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質問・条例提案

2022.06.15

文書質問 学齢期の子どもの日本語教育の充実について とや英津子都議(練馬区選出)

2022年第2回定例会で、以下の文書質問を提出しました。

令和4年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

   提出者 とや英津子

質問事項
 一 学齢期の子どもの日本語教育の充実について


一 学齢期の子どもの日本語教育の充実について

 都内には2022年1月現在で約52万人の外国人が住んでいます。国際化の進展により10年前と比べても10万人以上増え、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが収束すれば、今後も増加することが予想されます。家族の仕事や国際結婚などにより外国から日本に来る子どもたちも多く、日本語教育の充実が求められています。

1 東京都が4月28日に「子供政策総合推進本部会議」を開催し、「日本語を母語としない児童チーム」をつくり、各局横断的な課題について施策を具体化・実践すると発表したことは重要です。
 都としては、日本語を母語としない子どもたちについてどのような課題があり、どのような点で関係局の連携が必要だと考えていますか。

2 同チームは、できるだけ早く活動を開始し、可能なものから来年度予算に反映させていく必要があると思います。どの局が参加し、どのようなスケジュールで進めていく予定なのか伺います。

 都では「東京都地域日本語教育実態調査報告書」をまとめ、この3月、「多文化共生社会に向けた地域における日本語教育推進の考え方」を発表しました。東京に暮らす外国人がコミュニティの一員として円滑に生活するための日本語教育を対象としたもので、課題の解決や施策の充実につながるものとして期待されますが、学校などで行われる幼児、児童、生徒等に対する日本語教育は含まれていません。

3 今後、学齢期の子どもたちへの学校も含めた日本語教育の充実の方向性も示していくことも必要だと考えますが、いかがですか。

4 都教育委員会の資料によれば、日本語指導が必要な外国籍の児童・生徒は、2020年5月1日現在で、小中高特別支援学校合わせて3,796人、日本国籍の児童・生徒は951人、合計4,747人になります。
 これらの子どもたち全員が、どこに住んでいても、授業が理解でき、進学をはじめ希望する進路に対応できるだけの日本語を身に着けられるよう、指導を充実していく必要があります。見解を伺います。

5 都議会では、2007年第2回定例会で「外国人の子どもの教育条件の改善に関する請願」が趣旨採択となっていますが、その要望項目の第2「都教育委員会に外国人の子どもの教育の専門部署を設置すること」は、いまだ実現していません。すでに15年が経過していますが、実現にむけどのような検討をしてきたのか、その経過についてお答えください。

6 私たちの調査では、全国で14の道府県で、学校教育における日本語教育を総合的・専門的に担当・推進する部署や担当者を置いていました。ある県では、日本語教育の担当者をおいたことをきっかけに、県内の日本語指導を必要とする子どもたちの現状把握が図られ、県内のどこに住んでいても日本語教育を受けられるようにするためのとりくみが進んでいったそうです。
 都教育委員会でも、総合的に担当する部署や担当者をはっきりさせ、推進体制を設けることを求めます。

7 日本語指導の必要な子どもたちが、どんな指導を受け、学校で何に困っているのか、人数把握にとどまらない実態調査を行い、公表することを求めます。いかがですか。

 少なくない県教育委員会が、市町村教育委員会や学校の担当者、大学、子どもたちに学習や生活の支援をしている国際交流協会やNPOなどと協議会をもち、各地区の現状や課題を出し合い共有したり、受け入れ体制を整備したり、指導の充実を図るなどの取り組みを進めています。
 私は、都民団体のみなさんが開催する、外国につながる子どもたちの学びへの支援を考えるつどいに、毎年のように参加してきました。支援に取り組む都民団体やNPO、日本語教育学科のある大学、当事者などが参加し、子どもたちが何に困っていて、どのような支援が必要なのか、学校や行政に求める方策や連携の必要性などについて、先行する事例や当事者の声などが交流される貴重な機会になっています。その場に都教委が参加していないことを、大変残念に思いました。

8 支援団体や大学、区市町村教育委員会や学校などが参加する連絡協議会を都教委が開催し、関係者と連携しながら学齢期の子どもたちへの日本語教育を充実させていただきたいと思いますが、いかがですか。

9 日本語指導が必要な小学生は2,763人、中学生は1,123人いますが、日本語学級で通級指導を受けているのはそれぞれ624人、345人だけです(2020年度)。
 日本語学級があるのは小学校で15区市、中学校は10区市ですが、学級の設置条件である10人以上の児童・生徒がいる区市は、小学生で36区市、中学生で23区市にのぼります。また、設置されていても必要な児童・生徒の1割から2割程度しか通えていない区市もあります。
 日本語学級を設置する区市町村数や学校数を増やすために、東京都が積極的な役割を果たすべきではありませんか。

10 都教委は日本語指導に関する研修を実施していますが、正規教員しか参加することができません。実際には、区市町村教委が雇用する会計年度職員や有償ボランティア、学校の報償費による講師なども児童・生徒に日本語指導をしています。これらの方々にも研修の機会を設けていくことを求めます。

11 都教委として、小中学校や高校、特別支援学校で求められる日本語指導の水準や内容の目安を示した教育指針をつくることも求められていますが、いかがですか。

令和4年第二回都議会定例会
とや英津子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 学齢期の子どもの日本語教育の充実について
 1 都が4月28日に「子供政策総合推進本部会議」を開催し、「日本語を母語としない児童チーム」をつくり、各局横断的な課題について施策を具体化・実践すると発表したことは重要である。都として、日本語を母語としない子どもたちについてどのような課題があり、どのような点で関係局の連携が必要だと考えているか伺う。

回答 
 日本語指導が必要な児童生徒が増加する中、不就学や学校への適応、地域での居場所の確保、進路・就労といった様々な問題への早急な対応が不可欠であります。
 こうした各局横断的、分野横断的な課題に対して、子供政策連携室が核となり、関係局と連携し、施策を具体化・実践していきます。

質問事項
一の2 同チームは、できるだけ早く活動を開始し、可能なものから来年度予算に反映させていく必要があるが、どの局が参加し、どのようなスケジュールで進めていく予定なのか伺う。

回答
 「日本語を母語としない子供チーム」には、子供政策連携室のほか、教育庁、生活文化スポーツ局、産業労働局、福祉保健局などが参加し、現在の取組の共有や、子供を取り巻く課題の洗い出しを開始しています。
 今後、NPO団体や有識者等との意見交換・視察を行い、日本語を母語としない子供への支援を幅広く検討し、施策を具体化・実践していきます。

質問事項
一の3 都では、「東京都地域日本語教育実態調査報告書」をまとめ、この3月、「多文化共生社会に向けた地域における日本語教育推進の考え方」を発表したが、学校などで行われる幼児、児童、生徒等に対する日本語教育は含まれていない。今後、学齢期の子どもたちへの学校も含めた日本語教育の充実の方向性も示していくべきだが、見解を伺う。

回答 
 学校における日本語指導の充実については、引き続き関係各所と連携し、取り組んでいきます。
 なお、「多文化共生社会に向けた地域における日本語教育推進の考え方」においては、「地域における日本語教育」を対象としています。

質問事項
一の4 都教育委員会の資料によれば、日本語指導が必要な外国籍の児童・生徒は、2020年5月1日現在で、小中高特別支援学校合わせて3,796人、日本国籍の児童・生徒は951人、合計4,747人になる。これらの子どもたち全員が、どこに住んでいても、授業が理解でき、進学をはじめ希望する進路に対応できるだけの日本語を身に着けられるよう、指導を充実していくべきだが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、基礎的な日本語を学ぶための日本語指導テキストや、日本の学校生活について視覚的に理解できるようにするための映像教材を作成し活用を促すなど、各学校における日本語指導の充実を図っています。

質問事項
一の5 都議会では、2007年第2回定例会で「外国人の子どもの教育条件の改善に関する請願」が趣旨採択となっているが、その要望項目の第2「都教育委員会に外国人の子どもの教育の専門部署を設置すること」は、いまだ実現していない。すでに15年が経過しているが、実現にむけどのような検討をしてきたのか、その経過について伺う。

回答 
 学齢期の子どもの日本語教育の充実については、関係部署がそれぞれ機能を果たし、適切に対応してきました。

質問事項
一の6 都教育委員会でも、学校教育における日本語教育を総合的に担当する部署や担当者をはっきりさせ、推進体制を設けることを求めるが、見解を伺う。

回答 
 学齢期の子どもの日本語教育の充実については、関係部署がそれぞれ機能を果たし、適切に対応してきました。

質問事項
一の7 日本語指導の必要な子どもたちが、どんな指導を受け、学校で何に困っているのか、人数把握にとどまらない実態調査を行い、公表することを求めるが見解を伺う。
 
回答
 都教育委員会は、毎年度、都内公立学校に在籍する日本語指導が必要な児童・生徒の人数及び主に使用している言語について調査しており、その結果を、都立学校全体及び区市町村別に、ホームページで公表しています。

質問事項
一の8 支援団体や大学、区市町村教育委員会や学校などが参加する連絡協議会を都教委が開催し、関係者と連携しながら学齢期の子どもたちへの日本語教育を充実させていくべきだが、見解を伺う。
 
回答
 都教育委員会は、日本語教育の充実に向け、区市町村教育委員会やNPO、専門家等と連携し、引き続き対応していきます。

質問事項
一の9 日本語学級を設置する区市町村数や学校数を増やすために、都が積極的な役割を果たすべきだが、見解を伺う。
 
回答 
 都教育委員会は、区市町村教育委員会が小中学校等に日本語学級を設置しようとする場合、「公立小学校・中学校・義務教育学校日本語学級設置要綱」の基準に基づき認証し、教員を配置しています。
 区市町村教育委員会に対しては、毎年度、日本語学級の設置に関する手続等について周知を図っています。

質問事項
一の10 都教委は日本語指導に関する研修を実施しているが、正規教員しか参加することができない。実際には、区市町村教委が雇用する会計年度職員や有償ボランティア、学校の報償費による講師なども児童・生徒に日本語指導をしており、これらの方々にも研修の機会を設けていくことを求めるが、見解を伺う。

回答
 都採用による臨時的任用教員や会計年度任用職員については、都教職員研修センターにおける研修の受講対象者としています。
 区市町村教育委員会の職員等については、区市町村教育委員会が対応しています。

質問事項
一の11 都教委として、小中学校や高校、特別支援学校で求められる日本語指導の水準や内容の目安を示した教育指針をつくることも求められているが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、指導者用テキストに、子供の日本語の習得状況に応じた指導目標、基本的な指導方法、指導時数例などを示し、各学校に配布するとともに、ホームページにも掲載しています。