございます。

○とや委員 今、兼務はしないということを規定しているとおっしゃいましたが、どこで規定しているのか、教えていただけますか。

○瀧沢指導推進担当部長 どこでというのは、我々と学力評価研究機構、その上のベネッセとの間での取決めとして合意しているということであります。

○とや委員 取決めというのは、例えば、実際に協定書とか、あるいは覚書だとかに、採点については同一人物にしないとか、そういった規定をどこかの文書に盛り込んでいるのか、取り交わしているのかどうか、確認させてください。

○瀧沢指導推進担当部長 文書で取り交わしてはおりません。
 ただし、先ほど来お話をしていますように、ほかの業務とこの採点の業務に必要となる資質、能力が違うということと、研修を経ないとこの業務に当たれないというシステムとしているということから、その制度を構築しているということをお互いに交わし、それが行われていることを確認しているということですので、その担保は十分に確保できているというふうに考えております。

○とや委員 担保は十分に確保できているということですが、文書では取り交わしていないということでした。
 やっぱり関係者や保護者の皆さんなど、都民の皆さんなどから寄せられている懸念を払拭すると。公平性も、それから正確性も担保していくとしているというのであれば、きちんと文書として確認して、それで初めていえるんじゃないかと思います。
 やっぱり採点者が、ベネッセがいろんな事業をやっていて、同じ採点者を使うということになれば、やっぱり問題です。各種講座をやっていて、例えばその講座を利用している子供たちに、ベネッセのオンラインなどをやっておけば有利になるからとかいって勧めるとか、こういったことが行われていても、それを調べるすべもないわけですよね。ですから、こういうことはあってはならないということで、ないというのであれば、きちんと文書で取り交わすべきだというふうに思います。
 それから、先ほどのお話では、公平、公正な採点ができる環境だったということですが、採点が行われる時期にもフィリピンにまた行かれるということでした。
 都教委自身が、公平に正確に採点が行われているのか確かめることが次に行ったときにできるのか、採点の全日程を現地で立ち会うなど、実際に確認をすることはできるのでしょうか。お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 まず、一般論になりますけれども、入試、あるいは検定試験等々の採点について、誰が、いつ、どこで、どのように行っているかについての情報の開示については、そのセキュリティを担保するために、一定程度、秘匿事項が含まれるということは、通常、当然であるというふうに考えております。
 ただ、今回、非常に影響が大きい試験であるということを鑑み、私たちも、ベネッセとそれに上乗せする形で協定等を結び、様々な中身につきましても確認をしているという前提であるということをお話をさせていただきたいというふうに思います。
 また、適正に行われているかどうかを、例えば今年の十一月以降に視察を行ったのでは必ずしも十分ではないというふうに考えています。つまり、そのためにプレテストをこれまでも行ってきましたし、今回行ったものにつきましても、事前に問題点がないかということを確認しているわけであります。
 ですから、当然、採点期間に見るのも必要ですけれども、その期間については今後確認をしていきますが、安全で公正にきちんと採点ができるというシステムを、きちんと堅牢なものをつくるということがまず大事であり、あと、それがきちんと運営されることを確認するという二段階で確定していくということが極めて重要だと考えております。

○とや委員 一般論としてというふうにおっしゃいました。入試の場合とか、テストの場合とか、秘匿事項だとおっしゃいましたが、これまでの都立高校の採点は先生たちがやっていましたから、今回とは全く違うというふうにいわなければなりません。民間事業者だからこそ、秘匿事項が大幅に増えているということになると思います。
 さらに、もう一ついえば、プレテストで確認をしてきたといいますが、フィリピンに行ったのは今回が初めてです。初めてであって、プレテストのときにも行くことはできませんでした。ですから、部長がいうのはどうかなというふうに思います。
 専門家の方々からは、全日程、全て八万人の採点に立ち会うとか、採点の信頼性の担保に関わることはほぼ不可能だと指摘がありました。採点の公平性を担保する材料がほぼないということです。
 これまで都立入試選抜の採点は、今申し上げたように学校の教員が行ってきました。実際にやってきた教員の話では、細心の注意を払っても間違いはあると。先ほども報告がありましたけど、例えば二〇一二年度実施で六人分とか、一三年度でも十二人、一四年度も四人が採点ミスのため不合格となっていたという事例もありました。
 しかし、英語スピーキングテストは、現地の採点について、結局確認はできない、自分のスコアも開示することもできません。これは大きな問題だと指摘をさせていただきます。
 採点の公平性や正確性に関わる問題はそれだけではありません。このテストは、アチーブメントテストとして位置づけられています。学習の到達度を測り、その結果を英語指導の改善に活用するというものです。ですから、生徒に評価結果をどのように返すかが重要です。
 これは、前回も質問させていただきましたが、このテストは総合点しか生徒に返されません。個々のパートに分かれて行われたテストの点数についても、自分がどこが不足していたのか、どこが点数がよかったのか、パートごとの点数は公表されていないわけです。
 学習アドバイスを読んでも、本当にその子が自分自身のスピーキングの程度を測る、どこが不足してきたのか、どこが減点されたのか、加点されたのか、そういうことも分からない仕組みとなっています。また、どこに比重が置かれたのかも全く分かりません。
 さらに、問題は、入試に活用しますから、調査書点ということになります。これは、前回質問させていただきましたが、例えば、今回、AからFの六段階評価がされますが、スコアが一点の差でも四点の差ができると私は指摘させていただきました。八十点から百点の子がAの評価、二十点の幅があるわけですが、七十九点の子は、一点低かっただけでBの評価になってしまいます。結局、六十五点から七十九点がBの評価ですから、七十九点取っても六十五点の子と同じ評価です。
 一点を争う入試に、このような評価は適切とはいえないんじゃないかと指摘をさせていただきました。それに対して、答弁は、適切な評価であるということでした。一点の違いが、評価は十六点も低い六十五点と同じであるということのどこが適切なのか、お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 まず、このテストの評価の在り方について、改めてのご説明になりますけれども、このテストの評価は、学習指導要領でも示されている外国語運用能力等を評価する国際的な基準として使用されているCEFRと呼ばれるこのグレードを踏まえて、自分のことについて質問に答えたり話したりすることができるですとか、身近な話題について相手と意見交換ができるなど、いわゆるCan do-statementsと呼ばれる、英語を使って何ができるかという基準に従い、その達成度を総括的に六段階で評価するというのが試験の成り立ちであります。
 ですので、その六段階を出すことが、このESAT-Jの評価であり、入試に当たってはそれを二十点に換算するということでありますので、そのやり方につきまして、私たちは妥当であるというふうに考えております。

○とや委員 子供たちは、調査書点を一点上げるだけでも大変な努力が要るんだと教員の先生、現場の先生方にお聞きしました。人生で最初の難関である高校入試で、たった一点の差で四点も差がついてしまうCan do-statementsによって評価されてしまうということが、本当に入試にふさわしいのかということを申し上げているんです。
 ですから、こうした評価をされても、当事者、保護者、専門家の皆さん、納得いくわけがありません。一生懸命練習して受けたテストの結果が今後に生かせない、あるいは入試でも、一点の差なのに、実はもっと幅の大きい差にされてしまったということになれば、生徒はどう思うでしょうか。そこを考えていただきたいと思います。
 英語の点数の比重が重たいことにも違和感があります。調査書点に加算されるESAT-Jの点数は二十点です。これに英語の調査書点二十三点をプラスすると四十三点、ほかの教科は二十三点なので、比較するとかなり大きくなります。
 そこでお聞きしたいんですが、中学校の学習の成果を測る高校入試、あるいは日常的な学習において、国語や数学、英語も含め、様々な教科を学んだ成果を測るというのが高校入試です。どの教科も重要であるという認識はお持ちですか。

○村西都立学校教育部長 どの教科も重要でございます。

○とや委員 どの教科も重要なのに、なぜ二十点もの加算になるのか。この問題では、前回の質疑で他会派の方の質問に明確にお答えになっていません。
 改めて、他の教科と英語の重要性、こんなに違うのはなぜなのか、お答えください。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会では、グローバル人材の育成に向けまして、使える英語力の育成を重視しております。四技能の育成を目指した施策をこれまでも展開してきております。
 こうした考え方の下、適切に配点をしたものでございます。

○とや委員 どの教科も重要だといいながら、四技能に基づく配点を適切に評価したということですが、いっていることが矛盾しているのではないかと思います。
 どの教科も、生徒が学んで、就職や、あるいは進学、生きていくために大事な知識や経験です。それを入試で特定の教科のみ比重を大きくするというのは、生徒も保護者も教員も、そのための対策を重視しなければならなくなってしまいます。
 私たちが今実施中ですけど、アンケートでは、英語を使う職業に就いている保護者の方から意見が寄せられました。この方は、自分の経験から、スピーキングには、読み書き以上に、子供本人にはどうしようもない、学校外での経験、幼少時の海外生活、英語塾などが非常に影響すると感じていると述べられていました。この方は、英語に関心があって、自分も経験を持って英語に関わる職業に就いている方です。その方がこのようにいっているわけです。
 英語の比重が重くなればその対策が必要になって、経済的な格差が学力の格差になるということで、多くの人たちが批判しているわけです。公教育としてやっていいことなのかといわなければなりません。子供たちや保護者、教員にプレッシャーを与えるようなことはやめるべきです。
 次に、GTECとESAT-Jについて伺います。
 三月十七日に朝日新聞EduAに、都の英語スピーキングテストESAT-Jと、ベネッセの行う英語テストGTECの中の中学二、三年レベルのGTEC Coreと酷似しているという記事が掲載されました。ご覧になっている方も多いと思います。
 区立中学の生徒が、ESAT-Jのプレテストとネット上のGTECのサンプル問題をやってみたら、どっちがESAT-Jで、どっちがGTECなのか、交ぜられたら分からない、まんまやんと、GTECを受けている学校は都立高校入試の対策になる、ずるくねと話したということです。区立中学校で英語を教えていた元教員の先生も、GTECそのものではないかと、問題構成と問題傾向、採点基準を見て、一緒だと思ったという記事であります。
 私も両方のサンプルを見てみました。本当にそっくりでびっくりしました。パートAは英文を読み上げる問題で二問、パートBは絵を見ながら質問に答える問題で四問、パートCは四こまのイラストを見ながら、登場人物になったつもりでストーリーを話す問題、パートDは質問に対して自分の意見をいう問題です。出題形式も出題数も各パートの準備時間も解答時間もほぼ同じです。
 中学生が、GTECを受ければ入試対策になる、ずるくねといっているとおり、学力が同じでも形式が似た試験を受けた経験のある生徒の方が、そうでない生徒よりも、よい点数を取りやすいことは明らかです。
 ESAT-JとGTECは酷似していると。どこが違うのかと思いますが、いかがですか、お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 ESAT-Jは、都内公立中学校の英語指導の改善に資することを目的として、学習指導要領の目標を踏まえて、東京都が決定した出題方針に基づいて、都独自の内容で出題するものであります。
 試験の構成、あるいは採点の観点、これら大きな枠を捉えて、それで似ているというのは、内容についての把握を十分にしていない意見だというふうに考えておりますので、そのような誤解に基づく不安が広がらないように、都独自の作問により、その目的を達成するための独自の問題であるということを今後も引き続き周知徹底をしてまいります。

○とや委員 ESAT-Jは、学習指導要領を踏まえているから、GTECとは違うんだということです。事前にお話を伺ったときにも同じ説明をいただいたわけですが、学習指導要領準拠で出題しているところがGTECとは違うということです。
 それで、私、もう一度よくGTECのホームページを見てみましたら、GTECが選ばれている理由というページがありまして、そこの第一番目に、小中高生が受験するのに適した問題、学習指導要領に即した出題と書いてありました。
 GTECだって学習指導要領に即してつくられているわけです。そして、酷似していると指摘されているGTEC Coreは中二から中三レベルということですから、まさに内容的にも同じだということではありませんか、いかがでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になりますけれども、ESAT-Jは、都内公立中学校の英語指導の改善に資することを目的として、専門の検討委員会にて独自に開発している問題でございます。
 GTECの表現がどうかであるということにかかわらず、私たちは、独自に分析をしております出題方針、出題内容、問題数、評価等々に基づいて作問をしているものであり、繰り返しになりますが、似ているからGTECを受ける者が有利であるというような間違った認識が広まることがないように、ふだんの授業をしっかりやればいい点数が取れる、また、都教委が作成してオンライン上で公表しているコンテンツなどを利用することによって、塾に行く行かないにかかわらず、英語力を伸ばすことができるということについて、改めて周知をしてまいります。

○とや委員 私、都が監修したと、独自の出題、問題をつくるんだとおっしゃったので、開示請求の資料を取り寄せてありますから見ましたけれども、全部真っ黒で見えないんですよ、全然。だから、そういっても、私たちは知るすべがありません。
 そして、ESAT-JとGTECは、結局、出題形式も出題数も準備時間、解答時間も同じです。問題文の日本語もよく似ています。内容も、どちらも学習指導要領に基づいているわけです。実際にやってみた中学生や中学の先生も、それから、私は、英語教育の研究者のお話も伺いましたが、そうした方々がみんなそっくりだといっているわけです。これは本当に重大な問題です。
 中学生がいっていたように、まず、GTECを受けた生徒は有利になってしまう、よい点を取りやすくなってしまうということがあります。
 実は、このGTECは、個人で受験することはできなくて、学校単位でしか申し込めません。実際には、区市町村単位で中学二年生か三年生で一斉に受験しているというパターンがほとんどです。
 住んでいる自治体でGTECをやっているかどうかで有利、不利が生まれてしまう、これでよいと思いますか、お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しになりますけれども、中学三年生の段階で学習した内容で、その学習指導要領で定めている目標に照らした能力を評価するということであれば、出題の形式等々が似ているということが起こる可能性は十分にあります。
 例えば、ほかの検定試験でも、音読、あるいは一問一答、それから、それに対する自分の意見を述べる、こういう問題が行われているということもあります。
 繰り返していいますけれども、GTECを受けることによって、それが有利であるということはないということを繰り返しお話をしています。
 ですから、自らが様々な機会を捉えて努力をして能力を伸ばすということは推奨されるべきですけれども、それは、GTECを受験することによってのみもたらされることではないということを誤解がないように周知をしていきたいということを繰り返しお話をしています。

○とや委員 明確にお答えいただかなかったわけですけれども、私どものアンケートでは、十四人の中学生や保護者が、GTECをやったり、やる予定があると回答しています。五区市の方が自治体名も教えてくださいました。
 いろいろご説明いただきましたけれども、やっぱり多くの方々が、実際やってみて、あるいは分析してみて、本当に酷似しているといっているんですよ。
 そこでお聞きしたいんですが、都内の区市町村で、どこの自治体が、幾つの自治体が中学校でGTECに取り組んでいるか調べていますか。把握をしていますか。

○瀧沢指導推進担当部長 区市町村がGTECを採用している数についてということだと思いますけれども、そちらにつきましては、それぞれの区市町村の判断ということで、私どもとしてそれを調べるということはしておりません。

○とや委員 公平性に影響を与えかねない問題として、調べるということを検討しなかったんですか。

○瀧沢指導推進担当部長 先ほどの答弁と重複いたしますが、GTECを受けることが、そのまま直接的に有利であるという考え方に私たちは立っておりません。ですので、調査はしておりません。

○とや委員 非常に安易だとしかいいようがありません。
 しかも、先日、教員向けの説明会の資料では、ESAT-Jに使うタブレット端末が紹介されていました。これは、GTECで使うものと同じではありませんか。

○瀧沢指導推進担当部長 機械については、それぞれ年次ごとで更新しているものもありますので、全く同じであるかどうかということについては、ここでお答えするのは差し控えたいと思います。

○とや委員 ネットで検索しますと、GTECを受験している生徒の風景、画像ですね、幾つも出てくるんですよ。タブレットはESAT-Jと同じでした。アイパッドなど日常的によく目にするものではなくて、ベネッセ独自の製品と思われる白い厚みのあるタブレットです。同じではないですか。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になりますが、年次ごとに変更するということも当然あります。
 これまで、GTECが使っているタブレットについては、当然、我々も取り寄せて確認はしていますが、今、理事お話しのように、周りに白いプラスチックのものがあるというようなものは、子供が使うのに適切なように、堅牢な構造にするために、通常のタブレットと違う、ただし、画面につきましては受験する上で最適になるように行われているというふうに説明を受けています。
 繰り返しになりますけれども、ESAT-Jで使うタブレットにつきましては、それと同じものであるということはここでお答えすることはできません。

○とや委員 答えられないということです。
 器材一つでと思うかもしれないというかもしれませんけれども、形式に慣れているとか、実際に近いというのはとっても重要で、だからこそ今でも高校入試のそっくり模試などが実施されているわけですよ。秒単位で答えをまとめて話さなければならないスピーキングテストであればなおさらです。住んでいる自治体でGTECをやっているかどうかで有利、不利が生じるようなテストは、入試に用いるべきではありません。
 しかも、このことは、企業間の公平な競争という点でも問題があります。朝日新聞でも、中学の先生が、今までは英検を案内してきたけど、GTECにした方がよいと思ったとコメントをしていましたが、GTECに誘導する状況を都教委がつくり出すことになります。
 また、ある会社では、今、東京都教育委員会が過去に実施したプレテストを研究して作題し、問題をつくるですね、ESAT-Jの模擬試験をやりますと申込みを受け付けていますが、ベネッセでは、都教委のテストを研究して作題することにコストをかける必要がなくて、GTECを事実上の模擬試験として利益を得られるわけです。この点も厳しく指摘しておきます。
 最後に、不受験の扱いについて伺います。
 不受験者について、ESAT-Jの結果は学力検査の英語の得点から推定するということになっていますが、どのように推定するのか、伺います。

○村西都立学校教育部長 スピーキングテストの実施日または予備日にも、インフルエンザ等の罹患など、やむを得ない理由により受験することができなかった生徒などが都立高校の入試を受検する場合は、不利にならないように取り扱うこととしております。
 具体的には、スピーキングテストをやむを得ない理由等により受けることができなかった不受験者と、入試における英語学力検査の得点が同じ者等のスピーキングテストの結果の点数の平均値を用いて、スピーキングテストの評価を定めることとしております。

○とや委員 自分の学力試験の点数に近い他の受験者のESAT-Jの点数から推計するということだと思います。
 そもそも英語の学力試験の結果とESAT-Jの結果の間に何らかの有意な相関関係があるんでしょうか。英語の学力試験の結果が同じレベルの生徒のESAT-Jの結果は同一であるという前提は成り立つのでしょうか。成り立つのであれば、そのデータを公開すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○村西都立学校教育部長 スピーキングテスト当日や予備日にも、インフルエンザ等の罹患など、やむを得ない理由でテストを受験できなかった者や、また、他県から都立高校を受検する者など、都立高校入試におきましては、多様な事情を抱えた受検者がいることを考慮した特例的な措置が必要でございます。
 スピーキングテストの結果を入試に活用する意義は、学習指導要領で求められている中学校の学習で身につけてきた英語の四技能、話すことに係る学習の成果を測ることが目的でございまして、こうした特例的な措置を実施すること、そういったことも一つ重要な措置であると考えております。

○とや委員 今のお答えは、私が聞いたことのお答えになっていません。もう一度いいます。
 不受験者の取扱いについて、東京都教育委員会でご説明いただいたので、分かります。私が聞いているのは、英語の学力試験の結果とESAT-Jの結果の間に何らかの有意な相関関係があるかどうかです。
 つまり、英語の学力試験の結果が同じレベルの生徒のESAT-Jの結果と同一であるという前提ですよね。それで計算していると思うんですよ。その前提は成り立つのかと聞いているんです。成り立つのであれば、データを公開してくださいと申し上げています。

○村西都立学校教育部長 具体的な相関関係のデータは、ただいま持っておりません。
 ただ、繰り返しになりますが、都立高校の入試におきましては、多様な事情を抱えた受検者がいることを考慮した特例的な措置が必ず必要となります。そうした措置の一つであると考えております。

○とや委員 データがないということです。
 長年英語の教員をしていた方に聞きましたら、十一月から二月までの三か月で生徒の英語の力は大きく伸びるそうです。そして、その伸び方は一律でないといいます。二月時点で同じ点数を取った生徒の十一月時点の英語の力は様々だということであります。都教委の推計方法が成り立つ前提はありません。一点を争う入試に適用するには無理があるとおっしゃっておりました。
 また、都立高校の側でも、英語の得点のみを順位別に並べて、集計する範囲を決めて、平均を算出し、それを基にA、B、Cをつけて、それをまた数字に換算するという作業が必要になります。発表文書にその範囲決めのパターンが五つ例示をされていました。様々な点数と順位のパターンが生じるわけで、集計する範囲を正しく定めるには大変な作業だと感じました。
 さらに、アルファベットを数字にして計算して、それをアルファベットに戻し、さらにまた数字にするという作業もあって、それだけでミスを誘発しそうであります。
 発表文書を見たある専門家は、現場の悲鳴、怨嗟の声が聞こえてくるようだとおっしゃっていましたが、今日の報告でもありましたように、細心の注意を払っていてもミスが生じてしまっている中で、わざわざミスを誘発しそうな計算を高校にさせる意味が分かりません。
 さらに疑問なのは、不受験者とはどんな生徒をいうのかということです。発表資料によれば、不受験者とは、まず、東京都の公立中学校等に在籍する者のうち、ESAT-J当日、予備日を含む、先ほどご説明いただきましたが、インフルエンザ等に罹患した者、学校保健安全法第十九条により中学校長が出席停止の措置を行った者及び受験者本人の責めによらず、やむを得ない理由、病気で入院するとか、交通事故により負傷等によって受験することができなかった者ということです。
 それから、ESAT-J実施日時点で東京都の公立中学校等に在籍していないため、ESAT-Jを受験していない者、例えば私立中学校在籍者とか、他県中学校在籍者等となっています。このどちらかに当てはまらない生徒は、ESAT-Jを受験していなくても不受験者にしてもらえないというわけです。
 例えば、不登校の生徒などはどうなるのでしょうか。発表文書を見ただけでは分かりません。受験しなかった、できなかったけれど不受験者に当てはまらない生徒の扱いはどうなるのか、お答えいただけますか。

○村西都立学校教育部長 都立高校の入試におきまして、スピーキングテストの不受験者として、英語学力検査の得点を基にテストの評価を定め、点数を算出する対象者につきましては、先ほど申し上げたとおり、インフルエンザ等の罹患など、やむを得ない理由等により受験することができなかった者でございます。
 具体的な内容につきましては、様々なケースが想定されるところでございます。
 したがいまして、東京都教育委員会が個別のケースに応じて適切に判断してまいります。

○とや委員 では、例えば場面緘黙で、時間を延長してもらっても話せそうにないというお子さんはどうなりますか。

○村西都立学校教育部長 繰り返しになりますが、具体的な内容につきましては、様々なケースが想定されますので、都教育委員会が個別のケースに応じて適切に判断していきます。

○とや委員 では、不登校の生徒についてはどのように対応するんでしょうか。

○村西都立学校教育部長 やむを得ない理由等により受験することができなかった者でございます。その具体的な内容については、不登校についても様々なケースが想定されます。
 したがいまして、都教育委員会が具体的、個別のケースに応じて適切に判断していくということを申し上げております。

○とや委員 今お聞きしていて思ったんですけど、そういった答弁ばかりだと、むしろ子供たちを不安にさせるだけではないでしょうか。
 不受験者の扱いについて、今後さらに詳しい内容を発表して、生徒や保護者の疑問や不安に分かりやすく応えていくべきではないでしょうか。その予定はありますか。

○村西都立学校教育部長 スピーキングテストの結果を都立高入試で活用することにつきましては、これまでも様々な情報提供を図ってきましたし、今後も丁寧にしっかりと情報提供し、周知を図ってまいります。

○とや委員 これ、とっても大事な質問なんですよ。ちゃんと答えていただきたいと思います。
 今、私が聞いたのは、不受験者の扱いについて、今後さらに詳しい内容を発表してほしいと。生徒や保護者の疑問だとか不安に分かりやすく応えていくべきだということです。
 そういった、応えられるようなものを発表する、詳しい内容を発表する予定はあるかどうかを聞いています。

○村西都立学校教育部長 不受験者として点数の算出をする対象者につきましては、インフルエンザ等の罹患など、自分の責によらず、やむを得ない理由等により受験することができなかった者としております。例えば、交通事故で負傷しているですとか、入院中の生徒とか、そういった具体的な事例を挙げて、これまでも説明しております。
 ただ、このことにつきましては、様々なケースが具体的に想定されることでございますから、その部分については、個別のケースに応じて適切に判断していくということでございます。

○とや委員 結局、さらに詳しい内容を発表して、不安や疑問に分かりやすく応えていく、そういった予定はないということです。
 高校入試というのは、中学生にとって、とっても大きなハードルです。そのハードルを増やして、早い時期に設置していく。試験当日だけではありません。写真を撮影してネットで申し込むこと自体がハードルです。小学校も中学校も不登校が増加している下で、揺れ動く思春期の子供たちにとってよいことなのか、どれだけ検討したのか、大変疑問です。
 不受験者の扱いを見ても、入試に用いるのにふさわしくない推計や扱い、ミスを誘発しかねないやり方になっているといわざるを得ません。
 最後に、英語戦略会議について伺います。都立高校入試に英語スピーキングテストを活用することになった経緯についてです。
 都教委は、二〇一三年六月に東京英語教育戦略会議を設置し、一六年に報告書をまとめています。ここで初めて高校入試にスピーキングテストを導入することを検討することが提言されました。この会議には、産業界の有識者としてベネッセと英語検定協会の委員が参加しています。
 この英語教育戦略会議の位置づけについてお聞きします。
 この会議体は任意のものですか、それとも自治法に定められた附属機関でしょうか、お答えください。

○瀧沢指導推進担当部長 英語教育戦略会議は、東京都における、小中高校における英語教育の改善に関して、取組の方向性を検討するために、教育庁内に設置したものであります。
 法令に基づくものではなく、今後の都教育委員会の取組の方向性を幅広い視野から検討するために委員の方を選出し、議論をしてきたものでございます。

○とや委員 戦略会議は附属機関ではありませんね。
 都の総務局は、附属機関等設置運営要綱の取扱いという通知を出していまして、そこでは、正式な附属機関ではない懇談会等は、合議機関として機関意思を表明する附属機関とは異なり、あくまで出席者の意見または意見交換の場である、機関意思の表明と紛らわしい諮問、答申の扱いを取らないこととしています。これは、教育庁にも通知が届いているはずです。
 ところが、この英語戦略会議の報告書を、都教委は、まさに審議会など都の条例で設置された附属機関の答申並みの扱いをして事業を推進してきました。そのことは、スピーキングテストの評価の在り方や今後の方向性について話し合った入学者選抜英語検査改善検討委員会では、当時の出張教育監がこういっています。昨年九月に公表されました東京都英語教育戦略会議の最終答申の中にございましてと述べていることにも表れています。
 ここに、私、持ってきましたけど、立派な冊子になっているんですよ、こういうふうにね。これ、二〇年のものですけど、グローバル人材育成計画では、まさに、戦略会議の提言はこうなっているから、こう進めるんだという論立てで組み立てられ、しかも、その中身は、グローバル人材に求められる能力の育成に焦点が当てられます。
 そうした本来の在り方と違うところで、ベネッセが加わった会議で生まれて推し進められてきたのが英語スピーキングテスト、ESAT-Jなんです。ベネッセと協定を結んでスピーキングテストを推進する都教委のやり方は、総務局通知にも反し、異常だといわざるを得ません。
 この計画を見ていますと、提言ごとに、平成二十八年までに開始済みと、それから、平成二十九年に推進とに分けて、推進するようになっています。そして、この中で、提言六と七が英語スピーキングにつながる四技能の評価の実施と高校入試検査導入の検討となっていました。
 私、議事録も読みましたけど、子供たちがどうしたら英語を楽しく学べるのか、教師の負担を軽減し、少人数での授業を推進するなどの検討よりも、とにかくリーダーの育成だとか、あるいは役に立つ人材をと、そういった発言が目立ちました。
 英語スピーキングテストの結果を都立高校入試に活用するというのは、本当に子供たちが楽しく英語を学んで、人格の完成を目指した教育を進めるということよりも、経済界に都合のいい人材を育成することにあるということが見てとれました。
 コロナでこの間、子供たちは、友達と触れ合ったり、思いっ切りおしゃべりすることも、部活動も、一緒に教室で学ぶこともままならない状況が続いてきました。学習も遅れがちの生徒もいます。コロナに加えて、受験戦争やいじめ、ひきこもり、子供たちを取り巻く環境は極めて苛酷です。
 特に今の中学三年生は、中学生活が丸々コロナ禍に当たっています。制限の多い学校生活を送ってきたわけです。それに加えて、高校入試は大きなプレッシャーです。さらに、英語スピーキングテストを高校入試に活用することになれば、生徒にさらなる負担になる、現場の教員にもこれまで以上に業務が増えることになります。
 前回の委員会でも提案しましたが、せめて今の二学級三展開を一学級二展開に改善するなど、ぜひ子供たちが楽しく学べる環境を保障してあげてほしいです。
 都立高校入試への英語スピーキングの活用は、きっぱり中止すべきです。請願者の願意に賛成を表明し、質問を終わります。