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質問・条例提案

2022.09.15

都市整備委員会 神宮外苑地区の再開発計画に関する陳情の審議 原田あきら都議(杉並区選出)

(陳情4第30号 神宮外苑地区の再開発計画に関する陳情の審議)

環境影響評価審議会で異例の継続審議
○原田委員 それでは、私からも、神宮外苑再開発について見直しを求める陳情について質疑いたします。
 今年五月二十六日の環境影響評価審議会第一部会の審議は衝撃を与えました。
 五回の審議を行うだけでも異例な上に、この日の審議でも、イチョウ並木に新神宮球場が迫り過ぎていることについて、根、茎の保全上、離隔が非常に不足している、日照の影響なども懸念されると指摘され、さらに、データ提供が足りないなど苦言が相次ぎ、予定されていた総括意見が出されることなく継続審議となった、そういう事態が起きたわけです。
 率直にいって、手続さえ整えば計画を妨げないとしてきた都のアセス手続が、計画の進捗に待ったをかけたのは異例中の異例でありました。
 八月十六日に再開された第一部会では、伐採される計画となっていた四百十五本の樹木が存置あるいは移植とされ、審議委員の中には評価する委員もいましたが、なお問題を指摘し、疑問視する委員もおり、総括意見は出されたものの、八月十八日の環境影響評価審議会総会では、環境保全について不確実性を拭えないと指摘され、審議会答申後も調査結果や事業中などにおける審議が約束されることとなりました。これは、都の環境影響評価制度上、前代未聞のことです。
 もともと全国的に先駆的意義を持った都の環境影響評価手続が本領を発揮することなく、例えば豊洲新市場の地下空洞の発見というスキャンダルにおいては、アセス手続を怠った市場移転の事業者たる小池知事を守るため、都知事たる小池知事がかばい、手続上の瑕疵をした事業者に厳しい措置を課す条文を緩和する条例改悪を行うなど、骨抜きにされてきた経緯があります。そうした都のアセスの汚名を返上する画期的審議であったと思います。
 改めてこの間、都議会でアセス手続の改善のために心血を注いできた都議の一人として、このたびの審議には敬意を表するものです。

「枯損木」311本の実態は不明
 さて、当初は評価する人もいたものの、ここに来て疑問の声が上がってきているのが、事業者が環境影響評価書において伐採本数を四割減らすという修正についてです。これは、外苑再開発による約千本の伐採、移植のうち、四割に当たる四百十五本の伐採数を減らすというものです。その内訳は、三百十一本が枯損木として伐採数に入れられていたのを存置にするんだとし、八十五本を移植、イチョウ並木の兄弟木十九本を移植検討するというものであります。
 そこでお聞きしますが、八月十六日、環境影響評価審議会において事業者から示された樹木の伐採、移植に関わる一部修正案は四百十五本の伐採樹木を減らすというものでしたが、枯損木三百十一本は一体どの樹木を指しているのか、資料を都民に提示すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 事業者が都に提出いたしました環境影響評価書案では、具体的にどの樹木を枯損木としているかについては示されておりません。

○原田委員 今聞いたとおりです。残すことになったというその枯損木は、どの樹木かを示すことができないんだと。
 それでは、さらにお聞きします。枯損木を三百十一本としてきた根拠は何か。今回、事業の工夫などによって、そうした枯損の原因は取り除くことができるという理解でいいのか。だとすれば具体策を示してほしいが、事業者は何といっているか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 環境影響評価書案では、事業期間中に立ち枯れ等により危険となった樹木について、道路通行車両や歩行者の安全管理のために除去する可能性があることから、過去の実績を参考に一定の割合を枯損木として計上しておりました。
 しかしながら、枯損木の除去措置は開発による伐採とは異なるものであることから、改めて本数の精査を行ったものでございます。
 今後、事業者は、地域内にある樹木の管理に当たっては、一本一本について最大限保存に努めていくこととしております。

○原田委員 今の答弁は、つまり枯損木というのは、開発によって枯損するのではなく、十数年に及ぶ事業期間中に自然に枯損するであろう樹木を伐採数に入れていたのだということなんですね。だから、もともと約千本の伐採、移植数のうち、三百十一本は伐採するものではなかったんだということだと、そういうことなんですね。
 しかし、その回答には幾つかの疑問が生じるわけです。まず、約千本の伐採数というのがそもそも、事業者はずっと隠し続け、都も少なくとも昨年の七月には資料も受け取っていながら、聞かれても隠し続けていた数字なわけです。石川幹子中央大学研究開発機構機構教授が今年一月からその足で毎木調査を行って、やっとつかんだのが千本の伐採数でした。この指摘があった後、約千本の伐採、移植を事業者は認めたわけです。
 ところが、環境影響評価審議会の追及に追い詰められた事業者が、伐採数のうち三百本以上は自然枯損するであろう樹木だったのだといい始めたわけですね。だから、その三百十一本は場所も示せないと。こんな怪しいことをいっているから、環境保全の不確実性を審議委員から指摘されるわけなんですね。
 ここで改めて、石川教授が指摘した約千本の伐採樹木の図を見ますと、明らかに再開発による巨大施設建設で伐採するしかない樹木で約千本ぐらいあるわけなんですね。
 また、この十数年ほどの実績値で枯損木三百十一本をはじいたといいますけれども、十数年ほどの枯損木は樹齢何年ほどの樹木だったのか、低木なのか、もしかしたら植栽程度のものだったのかも分かりません。三百十一本の枯損木問題についてはその場しのぎの言い訳だったのかどうか、明らかにせねばなりません。

イチョウ並木の兄弟木は「移植は困難」とされていたことは伏せられていた
 ラグビー場に向かうイチョウ並木について、都は、この兄弟木の存廃について事業者から資料の提供を受けていますね。都は、その報告について認識はありましたか。あればどのような報告書で、どのような内容であったかお聞かせください。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 ラグビー場に向かうイチョウ並木につきましては、令和二年二月に事業者から都に提出されました公園まちづくり計画において、移植が困難であると考えられるとされておりました。
 その後、地元区との調整などを踏まえ、令和三年七月に事業者から提出され、同年八月に都が公表いたしました環境影響評価書案において、今後、詳細な調査を行い、移植の可否を検討することが改めて示されました。
 都としては、事業者に対して、複数の樹木医の意見を聞きながら詳細な調査を行い、極力移植することを求めております。

○原田委員 令和二年二月に公園まちづくり計画という書類で、移植は困難だと書いてあったんですよ、イチョウ並木の兄弟木は。ところが、その後検討をしてといういい方をしましたけれども、環境影響評価審議会には、移植が困難と考えていたその経緯を伏せて、移植の可否を検討するという表現を緩めて出していたわけです。とんでもない話なわけですよ。
 もう一度いいます。答弁で出てきた公園まちづくり計画は二〇二〇年作成です。もう二年前には、都に対して兄弟木は移植困難とかなり詳しく書いてあったわけです。これも我が党の情報公開請求で分かったことなんです。都と事業者はずっと、兄弟木はできる限り移植を検討とごまかしてきたんです。
 この期に及んでも移植の可否を検討といいますけど、事業者はもう結論を出しているじゃありませんか。兄弟木はイチョウ並木の一部として後世に受け継がれなければならないと、外苑の入り口に掲げられたイチョウ並木の由来にも書いてあるわけです。目先の金に目がくらんだ事業者や都に、世界に誇る東京都の宝を売り飛ばさせてはならないと改めて訴えたいと思う。

新球場建設はイチョウ並木の保全に悪影響を及ぼす
 さて、環境影響評価審議会第一部会が八月十六日に再開されようとしたタイミングで、石川幹子中央大学研究開発機構機構教授、東大名誉教授が記者会見をしています。そこでは、新宿御苑の隣に道路建設が進む際、御苑の並木とその道路ですね、トンネルにしようということになって、御苑トンネルに十五メートルの離隔を取って、御苑の樹木を守る対策を施したわけです。見事に御苑の自然は守られ、一方で、四十年の間に枯損した樹木を見ると、やはりトンネル沿いに集中していることも分かってまいりました。
 そこでお聞きします。石川教授が四十年前に手がけた御苑トンネル建設における環境保全策は、樹木から十五メートルの離隔を取ることで成功しました。イチョウ並木の幹から六メートルに新球場を建てることは、西側イチョウ並木の枯損や成長の遅れを来す危険性があると考えますが、都の見解はいかがか。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 四列のイチョウ並木の保全につきましては、野球場棟の実施設計前に専門家によるイチョウ並木の根系調査を行うこと、また、その調査結果を踏まえ、建築計画及び施工計画における環境保全のための措置を具体的に示し、確実に実施することなどに留意すべきことを盛り込んだ環境影響評価書案審査意見書を環境局が事業者に送付しております。
 なお、事業者は、環境影響評価審議会の部会において、根を保全するための具体的な基礎構造や施工方法を提示するとともに、今後、根の詳細調査の結果を踏まえまして、基礎構造の工夫などを行うほか、重要な根が複数確認される場合は、根の切断を避けるため、野球場の壁面後退など設計を工夫するとの説明を行っております。

○原田委員 私、石川教授の手がけた御苑トンネルの成果を踏まえて、外苑再開発に対する都の見解を求めましたが、それに対してまともな答弁といえたのかと、今のが。
 それでも、イチョウ並木の根系調査など留意点を事業者に送付しているという答弁が入っておりましたから、まさに外苑再開発には、環境保全上、不確実性、不確定な要素が大きいということは、認識があるようだなというふうに受け止めました。
 私はやっぱり、この期に及んでも、イチョウ並木を大事に思うのであれば、神宮の森を、百年たってあそこまで育った森を守るというのであれば、もう球場もラグビー場も現地でそのまま建て替えるしかないんじゃないですかと。むしろ保全をして、いずれも歴史のある建物ですから、補修をしてやるしかないんじゃないのかなということを改めて、この陳情をいただいて、私たちの主張として訴えておきたいと思います。

CO2吸収量・樹冠被覆率の問題/建国記念文庫の森は全滅の危険も
 都はこれまで、百年の大木よりも、新植された、新しく植えられた若い木々の方が多くのCO2を吸収すると議会で答弁してきましたが、百年の大木と三メートルの若木で、本当にCO2の吸収量は若木の方が吸収するといえるのかと。また、その根拠になる資料、何を用いて答弁してきたのか教えてください。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 林野庁のホームページでは、成長期の若い森林ではCO2をどんどん吸収する一方、成熟した森林になると全体として吸収能力は低下していくとしております。
 事業者におきましては、既存樹木の保全と併せて新たな緑も創出し、適切に維持管理しながら樹木を育成して、地区全体のCO2の吸収能力も向上させていくこととしております。

○原田委員 林野庁がいっているわけですから、これ、一定の信頼に足る定説なわけですが、ところが、例えば二〇一四年一月、Nature誌に、年老いた大きな樹木の方が、若く小さい樹木よりも大気中の二酸化炭素を吸収していることが分かったとする研究が掲載されています。従来、古く大きな樹木は、温室効果ガスであるCO2を比較的吸収しないと考えられていましたが、これを覆す結果なわけですね。
 研究チームは、四百三種の樹木六十七万三千四十六本のデータを分析。その結果、大きく年老いた樹木の方が成長が早く、より多くのCO2を吸収していることが判明したというわけですね。
 確かに、単純に考えても大きな木の方が枝や葉をぐんぐん伸ばすわけで、私の友人の家も大きな木を植えていて、本当にそれを剪定するのに物すごいお金がかかって大変だったわけですけど、よく考えてみれば、小さな苗木みたいな木の成長とは比べものにならないよなとは思うわけです。私もまだ詳しいわけではありませんので、有識者の方々にも聞いてみたいなと思っているところです。
 その点で、東京都も建設局など大変お世話になっている藤井英二郎千葉大名誉教授は、世界の大都市では樹冠被覆率が重視されていると指摘をしています。
 樹木には、地下水をくみ上げ、枝葉から蒸発させる蒸散効果というのがありまして、これが真夏の強い日差しと熱を大幅に緩和するんだそうです。木陰に行くと涼しく感じるのは、単に日よけの影響だけではないと。地下水をくみ上げて、地上で降り注がせると、蒸散させると、これがすごく大事だということなんですね。ですから、木々の枝葉がどれだけ伸びているかは都市としての価値なんだというわけです。
 そこでお聞きします。外苑再開発計画では、伐採した樹木よりも数十本多い樹木を新植するといわれていますが、樹冠被覆率で見た場合、樹木の量は増えるといえるのかどうか示してください。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 今回の事業者の計画は、既存樹木の保全に加え、新たな緑も創出し、それらを適切に維持管理しながら樹木を育成することで、従来よりも緑の量を増加させ、神宮外苑の緑空間の充実を図るものでございます。

○原田委員 樹冠被覆率についてお聞きしたんですけど、まともな答弁がありませんでした。
 しかし、東京都が緑の量として認識しているのは、どんな樹木か植物かに関係なく面積で測るんだというわけですね。これで百年たった大木も芝生や植え込みも一緒にされてしまうわけです。これも都民の目を欺く、まやかし以外の何物でもありませんが、次にお聞きするのは、こうしたごまかしとは一線を画した、異様なまでの詐欺的な計画です。
 外苑再開発では、都市計画公園の敷地を三・四ヘクタール除外し、その区域に超高層ビルを建てる計画となっています。しかし、さすがに都市計画公園を除外した区域に超高層ビルを建てるのは法にもとると考えたのか、除外した面積の六〇%の緑地等を創出しなければならないルールがつくられたわけです。これが公園まちづくり制度です。
 ところが、緑地等の等には、これまでも指摘してきましたけれども、小さな植栽も含まれるどころか、デッキの上など歩道状空地やエレベーターなど、緑でも何でもないものまで含まれていることを指摘してまいりました。さらなる問題は、この緑地等には、新規に整備された都市計画公園という得体の知れないものまで含まれていることです。
 そこでお聞きします。新ラグビー場の建設によって建国記念文庫の森が三分の二削られることになりますが、残った三分の一の森が、公園まちづくり制度上、都市計画公園を新規に整備した面積というものにカウントされています。これは間違いないか。また、伐採された森の残った樹木が、都市計画公園を新規に整備した面積に数えられているのは問題があると考えますが、都の見解を求めます。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 東京都公園まちづくり制度実施要綱では、緑地等の整備基準について、都市計画公園、緑地を新規に整備する場合は、当該部分の面積を緑地等の面積及び緑地等確保対象区域面積に加えることとするとしております。
 今回の公園まちづくり計画では、従前、未供用となっていた区域の面積から都市計画公園を削除する区域の面積を差し引いた面積を、新ラグビー場の区域において、一般の方がいつでも利用できる場として新たに整備し、供用にする予定であることから、当該面積を都市計画公園を新規に整備する面積として取り扱っているものでございます。

○原田委員 頭がこんがらがる質問と答弁なので要約しますと、都市計画公園を削除する代わりに新たな緑地等を設置しなければならないのが公園まちづくり制度なわけです。ところが、その緑地等に新ラグビー場建設で三分の一に削られた森が加えられていたことが分かったんです。つまり、都市計画公園を削除する代わりに整備する緑地は、元からある森を三分の二潰して整備すると。あからさまな欺瞞じゃないんですかと私は指摘をしているわけです。
 さらに、この三分の二が失われる建国記念文庫の森、新ラグビー場が建設されたら残るこの三分の一の森も、全滅するんじゃないかと石川教授は述べています。石川教授は、都市計画公園が三・四ヘクタール削られることの代償措置はないじゃないかと、実際には、そう指摘をしていると。東京の都市計画始まって以来の不祥事だと厳しく指摘しています。
 公園まちづくり制度が整備する緑地等は、代償措置どころか、外苑の森を潰して整備されるわけですよ。本当にこんな計画でいいんでしょうか。

再開発の当事者である三井不動産がラグビー場改築を落札
 さて、そんなことまでやって整備される新ラグビー場についても無数の疑問が湧いてまいりました。
 独立行政法人JSCが所有する新ラグビー場の改築は、二月の都市計画審議会の決定よりも早い一月からPFI事業の募集が行われ、この八月に決定されました。この際、神宮外苑地区地区計画の筆頭事業者である三井不動産が落札した事業者に名を連ねていることが分かりましたが、独立行政法人たるJSCが公募した事業者入札に、JSCと共同して再開発計画を進めている三井不動産が応募し、落札するのは問題があるんじゃありませんか。
 これは、入札の際の公募に関する質問でも複数指摘されていたことなんですけれども、問題はないとする事業者の見解を求めておきます。その見解に対する東京都の見解も求めます。

○山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務 JSCによりますと、事業者公募に当たり、事業提案の検討に必要となる情報は入札説明書等により入札参加者に対してひとしく提示しているため、再開発事業の地権者等が入札参加することに問題はないとのことでございます。
 事業者の選定につきましては、JSCが適切に対応すべきことでございます。

○原田委員 入札に応募してくる会社全てに入札説明書を配ったから、不公平な入札ではないってどういう理屈ですか、一体。
 いいですか。要するに、公共性の高い組織であるはずのJSCが公募した事業に、JSCと仲のいい事業者が入っていたのではないですかと、それは独占的地位を使った不公平な入札になっていませんかと聞いたんです。
 私の考えが違うのなら違うといっていただければ、その理由も聞いた上、勉強し直します。ですが、不公平な入札になっていませんかと聞いたのに対し、取説を全応募者に配ったので公平ですといわれても困るわけですよ。逆に、何かごまかしているのかなと考えてしまうわけです。
 三井不動産が神宮外苑地区地区計画に公的に関わるようになったのはいつか。三井不動産と都は、いつから外苑再開発事業においてやり取りを始めたのか、教えてください。

○吉野まちづくり推進担当部長 三井不動産は、神宮外苑地区地区計画の区域内にホテル等を整備するに当たり、宗教法人明治神宮と共に、地区計画に係る企画提案書を平成二十八年八月に都に提出してございます。
 また、都は、平成二十七年四月に、三井不動産を含む関係権利者六者と神宮外苑地区まちづくりに係る基本覚書を締結しております。

○原田委員 とても興味深い答弁だと思うんですね。私はこの質問を以前にもしたことがあって、そのときの答弁も、公的に三井不動産がこの神宮外苑再開発に現れるのは、二〇一五年の基本覚書締結からだという答弁があったわけです。
 ところが、その後の我が党都議団の追及と情報公開請求で、二〇一四年七月作成の恒久サブトラック設置が困難な理由という文書が発見され、出てきたわけですよね。(パネルを示す)これを見ると、この時点で、三井不動産のビルとおぼしき事務所等という絵が出てくるわけです。ここなんですけど。これ、二〇一四年なんです。さっき覚書は二〇一五年で、ここで公的に三井不動産は現れるんだというんですけど、私たちの情報公開では、この二〇一四年に、三井不動産の現在の百八十五メートルのビルとおぼしき、その原形の事務所等が出てくるんですよね。これを見ていますから。覚書のこれ一年前ですよ、このビルが現れるのは。
 私、今年の三月九日、予算特別委員会での私への答弁で、二〇一三年から地権者等との協議を始め、二〇一四年に恒久サブトラックの設置は困難と判断したといっているわけです。この地権者等の等には三井不動産が含まれていて、やはり二〇一五年の覚書締結以前から、三井不動産は外苑再開発計画に対して、公的な性格も帯びていないうちに入り込んでいたんではありませんかと。
 ですから、今日の答弁で、もうちょっとそこら辺が明らかになるのかなと思ったんですが、今回も、二〇一五年が公的に三井不動産が現れる日だと答弁でいってのけたわけなんですね。
 この議論は今後の議会に回したいなと思っているんですけど、こういう実態を見ても、なお三井不動産が公的に現れるのは、外苑再開発に関わるのは二〇一五年だといい張るのか−−聞いてもいいですか、それだけちょっと一問答えてください、部長。

○吉野まちづくり推進担当部長 今ご指摘の資料でございますけれども、神宮外苑地区に恒久サブトラック設置が困難な理由を副知事に説明するため、大規模なスポーツ施設だけでなく、ほかの施設も含めて施設の大まかな配置を示したものと認識しております。この資料でご指摘の内容について判断することはできません。

○原田委員 分かりました。
 現計画の百八十五メートルのビルが建っているところに、この二〇一四年時点で突如、事務所等というポンチ絵が出てくるわけですけど、それは何となく描いたものであって現計画とは関係がないと、三井不動産ビルとは関係がないんだという答弁だったと。強弁だと思いますけれども、改めて、外苑再開発計画がいまだに不透明かつ自然環境だけは破壊することが明瞭な計画であることが浮き彫りになったと思っています。
 この点で、本陳情の趣旨には賛同するものでありまして採択を主張しますし、改めて質疑を通して、秩父宮ラグビー場も神宮球場も現地で、文化財としての価値も私は高いと思っていますから、そのまま保存をしていく、そのまま改修をしていくということが最も大事な道なんではないのかなということを主張させていただきまして、陳情の質疑を終わらせていただきます。