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質問・条例提案

2022.06.10

環境・建設委員会 太陽光パネル・太陽光発電について 原純子都議(江戸川区選出)

2022年6月10日の環境・建設委員会で、原純子都議(江戸川区選出)が質問を行いました。

 

○原委員 東京都環境基本計画の改定及び環境確保条例の改正による制度強化についての中間まとめに関わって質問をさせていただきます。
 私が電気について考えを持ったのは、二〇一一年春の福島の原発事故のときです。福島でつくった電気を消費していたのは東京で暮らす私たちでしたが、そんなことも私は知りませんでした。
 福島原発爆発事故により、当時の私の家の近くの小学校に、南相馬から九人の大家族が避難してきましたが、新しく家を建てたばかりなのにと落ち込む姿に愕然としました。電気をつくるためだけに、こんな危険な原子力発電所を増やしてきた国のエネルギー政策は間違っており、事故が起きなくても、何十万年も大地を汚染する高濃度の放射性物質、使用済み核燃料をつくり続ける原発は、人間の安全と相入れないことを改めて共有すべきです。
 今、電力逼迫問題が起こる中、一部で原発を動かせばいいという議論が再燃していますが、それは後世への責任という意味でも、絶対にやめなければなりません。
 二〇三〇年までにCO2排出半減の目標を都は決めていますが、その中で、とりわけCO2排出の多い石炭火力発電の廃止期限を決め、撤廃に取り組むことを国に求めることが重要です。
 ウクライナ危機に直面する中で、化石燃料の輸入依存を脱却し、エネルギー自給率を高め、再エネ利用を全速力で拡大しなければならないとの認識は、小池知事も所信表明で強調されていたところです。
 そこで、知事自らが提案した新築住宅等への太陽光パネル設置義務化についてお聞きします。
 小池知事が打ち上げた新築住宅への太陽光パネルの設置義務化提案の内容は、今回の環境確保条例の改正、中間まとめにも記載をされております。この義務化に対しては理解を示す声あり、その一方で、先ほど委員からもご指摘ありましたように、反発の声も多く、物議を醸しています。
 義務を課すのは建築主ではなく、大手の住宅供給事業者だというふうに説明されても、これから家を建てよう、または購入しようと思っている人にとっては、強制されている気になるのも無理はないと思います。
 設置費用を払うのは私でしょう、それを義務にするのですかというふうなことだと思いますが、パネル設置費用は当然、購入者負担と受け止めますが、購入者負担ではないケースは考えられますか。お答えください。

○木村建築物担当部長 設置費用は、最終的には建築主の負担となりますが、現在、都が検討している制度では、購入者の初期費用の負担はなく、事業者の負担で太陽光発電設備を設置できるビジネスモデルについても、義務履行の手法として対象とすることを検討してございます。

○原委員 新築の建物の屋根に設置するパネルを必ず建築主が購入しなければならないわけではなく、ハウスメーカーや別の事業者がパネルの所有者となるビジネスモデルを選択できる制度にするというふうなことでした。
 パネル設置が建築主の義務ではないということは、設置可能な形状の屋根であっても、うちはつけませんと、事業者に対しいうことはできますよね。確認のためお願いします。

○木村建築物担当部長 現在検討中の制度におきましては、義務の履行は事業者単位で判断するため、例えば日照条件が同じであっても、住宅購入者の意向で多く設置したり、設置しないことができる柔軟な仕組みとしてございます。

○原委員 ありがとうございます。つけるつけないの選択もできるし、つける場合でも、イコール建築主の購入ではない選択も可能だということです。設置義務を課せられるのが建築主ではないということの中身を分かりやすく発信してほしいというふうに思います。
 地域住民などから様々な疑問が届けられています。一つずつお答えを願います。
 まず初めの疑問は、電気代が安くなるというが、元が取れる保証はあるのですかという質問です。お願いします。

○木村建築物担当部長 太陽光発電の設置により、電気代の経済性は向上いたします。都の試算では、電気代削減や売電収入が得られ、十年程度で初期費用が回収でき、さらにその先の売電収入により、廃棄コスト等も賄えると見込んでおります。

○原委員 売電収入などは変動するので、見込むことはかなり難しいのかなというふうに思いますが、初期費用は電気代の削減分でおおむね十年で回収できるとのことでした。
 要望なんですが、実際にパネルをつけた人のケースを検証した情報などを提供していただきたいというふうに思います。ご検討ください。
 続けて、太陽光パネルの災害時の心配です。少し重なるところもあると思いますが、もう一度お答えをお願いします。
 太陽光パネルは、火災が起きたら消えにくいと聞くが本当ですか。また、ひょうが降ったときにパネル損傷の危険はないのか、台風のとき、パネルの重さで家が押し潰される危険はどうか、それぞれお願いいたします。

○木村建築物担当部長 東京消防庁によれば、太陽光発電システムが設置されている住宅等での火災が発生した場合でも、水による消火が可能でございます。
 なお、消火に当たっては、感電リスクの回避や再出火防止など、様々な対策を行うとのことでございます。
 また、メーカー団体によれば、ひょうへの対策として、太陽光モジュールの表面はJIS規格に適合した強化ガラスを使用しており、また、屋根への設置に際しても同様の規格に基づき、風、台風などの荷重に耐えるよう取付け強度を設計されてございます。

○原委員 ありがとうございます。火がついたら消えにくいというのは事実ではないとのことでした。絶対はないというふうには思いますが、災害時でも耐える基準をクリアしているという回答でした。ありがとうございます。
 さらに、太陽光パネルについて、生産をめぐる疑問です。
 資材を生産する国の人権侵害の問題があると聞き、心配です。この声、お願いいたします。

○木村建築物担当部長 都は、太陽光パネルに関する様々な状況につきまして、今後とも情報収集を行ってまいります。

○原委員 なかなか住民の心配に直接応え得るような回答ではなかったというふうに思いますが、この点では、先ほどほかの委員からもご指摘がありましたので、簡単にしたいと思います。
 消費者もこうした情報を知り、選択する主体者なので、都としても人権擁護の立場に立ち、情報収集や情報発信をお願いしたいと思います。
 出されている疑問の最後で、太陽光パネルが寿命を迎えた後についての疑問です。
 パネルのリユースやリサイクルの見通しは立っているのですか。お答えください。

○村上資源循環計画担当部長 太陽光発電設備の廃棄は二〇三〇年代半ばから本格化することが見込まれております。
 都はこれまで、二〇一八年度に検討会を立ち上げ、住宅用太陽光発電設備の実態把握や、リサイクルなどの高度循環利用の検討をしてきました。この中で、事業用太陽光発電設備は一度に大量に効率的な回収ができるため、リユースやリサイクルのルートが既に存在していることが明らかになりました。
 一方、都内で約七割を占める住宅用の設備は、一度に排出される量が少なく、排出される場所や時期が散発的なため、事業用と比較して、リサイクルなどのルートが確立しづらいという課題がございます。
 都は今後、これまでの検討内容を踏まえ、リサイクル業者等で構成する協議会を本年度立ち上げ、近年、首都圏で増加しているリサイクル施設を活用し、住宅用太陽光発電設備のリユース、リサイクルルートの確立に取り組んでまいります。

○原委員 事業用での回収、再活用ルートは既にあるということですね。住宅に設置するパネルの回収は、今後リサイクル業者でのルートを確立するということ。住宅用のパネルこそ、これから相当な数が出てくるわけで、適切なリユース、リサイクルが実施できる仕組みづくりをお願いいたします。
 そして、小規模の工務店からも声を伺っております。
 大手住宅メーカーではない自分たちには義務を課せられていないとはいえ、建築主から太陽光パネルをつけなきゃいけないんですかと聞かれたら、どのように答えるのか。太陽光パネル設置のメリットや補助制度を熟知しなければならないし、申請の際には書類を書く手間も要る。工務店任せでは困る。そんな意見をいわれていました。
 都として、中小の工務店へはどんな対応を要請するのでしょうか。

○木村建築物担当部長 現在、都が検討している制度では、大手ハウスメーカー等を義務の対象としております。
 一方、対象とならない事業者に対しましても、再エネ設備の設置など、環境性能の高い新築建物の建築が進むことは望ましいと考えております。
 都は、こうした意欲ある地域工務店などを後押しするため、必要な情報発信を行ってまいります。

○原委員 地域の工務店が様々な負担を強いられることのないように、また大手住宅メーカーに情報が偏らないように、丁寧な後押しをお願いしたいです。
 大手住宅メーカーに対し、八五%という達成すべき義務量が提示されていますが、義務を課せられた事業者が義務量を達成できなかったらどうなりますか。

○木村建築物担当部長 制度の対象事業者において、断熱、省エネ、再エネ設備の整備が不十分であったという場合には、都は、指導、助言、指示、勧告、氏名公表などを通じて、適正履行を促していくことを検討しております。

○原委員 義務を課す以上、クリアしなかった場合の氏名公表なども行うということになるわけですね。
 今回の太陽光パネル設置義務化は、住宅供給事業者の果たす役割がとても大きいなと感じています。もちろん、ビジネスチャンスともいえると思います。
 本来、この太陽光発電を地域に広めるということは、CO2を出さない電力への置き換えを進め、地球温暖化防止に貢献し、災害時にも役立つといった、地球のためにも、住民のためにもなるキャンペーンなわけです。住宅供給事業者がよりよい暮らし方の提案をすることで、事業者のイメージも上がり、エコな機器の開発や、安価で購入できる流れをつくれるとよいわけです。
 義務量を達成できない事業者への勧告と同時に、実績や新しいアイデアの発信や、広報活動などに積極的な事業者を評価する取組が喜ばれるのかなというふうに思いました。
 ちょっと話が戻るんですが、小池知事の義務化提案に対し、かなり反発が起きているのはなぜなのか。どのように考えますでしょうか。

○木村建築物担当部長 一部の報道やSNSなどを拝見すると、都が検討している制度への誤解や疑問が生じているケースが見られます。都民、事業者の皆様に制度の仕組みをご理解いただくためには、丁寧かつ分かりやすい情報発信を行うことが重要でございます。
 このため、環境局ホームページに専用サイトを開設し、制度の趣旨や概要など様々な情報発信を開始いたしました。
 今後もこうした情報を随時更新していくとともに、分かりやすい広報活動を展開してまいります。

○原委員 ありがとうございます。都民の反発は、小池知事のパネル義務化提案が上から一方的に押しつけられたように感じたからなのではないかと私は思います。やはり説明が足りなさ過ぎです。先ほど聞かせていただいた都民からの疑問への答えを聞いても、誤解が多分にあることが分かりました。
 近年、脱炭素社会の必要性が世界的に話題になっているけれども、我が事として、毎日の生活の中で省エネへの生活改善、再エネ電力へのシフトなどを考えるきっかけは、まだ不十分です。
 未来のために自分のまちでどういう取組ができるのかの考えや、その取組は、本来強制されるものではなく、みんなで意見を出し合い、政策をつくっていくべきものだと思います。その手続を無視し、都民に直接負担が伴う提案をするやり方は、当然反発を引き起こすこととなり、改善しなければならないのではないでしょうか。
 この太陽光パネル設置義務化については、六月二十四日まで行われているパブリックコメントで出される意見など、多方面からの意見を十分に踏まえ、検討を進めていただけるようお願いしておきます。
 新築、既存住宅ともに、省エネ改修や再エネへの移行を手の届くものにしていくために、都の役割は重要です。補正予算案にも関連して、災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業、また東京ゼロエミ住宅導入促進事業など、都の補助制度についてお聞きします。
 太陽光パネル設置費用は、やはり高額です。現在の補助制度だと、新築住宅で一キロワット当たり十二万円、既存住宅で一キロワット当たり十五万円の補助です。実費の約三分の一ぐらいに当たるんでしょうか。
 パネル設置の補助費を引き上げ、初期費用の負担を軽くすることが設置を広げる要素になるはずです。補助金額をさらに引き上げる検討が必要ではありませんか。

○荒田地球環境エネルギー部長 住宅のゼロエミッション化に向けては、太陽光発電設備の導入とともに、断熱化など、住宅全体の性能を高めていくことが重要でございます。
 このため都は、新築住宅には東京ゼロエミ住宅導入促進事業を、既存住宅等には災害にも強く健康に資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業にて支援をしております。
 さらに、今回の補正予算にて、これらの補助事業における太陽光発電整備の発電規模上限の引上げを提案しているところでございます。

○原委員 補助事業の上限の引上げなどを実施することは大変重要です。補助金額の引上げもぜひ検討されるよう求めておきます。
 太陽光パネル単体での設置補助制度が見当たらないのですが、ありますか。またはつくる予定がありますか。

○荒田地球環境エネルギー部長 住宅の太陽光発電設備の導入補助は、新築住宅への東京ゼロエミ住宅導入促進事業、既存住宅等への災害にも強く、健康に資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業があり、いずれも断熱化など住宅全体の性能向上と併せて、太陽光発電設備の導入を補助することといたしております。

○原委員 新築住宅を購入の際、太陽光パネルを単体でつける建築主がどの程度いるのか、今、私のところでは分からないのですが、設置において補助制度から漏れる人が出ないように、制度の仕組みを整備されるように求めておきます。
 電力関係の専門家の話を伺うと、再エネもいいが、省エネになる住宅の断熱改修をもっと強力に進めるべきと皆さんいわれます。今どんな規模で取り組まれているのですか。

○荒田地球環境エネルギー部長 既存住宅への窓、ドアの断熱改修の補助対象件数は、今年度六万件へ拡大することとしております。

○原委員 昨年度と一昨年度を合わせた補助実績が一万八千件ということなので、予算枠は大きく伸びていますが、もしも年度途中で予算額を消化したときには、補正を組むくらいの大きな規模とテンポでの取組を要望しておきます。
 そして、これらの省エネ、再エネの補助制度について、ホームページでのお知らせを分かりやすくしてほしいです。検索したときに、制度紹介のリーフレットや動画などにたどり着きやすいように改善をお願いします。
 都が掲げたゼロエミッション東京の目標達成や、持続可能なエネルギーの地産地消社会の実現は、エネルギーの大きな転換につながる取組だと思います。それは、都民と広く議論し、住まい方を描き、都民と共に進むことが必須です。
 世界が直面する気候危機に関係ない人はいません。共産党都議団が提案した気候市民会議が、都民参加の持続可能な脱炭素社会への道をダイナミックに進める役割を果たすことを確信します。ぜひ、本気で検討していただくことを求め、質問を終わります。