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質問・条例提案

2018.03.20

文教委員会 公衆浴場活性化 新たなステージでの支援策の展開を 池川友一都議(町田市選出)

★都議会の議事録に日本共産党都議団スタッフが見出しをつけたものです。

  1. 事業継承や地域交流など、新たな浴場活性化策を予算化
  2. 異業種とも連携し、銭湯に行ったことのない人にも届くPRの強化を
  3. 利用機会を創出し、子どものころから身近な存在に
  4. 入浴料の負担軽減、自治体を超えた軽減策が必要
  5. ポイントはどのように事業継承するか

◯池川委員 私からは、公衆浴場について質問をさせていただきたいと思います。
 公衆浴場は、公衆浴場確保のための特別措置法に関する法律などの制定や、東京都も支援を行ってきましたが、減少に歯どめがかかっていない状況であります。
 共産党都議団としても、さらなる支援策が必要だと、二〇一六年第一回定例会では条例提案も行ってまいりました。
 その際には、利用機会の確保、情報提供、経営安定への支援、資金の円滑な供給、上下水道料金の軽減措置、文化的、歴史的価値の保存や継承などを振興策として提案させていただきました。その中でも重視した点の一つが、次世代への継承、事業の継承であります。
 都は、公衆浴場活性化検討会を行い、今回、公衆浴場の活性化策を取りまとめましたが、ここに示されている問題意識については、基本的に私たちの条例提案と同じ方向性だと思います。
 塩見局長は、二〇一七年九月十五日付の都政新報のインタビューの記事の中で、週末は散歩をした後に銭湯に行き気分転換している、銭湯が大好きを自認し、今度は所管なんですがと笑うという記事が報道されていました。
 ぜひ銭湯好きの局長のもと、活性化策を機に、新たなステージに施策を展開していただきたいということをまず求めておきたいと思います。
 これまでも共産党都議団として、公衆浴場施策について推進することを基本的に進めてまいりましたが、この立場から幾つかお伺いをしていきます。
 まず、基本的な確認になりますが、基本的な認識として、公衆浴場支援について東京都が果たすべき役割というのはどういうものか、お答えください。

◯三木消費生活部長 公衆浴場は、都民の入浴機会の確保とともに、健康づくりや地域住民の交流の場として重要な役割を果たしており、東京二〇二〇大会も控え、国内外に向けた日本の伝統的な生活文化を体験する場としての役割も期待されているところです。
 都は、こうした公衆浴場の経営の安定化と利用者の拡大を図るため、主に公衆浴場組合が行う事業費用の一部を補助するなどの支援を行い、一定の成果を上げてきたところでございます。

事業継承や地域交流など、新たな浴場活性化策を予算化

◯池川委員 特措法でも、住民のその利用の機会の確保を図り、もって公衆衛生の向上及び増進並びに住民の福祉の向上に寄与という位置づけを持たせております。
 今回の活性化策も契機にして、個々の公衆浴場、そして公衆浴場業界全体に対して、具体的に役立つ活性策となるように都として支援することが必要だと思います。
 そこで、公衆浴場活性化策について、新年度予算案で新たに予算化したものについてご説明ください。

◯三木消費生活部長 都は、公衆浴場の利用者拡大のために設置した東京都公衆浴場活性化検討会から、先月末、活性化策の提案を受け、その中から浴場の経営を支援する専門家派遣などの事業承継に向けた取り組みを行い、その効果を実証する公衆浴場活性化支援実証事業を新たに予算案に計上したところです。
 また、地域交流につながる取り組み案なども新たに示されたことから、その積極的な実施を促すため、地域の拠点として、利用者の拡大につながる公衆浴場地域交流拠点事業に対する補助についても増額して予算案を計上しております。

◯池川委員 活性化策を新たに予算化し、公衆浴場地域交流拠点事業等を増額したことは非常に重要だと思います。
 この活性化策の具体策として、浴場業界単位での取り組み、1)、浴場業界向上プロモーション展開、2)、「SENTOラボ」(仮称)の設置、運用、さらに個店単位での取り組みと必要な支援として、1)、浴場の見える化を意識した入りやすい外観づくり(店舗づくり)、2)、複数の媒体を活用した使い分けによる情報発信(情報づくり)、3)、地域性等を踏まえた年間営業、催事計画等の展開(場づくり)、4)、外部人材や資源の活用、異業種とのコラボの実施(人づくり、看板商品づくり)というふうに位置づけを示しています。
 浴場業界全体の取り組みは、組合との協働事業として取り組んでいくことになりますが、個々の公衆浴場の方々と丁寧にかかわること、私はとりわけ区市町村との連携が実効ある策としては極めて重要ではないかと思っております。
 とりわけ、公衆浴場は地の利、人の利によって違いが大きく、条件が違うことを考えれば、六百通りの支援策が必要となることは明らかだと思います。現存する公衆浴場を可能な限り存続させることの視点として、この中でも問題提起をされていることは極めて大事です。
 さらに、検討会の中でも売り上げや利益が確保できないことを廃業の理由としていることが挙げられております。
 同時に、この公衆浴場は住民の日常生活において欠くことのできない施設であるという視点も踏まえて取り組みを求めておきたいと思います。

異業種とも連携し、銭湯に行ったことのない人にも届くPRの強化を

 次に、公衆浴場の利用機会の確保、またPR、情報提供について、さらに強化が必要だと考えますが、この点についてはどう取り組んでいくのか、お答えください。

◯三木消費生活部長 都はこれまでも、公衆浴場組合のホームページの多言語化や、ツイッターやフェイスブックを利用した公衆浴場のPRや情報発信、銭湯の応援団である銭湯サポーターの交流会といった取り組みを支援してまいりました。
 また、今年度は公衆浴場組合が外国人向けに入浴のマナー等を紹介する銭湯PR動画を作成するに際して支援を行い、そのうち一つの動画は既にユーチューブで三十万回を超えて閲覧がされております。
 今後も公衆浴場組合が行うこうしたPRや情報提供に対して、引き続き支援をしてまいります。

◯池川委員 発信力については、東京銭湯のホームページを初め、以前と比較をすれば目につくようになっているというふうに、この経過について追いかけてきた方からはお話を伺っています。
 情報発信でいえば広く発信すること、また、コアな情報を提供すること、さらにはこれまで直接触れたことのない人に意識的に発信することが必要だと思います。
 重版出来を繰り返し、ことし二月時点で三十三版を重ね、現在、三十万冊を大きく超える販売数となった絵本があります。その名はずばり「パンダ銭湯」という絵本であります。
 この「パンダ銭湯」というのは、パンダの秘密がここにあるということで、パンダの家族が銭湯に行く話を描いた話で、この中ではかなり銭湯についての、例えばマナーですとかいうのも絵で見て学ぶことができる内容となっています。
 これは、ツペラツペラさんという夫婦でやられている作家さんが描いた作品ですが、そのツペラツペラ中川さんが絵本の可能性について、次のように語っています。
 絵本はすごく懐が深いし可能性を秘めていると思います、赤ちゃんからお年寄りまで誰もが楽しめて言葉がわからなくてもおもしろさが伝わるから、先日、フィンランド人のお客様を迎えたんですが、「パンダ銭湯」をとても気に入ってくれました、ほとんど英語に訳すこともできずに日本語のまま読みましたが、すごく受けてというふうに話をされていました。
 この作品は、第三回街の本屋が選んだ絵本大賞グランプリや、第三回日本おふろ大賞話題賞など幾つもの賞を受賞しており、子供たちのみならず人の心をわしづかみにする内容となっています。
 上野動物園のシャンシャンが今空前の人気となっていますが、シャンシャンがお風呂に入ってくれたら大変いいわけですが、そういうわけにもいかないので、こうした絵本を活用して身近に感じてもらう、これまで接点のなかった人たちが銭湯という場所を知ってもらう機会にすべきだと思います。
 私は、このことを通じて子供たちが家族とともに、楽しそうに銭湯に行くんだなという光景を思い描くことが極めて大事かなと思います。
 これまで銭湯に行ったことのない人でもとても身近に感じられる作品で、この作品に限らず銭湯にかかわるあらゆるものとコラボレーションしていくことは重要だと思います。
 それは先ほど活性化策の中でも位置づけられている異業種とのコラボということで、今後、ぜひ検討もしていただきたいと思います。
 また、検討会にも登場する「銭湯もりあげた~い」とのコラボで、人気キャラクターをつくった銭湯限定グッズを以前にも販売したことも紹介をされていました。銭湯にかかわることに、都としてもきちんとアンテナを高くして、さまざま対応していただきたいと思います。

利用機会を創出し、子どものころから身近な存在に

 私ごとになりますが、小学校のときに一年間、風呂なしの家に住んでいた経験があります。それまでは風呂のある家に住んでいましたが、風呂なしの家に引っ越したのが小学五年生で、毎日銭湯に行きました。
 私は家から自転車で行ける三つの銭湯を時には家族で、時には小学校の友達と、時には兄弟だけで行くという生活を一年間しました。その意味では、銭湯の魅力とともに、そこでのマナー、流儀などについても、子供ながらにですが、学んだ記憶があります。
 検討会でも活性化策について、子供のころから身近に感じてもらうことが、さまざまな角度から専門家の方を含めて提案をされていますが、これは私の実感でも、子供のころからかかわるというのは大変重要だということをつけ加えておきたいと思います。
 それでは、この公衆浴場の利用機会の創出について、東京都ではさまざまなほかの施策もありますが、この他施策との連携をどう図っていくのか、答弁を求めます。

◯三木消費生活部長 都はこれまでも、都主催のスポーツイベント、TOKYOウオークにおける参加者への入浴料金の割引や東京銭湯スタンプラリー周知用ポスターを都営地下鉄の各駅で掲出するなど、公衆浴場の利用機会の創出を図ってまいりました。
 また、当局においても先月末、都の広報番組「東京サイト」において、一週間、公衆浴場の特集を組んで、その魅力を紹介するなどの取り組みを行っているところでございます。
 今後も公衆浴場の利用機会の創出について、他の施策との連携が図られるよう引き続き取り組んでまいります。

◯池川委員 他施策との連携については、引き続き取り組んでいただくということでした。
 マラソンのランナーの皆さんが銭湯を中継所にしたり、また、この活性化策の中にもインフルエンサーについての記述がありましたが、発信力のある人に銭湯体験を発信してもらえることなど、多くの人たちに見てもらえる、また、その銭湯の特性上、外からはなかなか見えないその中を、銭湯の流儀、また、個々の銭湯の注目ポイントやこだわり、初めての人が行っても歓迎されることなど、新鮮な目線で紹介していただくことなど、こうしたことは若い人たちの心をつかむのではないかというふうに思います。
 この点についても、都として組合とも協働しながら、ぜひ積極的な支援をしていただきたいということを求めておきます。

入浴料の負担軽減、自治体を超えた軽減策が必要

 また、現在、統制額となっている現状がありますが、現状でも区市町村が入浴料金について、半額入浴助成などを行っており、実際の入浴料の負担軽減は、他施策とも連携をして、あらゆる施策を講じて進めることが必要だと思います。
 これは具体的に利用者目線について、この間、伺ってきた話を紹介しますが、例えば現在、そうした制度は区市単位で行われているために、自治体境を越えて使うことができなくなっております。区境、市境で、すぐ隣の区の、すぐ近くに銭湯があるという場合にはこの制度がなかなか使えないという不便を感じているのが実態です。ここはやっぱり東京都、広域自治体の出番だというふうに私は思います。
 こうした課題解決も含めて、他施策との連携を図っていただきたいと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

◯三木消費生活部長 区市町村におきましても、さまざまな取り組みをしているところでございますが、区市境の取り扱いにつきましては、各区市の浴場の担当者を集めたような会議で、そのような利用について、ぜひ検討していただきたいということをかねがねお願いをしているところでございます。

◯池川委員 これはぜひ東京都が広域自治体として、やっぱり区市町村、区市同士でお互いだとなかなか制度のはざまに挟まってしまうので、ぜひ広域で使えるような制度として、都もイニシアチブを発揮していただきたいし、そのことを通じて、ぜひ広い枠組みで、利用者目線で取り組んでいただきたいということを求めておきたいと思います。

 ポイントはどのように事業継承するか

 次に、次世代への継承、事業継承について伺いたいと思います。
 廃業の理由に関する調査を見ますと、私が生まれた一九八五年から、この活性化策についてには記述がありますが、その八五年のときには一位が営業不振、二位が人手不足、三位が施設の老朽化、その十年後、九五年は一位が営業不振、二位が人手不足と施設の老朽化で同率、さらにその十年後の二〇〇五年は施設の老朽化が一位、二位が利用者の減少、そして三位が営業不振と経営者の高齢、病弱、さらにその十年後になりますと、二〇一五年、一位が経営者の高齢、病弱、二位が施設の老朽化、そして三位が営業不振と移り変わってきていることもわかります。
 この経過を見ても、やはりポイントはどうやって事業を継承していくのかだということは明らかだと思います。
 私たちは、この間、条例提案をする際にも各地の公衆浴場の皆さん、また、広く皆さんから意見を伺わせていただきましたが、既に廃業されてしまった方の理由についても、詳細に聞き取りをしてきたところであります。
 そこでもやっぱり事業承継をどうやって進めるか、考える間もなく、廃業になってしまったという声がありました。ここはやっぱり極めて重要だと思います。
 そこで、公衆浴場の次世代への継承、事業継承をどのように進めていくのか、都の施策について伺いたいと思います。

◯三木消費生活部長 都はこれまでも、公衆浴場の施設整備や利用促進などへの補助を通じ、経営の安定化などを図り、一定の成果を上げてきましたが、依然として後継者不足等の切実な課題がございます。
 都としては、先ほど説明した公衆浴場活性化支援実証事業を通じて、浴場の経営を支援する専門家の派遣や浴場の後継者、参入希望者等に向けた経営ノウハウを実践的に学ぶ場の提供とともに、実際に取り組んだ成功事例を広く発信するなど、事業承継に向け取り組みを積極的に進めてまいります。

◯池川委員 最後に積極的に推進ということで、大変力強く感じました。
 私もこの活性化策を読ませていただいて、江戸時代から続く銭湯文化のよさに新たな魅力を加えて、銭湯を未来に引き継いでいきたいという関係者の方々の熱い思いをひしひしと感じました。その熱い心を最も強く持ち、実際に具体化していく後継者の皆さん、さらには新たな参入希望者の皆さんを、都としてどれだけ浴場組合とともに支援していくことができるかが勝負だと思います。活性化策をつくったことによって問われるのは、今後どうなるかであります。
 改めて強調しますが、業界全体と個店の支援を一体的に行い、この活性化策が契機となっていい結果を残すことができるように、私自身も後押しをすることを申し上げ、質問を終わりたいと思います。