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質問・条例提案

2022.12.15

本会議 原 純子都議(江戸川区選出)の討論

2022年12月15日の本会議で、原純子都議(江戸川区選出)が討論を行いました。

 

動画(都議会ホームページです。令和4年第4回定例会 > 12月15日議案の議決などをご覧ください。)

★2022年都議会第4回定例会 討論全文(原稿)です。


 日本共産党都議団を代表して、知事提出の第208号議案ほか17議案に反対、わが党提出の3議案に賛成の立場から討論を行います。

 まず、環境確保条例です。
 気候危機対策は待ったなしです。東京都のCO2排出半減目標年の2030年まであと7年ですが、基準年である2000年からの20年間で、わずか8%しか減っておらず、とりくみの飛躍が求められます。
 本定例会に出された環境確保条例改正案は、大手住宅メーカーに対し、新築住宅などの一定割合以上に太陽光パネル設置義務を課すなど、新築建築物への断熱、省エネ、再エネ設備の整備促進を柱とするものです。
 現在、家庭と事務所ビル等からの CO2 排出が全体の7割を占め、また、再エネ発電の場所を確保するのが困難という東京の特性をふまえると、住宅などへの太陽光パネル設置は有効な対策であり、最大限進める立場から条例改正には賛成です。
 気候危機打開の主人公は都民であり、誰もが納得してとりくめるようにすることが大事です。疑問に丁寧に答える情報提供、開かれた議論、とりくみたくなるような充実した支援制度を都が提供することが必須です。
 また、断熱改修などを含め、地域の中小業者の仕事と雇用を生み出し、経済活性化に道を開く取り組みとして、進めることが重要です。
 需要が急拡大する太陽光パネルの国内での生産と技術革新がカギです。薄くて軽量な太陽光パネルの開発・普及にむけて、都がさらに後押しすることを求めます。
 気候危機打開にとりくむ都内のある大学生は「私たちを失望させないでほしい。太陽光パネル設置義務化を必ず実現し、東京のリーダーシップを発揮してほしい」との訴えを発信しています。
 こうした若者たちの声に答え、私たちは、次世代へ手渡す未来社会への責任を果たさなければなりません。
 原発、化石燃料への依存からきっぱりと脱却し、再エネを主要エネルギー源とする、新しい東京の姿を示し、2030カーボンハーフ達成を必ずや成し遂げようではありませんか。

 次に、個人情報保護条例を廃止して、個人情報保護法の施行条例を新設する条例には反対致します。
 デジタル関連一括法は、国や自治体がもつ膨大な個人情報のデータを企業に開放し、利活用しやすくする目的でつくられました。そのため、各自治体の個人情報保護条例が障害となるため、全国一律のルールで一元化するとしています。
 そもそも自治体の個人情報保護制度は、国に先行して整備され内容も発展させてきたものです。デジタル化が進む社会のなかで、個人情報の保護はますます重要な課題になってきているときに、デジタル関連法は逆行するものです。都として、現行の個人情報保護条例を手放すべきではありません。
 委員会の質疑で、個人情報保護の事務執行は自治事務との答弁がありました。そうであるなら、多くの都民が個人情報の漏えいや悪用を心配するもと、都が個人情報を保護する主体性を明確にすべきです。

 都教委が実施を強行した英語スピーキングテスト・ESAT-Jへの批判や疑問の声は、ますます広がっています。
 私も参加する議員連盟と都民3団体が実施したアンケートには、11月27日の試験当日から一週間に、478件もの回答が寄せられ、うち中学3年生は6割にのぼり、生々しい実態が浮き彫りになりました。
 試験は前半組・後半組に分かれて行われましたが、音が隣の部屋から漏れるなどの事例は48会場92件、防音具のイヤーマフ越しに他の受験者の回答音声が聞こえたのは、77会場166件、録音確認の際に周りの人の声が録音されていたのは35会場55件におよび、広範な会場でこうした事例が起きていることが分かりました。
 このような公平公正でないテストの結果を、都立高校入試に活用できないことがはっきりしました。
 ところが、都教委は中学校などからトラブルなどの報告を求めもせずに「現実的とは考えられない」「聞こえても解答に影響を与えなかった」などと、子どもたちの証言を虚偽扱いする答弁をしました。子どもの声を聞くとした「東京都こども基本条例」違反ではありませんか。
 さらに、テストの実施状況の報告を早急に求める都民の声も無視し、年内の議会での報告を拒否しました。この問題では議会のチェック機能も問われました。それを追認した会派の責任は重大です。
 いま、都教委の常軌を逸した対応が厳しく問われています。子どもや保護者、現場教員などに謝罪し、直ちに入試への活用を中止すべきです。  

 東京五輪は、元理事による贈収賄やテスト大会における談合疑惑、膨れあがった大会経費、海の森水上競技場など見通しの立たない施設整備・維持、大会をテコにした再開発など問題山積です。
 知事は、これまで五輪大会を成功一色に描いてきました。組織委員会の談合疑惑について副知事をトップとした調査チームを設置しましたが、身内の調査ではなく、汚職と談合あわせて第三者機関で徹底検証することが必要です。負の遺産についての検証と総括をしっかり行うことを、改めて厳しく求めておきます。

 物価高騰とコロナ禍から、都民の命と暮らし、営業を守り抜き、東京の経済を立て直すことは、都政の緊急課題です

 コロナ感染の第8波は長期化する様相を見せる中、医療従事者の感染も多く、救急車の受け入れが非常に難しくなっています。わが党は、感染者数を増やさない取り組みの重要性について認識をただしましたが、知事はまともに答弁しませんでした。改めて、ワクチン接種と同時に、無症状の陽性者を早期に発見するPCR検査を受けるよう、知事みずから強く発信することを求めるものです。

 わが党は、全国250以上の自治体に広がっている上下水道料金の減免や、国民健康保険料の引き下げ、給食費の無償化や賃上げのための中小企業支援など、物価高騰の下で、第一に暮らしの支援、第二に賃金の引き上げ、第三に中小企業・小規模事業者への支援の3つの柱で、具体的提案を行いました。
 小池知事はわが党の代表質問に対し、「都民生活、そして東京の経済をしっかり支えてまいります」と答弁しました。しかし、今定例会に提出された補正予算は、厳しい都民生活の実態からみれば極めて不十分であり、更なる支援が必要です。
 補正予算は、低所得者への支援が柱のひとつとなっており、397億円中約75%が「東京おこめクーポン事業」です。
 しかし、対象が住民税非課税世帯などにかぎられ狭い上に、いま検討されている内容では3分の1程度が、事務費など食料品以外の費用にかかる可能性があります。直接支援は大事ですが、組んだ予算で最大の効果が発揮できる必要があります。
 ひとり親家庭や困窮者支援を行う団体は、何にでも使える現金給付が一番だと言っています。それぞれの家庭において、今いちばん必要だと思われるものにお金を使うことが可能となる、現金での給付を含め、都民の声をよく聞いて改善するよう求めるものです。

 わが党は、今切実に求められる3つの条例を提案しました。
一つは、小中学校の給食費を半額にする条例です。
 もう一つは、ひとり親家庭に支給している児童育成手当を3000円増額し、ひと月16500円とする条例改正です。
 また、都民生活がこれだけ厳しい時に、都議の期末手当の引き上げは据え置くべきであり、その条例改正も提案しました。
 みなさんのご賛同を心から呼びかけます。

 都税収入は過去最高水準であり、暮らしを守るための財源はあります。使い道のないオリパラ基金の約1700億円を含めた基金を活用すること、今こそ不要不急の事業を見直すこと、緊急対策を含め来年度予算では、思い切って暮らしや営業を守るための政策を実行することを強く求め、討論を終わります。

                   以上