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質問・条例提案

2021.12.15

文書質問 ケア労働者の待遇改善について・他 斉藤まりこ都議(足立区選出)

2021年第4回定例会で、以下の文書質問を提出しました。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 斉藤まりこ
質問事項
一 ケア労働者の待遇改善について
二 福祉施設でのコロナ対策と原油高・物価高への支援について
三 保育の質の向上について


一 ケア労働者の待遇改善について

 コロナ禍で、保育や介護、障害者福祉など、都民の毎日の生活を支えるために欠かせないケア労働者の仕事の重要性が浮き彫りになりました。人との接触が避けられない仕事の中で、利用者に感染させてしまわないか、あるいは自分が感染してしまわないか、日々大きなプレッシャーのなかで、都民の生活を支えているのがケア労働者です。新型コロナの感染拡大の前から、ケア労働者の待遇の低さは問題となっていましたが、コロナ禍で、エッセンシャルワーカーとして果たしている役割に見合った待遇になっていないことが社会的にも大きく再認識されました。
 岸田内閣は、2022年2月から介護士・保育士の賃上げをうちだし、ケア労働者の待遇改善に向けた議論が始まっていますが、賃上げの額は9,000円とされ、全産業との平均給与の格差からみれば、非常に不十分です。厚生労働省の2020年度賃金構造基本統計調査によると、ボーナス分を含めた月収換算の賃金は全産業の全国平均が40.6万に対し、保育士が31.2万円で9.4万円低く、介護職員が30.0万円で10.6万円低い状況です。しかし、東京都での比較でみると、格差はさらに大きくなっています。東京の全産業の月収換算は49.6万円、保育士は33.2万、介護職員は32.4万円と、その差はそれぞれ、16.4万円、17.3万円と、東京都での格差は全国での比較よりもさらに深刻な状況です。

1 ケア労働者の賃金上げについて、東京都内の実態に即したものになるよう、都として独自に上乗せをするべきですが、いかがですか。

2 福祉施設でケア労働を支えているのは保育士や介護士だけでなく、栄養士や調理員、事務員やケアマネージャー、心理相談員などさまざまな職種があります。これらの労働者、またパートや非正規で働く労働者にも賃上げが可能となる施策が必要です。
 また、福祉施設の職員配置について、そもそも国の配置基準が低く、「1歳児6人を保育士1人でみるのはきつい」という切実な声があり、配置基準を上回る職員を配置しているところも少なくありません。しかし政府が打ち出している賃上げの仕組みでは、配置基準の人数分しか保障されません。都として、非正規労働者も含めて、福祉施設で働くすべての従事者を賃上げの対象とし、さらに実人員に対応して賃金を引き上げることができるように、都として支援するべきですが、いかがですか。

 待遇が低いことに加え、職員の配置基準が低いために重労働となり、離職や人手不足が深刻化しています。介護従事者からは、「夜勤をする人が足りず、遅番の人が急遽夜勤をしたり、早番の人が遅番の時間まで働くことがあり、通常のシフトが組めない」、保育士からは「人員が少ないし賃金が低く、過重労働で保育士たちの精神が維持できなくなり、ゆく果ては退職。私たちの現実に向き合ってください」という切実な声が寄せられています。また、障害者施設で働く方々からも、コロナの影響による減収を挽回するために、「新しい仕事を受ける検討をしたが、職員が不足していてできなかった」という声や、グループホームにおいて複数体制で夜勤が可能になるように、加算をしてほしいという要望が寄せられています。

3 ケア労働者の離職を防ぎ、利用者にとっても安心してケアが受けられるようにするためにも、福祉施設での職員配置に都として加算を行うべきですが、いかがですか。

二 福祉施設でのコロナ対策と原油高・物価高への支援について

 福祉施設では、昨年からの新型コロナの感染拡大以来、毎日、消毒などの感染防止のための業務に追われています。現在の感染は一旦収まっていても、本格的な冬の到来や、新型変異株による第6波へ懸念があるなか、緊張を強いられる状況が続いています。

1 とりわけ、この間の教訓からも、施設内での感染拡大はなんとしても防いでいかなければなりません。第6波を防止するためにも、保育園に対して定期的なPCR検査の実施などの予算措置を行う必要がありますが、いかがですか。

 感染防止対策としてのかかり増し経費への支援も重要です。多くの福祉施設では、マスクや消毒などの感染防止策を引き続き行なっています。保育従事者の方に伺いましたが、保育園での仕事では1日1枚のマスクではなく、接している園児が咳をしたり、下痢をしている園児の対応をしたりするたびに、マスクを取り換えるので、通常の使用以上に経費がかかっているとのことでした。室内の消毒だけでなく、子どもたちが日常的に使うおもちゃなどの消毒も毎日欠かせません。

2 福祉施設では、こうした感染防止のための対策を恒常的に行なっている状況です。都として感染防止対策のためのかかり増し経費について、継続的に支援していくことが必要ですが、見解を伺います。

3 コロナ後の原油高による物価や燃料費の高騰も、福祉施設の運営に影響を与えています。引き続くコロナ対策のために、三密や人との接触が避けられない福祉施設では、真冬でも定期的に換気を行う必要があり、そのために暖房費もかさみます。都は中小事業者向けに燃料費を支援する補正予算を計上しました。福祉施設にたいしても、購入費補助などの支援を行なうべきですが、いかがですか。

三 保育の質の向上について

 子どもの安全と健やかな成長を守るべき保育園で、園児の安全や安定した保育の継続が脅かされるような事態が私立の認可保育園で相次いでいます。足立区では、保育士の大量退職によって、安定した保育の継続ができない保育園や、園庭のない保育園で外出した先で園児を置き去りにしたまま警察の白バイに保護されるケース、また、遊具から転落事故を起こしても自らの責任を認めない保育園のケースなどが報告されています。

1 こうした認可保育園での重大な事故や事案について、どのように報告を受けているのか、また、その報告の内容と件数について、2020年度はどのようになっているか伺います。

2 報告を受けた件について、都はどのような指導や自治体との連携を行なっているのか伺います。

 昨年11月に足立区の公設民営の保育園、「新田3丁目なかよし保育園」の指定管理者に定められた法人のずさんな運営が原因で、運営費が裁判所に差し押さえられ、法人が運営を続けられないという事態が起きました。同園は千葉県流山市に本部を置く社会福祉法人「南流山福祉会」が、区の委託を受けていましたが、法人が別に運営する「私立流山なかよし保育園」の元園長たちが、給与未払について法人側を提訴し、千葉地裁松戸支部が法人側に約5,000万円の賠償を命じる判決を出したものです。
 運営費が差し押さえになってからは区が直接運営を行い、対応してきましたが、そもそも同法人を巡っては、同じ足立区内の別の園で飲食代や交際費など不適正な支出が過去に指摘され、2020年6月にも新田三丁目の保育園で賞与の遅配を区が指導しており、行政の対応の甘さに問題があったと言わざるをえません。
 さらに、法人を所轄する千葉県も2020年8月に、不適切な支出や会計処理などを是正するよう求める改善勧告に従わなかったとして、県内初の法人名公表に踏み切っていました。法人が都道府県にまたがって複数以上の保育園を運営してる場合、他道府県との情報共有や連携した対応が欠かせません。

3 東京都はこうした問題のある法人の情報について、どのように他道府県と情報共有をおこなっているのか、また、この「南流山福祉会」の情報はいつから千葉県と共有していたのか伺います。

4 「南流山福祉会」が運営していた足立区内の保育園での不適正な支出や賞与の遅配の指導について、足立区からは報告があったのか伺います。

5 他道府県や区市町村からの情報にもとづいて、都はどのように対応を行なってきたのか伺います。

6 保育園の経営が広域化するなかで、他道府県や自治体との連携を強め、都として具体的な対策をおこなっていくことが必要ですが、見解を伺います。

令和3年第四回都議会定例会
斉藤まりこ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 ケア労働者の待遇改善について
1 ケア労働者の賃金上げについて、都内の実態に即したものになるよう、都として独自に上乗せをするべきだが、見解を伺う。

回答
介護サービスや保育サービス等は、介護報酬や公定価格等により運営されることが基本であり、都は、国に対し、事業者が人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができるよう、大都市の実情を踏まえた報酬等とすることを提案要求しています。

質問事項
一の2 福祉施設でケア労働を支えているのは保育士や介護士だけでなく、栄養士や調理員などさまざまな職種があり、これらの労働者、またパートや非正規で働く労働者にも賃上げが可能となる施策が必要である。また、政府が打ち出している賃上げの仕組みでは、配置基準の人数分しか保障されない。都として賃上げの対象を拡大し、実人員に対応して賃金を引き上げることができるように支援を行なうべきだが、見解を伺う。

回答
処遇改善の対象となる職種や職員数等については、国の方針に基づき、適切に対応していきます。

質問事項
一の3 ケア労働者の離職を防ぎ、利用者にとっても安心してケアが受けられるようにするためにも、福祉施設での職員配置に都として加算を行うべきだが、見解を伺う。

回答
都はこれまで、国制度に加え、都として望ましいサービス水準を確保できるよう、民間社会福祉施設サービス推進費補助等で支援しています。

質問事項
二 福祉施設でのコロナ対策と原油高・物価高への支援について
1 第6波を防止するためにも、保育園に対して定期的なPCR検査の実施などの予算措置を行う必要があるが、見解を伺う。

回答
都は、施設内での感染拡大を防止するため、保育所等において、新型コロナウイルス感染症の陽性者が発生し、保健所による濃厚接触者の特定や検査が即時に実施されない場合に、児童や保育従事者にPCR検査を実施できるよう、区市町村に検査キットを送付しています。
加えて、令和4年1月7日付けの国の通知に基づき改訂した集中的実施計画において、保育所や小学校等を対象施設に追加し、検査を実施することとしています。

質問事項
二の2 福祉施設では、感染防止のための対策を恒常的に行なっている状況である。都として感染防止対策のためのかかり増し経費について、継続的に支援していくことが必要だが、見解を伺う。

回答
都は、介護保険施設や保育所等が、コロナ禍においても事業を継続できるよう、国制度を活用し、マスク等の衛生用品の購入や施設等の消毒・清掃費用、通常想定していない感染症対策に関する業務の実施に伴う手当の支給などのかかり増し経費を支援しています。

質問事項
二の3 コロナ後の原油高による物価や燃料費の高騰も、福祉施設の運営に影響を与えている。引き続くコロナ対策のために、三密や人との接触が避けられない福祉施設では、真冬でも定期的に換気を行う必要があり、そのために暖房費もかさむ。都は中小事業者向けに燃料費を支援する補正予算を計上した。福祉施設にたいしても、購入費補助などの支援を行なうべきだが、見解を伺う。

回答
介護保険施設等は、暖房費を含め、介護報酬等により運営されることが基本となっています。
保育所等については、感染防止用の備品を購入するために必要な経費を国の補助金により支援しており、感染症対策に必要な暖房費も補助対象となっています。

質問事項
三 保育の質の向上について
1 認可保育園での重大な事故や事案について、どのように報告を受けているのか、また、その報告の内容と件数について、2020年度はどのようになっているか伺う。

回答
保育所で事故が発生した場合、国の通知に基づき、施設は区市町村に、区市町村は都に、都は国に報告しています。
国への報告対象となる事案は、「死亡事故」及び「治療に要する期間が30日以上の負傷や疾病を伴う重篤な事故等(意識不明(人工呼吸器をつける、ICUに入る等)の事故を含み、意識不明の事故についてはその後の経過にかかわらず、事案が生じた時点で報告すること。)」となっています。
加えて、都は独自に区市町村に対し、「感染症若しくは食中毒の発生又は発生が疑われる状況が生じたとき」「迷子、置き去り、連れ去り等が発生し、又は発生しかけた場合」「その他、児童の生命又は身体被害に係る重大な事故に直結するような事案が発生した場合」について報告するよう依頼しています。
報告件数は、令和2年度で、国の通知に基づく報告が167件、都の依頼に基づく報告が61件となっています。

質問事項
三の2 報告を受けた件について、都はどのような指導や自治体との連携を行なっているのか伺う。

回答
都は、事故が発生した保育施設からの報告書の提出を受け、事故発生後の対応や事故要因の分析、今後の改善策等が適切に講じられているかなどを確認し、必要な指導を行っています。
また、死亡事故等の重大な事故事案については、区市町村と連携し、速やかに児童福祉法等に基づく特別指導検査等を行い、その結果、指導検査基準に適合しない事項について指摘し、改善に向けて指導しています。

質問事項
三の3 都は問題のある法人の情報について、どのように他道府県と情報共有をおこなっているのか、また、「南流山福祉会」の情報はいつから千葉県と共有していたのか伺う。

回答
都は、指導検査等により、社会福祉法人の運営及び法人が運営する社会福祉事業等に著しい法令違反等が認められた場合において、関係道府県や区市町村等との間で、指導検査の結果等の情報収集・提供が必要と判断する事項について、随時、電話やメール等により情報共有しています。
社会福祉法人南流山福祉会については、令和元年7月から同法人を所轄していた千葉県と情報共有していました。

質問事項
三の4 「南流山福祉会」が運営していた足立区内の保育園での不適正な支出や賞与の遅配の指導について、足立区からは報告があったのか伺う。

回答
都は、社会福祉法人南流山福祉会が運営していた足立区立新田三丁目なかよし保育園及び日ノ出町保育園に対する足立区の指導状況等について、令和元年6月以降、同区と情報共有しています。

質問事項
三の5 他道府県や区市町村からの情報にもとづいて、都はどのように対応を行なってきたのか伺う。

回答
都は、他の道府県や区市町村等から提供された指導検査結果等に基づき、社会福祉法人や社会福祉施設への指導が必要と判断した場合は、関係自治体と連携して指導検査を実施し、運営状況等を確認の上、必要な指導を行っています。
また、運営等に重大な問題を有する場合には、速やかに特別指導検査を実施し、適正な運営の確保に向け、必要な指導を行っています。

質問事項
三の6 保育園の経営が広域化するなかで、他道府県や自治体との連携を強め、都として具体的な対策をおこなっていくべきだが、見解を伺う。

回答
都は、複数の自治体で施設を運営する社会福祉法人やその運営する施設への指導検査に当たり、必要に応じて関係道府県や区市町村と連携し、情報の収集・提供等を行っています。
また、他の道府県や区市町村が所轄する社会福祉法人に対して、指導検査等の適当な措置を執る必要がある場合には、書面により必要な意見を伝えています。
今後とも、必要に応じて関係自治体と連携し、指導検査を実施していきます。