ご意見・ご要望
ページトップヘ

質問・条例提案

2022.12.12

環境・建設委員会 太陽光パネル設置義務化について 原純子都議(江戸川区)の質疑

*速記録より作成

中小工務店も制度に参加可能に

〇原委員

 東京都は、二〇三〇年までのカーボンハーフ目標達成に向け、取り組んでおります。あらゆる部門での取組が必要ですが、住宅の部門でも、断熱改修、省エネとともに太陽光バネル設置の促進は大変重要との受け止めから、私は、ほぼ毎定例会で住宅の省エネ、再エネ施策について質問をしてきました。
 今日出された環境確保条例改正は、その大きな歩みを進める改正との認識を持っております。環境確保条例改正部分と支援策について、まず伺います。
 二千平方メートル未満の中小建物の新築をする際、太陽光バネルの設置など、再エネ、省エネの整備を求める建築物環境報告書制度の新設が、今回の環境確保条例の改正の柱だと認識をしております。
 太陽光バネルの設置義務が課される特定供給事業者は、年間供給二万平方メートル以上の大手住宅メーカーとしてきたことに加えて、今回、年間供給五千平方メートル以上の希望する事業者も任意参加できるようになりました。五千平方メートル未満の事業者複数でグループをつくっての参加も可能とのことです。
 年間供給五千平方メートル以上、二万平方メートル未満の住宅供給メーカーも任意で参加できる制度にした経緯について伺います。小規模企業者のグループによる利用も可能としましたが、そうした要望があったのでしようか。

〇木村建築物担当部長
 本制度では、制度の効果を高めるため、大手ハウスメーカー等に加え、意欲ある中小ハウスメーカーや地域工務店がグループを組むことで、任意参加者として制度に参加できる仕組みを設けております。
 なお、業界団体からは、技術検討会において、制度の対象外でもカーボンハーフ実現に向け意欲的に取り組んだ事業者が、新制度において公表などにより適正に評価される仕組みが必要との意見をいただいております。

〇原委員
 大手住宅メーカーで対象になるのは約五十社で、七〇%、八五%などの地域区分による算定基準率達成が課せられ、都内の年間新築棟数の半数程度の規模のパネル設置が想定されています。
 加えて、今回、任意参加者として加えられた事業者の規模は九十五社と記され、建築物環境報告書制度推進事業の表に提示をされております。規模が増えることで、二〇三〇年までに新築の六割設置という目安により近づくとの説明でした。
 さらに、制度推進事業では、報告書の任意提出者を募り、P V施工の棟の設計、技術向上に資する研修などの取組に三分の二の補助、上限百万円を予算化しています。
 特定供給事業者ではないが、報告書を提出することで、この制度に任意参加でき、公表制度に参画できる仕組みをつくったことは、中小業者も含めて再エネを推進する取組として評価できます。

狭小屋根を除外、集合住宅に設置する場合の架台への補助
 中小規模の建物への太陽光バネル設置について、これまで専門家や建設関連団体などの意見聴取を受けて、制度や支援内容に反映させ改善した点などありますか。その内容を伺います。

〇木村建築物担当部長
 新制度では、屋根の北面や二十平方メートル未満の狭小屋根については、設置基準の算定から除外可能としております。また、今回の補正予算では、集合住宅に太陽光バネルを設置する場合の架台への上乗せ補助を計上しております。
 これらは、専門家による技術検討会での議論や、業界団体、住宅供給事業者等へのヒアリングを通じ、検討を加えてきたものでございます。

〇原委員
 都内の建設労働者でつくっている東京土建へ先日伺いまして、以前、東京都に要望してきたことなどをお聞きしましたが、まさに狭小住宅はパネルの設置が難しいこと、また、パネルを取り付けるときに架台や防水シートなどが必要で、それらの補助もつけてほしいなどが出されたということで、これが実って、狭小住宅は義務対象の数から除外されたこと、パネル周りへの支援が補正予算で組まれたことは重要です。
 令和七年施行ということで、二年間の間にパネルを標準装備する住宅への移行を準備しなければならない中、地域工務店などでは、これまで既に再エネ住宅を建ててこられた事業者もあるわけですから、どんどん支援を行っていくべきだと思います。

技術向上・情報共有を支援
 太陽光バネルの技術は日進月歩なので、そうした技術や制度の情報は大手、中小を超えて、住宅供給事業者に広く共有されることがとりわけ大事だと思いますが、地域工務店への情報共有や技術支援制度についてご説明願います。

〇関制度調整担当部長
 今回の補正予算では、地域工務店に対する補助として、環境性能の高い住宅の設計、施工などの技術向上に向けた取組に対して新たに支援してまいります。
 規模の大小にかかわらず、制度に意欲的に参画する事業者を後押しし、環境性能の高い住宅の普及を図ってまいります。
 新たな支援につきましては、省エネ・再エネ住宅推進プラットフォーム等において情報共有を行ってまいります。

〇原委員
 省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームは、第三回定例会の委員会でも質問したところですが、リフォーム団体などが参加し、六月に既にスタートしているそうです。
 ぜひ広く利用できるように、周知もお願いします。
 これまでの委員会で、新築の戸建て住宅については大分聞いてきたのですが、既存の住宅、特に集合住宅へのパネル設置について要望も出されており、伺っていきます。

住民、町会、管理組合も相談できる制度に
 都内居住者の七割を占めている集合住宅に住む方々や、管理組合などの関心も高いようです。住民が太陽光バネル設置について相談する仕組みはありますか。支援策の中で、太陽光発電設備アドバイザリー支援事業というのを見つけたんですが、例えば町会や管理組合などでもこれは利用できるのかを伺います。

〇関制度調整担当部長
 太陽光発電設備アドバイザリー支援事業は、業界団体等と連携したセミナーの開催などにより、パネル設置後の維持管理やメンテナンス手法に関する情報提供などを行うものでございます。
 今回の補正予算では、都民向けセミナーの開催等を予定しており、より幅広い主体が活用できるよう、来年度以降の取組内容を検討してまいります。

〇原委員
 都民向けセミナーの開催は、ぜひ進めていただきたいと思います。地域団体で太陽光発電に関する講師派遣にも支援をするとのことで、マンションごとや地域ごとでのパネル全般や設置に関する理解を深める取組を支援することは大事と思います。

集合住宅への再エネ電気導入への支援
 大規模マンションへの再エネ導入について、ちょっと太陽光バネルの域を超える話になるんですけれども、集合住宅への支援策について触れます。
 太陽光発電設備を置いても、その電力は主に共用部に利用されることが多いと思います。集合住宅においてはさらに、設置パネルの太陽光電力だけでなく、居住者の専有部分も含めて、全戸で再エネ電力に切り替えていく方法も追求すべき課題だというふうに思います。
 今回の補正予算で、集合住宅再エネ電気導入先行実装事業を提案されたと伺いましたが、 具体的な内容を教えてください。

〇荒田気候変動対策部長
 一般的に集合住宅では、世帯ごとに電力会社から電気の供給を受けているため、太陽光発電電力の利用は共用部に限られることが多くなっております。
 しかし、高圧一括受電を導入し、建物全体で再エネ電力を利用するケースが出てきております。
 そこで、都は、今回の補正予算案で、集合住宅の建物全体に再エネ電力の導入を促進するため、再エネ一〇〇%電力の導入を条件に、高圧一括受電のための設備導入等に係る費用を支援することといたしました。さらに、太陽光発電設備を設置する合には、太陽光発電設備の設置費用についても補助を行います。
 こうした取組により、集合住宅の再生エネルギー導入を推進してまいります。

〇原委員
 集合住宅は個人の判断では設置できないので、説明してくれる方がいることや、再エネの提案などがあれば居住者で相談、検討することができると思います。大規模マンションなどが全戸まとめて再エネになったら、これはとても大きいと思うので、ぜひ支援制度の周知をお願いいたします。

メリットや疑問に丁寧に答えるとりくみを
 今回、太陽光バネル設置義務化については、推進と反対の両方の陳情が出されています。
 ニュースでは、進めるべきとの声とともに、様々な懸念の声も紹介されております。
 今年五月から六月にかけて環境局が行った環境確保条例の改正についての中間まとめへの意見公募をした結果を見てみますと、中小新築建物への太陽光バネル設置と制度は、賛成が五六%、反対が四一%でしたが、三十代で賛成は六一%、二十代では七七%と、若い人たちほど賛成が多くなっていることが分かりました。
 この間、COP 2 7が開かれましたが、若者の関心が高く、やはり未来に生きる世代が、世界各地で起こる大災害やその要因となっている地球温暖化への危機感を強く持っていると思われます。もちろん全ての世代の問題になるわけですが、これから住宅を購入する世代の理解が高いのは、おおむねこの流れを受け止められているといってよいのではないでしようか。
 ですが、まだまだ誤解や誤情報が流されているという面もあります。都は、これまでも発信してきましたが、パネル設置のメリットや疑問に答える活動など、都民への理解促進の取組はどうだったでしょうか。お願いします。

〇関制度調整担当部長
 これまで都は、太陽光ポータルサイトや太陽光バネル設置に関するQ&Aの作成など、様々な手法により情報発信を行ってまいりました。また、先日、大型商業施設で、幅広い都民を対象に、太陽光発電の理解イ足進イベントを開催いたしました。
 今後、新制度の仕組みや太陽光バネルのメリット、断熱、省エネや再エネ設備に係る支援策等、様々な情報をワンストップで提供する総合相談窓口を新設いたします。
 こうした取組を継続することで、都民の理解促進を図ってまいります。

〇原委員
 今お話しいただいた大型商業施設での太陽光発電理解促進イベントは、たくさんの来場者があったそうで、知事も来られたということでお聞きしました。やはり経済的なメリットや気になる疑問に丁寧に答える取組は大事だと分かります。
 東京都は、経済性、防災性、快適性で説明をされてきていますが、実際のケースで示すことが必要ではないでしようか。例えば、我が家の電気代は月々幾ら今かかっていて、パネル設置でどのくらい節約できるのか。さらに、蓄電池をつけたときの効果など、シミュレーションを使った具体的な指標が分かるとよいです。ぜひ普及してください。
 初期費用ゼロスキームも設置を促す力になると思います。そして、何より、気候危機の深刻な実態と打開の緊急生、太陽光バネルによる自家発電、自家消費は、CO2排出削減に貢献する大変有効な取組だということを共通認識にすることが大事だと思います。
 四キロワットのパネル設置で一年間でのCO2削減効果は杉林百本分といわれていますが、自分がCO2排出を減らす取組に参加できるという意識づくりは大事だと思います。
 それはパネルの設置の有無にとどまらない、省エネ促進や環境保護へ視野を広げ、理解を広げることになると確信します。

国産パネルの拡大へ都の支援を
 次に、需要が急拡大する太陽光バネルの生産についてです。
 中国産など海外メーカーに依存することなく、国内生産を進めていくべきと思いますが、都がどのように支援していくのでしようか。

〇荒田気候変動対策部長
 パネル開発については、国内メーカーを中心に、建物が集積する東京の特性を踏まえた商品の開発が進んでおり、都は、普及に向けた後押しをしてまいります。
 また、都は、国内で生まれた技術開発を促進するため、ペロブスカイト太陽電池の共同研究を国内企業と開始する予定でございます。

〇原委員
 軽くて良質なパネルの開発が今進んでいて、シリコンを用いないパネルも発表されてきています。屋根だけでなく、窓全体をパネルにするなど、いろいろな形状が出てきています。安価に入手できるように普及が急がれます。
 日本はもともと再エネ先進国だったわけですから、今、世界中で太陽光発電を重要なエネルギー電源として取り組んでいる中で、東京も、技術革新の後押しをする必要があります。頑張っていただきたいと思います。

自治体の目標設定への支援を
 省エネ、再エネへの区市町村の取組支援についてお聞きします。
 住宅への太陽光の設置を進めていくためには、区市町村の取組が欠かせません。私ども共産党都議団が、このたび議会局調査で気候危機対策都内自治体アンケート調査を行い、先日結果を発表しました。
 これによりますと、温室効果ガスの排出削減目標については設定している自治体が多数となっているものの、都の二〇三〇年までに二〇〇〇年比で五〇%削減の目標から見ても、 後れを取っている実態が見られます。また、エネルギー消費量の削減目標や再生可能エネルギー導入目標が設定されている自治体は多くありません。都はどう考えていますか。

〇上田環境政策担当部長
 節電行動連携担当部長兼務ゼロエミッション東京の実現に向けましては、住民に最も身近な区市町村との連携を高めていくことが重要でございます。
 区市町村におきましては、ゼロカーボンシティ宣言をはじめ、二〇五〇年の脱炭素化に向けた取組を強化しておりまして、各自治体が地域の実情等を踏まえて目標策定や施策展開を推し進めてございます。
 都は、地域環境力活性化事業におきまして、二〇五〇年CO 2排出実質ゼロに向けた計画策定を対象に加えるなど、地域の環境課題に取り組む区市町村のニーズや課題を踏まえた支援を実施してございます。
 今後もこうした取組を通じまして、区市町村と連携いたしまして、脱炭素化を加速させてまいります。

〇原委員
 区市町村の計画策定への支援を勘ロしたとのことですが、どれだけ活用されているのでしようか。何自治体か教えていただければと思います。

〇上田環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務
 お話しの計画策定への支援につきましては、区市町村の脱炭素化に向けた取組を後押しするため、令和三年度より対象に加えてございます。
 初年度でございます令和三年度におきましては、八つの自治体が活用してございます。

〇原委員
 八自治体とのことです。都の目標ですと、二〇三〇年までに温室効果ガス半減をする目標を実現させるためには、エネルギー消費を五割削減し、五割を再エネ導入するとの計画です。こうした目標に見合う目標と計画を、地方自治体でも立てられるように支援強化を求めていきます。

太陽光パネル設置義務化による再生可能エネルギー推進を求める陳情の採択を
 請願陳情についての態度を表明するに当たって述べてまいります。
 請願第一〇号の請願者が指摘されるような水没時の感電の危険は、事故事例がないとはいえ、軽視してはならないと思います。パネルをめぐる事故の心配や発電トラブルなど想定される課題には、不断にその克服に取り組むことを都やメーカーに求めるものです。
 また、中国における人権侵害、抑圧については、メーカーや太陽光発電協会の取組と同時に、大本の日本政府の姿勢が厳しく問われます。
 新疆ウイグル自治区での少数民族への抑圧、強制収容をはじめとした中国政府による人権侵害、抑圧は、世界人権宣言、国際人権規約、ウィーン宣言など国際的な人権保障の取組に反するものであり、これに対して、日本政府から中国政府に対して、国際法に基づく 人権侵害、抑圧の是正を求めるという率直な外交批判が、より踏み込んでなされるべきです。都として政府に要請すべきです。
 なお、関連して、自然地を乱開発したメガソーラーについては、私たちは安全生の確保が担保されない、そして住民合意のないメガソーラーは規制を設けるべきと考えています。
 一方で、切迫した温暖化対策にこれ以上重大な遅れを生じさせることはできません。都は、原発や化石燃料への依存からきっぱり脱却し、気候危機対策を着実に進める必要があります。太陽光バネル設置の促進は必要不可欠な政策です。
 都は、国産パネルの技術開発をメーカーにも働きかけて促進し、国内生産を飛躍的に増加させることが必要です。輸入に頼らざるを得ない現状の打開に大きくつながり、再生可能エネルギーの地産地消という求められる方向とも合致することになるものと考えます。
 再エネ普及を求める陳情七六号の陳情書でも紹介されているとおり、二〇二一年に開かれたCOP26では、温室効果ガス排出削減目標を二〇二二年末までに強化することを求める合意文書が採択されています。まさに東京都の責務が問われます。
 二〇三〇カーボンハーフの実現に向けて、残された猶予はないとの陳情者の強い思いを受け止めることが重要です。
 ちなみに、この七六号の陳情は、全国組織や地域などで活動する二十九の環境関係団体が共同提出団体となったとの報告を受けております。この真剣な皆さんの姿勢に応え、東京都においては、引き続き広く都民の意見を聞きながら、区市町村とも連携して、制度の活用と改善を進めることが重要です。
 以上を踏まえ、太陽光バネル設置義務化に反対の請願第一〇号と陳情第七四号については不採択、太陽光バネルの設置義務化による再生可能エネルギー推進を求める陳情第七六号については採択すべきものと考えます。
 都民が省エネ、再エネの取組に進んで参加したくなるよう、都の支援策をきめ細かく、 また、補助率引上げなど充実した内容に拡充する、さらなる取組が必要です。都の本気度が問われます。
 二〇三〇年カーボンハーフ達成の責務を果たすべく取組を加速することを強く求め、私の質問を終わります。