ご意見・ご要望
ページトップヘ

質問・条例提案

文教委員会 区内浴場20軒からアンケート 事業継承の支援の強化を とや英津子都議(練馬区選出)

★都議会の議事録に日本共産党都議団スタッフが見出しをつけたものです。

  1. 平成30年には544軒と減少 存続の支援は欠かせない
  2. 区内20軒からアンケート 一番の悩みは後継者がいないこと
  3. 魅力発信のPR活動の拡充を求める
  4. 銭湯活性化の「実証事業」は、本格的な事業として発展を
  5. 外国人を迎える取り組みへの支援
  6. 事業継承には、相続税の軽減も必要

 


○とや委員

 次に、浴場について伺いたいと思います。先ほどもお話がありました公衆浴場、いわゆる銭湯の質問です。
 都民の公衆衛生、健康増進、地域のコミュニティの場でもある銭湯。銭湯を利用したことがない方もいらっしゃると思いますが、例えば、映画「テルマエ・ロマエ」「千と千尋の神隠し」は浴場が舞台でもあり、落語の「湯屋番」も銭湯が題材です。こうした作品から銭湯の姿が見えてきます。江戸時代に繁盛し、日本の伝統文化でもある銭湯を、もっともっと多くの人に知ってほしいと私は思っています。
 近年では、ひとり暮らしの高齢者がふえて、見守りの役割も重視されているところであります。
 こうしたもとで、東京都は、公衆浴場を存続させるため、さまざまな支援策を実施していただいていると思いますが、改めて、都として公衆浴場の公共的役割、そして、浴場振興の重要性についての認識を伺います。

○吉村消費生活部長 公衆浴場は、都民への入浴機会の提供とともに、健康づくりや地域住民の交流の場として重要な役割を果たしており、海外に向けた日本の伝統的な生活文化の発信などの役割も担っていると認識しております。
 都は、公衆浴場が果たしているこうした役割の重要性を踏まえ、各種助成制度などを実施しております。

○とや委員 健康づくりや地域住民の交流の場としての役割も果たし、日本の伝統的な生活文化の発信、こうした役割も果たしているということでした。これは大変重要なご答弁だと思います。
 東京に店を構える銭湯の軒数がピークに達したのは、昭和四十三年だそうです。庶民にとって、日々の銭湯通いは、ごく普通の日常だったと思います。私自身も地元の銭湯に通い、そのときも銭湯が身近な存在でした。
 温泉療法専門医で東京都市大学教授の早坂信哉氏は、豊富な水資源と温泉が身近にあったこと、それが日本人をお風呂好きにした最大の要因だともいっています。
 最近では、NHKのEテレで銭湯が紹介されました。

平成30年には544軒と減少 存続の支援は欠かせない

 さまざまな魅力を持つ銭湯ですが、内風呂の普及とともに減ってしまっているのが実情だと思います。
 公衆浴場の推移を拝見しますと、平成二十一年に八百四十軒あったものが、平成三十年には五百四十四軒、直近ではもっと減っていると聞きました。
 浴場の支援に取り組んできた都として、どのように分析をされていますか。お答えください。

○吉村消費生活部長 都はこれまでも、さまざまな補助制度を通じて多くの公衆浴場を支援してきましたが、自家風呂の普及による利用者の減少や経営者の高齢化、後継者不足などにより、公衆浴場の数は減少しております。

○とや委員 大変残念なんですけれども、銭湯が、長くそのまちで愛され、存続していくための支援は欠かせないと思っています。
 最近はコロナウイルスの問題もあって、先日、伺った銭湯では、お客さんがさっぱり来ないと、番台に座るおかみさんがおっしゃっていました。また、他の銭湯でも、お客さんが何割か減っているという声を聞きました。
 さまざまな工夫を凝らしながら、存続のために頑張っている銭湯ですが、私の地元練馬区でも、昭和の初めは百軒近くあった銭湯が、今では二十二軒に減ってしまいました。経営者が病気で閉めてしまったり、火事でやめてしまった銭湯もあります。
 都は、浴場支援のために施策を持っていますが、東京都の主な銭湯支援策について、改めて伺っておきたいと思います。

○吉村消費生活部長 都はこれまで、公衆浴場の施設整備や利用促進についての補助を実施し、公衆浴場の支援を行ってまいりました。
 施設整備の面では、健康増進のための改築や耐震補強工事、クリーンエネルギー化などに対する補助を、利用促進の面では、東京都公衆浴場業生活衛生同業組合が行う情報発信や地域交流拠点事業などに対する補助を行っております。
 また、昨年度から公衆浴場活性化支援実証事業も行っております。

○とや委員 来年度は、予算計上として約六億八千万円が計上されていて、耐震化の促進事業は一億二千万円、先ほどありました公衆浴場の地域交流拠点事業についても、補助限度額が六百万円に引き上げられたということです。こうした拡充は、浴場経営者からは大変喜ばれているということを伝えておきたいと思います。

区内20軒からアンケート 一番の悩みは後継者がいないこと

 次に、公衆浴場の実証事業をやっているというお話でした。来年度で約二千万円が計上されていますが、その事業の中身について伺います。

○吉村消費生活部長 実証事業は、公衆浴場の事業継続を支援するために実施しておりまして、今年度は、コンサルタントなどの専門家派遣、後継者などを対象とした連続セミナー、浴場で働くことに関心がある方などを対象とした体験型イベントを実施いたしました。
 また、浴場経営者と浴場の経営や運営への支援に関心がある事業者との交流も開催いたしました。

○とや委員 事業継続を支援するための事業で、三年間の取り組みだということです。
 私、最近、都内の浴場、二十軒の方からアンケートをいただきました。消費税の影響はどうか、後継者がいるかいないか、現在の入浴料金についてはどうか、売り上げがどうなったか、また、現在の都の銭湯のPRはどうかなどです。
 一番深刻だと思ったのは、やはり後継者がいないということです。後継者のいない浴場は半数以上に上りました。このままでは、いずれ店じまいということになりかねません。この点で、実証事業は、家族経営を続けてきた銭湯が新しい人材を受け入れる機会になるのではないかと思います。
 アンケートでは、売り上げが下がった、今までと変わらないと答えた方も半数以上、二十軒のうち十四軒でした。私がお聞きした浴場は、全て五十年以上の営業をされている方、長い方では九十年になる浴場でありました。銭湯の文化と歴史を途絶えさせてはならないと思いました。
 そういう中で、今、若い人たちが銭湯めぐりをして、その魅力をSNSなどで発信しています。働く場所としても、ぜひ銭湯を位置づけてもらいたいなと思っています。

魅力発信のPR活動の拡充を求める

 最近では、書籍も何種類も出版されて、私も読んでいるんですが、銭湯の魅力発信をしています。「銭湯図解」という書籍があるんですが、この本の作者は、もともと建築事務所で働いていた若者です。杉並区の銭湯で働きながら、銭湯をイラストで紹介しているものです。楽しくて引き込まれる本です。
 先ほど申し上げましたが、NHKでも連続で番組を放送し、「趣味どきっ!」という番組です。銭湯の魅力が存分に紹介されています。
 また、三月三日より開会予定だった特別展、ぬくもりと希望の空間-大銭湯展、これは江戸東京たてもの園で開催予定だったんですが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に伴う休園により、開会が延期されてしまいました。本当に残念でならないんですが、こうした取り組みをさらに拡充していただいて、都民に銭湯の魅力を伝える、よい機会としていただきたいと思っています。ぜひ早期に再開していただきたいと思います。
 先ほど申し上げたアンケートでは、銭湯のPRをもっとやってほしいという方も半数以上に上っています。後継者に引き継ぎたいという方の必死さも伝わってきました。

銭湯活性化の「実証事業」は、本格的な事業として発展を

 先ほどご紹介いただいた実証事業ですが、ぜひ、三年といわず、本格的な事業として発展させていただきたいのですが、今後の取り組みについて伺います。

○吉村消費生活部長 実証事業は平成三十年度から三年間の実施予定でございまして、その後につきましては未定でございます。

○とや委員 未定ということですが、こうした事業は、事業の終わりの年度に検証作業も行うと思います。その結果も踏まえて、ぜひ浴場の皆さん、組合の皆さんの意見も伺いながら、発展させ、継続させていただきたいと求めておきます。

外国人を迎える取り組みへの支援

 ことしはオリンピック・パラリンピックの年です。局は違うんですが、銭湯を活用した取り組みも予定をされているようです。二〇二〇大会に訪れる観光客にも、日本の伝統文化である銭湯を知ってもらい、観光資源としても活用しようという取り組みがされると聞いています。
 浴場で経営者の方にお話を伺うと、外国人の方が今でも、ホテルからの案内があって銭湯に来るそうです。その際には、ホテルで入り方も教えてもらって、銭湯に訪れるということも聞きました。
 やっぱり、これから外国人の方々が浴場に訪れる機会も多くなるんですが、東京都は、公衆浴場組合さんが海外からの観光客の皆さんを迎えるに当たり、また、地域の外国人の方も含めて、どのような取り組みを行うのか、お答えください。

○吉村消費生活部長 都は、公衆浴場組合が外国人観光客向けに行う取り組みに対して補助をしておりまして、今年度は、外国語版のホームページによる情報発信や、英語版のガイドブック作成などの取り組みに対する支援を行いました。

○とや委員 今年度は、外国語版のホームページによる情報発信とか、英語版のガイドブックの作成などの取り組みを支援したということです。ぜひこうした事業をもっと拡充して継続していただきたいと求めております。

事業継承には、相続税の軽減も必要

 先ほどもアンケート結果のところで申し上げましたが、後継者に歴史ある浴場を引き継いでいくことは大変重要だと考えます。私が最近、先日、お話を伺った方は九十歳の方でした。今でも、夜十二時、閉店まで番台にいます。浅草で営業していたが、焼け出されて、今の場所で、戦後すぐに再開をしたとおっしゃっていました。
 次世代への事業継承を行うに当たり、税などの負担が大変重たいという話も聞いています。その負担軽減は必要と考えますが、現在の軽減策についてお答えいただきたい。
 また、事業者からは、相続税の軽減についても要望があり、国に求めていただきたいというふうに考えますが、都の取り組みを伺います。

○吉村消費生活部長 国の令和元年度の税制改正では、個人事業者の事業承継を促すため、十年間、事業用資産の相続税、贈与税を一〇〇%納税猶予する制度が創設されました。
 都においては、かねてより、国に対し、公衆浴場業者が事業用資産を相続し、引き続き事業を継承する場合には、農地に関する相続税納税猶予制度に準じた軽減措置を講じることを提案要求しております。

○とや委員 ぜひ実現していただきたい。そのためにご尽力をいただきたいと思います。
 銭湯は地域の社交場であり、単なるお風呂以上の役割を担っているといわれています。文化的、歴史的価値のものもあります。
 銭湯のリニューアルを手がける一級建築士の今井健太郎さんは、建築物としての銭湯の魅力も語っています。神社やお城のつくりに通じるディテールが盛り込まれていると。私自身も、銭湯の外観の宮づくりに引かれて行くこともあります。レトロな雰囲気を楽しむこともできます。
 こうした建築物の保存と同時に、銭湯文化も継承するため、都の支援を強めていただくことを求めて、銭湯の質問を終わらせていただきます。