ご意見・ご要望
ページトップヘ

質問・条例提案

2021.12.15

文書質問 外環の2事業について とや英津子都議(練馬区選出)

2021年第4回定例会で、以下の文書質問を提出しました。

令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 とや英津子
質問事項
一 外環の2事業について


一 外環の2事業について

 外環の2は、東京都外環道(練馬区―世田谷区、約16キロ)の地上部道路(練馬区―三鷹市、約9キロ)として1966年に都市計画決定されました。
 しかし、住民の強い反対運動があり、国は70年に外環道の本線と共に計画を凍結しました。その後、2007年に外環道を大深度地下構造に変更する都市計画変更を行いました。
 ところが都は地上部の「外環の2」のうち、2012年に大泉区間の1㎞について一方的に事業認可申請し、同年7月に認可を取得しています。これに対して、該当地域の住民の方々が一部区間のみを作ろうとするのは認められないとして「事業認可取消訴訟」を起こしました。
この裁判は最高裁が上告を棄却しましたが、住民のみなさんは事業を進めることは認められないと、抗議の声を上げ続けています。
 この間、都は都市計画決定された外環の2の練馬区部分の3キロについて、2014年に道幅を40メートルから22メートルに変更する都市計画変更を行いましたが、練馬区地域住民の「子どもや高齢者が自然に親しむ石神井公園のすぐそばを道路が通ることで、地域が分断され環境が守られなくなる」との訴えが寄せられ、都市計画素案の説明会などで「地上部街路はいらない」との意見が根強くあり、いまでも合意が得られているとは言えない状況です。
 しかも都は21年6月に、コロナ禍を理由に住民説明会も開かず「外環の2の事業概要及び測量作業のご案内」と記述したチラシを突然配布し、説明会も開催しないまま測量を実施しました。オープンハウスが開かれたのは10月でした。
 そもそも、住民の強い反対を受けて外環事業は凍結され、本線を地下化することで地上には迷惑をかけないと事業が再開した経緯を踏まえれば、地上につくる「外環の2」は廃止されるべき計画でした。ところが、外環本線事業が決まると「外環の2」は残っていると、まさにだましうちのように地上部にも幅員22メートルの大型道路をつくることは許されるものではありません。

1 外環の2のパンフには、「地域の課題解決」とありますが、地域の課題とは何か。

2 上石神井通りや井草通りなどが南北方向の道路としてありますが、道路幅員が狭く、歩道と車道とが十分に分離されていないという問題≒課題は、別の道路を新設することで解決出来るのでしょうか。

3 「石神井台地域から大泉ICまでの所要時間は、現在の約16分から約5分に短縮され、その分、高速道路を利用した各方面への移動時間の短縮が見込まれます。」とあるが、外環本線で青梅街道インターから大泉インターへは行ける計画があるので、指摘のような効果は重複しており、必要性の説明となっていないが、いかがですか。

4 外環の2の「よくあるご質問と回答」に掲載されている「Q『外環の2』を整備するのではなく、既存の道路を拡幅すれば良いのではないか。」に対し、「外環の2を代替するルートを検討した」とありますが、その検討内容と検討結果をお答えください。

 よくあるご質問と回答には、「事業化後に、用地取得に関係する権利者の皆様へ「用地補償の説明」を行います」とあり、更に「現況測量や用地測量を実施する」としていますが、現況測量の目的は、「土地や建物と、都市計画線との位置関係をあきらかにすることを目的としています。このため、皆様方の土地や建物の位置、周辺道路の形状などの測量をさせていただきます。」とあります。また、用地測量についての都の説明では、「用地測量は、道路として取得させていただく土地の面積を決めることを目的としています。このため、道路を整備するために必要となる土地について、周辺の土地との境界を確認し、境界点の測量を行います。」とあります。

5 これらから考えると、「補償内容を知らされないままに、補償の為の測量に協力することが用地測量への協力になり」きちんと補償概要を説明するのが先とかんがえます。以上の理由から用地説明会の前に用地測量をすることは本末転倒ではないでしょうか。お答えください。

 昨年10月に調布の住宅街で外環本線の直上で巨大陥没事故が発生しました。その二週間後には陥没箇所の北側に地表から5メートルの深さに厚さ3メートル×長さ30メートル×幅4メートルという大規模な空洞が発見されました。この事故により多くの住民がストレスと不安を抱え眠れぬ夜を過ごさざるを得ず、国・NEXCO、都の責任は重大です。
 この事故によって調布のみならず、練馬でも住民は陥没事故が起きるのではないか、そうなれば自分の家はどうなるのかなど、不安の声を寄せています。
 外環の2は本線の直上に計画されています。(いただいたご質問と回答に)「外環の2(石神井台)は地上部の街路であるため、地下の高速道路である外環のようなトンネル等の地下構造物はありません。このことから、調布のような陥没等は生じないものと考えております」とありますが、地下で異変が起きれば、当然、地上部道路の陥没や周辺家屋への影響が懸念されます。
 そして現在、陥没事故の影響はトンネルの直上だけでおさまっているのか、誰も解明していません。

6 外環本線での大深度工事でもまだ事故が起きないという新たな工事方法などは発表されておらず、陥没事故がまた起きないとは言えないのではないでしょうか。

令和3年第四回都議会定例会
とや英津子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 外環の2事業について
1 外環の2のパンフレットには、「地域の課題解決」とあるが、地域の課題とは何か伺う。

回答
外環の2(石神井台)における主な地域の課題としては、都市計画道路の整備率が低く特に南北方向の整備が進んでいないこと、また、生活道路に自動車、自転車、歩行者がふくそうしているとともに電柱が歩行空間を狭くしていること、さらに、震災時に建物や電柱が倒壊し閉塞のおそれのある狭あい道路が多く安全な避難経路が確保されていないことなどがあります。

質問事項
一の2 上石神井通りや井草通りなどが南北方向の道路としてあるが、道路幅員が狭く、歩道と車道とが十分に分離されていないという課題は、別の道路を新設することで解決できるのか、見解を伺う。

回答 
現在、上石神井通りや井草通りをはじめとする既存の生活道路に流入している交通が、外環の2(石神井台)に転換されることで減少し、既存の生活道路の安全性が向上するものと考えています。

質問事項
一の3 「石神井台地域から大泉ICまでの所要時間は、現在の約16分から約5分に短縮され、その分、高速道路を利用した各方面への移動時間の短縮が見込まれます。」とあるが、外環本線で青梅街道インターから大泉インターへは行ける計画があるので、指摘のような効果は重複しており、必要性の説明となっていないが、見解を伺う。

回答 
パンフレットに記載している所要時間の短縮効果については、大泉インターチェンジから高速道路を利用する際に、青梅街道インターチェンジと大泉インターチェンジのおおむね中間地点から外環の2を利用することにより、大泉インターチェンジまでの移動時間の短縮が見込まれることを一例として示したものです。

質問事項
一の4 外環の2の「よくあるご質問と回答」に掲載されている「Q『外環の2』を整備するのではなく、既存の道路を拡幅すれば良いのではないか。」に対し、「外環の2を代替するルートを検討した」とあるが、その検討内容と検討結果について伺う。

回答
練馬区における外環の2については、平成22年6月から、地元との「話し合いの会」や「広く意見を聴く会」を開催し、広く意見を聴きながら検討を進め、平成26年11月に、幅員を40メートルから22メートルに縮小するなどの都市計画変更を行っています。
この中で、上石神井通りなどの代替ルート案について検討しましたが、代替機能を確保するためには現道の拡幅が必要であり、代替ルート案の沿道には、既に堅固かつ中層以上の建築物が立地していることなどから、代替機能を確保して都市計画を廃止することは困難との結論に至っています。

質問事項
一の5 外環の2の「よくあるご質問と回答」から考えると、きちんと補償概要を説明するのが先であり、用地説明会の前に用地測量をすることは本末転倒だが、見解を伺う。

回答
事業者として責任を持って説明を行う必要があることから、用地測量により取得する土地の面積や権利者が決まり、都市計画事業認可を取得した後に用地説明会等を開催し、用地補償の概要等の説明を行っています。
また、用地説明会等を開催する前であっても、関係権利者から用地補償の質問等があったときは、個別の事情をお伺いし、その時点で説明可能な範囲で用地補償の説明をしています。
なお、建設局で実施している他の事業においても同様に行っています。

質問事項
一の6 外環本線での大深度工事でも新たな工事方法などは発表されておらず、陥没事故がまた起きないとは言えないのではないか。見解を伺う。

回答
令和2年10月に発生した陥没事故を受け、現在、外環事業の事業者である国及び高速道路会社により今後のシールドトンネル施工を安全に行うために再発防止対策の検討が行われています。
都は引き続き、事業者に対し、住民の不安払拭やきめ細やかな対応を行うとともに、再発防止対策を確実に実施するよう求めていきます。