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質問・条例提案

2022.11.21

各会計決算特別委員会 池川友一都議(町田市選出)の全局質疑

★質問する池川友一都議(2022.11.21)

  1. 情報公開について
  2. 英語スピーキングテスト(ESAT-J)について

★都議会速記録より


1、情報公開について

○池川委員 日本共産党の池川友一です。日本共産党都議団を代表して質問します。
 初めに、情報公開の問題について質問します。
 小池知事は、情報公開は一丁目一番地だと繰り返し述べられてきました。情報公開条例はその根幹をなすものであり、期限を区切って開示決定等を行うことは、都民の知る権利を保障する上でも、条例の目的を実現する上でも、極めて重要です。
 ところが、東京都は、新型コロナ感染症の緊急事態宣言を理由に、情報開示請求について、当面の間、六十日を限度とした期間延長を複数回行うことができるという通知を二〇二一年四月までに四回にわたり出して、条例を事実上改定、変更する対応を行ってきました。
 我が党は、この問題が都民の知る権利を侵害する問題であり、直ちに是正する必要があると考え、十月十八日に、小池知事宛ての申入れを黒沼副知事に行う予定でした。
 黒沼副知事に伺いたいと思います。黒沼副知事が私たちの申入れ文の中身を見たのはいつですか。事実だけお答えください。

○黒沼副知事 お答えいたします。私は当事者ですので、この件に関しては、経過も含めてお話をしたいと思います。
 まず、初めにお答えしますが、内容については、つまびらかにした日にちを私は今は記憶がございません。各会派からの要望等につきましては、都は、組織としてその趣旨を踏まえて対応等をしてきております。
 本件に関しては、当初から、総務局が制度所管でありますので、総務局で対応させていただくという内容で臨んできておりました。しかし、総務局ではなく副知事でということで再三の申入れがあり、かつ、別日程まで提示をされた上でご要請がありましたので、私の日程を一旦押さえた上で、要望の趣旨等を確認させていただきましたが、一向にその内容が示されませんでした。
 したがって、私も、その内容は周知することが、認識することができませんでしたが、その後に報道機関の方から、条例違反に関する申入れだということが分かりました。それで、当初の方針どおり、総務局の対応すべき案件として、総務局の総務部長、総務局長まで説明に行かせております。
 このように、都としては、東京都として総務局で一貫して対応しておるというのが事実でございます。これは事実でございます。

○池川委員 私たちは、黒沼副知事と日程調整を行い、日時が決まっていたんですよ、申入れ。それで、副知事側からは、条例違反という申入れは受けられないという話があり、さらには見解の違うものについては申入れは受けられないと、一方的に拒否する連絡しかありませんでした。
 副知事から申入れの拒否を、連絡を私たちが受けた時点で、私たちは少なくとも副知事にその中身は渡していません。渡す準備をしていましたが、申入れの中身も確認せずに申入れを拒否したということになるじゃありませんか。内容も確認することなく申入れを拒否するというのは極めて重大だと思います。
 私たちは、この申入れを受けて、そこできちんと意見を交わして、見解を述べてもらえばいいじゃないかと話をしましたが、黒沼副知事からは、条例違反という申入れは受けられない、見解の違う申入れは受けられないという話がありました。
 これ確認します。黒沼副知事は見解の違う申入れは受けられないということで拒否をされた、これ事実の確認です。いかがですか。

○黒沼副知事 条例違反であるから受けられないということを申したことはございません。
 また、私は、副知事就任以降、昨年の十月以降、十六件ほど貴会派からの要望等ございましたが、そのうち六件については私が自ら対応させていただいており、残り十件につきましては、局長や部長等で対応させていただいております。
 このように、各会派からのご要望等につきましては、都としてそれぞれの部署で責任を持って対応する。内容が確認されない段階で受けることはできません。

○池川委員 私たちの方から副知事に、見解の相違を理由にして申入れを受けなかったということでよろしいですかと三度も確認をしています。そのたび副知事からは、そういうことでいいですと回答があったから、私たちだって責任持ってこういうことをいっているんですよ。事実を事実として認めなかったら、これ議論なんかならないですよ。
 先ほど、総務局長を行かせたと話がありました。確かにいらっしゃいました、総務局長と福祉保健局長そろって。しかし、そのときも、私たちはまず申入れを受けるべきだと求めました。しかし、条例違反という申入れは受けられないと、そのときもそういわれているんですよ。総務局が受けるとは一言もいっていません。
 さらに、先ほど会見の、プレスがあって条例違反という申入れと話ありましたが、事実は違いますよ。会見のお知らせには、重大な情報公開条例違反についてとだけ書いてあって、中身はほとんど何も書いていない。プレスのタイトルだけを見て、副知事の申入れと会見が同じだというのは推測の域を出ていないわけですよ。
 申入れの文書を確認することもなく、日時の決まっていた小池知事宛ての申入れを、黒沼副知事が見解の相違ということで一方的に拒否をしたという問題なんですよ、これ。
 黒沼副知事の対応について改めて確認しますが、この対応をするに当たって、小池知事に事前に報告、相談はされたんですか。

○黒沼副知事 本件に関しましては、このご要望を、会派としてのご要望をいかなるセクションで受けるかについて、私の責任で、当初から総務局で受けるべき案件として判断をさせていただいております。
 私の秘書からは、再三調整をいただいた議員の先生に、要望の概要、趣旨について照会をさせていただきましたが、最後までそれが示されることはございませんでした。これが事実でございます。

○池川委員 私たちは渡す準備をしていたんですよ。そしてね、内容も確認せずに申入れを拒否してきたということなんですよ。
 今、組織として対応すると最初いわれましたよね。しかし、今の判断というのは、黒沼副知事の判断でされたということじゃないですか。会派からの知事宛て申入れを拒否するというのは、やっぱり議会軽視そのものだというふうに私は思います。
 副知事が見解の相違で拒否したというのは、統一協会問題で辞任した山際前大臣が参院選中に、政府は野党の話を聞かないと発言したことと本質的に同じだと思います。私たちの申入れは小池知事宛てのものです。
 これ、なぜ小池知事宛てかというのは理由があるんですよ。それは公文書の開示決定者が知事だからです。副知事が条例違反という申入れは受けられない、見解の違う申入れは受けられないと発言をして拒否したというのは、知事自身が拒否したということになっちゃうんですよ。
 しかも、副知事は、自分が申入れの拒否をしながら、私たちに対しては直接説明をされていません。その対応は全て所管局に任せっ放しというのが実態です。
 私たちのところに、職員の方からは、副知事自身理解していたにもかかわらず重大な条例違反とはどういうことだと、副知事自身の判断で面会を拒否した、その後、共産党が会見を行い、混乱が大きくなると、総務局にあとはよろしく頼むと丸投げだとか、自分が招いた混乱の後処理をあたかも他人事のように部下に押しつける振る舞いは、都職員のトップに立つ者として恥ずかしいなど、ほかにも様々声が寄せられています。
 副知事という重責にありながら、自らの行為について責任を引き受けないという対応は、資質が問われることになるんじゃないでしょうか。副知事としてふさわしくないということは明らかだと思います。
 多様な都民の声を聞くことこそ必要であり、異論を排除するような動きは断じて認められません。見解の相違を理由に申入れを拒否するという事態は二度と起こらないよう、厳しく指摘をしておきたいと思います。
 どうしてこういうことが起こるのかと。背景には、都民の知る権利を保障した情報公開制度を軽視してきたということがあるんじゃないでしょうか。情報公開条例違反の問題について聞いていきます。
 条例十二条一項は、開示請求があった日から十四日以内と定め、情報公開条例、その十二条第二項は、やむを得ない理由があった場合、開示請求があった日から六十日を限度としてその期間を延長することができるとしています。
 決算第一分科会では、十二条二項に基づいて六十日を超えて延長することはできないと。できないと明確に答弁がありました。できないことは既に確定済みです。できないことをやっていたとすれば、これは明確に条例違反である、このことに疑問の余地はありません。


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 こちらご覧ください。これは福祉保健局が実施した保健所についての委託調査について、我が党の情報公開請求が二度にわたる延長が行われ、百十八日後に開示決定された写しになっています。小池知事の名前で公印も押された公文書になっています。十二条二項を根拠にした延長と、ここにしっかりはっきり書かれているんですよ。
 開示決定等期間延長通知書というのは、十二条二項に基づく延長の際に使う様式になっています。十二条二項は六十日を超える延長はできません。つまり、条例違反の決定をされているということは明らかです。
 総務局に伺います。条例十二条二項によって、六十日を超えて期間延長した件数は何件ありますか。

○野間総務局長 お問合せの件数につきましては、調査の結果、百二十八件でございました。
 なお、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、令和二年四月八日、コロナ禍をやむを得ない理由として期間延長することができるとの通知文を発出いたしました。
 通知文の策定当時、新型コロナは未知のウイルスであり、対応方法も手探りでございました。緊急事態宣言が発出され、人との接触を避ける……
   〔発言する者あり〕

○柴崎副委員長 答弁中、ご静粛に願います。

○野間総務局長 外出自粛、職場における休止業務の設定など、様々な制限がかけられました。さらに、保健所においては、感染拡大とともに業務が逼迫する状況にございました。
 こうした中、都民の生命、身体を守るという業務と、開示請求者の権利の尊重とをともに遂行するため、六十日を超えて期間延長を行うことができる旨の通知を行い、運用してまいりました。
 通知文では、コロナに伴うやむを得ない理由がある場合は、十二条二項に基づき、六十日を限度とする期間延長を行うことができることを示すとともに、条例十二条三項の趣旨を踏まえ、六十日を超える期間延長ができる旨を周知してございます。
 なお、この通知文に基づき、六十日を超える期間延長の決定を行った全ての案件については、当該期間内に開示決定を完了してございます。

○池川委員 関係ないことをそうやって答えないでいただきたい。何件あったかって、それだけしか聞いていませんからね、本当に。
 六十日までしか延長ができないのに、百二十八件も延長が行われていたというのは本当に重大だと思います。このような条例の運用は、条例違反である課長通知以前は一件もなかったんです。それは条例上できないからなかったということだと思います。実際には、一片の課長通知によって条例を改定、変更したということになります。
 公文書である開示決定の延長を、条例上六十日しか延長できない。それが十二条二項に基づいて百二十八件も出されていたにもかかわらず、いまだに訂正も修正も行われていません。訂正するのは当たり前の話じゃありませんか。それすらやらないというのは、情報公開制度、つまり都民の知る権利を軽く扱っているということになるんじゃないでしょうか。
 私たちは、先ほど議論した副知事に申入れを拒否された問題、さらに決算第一分科会質疑でこの問題を取り上げてきました。そうした中で、都は、十月三十一日に新たな通知を出しました。そこには、六十日を限度とした期間延長を複数回行うことができるとした通知による取扱いを当面の間停止するとしています。つまり、六十日を限度とした期間延長を複数回行うことはできなくなったということでよろしいですね。

○野間総務局長 お尋ねの通知につきましては、十月に停止の判断をしてございます。今、一時停止の状況でございます。

○池川委員 一時停止と、また動かすかのようなことをいうのは本当にやめた方がいいですよ。これによって、事実上、今、条例の規定を超える開示期間の延長はできなくなるということになります。条例に書いていない開示期限の延長を行う条例違反の状態であったということが認識できないから、そうやって一時停止の状態とかそういう話になっちゃうんですよ。同じことを繰り返すことは断じて認められません。
 コロナウイルスへの対応は、自治体業務が逼迫し、職員にも感染者や濃厚接触者が発生する中で、公文書開示請求への対応を平時と同じように行うことが難しくなる面があるのは事実ですが、同時に、平時に増して迅速な情報公開が重要になってくると私たちは考えています。
 知事はこれまで、情報公開は一丁目一番地だと繰り返し表明されてきました。この考えは今も変わりませんか。情報公開を行う重要性についても知事の見解を伺いたいと思います。

○小池知事 私は、東京大改革、一丁目一番地という認識で、公文書開示におけます原則開示の徹底、ホームページを通じた情報提供の大幅な拡大、各種審議会の公開など、実施をしてまいりました。
 また、開示手数料を見直し、ICTを活用、都民が請求手続によらず公文書など無料で即座に入手ができるという公文書情報公開システムの開始など、都民の利便性を高めて、都政の透明化を推し進めているところでございます。
 以上です。

○池川委員 一丁目一番地と本当に知事がいうのであれば、きちんと情報公開を位置づけるというのであれば、この間の条例違反の対応は、今認識されたと思うんですよ。それをきちんと是正するということ以外に、この問題、やっぱりきちんと情報公開を徹底するということにはならないと思います。
 条例違反の課長通知は当面の一時停止ではなく、きっぱり撤回し、条例違反の対応について、開示決定者である知事が、これまでの対応について訂正、謝罪を行うことを重ねて求めたいというふうに思います。

2、英語スピーキングテスト(ESAT-J)について

 次に、中学校英語スピーキングテスト、ESAT-Jについて質問します。(野間総務局長発言を求む)まず……

○柴崎副委員長 野間総務局長……

○池川委員 いやいや、聞いていない、もうESAT-Jに移っているから、委員長、もういいです。いいですから。

○柴崎副委員長 いやいやいや、手が挙がっているんだから、今。質問になっているでしょう、だって。

○池川委員 速記止めて、委員長、速記を止めてよ。速記を止めてください。
   〔発言する者多し〕

○柴崎副委員長 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

○柴崎副委員長 速記を始めてください。

○池川委員 まず、昨年度のESAT-Jの決算金額について伺います。あわせて、分担金要項に基づいて株式会社ベネッセコーポレーションに支払った分担金の内訳についてお答えください。

○浜教育長 令和三年度のスピーキングテスト事業に関する決算金額は、三億八千八百四十四万四千七百七十二円でございます。
 このうち、事業分担金要項に基づく分担金は三億七千五百七十八万七千七百三十二円であり、内訳は、テスト実施に係る運営費のほか、感染症防止対策等でございます。

○池川委員 ESAT-Jの決算金額のうち九七%と、ほとんどがベネッセに払った分担金だということが分かりました。まさにベネッセが問題の作成から申込み、試験の実施、運営、採点まで、ほぼ全てを担っていることが金額にも表れています。今年の予算は約五億円というふうに聞いており、これを上回る規模の事業になっています。
 今度の日曜日、二十七日には、試験当日を迎えます。しかし、一週間を切った今でも、受験票が手元にない、当日の試験監督の募集が行われているなどの大混乱が続いています。多くの生徒、保護者、専門家、都民が反対の声を上げ、入試への活用はやめてほしいと、テストが目前になった、直前になっても、静まるどころかますます大きくなり、マスコミでも連日報道される大問題になっています。
 その中の一つ、ESAT-Jの申込みに関して保護者の同意の問題を聞いていきたいと思います。
 ESAT-Jは、インターネットでベネッセのサイトから申込みを行います。顔写真などの個人情報をネットに上げ、ベネッセに渡さなければならないのは納得がいかない、流出が不安などの声が上がっています。
 まず確認をします。中学生は未成年ですから、申込みに当たっては、個人情報の取得や利用について、当然ながら保護者の同意が必要だと思いますが、間違いありませんか。

○浜教育長 ご指摘のとおり、個人情報の登録に関しては保護者の同意が必要ですので、学校を通じまして、登録についてご説明をし、ご了解をいただき、登録をいただくという手順を踏んでおります。

○池川委員 未成年ですから、保護者の同意が当然必要になります。
 ネットですから、保護者と一緒にサイトを見てチェックボックスに入れるという場合は、保護者の同意が直接分かるようになっていますが、実はこの保護者の同意の在り方について極めてずさんなのではないかと、保護者の会の皆さんがアンケートに取り組んでいます。
 一週間で五十七人の方が回答を寄せ、そのうち、保護者の同意なく学校で子供が申し込んだと回答した方が十一人にも上っています。これらの方々の居住自治体は、ほぼばらばらで、東京中、各地で保護者の同意のない申込みが行われていることが分かり、私も大変驚きました。
 保護者の会は、先日、都教委に直接、保護者の同意がなくても申込みは有効なのかと質問をしましたが、その場では答えられないといって、申込みができないかどうかについて持ち帰りになっているわけです。
 これ、私、スピーキングテストの根幹に関わる重要な問題として伺いたいと思いますが、保護者の同意なく子供が保護者の同意欄にチェックを入れて申し込んだ場合、それは有効なんですか。

○浜教育長 先ほどもご説明しましたとおり、個人情報の登録に当たっては保護者の同意が必要であることを、各学校を通じまして一人一人にお知らせをしております。
 子供が学校で先生の指導などを受けながら申込みフォームに入力をする場合には、家で保護者の方の確認を取ってきていただいた上で入力をしてもらうというやり方も取っております。この場合は、生徒が保護者の了解を取った上で、学校に来て学校で入力をしているということでありますので、有効だというふうに考えます。

○池川委員 アンケートには、学校で一斉登録しました、事前に承認の内容等一切見ていないとか、いつの間にか子供が学校で一斉に申込みをしていて、いつどのようにやったか知らされていないなどの声が寄せられています。中には、子供が先生に、うちの親は同意していないと申し出たそうですが、都立高校を受検できなくなるから困るからといわれて、チェックをしたという例も寄せられています。
 こうしたものについては、同意がなかったというふうに明らかに思うんですけど、こういうものも有効だというふうに考えるんですか。

○浜教育長 今お話のあったような報告は、私どものところには届いておりません。もし、入力について疑義がある場合には、ご相談いただけるコールセンターもご用意しておりますが、そのような相談は届いておりません。

○池川委員 保護者の会のアンケートだけでなく、同様の話は幾つも伺っているんですよ。これだけ保護者の同意を取っていないということが分かっているというのを見過ごすわけにいかないと思います。
 都教委は、そこまでいうんだったら、保護者の同意なしに申込みが行われていないかについて、きちんと実態把握、調査すべきじゃありませんか。それもしないで、ないという話にはならないですよ。

○浜教育長 繰り返し申し上げますが、ESAT-Jにつきましては、繰り返し、生徒一人一人にリーフレットを配るなど制度についてお知らせをして、個人情報の登録についても、保護者の了解を得た上で入力をする仕組みになっているということはご説明をしています。
 リーフレットのほかに、六月には、三年生の保護者の皆様に一枚ずつのお配りするプリントもご用意して配っておりますので、ご説明は一人一人に行き届いているというふうに考えております。
 その上で、ご了解をいただいた上で入力をしていただいたというふうに認識しております。

○池川委員 調査しないでそういうことをいうというのは、あまりにも不誠実ですよ。自分たちに都合の悪いことは見ようともしないという態度は、あまりにも無責任だというふうに思います。
 保護者の会は、この問題含めて、質問を明日二十二日までに回答することを求めていますので、誠実にお答えすることを厳しくいっておきたいと思います。
 保護者の同意のない申込みが適切なわけはないんです。それは先ほど教育長が認められたように、未成年の同意は絶対に必要だと、保護者同意は必要だということです。そうでなければ無効になるということだというふうに思います。
 中学校の先生方は、この問題について本当に心を痛めています。何でこういう問題が生じているのかというと、中学生本人、保護者、これは中学校の先生などではなく、この問題の生じている原因は、私は都教委にあると思うんですね。ESAT-Jを単なるアチーブメントテストにとどめず、入試に結びつけているからこそ、受験するしないの選択の余地がなく、個人情報の提供には同意するしかないと。登録しなければ大きな不利益が生じると、こういうことが今起こっているからこそ、個人情報のこの同意の問題も出てきていると思います。
 中学校の先生方からは、生徒が入試でゼロ点になってしまったら大変だと、確実に申込みができる方法を考える。また、学校には日々、ベネッセから生徒の申込み情報が送られてきて、まだの生徒をとにかく申込みしてもらわなければならない。保護者の同意にチェックを入れないと登録が先に進めないので、とにかくチェックを入れさせてしまうと。そういう状況を、入試に活用するということがつくり出してしまっているんですよ。


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 さらに、保護者の方が怒っているのは、保護者の同意に関する断り書きです。
 こちらご覧ください。これ、個人情報の取扱いという中の四に書いてあるんですけど、読み上げたいと思います。
 個人情報の取扱いに関して、利用者本人が親権者等の法定代理人の同意を得ていなかった場合、中学校英語スピーキングテスト、ESAT-Jの申込み手続が完了しないことがあり、この場合、その理由は通知されません、これに伴って利用者本人、法定代理人を含む、が被った損害については、利用者本人が負うものとし、東京都教育委員会及び事業者は一切責任を負いませんと書いてあるんですよね。保護者同意を求める文書の中にこんなことを書いてある。これ、間違いありませんね。

○浜教育長 その文面の趣旨は、保護者の同意が取れている、個人情報の取扱いに同意をするというチェックボックスにチェックを入れないと登録手続が完了しませんので、そのことを記述したものでございます。

○池川委員 今の話は、利用者本人が保護者の同意を得ていなかったら申込み手続は完了しないと、その理由は通知されませんと書いてあるんですよね。これは保護者が知らないままに学校で手続をした生徒にとっては、本当に不安でしようがないと思いますよ。しかも、被害を、被った損害は都教委は一切責任を負わないということまで書いてあると。
 これは都教委が行っている事業で、しかも希望制ではなく、公立中学校三年生全員が対象になっています。私たちはおかしいと、この間指摘をしてきましたが、都教委は、これを教育活動の一環だといってテストを実施するといっています。
 義務教育段階における中学校三年生に対して、ネットで申込みを強要し、中学生自身に重い責任を負わせ、都教委は一切責任を負わないと、知りませんという態度は、とても教育的とはいえないのではありませんか。いかがですか。

○浜教育長 スピーキングテストは、都内の公立中学校三年生を対象に実施するアチーブメントテストでございまして、全員が受験するように丁寧に説明をしているとともに、保護者の同意についても、学校を通じてご理解をいただけるようにご説明をしております。
 こうした手続を経た上で、保護者の同意を得て、個人情報の取扱いの同意にチェックをしないと登録手続が完了しないようになっておりますが、こうした手続を経た上で、約九五%の中学三年生に登録をいただいておりまして、今、準備を進めているところでございます。

○池川委員 つまり、同意の確認もできていないものを登録する、さらに入試に使うから登録をせざるを得ない、そういうことは度外視して、登録したから何も問題ないんだという態度は本当にひどい話だと思います。
 都教委の事業で中学生が行ったことに対して、都教委が一切責任を負わないとわざわざ断り書きをする場所というのは、ここだけではありません。ほかにも、例えば利用規約の五条三項には、都教育委員会は、登録した情報に、虚偽の情報、誤記または記入漏れがあった場合、登録完了後であっても取り消すことができる旨の文書があり、さらに十一条では、それで利用者、生徒が損害を生じても、都教育委員会は一切の責任を負わないと、ここでもいっているんですよね。
 誤記や記入漏れがあったら取り消すというのは本当にひどい話。本当だったら、生徒に不利益がないように訂正を促すことこそ必要だと思います。こうした脅しのような表現を用いるべきではなかったと思うんですよ。このような文書を作ること自体、都教委が在り方を踏み外しているということになるんじゃないでしょうか。
 さらに驚いたことに、十五条には、生じた一切の紛争については、東京地方裁判所を管轄とする旨が書かれているんですよね。教育委員会が生徒に対して最初から、何か意見があるんだったら裁判所に提起することができますよと、そういうことまで書いていると。本当にあり得ない話だと思います。
 子供たちと保護者には、受けないと零点になる、申込みも個人情報も提供しない、つまり同意しないという選択肢が、入試に活用することで事実上ないわけです。その中で一方的に同意させられる、こういうやり方は、やはり教育的とはいえず、無責任な立場で行われるテストなのではないかということを厳しく指摘をしておきたいと思います。
 さらに、個人情報の取扱いについて、重大な問題について聞いていきます。
 都教委とベネッセは、今年八月二十二日に事業方針に関する覚書を結び、ここで初めて都教委が事業主体であることが明記をされました。
 確認をします。昨年度のプレテストにおけるESAT-Jの事業主体は誰ですか。

○浜教育長 スピーキングテストの事業主体は、もとより東京都教育委員会でございます。

○池川委員 今年の八月二十二日に覚書を交わすまで、事業主体という言葉は一度も出てきません。ベネッセが事業者と書いてあるだけでありました。事業主体が誰であるかというのは、個人情報の取扱いにとっては極めて重要な問題です。しかし、今の答弁では都教委だというお話だったので、その前提で話を進めたいと思います。
 都教委を含め東京都が、個人情報を収集、管理、利用、提供する場合には、個人情報保護条例が適用されます。
 総務局長に伺います。
 その第八条には委託等に伴う措置が規定されており、個人情報を取り扱う事務を委託する場合の規定が定められています。具体的には、個人情報保護条例の手引に、委託契約等において契約書、協定書、確認書、覚書その他これらに類する書類に安全管理、秘密の厳守等個人情報保護について必要な事項を明記し、受託者等に個人情報保護についての責務を課すと書かれていますが、これ、間違いありませんか。

○野間総務局長 東京都個人情報の保護に関する条例の施行について、この通達の第八条関係には、個人情報の保護に関し必要な措置として、受託者等を選定するに当たり必要な調査を行うこと、委託契約等において契約書、協定書、確認書、覚書その他これらに類する書類に安全管理、秘密の厳守等個人情報保護について必要な事項を明記し、受託者等に個人情報保護について責務を課すことなどが挙げられてございます。

○池川委員 つまり、きちんと定めがあるんですよね。具体的には、個人情報の秘密保持、個人情報の目的外利用及び第三者提供の禁止、再委託における条件、個人情報の複写及び複製の禁止、個人情報の管理方法の指定などについて、協定書などで明記しなければいけないというのが条例のルールになっています。
 今年度の実施計画の一九ページには、新たに個人情報の取扱いという項目が追加されましたが、昨年度の実施計画には同様の規定はありません。決算年度、何でこれは書いていないんですか。

○浜教育長 個人情報の保護に関する必要な措置につきましては、都教育委員会は事業者に対し、事業者募集の段階で、募集要項に個人情報保護法、同法施行令、個人情報保護に関するガイドラインを遵守することを明記しております。
 また、基本協定やその後に交わした覚書におきましても、事業者に対し、募集要項等で定めた個人情報の取扱いの規定を遵守するよう定めており、個人情報保護の取扱いに必要な措置については、十分に事業者に対して義務を明記しております。
 さらに、今年度の実施協定におきましては、より分かりやすく誤解がないようにするために、法令や条例を遵守し、安全管理や秘密の厳守等、個人情報の保護について必要な事項を具体的に規定したものでございます。

○池川委員 つまり、去年書いていなかったんですよ。書いていない下で、個人情報の取扱い、すなわちベネッセに個人情報の取扱いを委託するということはできないと。今年結ばれたのは九月二日付です。すなわち、七月六日から始まっていた今年度のESAT-Jの申込みそのものが、違法な状態で取得した可能性があるということなんですね。
 個人情報保護条例の八条、ここに掲げられている措置義務が一切講じられていないということは極めて重大だというふうに思います。こういう状態で取得をした個人情報を活用して、十一月二十七日のスピーキングテストを行うことは、到底認められないということだと思います。
 今、大きな声が広がっています。そして、都議会では、スピーキングに関する請願が今なお継続審査となっています。先ほどの答弁を聞いても、とても今テストが実施できるような状況にはないということは明らかです。中止を求めて、質問を終わります。(拍手)