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質問・条例提案

2023.06.21

本会議 米倉春奈都議(豊島区選出)の討論

2023年6月21日の本会議で、米倉春奈都議(豊島区選出)が討論を行いました。

動画(都議会ホームページです。令和5年第2回定例会 >6月21日(水曜日)本会議(議案の議決など)をご覧ください。

★2023年都議会第2回定例会 討論全文(原稿)です。


 日本共産党都議団を代表して、知事提出の第157号議案に反対、日本共産党提出の条例案に賛成の立場から討論します。

 まず、都立看護専門学校の授業料、入学料等を完全に無償化する、わが党提出の条例案です。
 都立大学は来年度から、看護学科も含め、所得制限はありますが授業料が無償化されます。ところが都立直営の看護専門学校は、学費軽減の方針が示されていません。
 教育を受けることは人権であり、所得や住所で区別をすることなく、すべての学生を対象に完全無償化することが重要です。
 また、都民の命と健康を支える看護師を増やす重要性は、コロナ禍が明らかにした教訓でもあります。
 都議会の決断で授業料等の無償化を実現しましょう。各会派のみなさまのご賛同を心から呼びかけます。

 物価高騰が深刻な中、都民の暮らしと営業を守り抜くことが、今定例会の重要な課題でした。
 ところが知事は所信表明で、「物価高騰」に一言も触れませんでした。補正予算案の都民生活支援も貧弱で、財源も全額国の交付金です。都は一円も出していません。都民の暮らしに目を向けない、小池知事の姿勢が表れています。
 日本共産党都議団は、学校給食の無償化、大学などの学費負担軽減、国民健康保険料の値下げ、電気代への補助、飲食店の固定費や畜産の飼料価格高騰への支援、賃金が上がる東京への提案などを行いました。早急に具体化すべきです。

 給食のあるすべての都立学校の児童生徒2万人を対象に、1食30円を補助するための予算5千万円が、補正予算案に計上されたことは重要です。
 ところが都教委は、実際は、全校2万人対象ではなく、今年度給食費を値上げした一部の学校の児童生徒だけに補助を行う計画だったことが、わが党の調査により発覚しました。議会と都民を欺くものであり、許されません。
 わが党の指摘を受け、予算計上どおり全員に補助すると是正されたのは当然のことです。東京都および都教委は、問題の重大さを認識し、二度と繰り返すことのないよう厳しく求めておきます。
 また、予算計上は9月までですが10月以降も補助すること、さらに今や都内17区1市5町に広がった給食無償化を、都立学校を含めた都内全体に広げる決断を改めて知事に求めるものです。

 新型コロナの5類移行への対応も問われました。
 依然として危険な感染症であり、若者も含め後遺症も深刻な問題となっています。
ところが知事の認識と対応も、補正予算案も、きわめて不十分です。病床確保料やコロナ医療費の公費負担は10月以降も継続すべきです。
 すでに入院患者は1000人を超え、救急搬送困難事案は常に多い状態となっています。入院受け入れ時の支援金など、感染拡大時の事業を速やかに実施し、医療体制を抜本的に強化することを求めます。

 日本共産党都議団は、深刻な教員不足の打開策を提案しました。
教育長は、ICTや外部人材の活用で教員の働き方改革をすると答弁しましたが、そのような対策だけでは解決しません。
 私たちが具体的な声も示して指摘したように、過度の管理と競争を強いる教育政策が教員のやりがいを奪っている現状の打開と、教員の労働環境の改善を同時に進めることが必要です。
 あわせて、教員の時間外労働にはきちんと残業代を支払えるよう、国に給特法の廃止を求めるべきです。

 都立特別支援学校の学校図書館で、蔵書数が国の標準を満たしているのは、小学部で12・5%、中学部では2・2%に過ぎないこと、58校中10校に図書室がなく、うち4校にはもともと図書室がなかったことが、わが党の質問で明らかになりました。
早期に図書室を整備し、蔵書を充実し、学校司書を配置することを求めます。

 気候危機対策も、今定例会の焦点のひとつでした。
 IPCCの第6次報告書が、大幅かつ急速な温室効果ガスの排出量削減を各国に求めたことを受け、日本共産党都議団は、都の目標や計画の前倒し、見直しを求めました。知事も、世界や日本の動向も踏まえ的確に対策を講じると答えました。
 その後、都が国に、第6次報告書を踏まえた対応を求めたことは重要です。
 しかし一方で、知事が設置した「エネルギー問題アドバイザリーボード」は、石炭火力、火力発電を延命させるためのものです。世界の努力に逆行する、このような会議は早急にやめるべきです。

 神宮外苑再開発の中止を求めた坂本龍一さんの知事宛ての手紙について、知事は受け止めについても、読んだかどうかという事実についても、答弁に立ちませんでした。そういう知事の姿勢こそが、厳しく批判されているのです。
 国際環境影響評価学会の日本支部は、「事業者による一方的な説明に終始し科学的議論は不十分だった」と指摘し、改めて都の審議会にイコモスの専門家を招いて公開の議論を行うことと、評価書に対する疑義が解明されるまで事業者に工事の中止を命じることを求めました。
 都は、審議会で、住民等に対し、丁寧かつ真摯に対応することを事業者に求める発言があったことを、わが党への答弁で認めました。日本イコモスと事業者の両者による議論のテーブルを用意することを重ねて求めるものです。

 第157号議案は、「Park-PFI」の事業者、東京建物や三井物産を、明治公園の指定管理者に指定するものです。
「Park-PFI」は、都立公園を民間企業の儲けのために提供する制度です。民間事業者が、自ら設置する収益施設に合わせて周辺の広場などを一体的にデザイン、整備することで収益を増やせることが、メリットだとされています。
 それに加えて、公園全体の管理・運営の指定管理者になれば、さらに思いどおりにできます。
 都立公園条例第1条では、都立公園の健全な発達と利用の適正化を図り、都民の福祉の増進と生活文化の向上に寄与することが、条例の目的とされています。
 ところが今回の議案は、大企業の儲けの増進に寄与するために都立公園を民間に提供し、都立公園のあり方を根本からゆがめるものであり、断固反対です。

 五輪組織委員会に対する都の監査報告書がスポンサー契約や専任代理店契約の公開等を求めていることへの受け止めについて、知事は答弁に立たず、談合への都の関与の調査を求めたことにも明確な答弁がありませんでした。
 都は現在、生活文化スポーツ局の国際スポーツ事業部に、部長を18人、課長を40人も配置し、世界陸上などの国際大会の招致・開催にまい進しています。五輪の闇の徹底解明と根本的な反省のないまま、利権がつきまとうスポーツビジネスに東京都が肩入れし、再び多額の税金を投入することは許されません。

 健康への影響が懸念される有機フッ素化合物PFASの汚染実態の解明に対し、都が調査を大幅に前倒しすると答弁したのは重要です。しかし実際は、調査の中身も都民の健康を守るための対策も、きわめて不十分です。
 希望する都民が受けられる血液検査と大規模な疫学調査を都として行うよう、改めて強く求めるものです。

 横田基地で米軍は、周辺自治体への事前通告なしに、2日間にわたり、CV22オスプレイからのパラシュート降下訓練を、初めて実施しました。
 さらに先日、米軍のヘリコプター2機が、調布飛行場に緊急着陸しました。
 また、横田基地関係者が5月に豊島区で発生した交通事故に関わっており、飲酒運転の疑いで捜査中など、異常な事態が続いています。
 日米地位協定の抜本改定と、都内米軍基地の整理・縮小・返還を強く求めます。

 岸田政権が、敵基地攻撃能力の保有など、大軍拡を進めようとしていることは許されません。
 他方、小池知事は、他国からミサイルを打たれることを当然のこととして「備えよ常に」と強調しました。
 今必要なことは、戦争の準備ではなく平和の準備です。日本共産党都議団は東京都平和祈念館を建設し、憲法9条を生かした平和の地域外交、平和の発信を進めるために全力を尽くすことを改めて表明し、討論を終わります。