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質問・条例提案

2023.02.22

本会議 原田 あきら都議(杉並区選出)の一般質問

 2023年2月22日の本会議で、原田あきら都議(杉並区選出)が一般質問を行いました。

★質問全文(質問原稿)です。
動画(都議会ホームページです。令和5年第1回定例会 > 2月23日 一般質問をご覧ください)

一、都市計画道路について
二、子どもの遊び、子ども時代の体験について
三、都立公園について

【答弁】
知事(小池百合子) 
東京都技監(中島高志 
都市整備局長(福田至)  
子供政策連携室長(山下聡)  
生活文化スポーツ局生活安全担当局長(小西康弘) 
福祉保健局長(西山智之) 


一 都市計画道路について

 私の地元、杉並区成田東3・4丁目は起伏にとんだ地形に、区画整理されていない複雑な道路が伸びる、住民にとって親しみと味のある住宅街です。庭に堂々たるメタセコイヤがそびえたつ家、一方で最近建てたばかりのきれいな住宅地、これらすべてを破壊するのが全長1㎞に満たない都市計画道路補助133号線です。この道路計画の先には善福寺川緑地公園があり、樹木を大量に伐採する計画です。「都は事業化するな」──これが、住民の声であり、この声は杉並に新しい区長を誕生させる力になりました。

 起伏の激しい地域では都市計画変更が必要となることがあります。その点で昨年4月の都市計画運用指針改訂が重要です。都市計画の決定や変更にあたって「関係市町村からの意見聴取にあたっては、関係市町村の意見を十分に尊重する」との文言が追加されました。この指針が適用されれば、事業化前に杉並区との丁寧な折衝が必要になるはずです。

Q1
 都市計画道路を事業化するにあたり、都市計画変更が行われる際、都市計画運用指針に照らして地元自治体との丁寧な協議が行われるのか伺います。

 西荻窪の都市計画道路補助132号線はすでに路線バスも通る二車線ですが、当初東京ガスの緊急車両を通すため、との理由で、事業化されました。西荻のクラシカルな雰囲気を感じさせる商店街が片側5mだけ削られ、財産も文化も破壊されます。たった1㎞の道路拡幅で総事業費250億円かかるともいわれ、都内でも有数の高額道路計画です。

 その後、東京ガスが移転してしまい、緊急車両の交通の心配がなくなりましたが、なぜかそのまま事業が進んでいます。不可解なことにこの計画が事業認可される5ヵ月前、英国領ヴァージン諸島、タックスヘイブンに籍を置く法人が駅南側の再開発地域の土地を取得しています。132号線は、実は再開発の接道としての拡幅だったのではと、怒りの声が上がっています。
 132号線は前区長が決めた計画ですが、現在、新区長は積極的な用地買収を止めています。このままいけば、前区長が決めた施行期間の期限が迫ってきます。

 そこで伺います。

Q2
 補助第132号線は区施行の道路ですが、東京都が事業認可した施行期間は2020年度から2029年度となっています。事業施行期間を過ぎたとき、地元自治体抜きに都だけで期間の延長を行うことは可能かお答えください。
 たとえ、事業認可が無効になったとしても、都市計画自体は残ることとなります。やはり根本的に都市計画道路全体を見直す時が来ています。

Q3
 知事は、都市計画道路について見直すべきものは見直すと語ってきましたが、第四次事業化計画では、杉並区など各地で問題となっている不合理で理不尽な道路計画が見直されていません。
 東京都以外の都市では、財政状況、住民の声、環境破壊を理由に大きな見直しが進んでいますが、東京の都市計画道路も時代の変化に合わせて抜本的に見直すべきと考えますが、見解を伺い、次の質問に移ります。

二 子どもの遊び、子ども時代の体験について

 突然ですが、

Q1
 私は小学生の時から40年間、続けていることがあります。それは遊びです。といっても少年団という子ども会活動です。集団遊びをみなさんはどれくらい知っているでしょうか。Sケン、ドロケイ、王様陣屋、水雷艦長…いまでもこんな遊びを、子どもが主人公となり、高校生以上が指導員となって、本気で遊んでいます。
 しかし、いま、東京で実感するのは、空間、時間、仲間、この3つの間が失われていることです。
 子どもの権利条約第31条は、休息、余暇、遊び、レクリエーションの活動、文化的な生活、芸術に自由に参加する権利を保障しています。知事は、子どもの遊ぶ権利についてどう認識していますか。

 東京の子どもはとにかく忙しい。

Q2
 ついさっきまで、幼児だった小学一年生から5時間目があり、二年生から6時間目もある。学校が終わった放課後も、土日も、宿題、塾や習い事と続き、もうヘトヘトです。

 子ども会の活動を支援する、NPO法人東京少年少女センターの理事長から話を聞きましたが、「子どもに学校外の時間を返してほしい。仕事の拘束時間は8時間だが、子どもの拘束時間はいったい何時間なんだ」と話していました。子どもの休息や余暇の権利についてどう認識してますか。子どもの成長にとって休息や余暇は重要な時間だと考えますがいかがですか。

 少年団に小学生から参加している大学生が語ってくれました。「学校の人間関係で悩んでいて、家でも両親と関係がこじれてしまい、どこにも居場所がないように感じていた時に、少年団は温かく、等身大の私を受け入れてくれた。異年齢集団なので学校や習い事では出会えないような年上の人に出会うことで視野を広げることができた。少年団で人間関係がうまくいくことで、学校でも積極的になることができ、居場所があると感じることで病むことが少なくなった。いま、子どもから指導員になって、いつもの生活にはない時間を子どもたちと共有することで良い刺激をもらえる。”また明日から頑張ろう”と思える」そう話してくれました。

 もう一人の声を紹介させてください。

 小学生の時、少年団に来てもひたすら走り回っていた子は20代になってこう語ります。「自分は小学生の時、周りを知る事や自分自身の努力という事に興味がなかった。でも少年団で友達の幅が増え、コミュニケーションも増えていった事で、周りを知りたい、自分を高めたいと思うようになった。そのおかげで今では人と話す事がとても好きで、セールスコンサルタントの仕事を選んだ。少年団があったからこそ自分自身の努力や周りを知る力を成長させる事が出来たのかなと思ってる」こう話してくれました。

Q3
 学校も違う異年齢集団のなかで、互いに成長し、安心できる人間関係の中で、ありのままの自分で居ていいと思える場面に、私は何度も立ち会ってきました。

 少年団、ボーイスカウト、ジュニアリーダーなど、東京には子どもや青年が育ちあい、学び合う団体がいくつもあります。こうした子どもに携わる団体の価値をどのように受け止めていますか。

 どの団体も、小中学生の塾や習い事、大学生のアルバイトなど環境変化により、最盛期と比べると激減しています。子ども会の主役は子どもですが、同時に高校生や大学生、青年リーダーが育ってこそ持続可能となります。こうした活動に関わる方々を励ます答弁を求めます。

Q4
 東京都はかつて子どもに関わる各団体とともに「東京子どもフェスティバル」を開催していました。各団体の横のつながりをつくるとともに、そうした団体から都が意見を聴く機会として、役割を果たしていたと考えます。

 都内で活動する子どもに関わる団体から、意見を聴く機会を設けるべきと考えますがいかがですか。

Q5
 子どもたちが、自由に遊ぶことができる場所の確保も、空き地などの空間が失われた東京にとっては極めて大事な課題となっています。我が党は、2000年に都議会の質問ではじめて、冒険遊び場・プレーパークを増やすための東京都の支援を求めました。
 こども基本条例第7条は「都は、こどもが伸び伸びと健やかに育つことができるよう、特別区及び市町村と連携して、こどもが過ごしやすい遊び場や居場所づくりなど、環境の整備を図る」と定めています。
 子どもたちが遊ぶことができる空間・場所を積極的につくることを求めますが、いかがですか。

Q6
 また、冒険遊び場などの運営を支えるために、都として財政支援をすすめる必要があると考えますがいかがですか。
 子どもの体験に格差が生じていることを解消していくことも必要です。

Q7
 子ども会で一番の体験と言えば、何といってもキャンプです。しかし今、子どもの体験や経験に経済的格差があると指摘されています。チャンスフォーチルドレンの「子どもの体験格差実態調査」では、世帯年収が「300万円未満」の家庭の子どもは、約3人に1人が、学校外で行う「体験活動」が何もなく、約6割が「経済的理由で子どもがやってみたい体験をさせてあげられなかった経験がある」という結果が示され、話題を呼びました。
 子ども会に話を聞くと、「豊かな自然を体験するには遠くに行かねばならずバス代が高くつく」「兄弟が3人いるから順繰りにキャンプに行く家庭があったり、キャンプやスキーとなると家庭の事情を見て、声をかける子と、声をかけない子がいる」というつらい実態を聞かせてくれました。

 都は、こうした体験格差についてどのように認識していますか。

 さまざまな団体から話を聞いてきましたが、なんといっても料金が高騰しているバス代への補助、キャンプなど自然体験に参加するための支援、キャンプを行う場合のテントの貸し出し、公共施設など場所を借りる際の利用料負担の軽減など、多くの要望が寄せられています。
 都として、区市町村とも連携してとりくみを行うことを求めておきます。

 

三 都立公園について

 知事は、記者会見で都立公園150周年に触れて「これまでは駄目だろうなと思っていたような、諦めていたけれども実はやってみたいという思いを寄せていただきたい」と述べました。そんなに大掛かりでなくても、ちょっとした工夫で子どもの体験を保障する方法がいくつもあります。

Q1
 子育てしている世代からの強い要望のなかに、都立公園で簡易に日差しを遮ることができるポップアップテントを利用できるようにしてほしいという声を聞いてきました。夏場の熱中症対策、冬場の風よけ、幼児のお昼寝の場になりつつ、手軽にテント気分を味わうのに最適です。

 都立公園では、これまで禁止されていたものを今年度から一部で利用できるように改善しています。今後実施する公園を、さらに拡大すべきと考えますが、いかがですか。

Q2
 都立公園では火事を防ぎ、環境を保全するため、BBQなどは専用広場に限られていますが、バーナーでコーヒーを沸かすなど大きな火を伴わない火気の使用も禁止されています。今アウトドアを楽しむツールとしてバーナーは必須アイテムで公園利用者のニーズがあります。筑波山では、バーナーエリアを作ったことが話題となり、人気です。都立公園内にバーナー使用可能なエリアを設置するなど、検討を求めますがいかがですか。

 みなさん。こども基本条例に基づくとりくみは、はじまったばかりですが、問われているのは私たちおとなです。遊びも、休息や余暇も、体験の格差も、まちづくりも、子どもたちの意見を、おとなが真剣に受け止めることが強く求められています。子どもの権利条約とこども基本条例をより豊かに東京で全面的に実践することを重ねて求めて、質問を終わります。


【答弁】

  〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 原田あきら議員の一般質問にお答えいたします。
 子供の遊びについてでございます。
 子供は、遊びを通じて、友達同士で関わり合い、実社会に必要な力を身につけてまいります。
 子供が思い切り遊ぶことができる環境をつくっていくことは重要、このように認識をいたしております。
 その他の質問につきましては、東京都技監、関係局長が答弁をいたします。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立公園における簡易テントの利用についてでございますが、都立公園では、利用者の安全、快適な利用に支障となるような固定式のテントなどの使用を認めておりません。
 一方、小型のポップアップテントなど移動が容易な簡易テントは、熱中症の予防や子供の休憩等の用途として有用であることから、今年度より、多数の簡易テントを置いても支障のない大きな広場がある四十四公園で使用を認めております。
 次に、都立公園におけるバーナーの使用についてでございますが、都立公園では、多くの利用者が安全に利用できるよう、原則として火気の使用を認めておりませんが、延焼のおそれがないバーベキュー広場では、バーナーなど火気の使用を認めております。
 今後とも、利用者が安全に楽しめる公園となるよう努めてまいります。
   〔都市整備局長福田至君登壇〕

○都市整備局長(福田至君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市計画道路の地元自治体との協議についてでございます。
 都が都市計画変更を行う際は、都市計画法に基づき、地元自治体の意見を聞き、都市計画審議会の議を経て決定しており、意見聴取に当たっては、都市計画運用指針を踏まえ、その意見を尊重することとしております。
 次に、都市計画事業の施行期間の延長についてでございます。
 都市計画法によりますと、施行者からの申請に基づき、基準に適合する場合には認可することができるとされております。
 最後に、都市計画道路の見直しについてでございます。
 都は、これまでも、社会経済情勢の変化や道路に対するニーズを踏まえて策定した事業化計画などに基づき、都市計画道路の整備を計画的、効率的に進める一方で、見直しについても適宜行ってきております。
 今後とも、地元自治体と連携、協働しながら、整備すべきものは整備し、見直すべきものは見直すとの考えに基づき、必要な都市計画道路を着実に整備してまいります。
   〔子供政策連携室長山下聡君登壇〕

○子供政策連携室長(山下聡君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供の成長についてでございますが、子供は、日々の遊びの中で、無意識に探求を積み重ねて成長していきます。子供が伸び伸びと健やかに成長していけるよう、自分らしく過ごしやすい環境を整備していくことは重要でございます。
 次に、子供に関わる団体についてでございますが、都は、こども未来アクションの策定に当たり、文化やスポーツの関連団体、さらには子供食堂の運営者などから意見を聞いており、引き続き対話を継続していくこととしております。
 次に、子供の遊び場づくりについてでございますが、子供たちが自由な発想で外遊びを楽しむことができるよう、子供の意見を取り入れながら、地域資源を生かした遊び場づくりに取り組む区市町村を支援していくこととしております。
 最後に、子供の体験についてでございますが、子供を客体ではなく主体として捉えていくことは、子供政策の基本スタンスでございます。子供が他者との交流や様々な機会を通じて多様な体験を深めていくことは重要であると認識しております。
   〔生活文化スポーツ局生活安全担当局長小西康弘君登壇〕

○生活文化スポーツ局生活安全担当局長(小西康弘君) 少年団、ボーイスカウト、ジュニアリーダー等の子供に携わる団体の価値についてのお尋ねでありますが、社会の宝である子供たちが健やかに成長する上で、幅広い年齢層の方と交流できる地域団体及びその活動に携わる方々の存在は重要でございます。
   〔福祉保健局長西山智之君登壇〕

○福祉保健局長(西山智之君) 冒険遊び場についてでございますが、都は、主に屋外で子供たちの主体性を尊重した自由な遊び場を提供する冒険遊び場事業を包括補助事業の対象として例示し、区市町村の取組を支援しています。

以上