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質問・条例提案

2023.03.24

本会議 あぜ上三和子都議(江東区選出)の討論

2023年3月24日の本会議で、あぜ上三和子都議(江東区選出)が討論を行いました。

動画(都議会ホームページです。令和5年第1回定例会 >3月24日(金曜日)本会議(議案の議決など)をご覧ください
★2023年都議会第1回定例会 討論全文(原稿)です。


 日本共産党都議団を代表して、知事提出の一般会計予算ほか16議案に反対し、わが党提出の5つの条例案、および英語スピーキングテストの予算を削除する5会派共同提案の修正動議に賛成の立場から討論を行います。

 予算案は、都税収入も予算規模も過去最大です。物価高騰などにより都民のくらしと営業が深刻なもとで、一部の大企業や富裕層は莫大な利益をあげています。
 今定例会では、この巨大な都の財政力を、都民のくらしと営業を守り抜くために使うかどうかが問われました。

 わが党の補聴器購入費補助条例は、この立場から提出したものです。
 東京都は高齢者への補聴器支援について、効果的な施策を検討すると答弁しました。当事者団体の東京都中途失聴・難聴者協会は、条例案の採択を強く要望する声明を出しています。ぜひ実現させようではありませんか。
 また、都民生活がひっ迫しているもとで都議会議員の期末手当を、昨年12月の引き上げ前の額で据え置く条例も提出しています。
 皆さんのご賛同を、心より呼びかけます。

 わが党は、予算の組み替え案も提出しました。
 予算の3・5%を組み替えるだけで、学校給食無償化、都内全域での18歳までの医療費の完全無料化、補聴器購入費補助など109項目の都民要望が実現できます。英語スピーキングテストの予算を全額削除したほか、不要不急の事業の見直しなどによって財源を生み出しています.
 予算特別委員会で否決されましたが、都民に寄り添う予算にするための具体的対案です。引き続き実現に向け、全力をつくします。

 一方、知事の新年度予算案はどうでしょうか。
 子ども・子育て支援の拡充は重要ですが、予算案の全体は都民に寄り添うものとなっていません。
 高齢者福祉予算は減額され、都営住宅は24年間連続新規建設ゼロが続き、障害者の福祉手当は27年間1円も上がっていません。

 教育施策では経済界が求める「人材育成」が重視され、中小企業分野は急成長が見込まれる一部企業への支援に偏重しています。
 IRカジノの調査費は10年連続計上され、陥没事故を起こした外環道工事などの大型道路建設予算は1000億円を超えています。
 住民福祉の増進を基本的責務とする地方自治体本来のあり方に立ち返ることを、求めます。

 新型コロナ対策の補正予算案は、政府が5月8日に新型コロナ感染症を5類に引き下げるのに合わせて、無料検査、食料配布などを終了し、政府の医療費負担増や病床確保料の削減もそのまま受け入れるものであり反対です。
5類になってもウイルスの感染力や病原性は変わりません。都民のいのちを守る対策を継続、拡充すべきです。

 コロナ対策を強化するとか、行政的医療を将来にわたり提供すると言って、知事が都立病院の独立行政法人化を強行して約9カ月が経ちました。
 ところが多摩総合医療センターでは、独法化されたその日に感染症内科の医師が退職し常勤医師がいなくなったことや、夜間の救急医療体制で重要な役割を果たしているER病棟を閉鎖しようとしていたことが明らかになりました。
 まさに行政的医療を後退させ、経営効率を優先する独法化の本質が浮き彫りになっています。独法化した病院を直営に戻し、拡充することを求めます。

 英語スピーキングテストESAT-Jを強行し、入試に不可欠な公平性・公正性を投げ捨てて都立高校入試に活用したことは許されません。
 試験会場で周りの声が聞こえたなどの子どもたちの証言を無視し、根拠も示さず解答に影響はなかったと言い張り、採点ミスという重大問題が起きたのに教育長は謝罪していません。個人情報取得について違法性の疑いも指摘されています。
 反対の声は、ますます広がっています。
 ところが都教委は中止するどころか、中学1、2年生にまで英語スピーキングテストを拡大する予定です。予算額は今年度の5億円から新年度は7倍の35億円に膨れ上がっています。
 そもそも都教委には、中学校にテストを強制する権限はなく、上からテストを押しつければ、子どもたちの自主性、自発性を大切にした豊かな学びは失われてしまいます。英語スピーキングテストの予算35億円は、全額削除すべきです。

 五輪の談合疑惑について、「捜査に関わることであり答えは差し控える」との答弁が繰り返されました。捜査の対象になっていること自体、重大です。しかも、進んで真実を明らかにする姿勢がありません。
「外部有識者の下で調査を進めている」というのもごまかしで、実態は元組織委員会理事でオリパラ準備局長だった副知事をトップとする調査です。
 外部有識者による第三者機関の設置、徹底調査と検証、公表こそ必要です。

 神宮外苑再開発が着手され、樹木に、ついに手がかけられようとしています。
 音楽家の坂本龍一氏が立ち止まるように求める手紙を小池知事に送りましたが、知事は冷たく突き放しました。都民の怒りは高まる一方です。
 アセス評価書の虚偽の指摘も、銀杏並木への影響調査も未解決です。新宿区の風致地区条例の改悪は事実上、東京都の指示だったことも明らかになりました。知事は施行認可を取り消すべきです。

 虐待などで家に居場所がなく、夜の繁華街などをさまよう少女たちを性被害などから守る若年被害女性等支援事業について、都は「非常に重要だ」と認めました。
 事業を委託されている団体Colaboが、不正に委託料を受け取った事実はなかったことも、はっきりしました。
 ところが今、この団体のアウトリーチの活動に対し、大勢で取り囲む、暴言を吐くなどの悪質な妨害が続いています。東京地裁は、繰り返し来ている妨害者に対し、接近禁止などの仮処分決定を出しました。
 こうした中で都が団体に対し、妨害行為を理由にして、22日に予定されていた活動の事実上の中止要請をしたことは、少女たちの危険を高めるものであり、間違いです。東京都が責任を持って、団体が活動できるように対応することを、強く求めるものです。

 朝鮮学校への補助金が停止されて13年になり、子どもたちの学ぶ権利がおびやかされています。
 一日も早い復活を求め、生徒や保護者らの運動が広がるもと、届けられた要請書や子ども・保護者のメッセージを、都が確認していると答弁したことは重要です。
 また、「東京都こども基本条例」の子どもには朝鮮学校の子どもも当然含まれ、マイノリティの子どもたちの権利について「誰一人取り残されることなく尊重される」旨の答弁もありました。
 そうであるなら、補助金を即刻復活すべきです。

 東京都の公式歴史記録である『東京百年史』の記述を知事が否定し、関東大震災の時の朝鮮人虐殺を史実と認めない答弁を繰り返したことは、きわめて重大です。
 同時に、震災による犠牲者と、「極度の混乱の中で」犠牲になった人を区別する認識を示したことは、ささやかですが重要な変化です。しかし、それで済まされる話ではありません 
 関東大震災100年の今年は、朝鮮人犠牲者に対する心をこめた追悼文を出すことを重ねて強く求めておきます。

 いま、戦争か平和かが鋭く問われています。大軍拡ではなく、憲法9条を生かした外交努力こそ求められています。日本共産党都議団は、平和を願う皆さんと力合わせ、全力を尽くすことを表明し討論を終わります。

 以上