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質問・条例提案

2022.06.15

文書質問 保育園の空き定員について 大山とも子都議(新宿区選出)

2022年第2回定例会で、以下の文書質問を提出しました。

令和4年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

  提出者 大山とも子

質問事項
 一 保育園の空き定員について
 二 保育の質の確保と公立保育園の役割について


一 保育園の空き定員について

1 昨年第3回定例会で、保育園に空き定員がある場合について、「都は、定員まで児童を受け入れられるよう、定員に基づく職員配置を求めております。」と答弁しています。この答弁は、保育を必要とする乳幼児を保育園において保育しなければならないと定めている児童福祉法第24条からすれば、年度途中含めていつでも受け入れて保育しなければならないのですから、保育士を児童定員に合わせて配置しておくことは当然だとの認識があるからということでよいですね。

2 日本共産党都議団の調査では、2021年の充足状況について、例えば0歳児の場合、区部と多摩の認可保育園で4月1日では3,727人空きがありましたが、10月1日には546人になりました。これは、近年はほとんどできなかった年度途中の入園が可能だったことを示しています。つまり、必要な児童定員であるということだと考えますが、どう認識していますか。

3 保育士が児童定員通り配置できるようにするための人件費を保障することは不可欠ですが、どう認識していますか。

4 現在、保育園の、主には人件費である公定価格は、入所している乳幼児数で算出することになっているため、たとえ保育士が定員通りに配置されていても定員通りの公定価格にはなりません。
 都議団の調査では都内15区16市町村で、定員に空きが生じた保育施設へ何らかの補助があります。ところが、8区14市町では補助がありません。
 人件費ですから、額が大きいだけにそれぞれの保育園では大きな問題です。同様に補助の無い自治体の家庭的保育室の方々も深刻です。「待機児解消のために自治体に協力してきたが、子どもが入らず見通しが立たない。定員に満たない部分を補填してほしい。」「自分たちは使い捨てなのか」という悲痛な声が寄せられています。
 東京のどこの自治体にある保育施設でも定員通りに保育士が配置できるよう、東京都が人件費の補助を行うことが求められますが、いかがですか。

二 保育の質の確保と公立保育園の役割について

1 東京都こども基本条例は、その第四条で、「都は、こどもの権利条約を踏まえ、こどもの生きる権利、育つ権利、守られる権利及び参加する権利をはじめとした、こどもの権利を尊重し、擁護するための施策を推進するものとする。」と定めています。この条例を生かすためには、保育の質的充実を進めることが必要ですが、どう認識していますか。

2 国際的にも日本でも、保育の質研究においては、保育の場における人と人との相互的やりとり、とりわけ保育者と子どものやり取りが、子どもの学びや発達にとって、重要な意味を持っているとされています。
 それを支えるのが物的環境、つまり園舎や園庭、設備・備品、遊具・教材・素材と人的環境である保育士などの配置人数、クラス・グループの規模、資格、養成・訓練、労働環境などです。
 東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例でも「知事は、最低基準を常に向上させるよう努める」とあるように、これらを向上させていくことが、行政の役割ですが、どう認識していますか。

 言葉かけの数は、人間の脳の発達に直接影響し、周囲の大人からかけられた言葉の数と質が多いほど、将来の学力だけでなく、人間としての力(非認知スキル)も高いことが明確になっています。
 新潟県私立保育園・認定こども園連盟が「1歳児の保育士配置の検討」という研究報告をしています。
 1歳児クラスの昼食時間中、同じ保育士が「子ども3人グループ対保育士1人」「子ども4人グループ対保育士1人」「子ども6人グループ対保育士1人」でそれぞれ介助する状況を比較・分析しています。その実験結果では、同じ保育士が子ども一人にかける言葉がけ数は、子どもが6人の時は4人の時に比べて統計学的に有意に少ない。子ども4人と3人の時を比べても4人の時のほうが有意に少なく、同じグループの中で最も多く声をかけられる子どもと最も少なく声をかけられる子どもでは、6人の時の差の方が、4人の差に比べて統計学的有意に大きいことが明らかになりました。とりわけ、6対1の場合、同じグループの中で最も声をかけられた子どもと、最も声をかけられなかった子どもの言葉かけ数は、2019年、2020年とも最大で10倍をゆうに超えました。4対1では差が最大のグループでも5.8倍、3対1では最大で4.6倍でした。
 研究報告書の中で、「言葉かけに置いては、量だけでなく、もちろん質も重要である。これまでの欧米の研究から、命令や指示の言葉、否定的な言葉は脳を育てず、逆に、子どもの脳をストレス下に置き、発達を阻害するリスクも高いことがわかっている。脳を十分に育てるためには、生後直後からあたたかく、共感のこもった話し方で、周囲のおとなが子どもの動き一つひとつを言葉にし、子どもが発する声(言葉)を子どもに返し、まだ言葉にならない言葉を子どもに合わせてくり返し、言い換え、増やしていくという過程が必須である。」と述べています。

3 子どものグループの人数と保育士の配置数が、保育の質に大きな影響があることは明確です。どう認識していますか。

4 本来なら、待機児解消と「質的充実」は同時に進めてこなければならないことでしたが、国基準は75年間ほとんど改善せず、むしろ規制緩和してしまった部分まであります。東京都は国基準を上回る都基準を作っていたにも関わらずほぼ国基準に下げてしまったという情けない状況です。
 現在、待機児童は減少傾向ではあるものの、引き続きの取組が必要です。同時に、今こそ「質的充実」を思い切ってすすめるときです。それがこども基本条例を活かす道です。
 とりわけ急がれるのは、大きすぎる幼児の集団規模を小さくすること、保育士に対する子どもの人数を減らすことによって保育士の人数を増やすことですが、いかがですか。

5 公立保育園の役割について、予算特別委員会の質疑で、公立保育園が医療的ケア児や障害児を積極的に受け入れ保育実践を積んできたことも明らかになりました。公立保育園での障害児保育の実践は50年以上にもなり、それらが公立園共通のスキルとなっています。同時に、公立保育園は地域の標準的な保育となります。公立保育園が核になることで、新設の私立保育園も含めて交流が進み、地域の保育水準の向上を図っています。
 私立保育園の保育士は、公立園が行っている保育が基準であり、指針になる。保育をリードしてほしい。保育に関することを公立園に相談させてもらったことがある。見学させてもらえてよかったなどと述べています。港区は、区立認可保育園の職員のノウハウや保育スキルをこれまで以上に区全体の保育の質の向上のために活用するという方向性を示しています。
 このような公立保育園が果たしている役割をどう認識していますか。

令和4年第二回都議会定例会
大山とも子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 保育園の空き定員について
 1 昨年第3回定例会で、保育園に空き定員がある場合について、「都は、定員まで児童を受け入れられるよう、定員に基づく職員配置を求めております。」と答弁している。この答弁は、保育を必要とする乳幼児を保育園において保育しなければならないと定めている児童福祉法第24条からすれば、年度途中含めていつでも受け入れて保育しなければならないため、保育士を児童定員に合わせて配置しておくことは当然だとの認識があるということでよいか伺う。

回答 
 都は、定員まで児童を受け入れられるよう、定員に基づく職員配置を求めています。

質問事項
一の2 日本共産党都議団の調査では、2021年の充足状況について、例えば0歳児の場合、区部と多摩の認可保育園で4月1日では3,727人空きがあったが、10月1日には546人になった。これは、近年はほとんどできなかった年度途中の入園が可能だったことを示しており、必要な児童定員であると考えるが、認識を伺う。

回答 
 保育所の定員には、年齢構成や地域の状況により、一定程度空きが生じることもあり、区市町村は、こうした空き定員も活用して、定期的に入所調整し、年度途中においても、保育が必要な児童を受け入れていると認識しています。

質問事項
一の3 保育士が児童定員通り配置できるようにするための人件費を保障することは不可欠だが、認識を伺う。

回答
 保育サービスは、国が定める公定価格により運営されることが基本であり、公定価格には、人件費、管理費及び事業費が含まれています。
 都はこれまで国に対し、恒久的、安定的財源を十分に確保するとともに、公定価格の単価などについて大都市の実情に応じたものとするよう、繰り返し提案要求しています。

質問事項
一の4 現在、保育園の、主には人件費である公定価格は、入所している乳幼児数で算出することになっているため、たとえ保育士が定員通りに配置されていても定員通りの公定価格にはならない。東京のどこの自治体にある保育施設でも定員通りに保育士が配置できるよう、都が人件費の補助を行うことが求められるが、見解を伺う。

回答 
 子ども・子育て支援新制度における施設型給付費は、児童一人当たりの単価を設定し、在籍児童数等の実績に応じて支払うものとされています。
 児童一人当たりの単価については、定期的に見直されています。
 保育の実施主体である区市町村は、自らの判断で、それぞれの地域の実情に応じて、保育サービスの充実に取り組んでいるものと認識しています。

質問事項
二 保育の質の確保と公立保育園の役割について
 1 東京都こども基本条例は、その第四条で、「都は、こどもの権利条約を踏まえ、こどもの生きる権利、育つ権利、守られる権利及び参加する権利をはじめとした、こどもの権利を尊重し、擁護するための施策を推進するものとする。」と定めている。この条例を生かすためには、保育の質的充実を進めるべきだが、認識を伺う。

回答 
 保育所保育指針では、「保育所は、質の高い保育を展開するため、絶えず、一人一人の職員についての資質向上及び職員全体の専門性の向上を図るよう努めなければならない。」と規定しています。
 都は、キャリアアップ研修の受講機会の確保や、施設間交流などにより、保育所職員の資質や専門性の向上、施設長のマネジメント力向上に取り組む区市町村を支援しています。

質問事項
二の2 保育の質研究においては、保育の場における人と人との相互的やりとりが重要な意味を持っているとされている。それを支えるのが物的環境と人的環境である。東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例でも「知事は、最低基準を常に向上させるよう努める」とあるように、これらを向上させていくことが、行政の役割だが、認識を伺う。

回答
 東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例第四条第一項では、「知事は、最低基準を常に向上させるよう努めるとともに、その監督に属する児童福祉施設に対し、東京都児童福祉審議会の意見を聴いた上で、最低基準を超えて、設備及び運営を向上させるように勧告することができる。」と規定しています。
 都は、保育の実施主体である区市町村が、地域の実情に応じて保育サービスの向上に取り組めるよう、保育サービス推進事業により支援しています。

質問事項
二の3 子どものグループの人数と保育士の配置数が、保育の質に大きな影響があることは明確だが、認識を伺う。

回答 
 職員配置基準は、国が省令等で定め、都と区市町村はそれらを踏まえ、それぞれの議会等の審議を経て、条例等で定めています。
 また、保育所保育指針では、「保育所は、質の高い保育を展開するため、絶えず、一人一人の職員についての資質向上及び職員全体の専門性の向上を図るよう努めなければならない。」と規定しており、都は、保育士の資質や専門性の向上を図る区市町村を支援しています。

質問事項
二の4 待機児解消と「質的充実」は同時に進めるべきだが、国基準は75年間ほとんど改善せず、むしろ規制緩和してしまった部分まである。都は国基準を上回る都基準を作っていたにも関わらずほぼ国基準に下げてしまった。現在、待機児童は減少傾向ではあるものの、引き続きの取組が必要であり、とりわけ急がれるのは、大きすぎる幼児の集団規模を小さくすること、保育士に対する子どもの人数を減らすことによって保育士の人数を増やすことだが、見解を伺う。

回答 
 都は、障害児への対応やチーム保育体制の整備など、施設の保育実態に応じた増配置に対する給付や保育補助者の雇上げに係る補助を実施するほか、保育サービス推進事業により、地域の実情に応じて保育サービスの向上に取り組む区市町村を独自に支援しています。

質問事項
二の5 公立保育園の役割について、予算特別委員会の質疑で、公立保育園が医療的ケア児や障害児を積極的に受け入れ保育実践を積んできたことも明らかになった。公立保育園が果たしている役割をどう認識しているか、伺う。

回答 
 保育サービスは、保育の実施主体である区市町村が、公立・私立の認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育など、地域の様々な保育資源を活用して実施しているものと認識しています。