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質問・条例提案

2023.09.26

本会議 白石たみお都議(品川区選出)の代表質問

2023年9月26日の本会議で、白石たみお都議(品川区選出)が代表質問を行いました。

【 答 弁 】
知事(小池百合子君) 
副知事(中村倫治君) 
教育長(浜佳葉子君) 
東京都技監(中島高志君) 
生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 
総務局長(野間達也君) 
福祉局長(佐藤智秀君) 
産業労働局長(坂本雅彦君) 
主税局長(児玉英一郎君)
保健医療局長(雲田孝司君) 
環境局長(栗岡祥一君) 
都市整備局長(谷崎馨一君) 
子供政策連携室長(田中慎一君)
政策企画局長(古谷ひろみ君) 

<再質問> 白石たみお
○都市整備局長(谷崎馨一君) 


 日本共産党都議団を代表して質問します。

 知事は所信表明で、物価高騰対策にひと言もふれませんでした。
 補正予算も、提出しませんでした。
 都民のくらしに無関心な姿勢の表れです。
 わが党は10カ月後の知事選で、都民に寄り添う知事を誕生させるために全力をつくします。

1 くらしと営業への支援について

Q1全国32の道府県が9月議会に、物価高騰対策などの補正予算を提出しています。
 知事はなぜ、都民のくらしと営業を守る補正予算を組まなかったのですか。
 都民の深刻な実態を、どう考えているのですか。

 国が経済対策をまとめたら具体化します、という話は通用しません。
 地方自治法は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的に実施する役割を担うのが地方自治体だと定めています。
 国に従うだけの姿勢では、自治体としての役割を果たすことはできません。

 知事が早急に実施すべきは、第一に学校給食費の無償化です。

Q2 23区はすべて無償化を決めています。一方、多摩・島しょ地域で実施または決めているのは、2市5町村に留まります。
 市長会は、学校給食費無償化への補助を、都の来年度予算に対する「最重点要望」としました。
 「居住する自治体によって大きな教育格差を感じることがないよう、給食費の全額補助を国が実施するまでの間は、都が財政支援すること」を求めています。
 区長会も予算要望で、「学校給食への支援について財政措置を講じること」を都に求めています。
 知事は、2つの要望をどう受け止めていますか。
 都内すべての地域で給食費無償化を実現するため、財政支援に踏み出すべきではありませんか。
 
Q3 都立学校の給食費無償化も急務です。
 品川区に続き、北区も都立学校に通う区民の給食費を無償化する方針です。都の責任が問われます。
 先の定例会で、都立学校における給食食材費等の総額は、約14億円という答弁がありました。
 すでに助成されている就学奨励費などを除くと、8億円ぐらいで実現できるはずです。ただちに実施すべきではありませんか。

 第二に、教育費の負担軽減です。

Q4 日本は、教育機関への公的支出がOECD加盟国で最低水準です。日本も批准している国際人権規約は、初等教育から高等教育まで無償にしていくことを定めています。
 知事は、教育への公的支出が少なく教育費の負担が重い現状を、どう認識していますか。

Q5 私立中学に通う世帯への10万円の助成が始まりましたが、910万円未満の所得制限があります。
 都内で約4分の1の中学生が通う私立中学は、公教育の重要な役割を担っています。所得制限撤廃や、さらなる教育費負担の軽減を求めます。いかがですか。

Q6 都内の6割の高校生が通う私立高校の授業料助成が拡大してきたことも重要です。さらに所得制限撤廃、都立高校の授業料無償化を求めます。見解を伺います。

Q7 私立高校の入学金や施設費が、所得の低い世帯には重い負担となっています。支援が必要ではありませんか。

 教育費の負担が最も重いのが、大学などの高等教育です。その負担軽減に向け、大学が集中する東京都は支援策を検討すべきです。

Q8 都立大学の学生が都議会に、高学費が学生の学ぶ権利、大学生活、未来をむしばんでいるとして都立大の学費無償化を求める陳情を出し、総務委員会で継続審査となりました。
 都立大学の授業料無償化は、所得制限も都内生への限定もなくし、すべての学生を対象にすることを求めます。いかがですか。

Q9 18歳以下の子どもに1人当たり年額6万円を支給する、018サポートの申請がスタートしたことは重要です。
 しかし、生活保護受給世帯の子どもたちは収入認定され、恩恵を受けられません。収入認定から除外すべきです。知事の見解を伺います。

Q10 高齢者のくらしも深刻です。
 「高齢者の生活実態」調査によれば、都内高齢者の25%は年収100万円未満です。また11%の方が貯蓄ゼロです。
 物価高騰のなか、年金は実質減額が続いています。
 一方、国民健康保険や後期高齢者医療の保険料、介護保険の保険料・利用料は上がり続けています。
 今年度中に改定する「高齢者保健福祉計画」に、高齢者のくらしの支援を、しっかり位置づけることが重要です。見解を伺います。

Q11 なかでも医療費の負担軽減は、命にかかわる大事な課題だと思いますが、いかがですか。

Q12 物価上昇に賃上げが追いつかず、労働者の実質賃金は16カ月連続下がり続けています。
 都の世論調査では、今後1年間でくらしが苦しくなる・やや苦しくなるという答えは49%にのぼり、生活の基盤である衣食住を切りつめている実態が浮き彫りになっています。
 物価上昇を超える賃上げをして消費を温めることが、都民生活と東京の経済の活性化につながります。知事の見解を伺います。

Q13 一方、大企業の内部留保は、511兆円を超えました。
 ひたすらため込むのではなく、大企業の収益が労働者や都民、国民のくらしの向上に結びつくようにすることが必要です。知事はどう考えていますか。

 東京商工リサーチの調べでは、今年8月の都内中小企業の倒産件数は154件、昨年の2倍近い数字です。

Q14 「消費税を下げてほしい」「個人事業主などを苦しめるインボイスの10月実施はやめてほしい」という願いは切実です。
 この都民の声を国に伝えるのは、知事の重要な仕事ではありませんか。

 私の地元・品川区は、商店街が元気な町として有名です。しかし物価高騰で、店の営業は業種を問わず大変です。

Q15 和菓子屋はコメ以外の原材料すべて、ラーメン屋はスープの決め手になる煮干が、そば屋も油、海産物、そば粉が、今まで経験したことがないほど値上がりしているとのことです。
 原価の高騰を価格に転嫁すれば客足が減る、原価を落とせば商品の質が下がり客の信頼を失う、そのはざまで苦しんでいます。
 店を維持し、従業員に給料を払うのが精いっぱいで、自分の給料は出ないという店がいくつもあります。
 知事、このような実態をご存じですか。どう支えるのですか。

Q16 店の電気、ガス、水道代や、家賃のような固定費への補助が必要ではありませんか。

2 新型コロナ対策について

Q1 新型コロナの患者が増え、医療現場がひっ迫していることに、知事は所信表明でひと言もふれませんでした。
 コロナ対策の補正予算も出さず、10月以降の対策を、ほぼ国の方針どおり、さらに縮小する方針です。
 知事、これでどうやって、目の前の第9波と冬に予想される新たな感染拡大から都民を守り抜くのですか。
 検査、医療体制など抜本的な拡充が必要ではありませんか。

Q2 治療薬について知事は、全国知事会を通じ、これまでと同等の公費支援の継続を国に要望しています。国がやらないなら、都が財政支援をすべきです。いかがですか。

 都立・公社病院が独法化され1年が過ぎました。
 小児総合医療センターのER病棟が休止されるなど、すでに行政的医療の後退が起きています。

Q3 現在、都立病院全体で休止している病棟の数と、その理由を伺います。

Q4 コロナ患者の受け入れは、5類に移行したもとでも大事な行政的医療です。
 都立病院は、対応が困難な方も含めて引き続きコロナ患者を積極的に受け入れ、行政的医療を担う役割を発揮すべきです。知事の答弁を求めます。

Q5 都の保健所についての検討会報告書が出されましたが、保健所の増設を求める意見も含め、都としてさらに幅広い意見を聞いて検討を深める必要があると思いますが、いかがですか。

Q6 かつて「感染症の時代は終わった」と言われ、東京を含め全国で保健所統廃合が進められました。
 しかし、その認識が間違いであったことは明白です。新たなパンデミックにも警鐘が鳴らされています。
 知事、保健所の役割を再評価し、増設を含めた拡充に踏み出すべきではありませんか。

Q7 都と区市の保健所などで働く公衆衛生医師は、今年4月時点で174人必要ですが、96人しか配置できていません。
 保健所を再評価し増設・拡充に方針転換してこそ、公衆衛生医師の希望者は増えるのではありませんか。
 大学への寄付講座の開設、修学資金貸与制度の実施など、保健所の医師の確保対策拡充を提案しますが、いかがですか。

 コロナの教訓に学び、保健医療体制を抜本的に強化することを求めます。

3 高齢者の社会参加について

 高齢者の社会参加について提案します。

Q1 都は、高齢者への補聴器の補助、普及啓発、加齢性難聴の健診等について、都内の全自治体への調査を行いました。大事な取り組みです。
 調査の目的と、調査結果をどう生かすのかについて伺います。
 
Q2 都内で補聴器への補助を実施している自治体数の推移と、実施予定の自治体数をお答え下さい。

 都の包括補助も活用して、補聴器への補助を行う区市町村が増えています。
 しかし、財政負担が重く、補助額が低く抑えられたり、多摩地域では実施自治体が少ないなどの課題があります。

Q3 自治体への調査では、財政負担や補助率に関する意見はありましたか。

Q4 都として補聴器購入費助成を個別補助として実施し、補助率も引き上げるなど拡充し、都内全区市町村が実施できるようにすべきです。答弁を求めます。

Q5 シルバーパスは、買い物や通院はもちろん、高齢者の生活に欠かせません。都の調査でも、幅広い世代から評価されています。
 知事は、シルバーパスの重要性をどう認識していますか。
 
 全面有料化されて以来、対象人口に対する発行率は下がり続けています。
 もっと使えるシルバーパスにするために、わが党は、費用負担を軽減し、利用できる交通機関を増やすなどの条例改正案を提出します。
 みなさんのご賛同を、心から呼びかけるものです。

4 性暴力、教員不足、夜間定時制高校について

 性暴力について質問します。

Q1 ジャニー喜多川氏の長年にわたる性加害など、おとなが子どもを性的に搾取する事件が相次いでいます。
 昨年、NHKが行った3万8千人を超える性暴力実態調査アンケートでは、被害にあった平均年齢は15・1歳、回答の約75%が20歳未満という深刻なものでした。子どもへの性暴力の深刻さを直視すべきです。
 支配というべき、おとなから子どもへの性暴力・性犯罪は、子どもの人権を踏みにじり、人生に大きな打撃を与えるものとなっており、対応が強く求められています。知事の認識を伺います。

Q2 区立中学校の校長が、児童ポルノ禁止法違反で逮捕されました。
 教師と生徒という関係性を利用した、許しがたい行為です。
 都教委は、この事件をどう受け止めていますか。性暴力を許さないために、どう対応するのですか。

Q3 今回の事件も被害から数年経過していましたが、被害者の勇気ある行動によって事態が明らかになりました。
 性被害の当事者団体Springの調査でも、被害と認識できるまでかなりの時間がかかることが分かっており、過去にさかのぼった対応が必要です。どう認識していますか。
 心配や不安なことがある時に、LINEなど子どもたちの世代が最も身近な手段を含めて相談できる環境整備が必要です。いかがですか。

Q4 性は人権そのものであり、性暴力は重大な人権侵害です。しかし、そのことを認識するためには、性と人権を結びつけて、子どもも、おとなも学び直していくことが必要です。
国際的には包括的性教育を進めていますが、都はどう取り組むのですか。

 学校の教員不足打開は急務です。

Q5 今年度当初、小学校で80人もの教員不足に都民は衝撃を受けました。年度途中の産休や病休により、さらなる拡大が懸念されます。9月1日時点の欠員は何人ですか。

 もともと忙しい学校で欠員が増えれば、教員はますます多忙になり、追い詰められます。

Q6 ある小学校の教員から、出勤してから退勤するまで学校で一度もトイレに行けないと訴えられました。
 授業中はもちろん休み時間も子どもの対応、放課後は保護者への連絡や不登校の子どもとの面談、学年の仕事などを必死にこなし、学校を出たら走って保育園のお迎えに滑り込み、そこでトイレを借りることもしばしばだと言います。
 限界を超えるような業務の中で、ストレスを抱えながら懸命に働いている教員の思いを、浜教育長はわかっているのですか。

Q7 現場の教員と子どもたちに心を寄せるなら、少人数学級の拡大や教職員定数増という教員の負担を減らし教育を充実する取り組みを国任せにする姿勢を改めることが必要です。
 知事、都には大きな財政力があるのですから、この根本問題に本気で取り組むべきです。答弁を求めます。

 都教委は、都内4つの夜間定時制高校を廃止する計画でしたが、小山台・立川定時制は存続しています。
 立川定時制は、昨年を上回る生徒が入学しています。
 私も参加した武蔵小山駅前の署名活動では、署名を待つ人がでるほどの反響があり、1時間に百筆を超える署名が集まりました。
 毎年1万筆以上の署名が手紙とともに都教委に提出され、8年間にわたり両校の廃止を押し留めています。
 私も夜間定時制の卒業生です。教師と生徒の距離が近く、アットホームな雰囲気が魅力です。授業のペースはゆっくりで、日本語指導が必要な生徒や、長期不登校の経験があるなど、様々な事情を抱えた生徒も学べる場です。
 夜間定時制高校は、どの学校もかけがえのない役割を果たしています。統廃合はやめ、大事にして存続させることを強く求めるものです。

5 気候変動対策について

Q1「地球沸騰化の時代」と言われるほど、気候危機が急速に進んでいます。
 18日には都内で、化石燃料にも原発にも依存せず、再エネ百%で安心して暮せる未来をめざすイベントとパレードが行われ、若者ら8千人が集まりました。
 20日の国連気候サミットでも、化石燃料からの撤退を求める発言が相次ぎました。
日本の若者や国際社会は、化石燃料から撤退を求めています。どう受け止めますか。
 知事は所信表明で、燃料電池バスの推進や水素サプライチェーンの国際会議などを表明しました。エネルギー問題アドバイザリーボードでは宅配業界の水素活用などが議論されています。
しかし現在の水素は、ほぼ化石燃料由来です。

Q2 水素利用の拡大は、経済界や国の基本戦略に沿うものであり、脱炭素に逆行し、化石燃料にしがみつくことを意味します。
 水素偏重の方針を改め、省エネや太陽光などの普及に本気で取り組むべきではありませんか。

Q3 都内のCO2排出の7割は、建築物からです。それを減らすため、中小事業所の省エネを進める後押しが重要です。
 都が行っている無料省エネ診断は、私立学校や福祉施設なども含め大きな効果を上げており、希望者が増えています。
 省エネ診断の専門家を増員して、相談件数を増やすべきです。いかがですか。

Q4 エネルギーの大消費地である東京は、再エネの地産地消を進めるため、あらゆる可能性を追求する責任があります。
 屋根への太陽光パネル設置に次いで大きなポテンシャルがある「営農型太陽光発電」の普及に向けた具体化を求めますが、いかがですか。

 猛暑が続くなか学校への対応も急がれます。

Q5 都立学校の普通教室にエアコンを設置してから20年近く経過し、更新時期を迎えています。
 ある都立学校では、エアコンが故障し扇風機をまわし、水分補給をしながら授業を行ったものの、複数の生徒に頭痛やめまいなど熱中症のような症状が出るなど、翌日の午後の授業を取りやめました。このことを把握していますか。
 まさに命にかかわる問題です。都立学校のエアコンの更新計画を策定し、改善を進めるべきですが、いかがですか。

Q6 学校の断熱改修も急がれます。
 エアコンがあっても暑すぎる教室の改善に向けて、学校の断熱改修を求める署名が取り組まれ、先日約2万7千筆が文科大臣に提出されました。
 都立学校でも、計画的に既存学校の断熱改修が必要ではありませんか。

6 神宮外苑再開発、外環道、羽田新ルートについて

 都民の声を聞かないことは、小池都政の重大な問題点です。

 その最たるものが、神宮外苑再開発です。

Q1 坂本龍一さんの遺志を継ぐように、細野晴臣さん、浅田次郎さん、秋吉久美子さんら78名が声明を出し、サザンオールスターズは外苑再開発を憂う新曲を発表しました。
 ユネスコの諮問機関イコモスは、文化遺産の危機を警告する「ヘリテージアラート」を、約40人の各国代表委員の全員一致で出し、再開発事業の中止・撤回を求めました。
 イコモスのエリザベス委員長は、「世界の主要都市で公園の土地を再開発に回すことは聞いたことがない。全員がショックを受けた」と述べています。
 ところが知事は会見で、再開発を批判する都民の意見を「ネガティブキャンペーン、プロパガンダ」と攻撃し、イコモスの警告への受け止めを聞かれて、「かなり一方的な情報しか入っていない」と答えました。
 都民を代表する知事としてあまりに不誠実・不見識な発言であり、謝罪・撤回すべきです。知事いかがですか。

Q2 知事、「一方的な情報しか入っていない」と言うなら、知事と開発事業者、イコモスと都民による公開討論会を開くべきではありませんか。

Q3 公園の土地を削って3棟の超高層ビルを建て、歴史ある高木約千本も伐採・移植し、CO2を年間約5万㌧も排出する神宮外苑再開発は、世界の非常識だということが、イコモスの警告から浮き彫りになりました。
 住民説明会では、「なぜ高層ビルが必要なのか」という質問が集中し、事業者は、「高い建物を建てるなどして床を作りだすことで経済合理性を成り立たせ、事業費をまかなっていく」と答えました。
知事は所信表明で、「経済性や効率性が優先された高度経済成長期の都市開発は遠い過去のものです」と語りましたが、神宮外苑再開発は、経済性や効率性が優先された都市開発そのものではありませんか。

Q4 外苑を象徴するイチョウ並木で、状態の悪化しているイチョウの木が、現在6本あります。そのことを知事はご存じですか。

Q5 都は事業者に対し、「既存樹木の保全等の検討結果はいまだ示されていない」として、樹木の保全の具体策の提示を求める要請を行いました。
 都は、事業者から具体的な樹木の保全策が示されるまで伐採はすべきではないという立場ですか。お答え下さい。

 再開発の中止・撤回を、改めて知事と事業者に厳しく求めるものです。

Q6 外環道は、陥没事故から3年になります。住民合意のない地盤補修工事が始まり、調布市内の被害地は、新たな深刻な問題に直面しています。
 閑静な住宅地は今や見る影もありません。多くの住民が立ち退きを迫られ、残った家が点在する状態です。そして地域全体が地盤補修の工事現場と化し、騒音と振動に悩まされています。
 住民の方々は、何の落ち度もないのに、こんな状況を耐え忍ばなければならない理由は何一つない、二度と元の生活に戻れないと訴えています。
 知事、この声をどう受け止めますか。理不尽な話だと思いませんか。

Q7 知事はこの3年間、一度も現地に足を運んだことがありません。
 新たな課題に直面する現場に足を運び、被害住民の話を直接聞くべきではありませんか。

Q8 羽田新ルートも、本格実施されて3年になります。
 4月の国際線の発着回数は、この間8倍に増えています。騒音や落下物への不安など地域住民の負担はますます大きくなり、耐え難いものがあります。
 羽田新ルートを容認した知事の責任は重大です。知事、容認したのは正しかったと考えているのですか。

Q9 品川区民の声と運動により、全区民を対象にしたアンケートの実施が決まりました。
 一方知事は、「様々なご意見があることは承知している」と繰り返しますが、住民の声を直接聞いたことがありません。知事、現地に出向き、騒音を体感し、住民の声を聞くべきではありませんか。

 羽田新ルートは中止し、海上ルートに戻すことを求めるものです。

 神宮外苑再開発、外環道、羽田新ルート、いずれも経済界の要求を最優先にする小池都政の歪みによって生み出されています。
 わが党は、都民の声に耳を傾け、都民参加のまちづくりを進める知事を誕生させるため全力をつくします。

7 英語スピーキングテストについて

 中学校英語スピーキングテストESAT―Jも、「経済界ファースト」の小池都政の歪みの象徴です。
 多くの問題点が指摘されても情報を公開せず、批判に耳を貸さず、子どもたちの声も聞かないで強引に進めていることに怒りが広がり、大きな都民運動となっています。
 
Q1 知事は所信表明で、あたかもESAT―Jで中学生の英語力が上がったかのように言いました。
 しかし、根拠とした全国学力テストの平均正答率にスピーキングの成績は含まれていません。また、今年の全国学力テストを受けた中学3年生は、昨年は2年生ですから、ESAT―Jは受けたことがありません。知事、こうした事実はご存知ですか。

 全国学力テストの結果とESAT-Jは無関係です。
 そもそも全国学力テストは順位づけのためのテストではないと、実施主体の文科省が言っているのです。
 都民の批判をかわすために間違った情報をふりまくのは、やめて下さい。

 これまで4年間にわたりベネッセが準備を進め試験を実施しましたが、採点の公平性が担保できない、個人情報保護が適切でない、試験会場で周りの生徒の解答が聞こえたなど、深刻な問題が起きてきました。
 都教委は検証もせずに、「試験は適切に行われた」と言い張っていますが、協定期間満了に伴う新たな事業者募集が行われ、ベネッセは応募すらできず撤退しました。ここに、ESAT-Jの破たんがはっきり表れています。

Q2 今、驚きと怒りが広がっているのは、撤退せざるを得なくなったベネッセが、今年のESAT-Jを実施することです。
 「ベネッセの消化試合のような試験に子どもたちを巻き込まないで」という声を、どう受け止めますか。
 契約期間が今年度まで残っているとはいえ、撤退したベネッセによる試験の実施、高校入試への活用は、あり得ません。都民の理解が得られると思っているのですか。お答え下さい。

 事業者はブリティッシュカウンシルに変わります。
 ベネッセの昨年度1年間の事業費は、約5億円でした。

Q3 ブリティッシュカウンシルが事業者の応募に際し提示した、今後6年間の事業費はいくらですか。

Q4 試験や採点の方法、不受験者の対応などが踏襲されるかぎり、入試の公平性・透明性が担保できないという根本問題を解決することはできません。
 スピーキングテストは、きっぱり中止すべきです。答弁を求めます。

8 PFASについて

 知事は所信表明で、PFAS汚染対策にも、多摩市への統一協会進出問題にもふれませんでした。

Q1 「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」は、791人の血中濃度検査の結果を発表しました。
 約半数が、アメリカで「健康被害の恐れがある」とされる数値を超える、深刻な実態が明らかになりました。
 知事は、この結果をどう受け止めていますか。

Q2 横田基地で、PFASが含まれている泡消火剤の漏出事故が2010年以降、少なくとも3回あったことが、わが党の防衛省からの聞き取りで明らかになりました。
重大な事実です。知事、横田基地への立ち入り調査を求めるべきです。いかがですか。

Q3 PFASによる土壌汚染の調査について、都は予算議会でわが党の質問に対し、国が測定方法を検討するとしており国の動向を注視していくと答弁しました。
 その後、国は7月に、土壌調査の暫定測定方法を自治体に通知しました。
 都はどう対応するのですか。ただちに着手することを求めますが、いかがですか。

 汚染の除去対策も重要です。

 水道局は、水道水のPFAS除去対策について早急に研究し、具体化すべきです。
 武蔵野市は、小中学校の防災井戸にPFASを除去できる浄水器を設置すると発表しました。調布市は小中学校や民間の防災井戸などの調査を行うとしています。
 自治体によるこうした取り組みを支援することが必要です。

Q4 市長会は、PFASの汚染実態の原因究明と対策を、都の来年度予算に対する「最重点要望」に掲げ、財政支援を求めています。知事、この要望にこたえるべきです。答弁を求めます。

9 統一協会、歴史認識、人権、平和について

Q1 統一協会による深刻な被害は今も続いています。国に対し、速やかに解散命令を出すよう強く働きかけるべきです。
 また、統一協会が多摩市内に購入した土地の近隣には、国士舘大学や都立永山高校があります。
 国士舘大学や多摩市は、統一教会に直接、開発行為や活動拠点化を止めるよう、申し入れを行いました。都としても直接申し入れるべきです。中村副知事の見解を伺います。

 歴史認識と人権、平和について質問します。

 関東大震災から百年の今年も、知事は、朝鮮人犠牲者追悼式典への追悼文を出しませんでした。送付中止は7年目です。
 何が明白な真実かは歴史家がひもとくものとか、東京都慰霊堂で開かれる大法要において、東京で起こった甚大な被害と、それに続く様々な事情で亡くなられた全ての方々に対して哀悼の意を表していると知事は言いますが、そんな言い訳は成り立ちません。

Q2 東京都は1972年に著作・発行した「東京百年史」で、関東大震災で多くの朝鮮人が惨殺される事態が起きたことを史実として認め、震災とは別の、惨殺による被害者を弔い、反省と、二度と繰り返さない決意を込めて、民間団体と連携し、関東大震災五十年の1973年に追悼碑を建立しました。
 知事は、こうした追悼碑建立の経緯を、どう認識していますか。

Q3 歴代都知事は、その年から毎年、「悲劇を二度と繰り返さない」とする「追悼の辞」を送付してきました。
 小池知事が追悼文を中止したのは、朝鮮人虐殺を史実と認めないという動機に加え、震災による犠牲者と虐殺による被害者の区別をあいまいにして、虐殺の悲劇を二度と繰り返さない決意を表明したくないからではありませんか。知事、お答え下さい。

 小池知事の姿勢は、歴史修正主義そのものと言われても仕方ありません。また岸田政権の立場と同じです。
 わが党は、歴史の事実に向き合い、追悼文を再開する知事を誕生させるため全力をつくすものです。

 都内10校の朝鮮学校への補助金を都が停止してから、13年が経ちました。外交で解決すべき問題を教育に持ち込み、子どもの学ぶ権利を侵害しています。
 さらに、そのことがヘイトスピーチ・ヘイトクライムを呼び起こし、子どもたちを危険にさらしています。
 東京都こども基本条例および人権条例は、子どもの学ぶ権利を尊重し、差別など人権侵害を許さない立場です。
 2つの条例に照らしても、朝鮮学校への補助金停止は整合性がとれません。

Q4 こども基本条例には朝鮮学校の子どもも当然含まれると考えますが、いかがですか。朝鮮学校の子どもたちの人権を尊重し、安心して学ぶ環境を保障することは、都の責務ではありませんか。知事の見解を求めます。

 差別を助長するようなことはやめ、朝鮮学校への補助金支給を再開することを求めるものです。

Q5 アメリカ海兵隊のMV22オスプレイが8月末、オーストラリアで墜落し、3人が亡くなり、5人が重傷と報道されました。
 MV22オスプレイは、わずか2年で3機が事故で墜落し、12人が亡くなっています。
 空軍のCV22オスプレイを含めると、事故による死亡者は1992年以来57人におよびます。
 国内でも、9月14日以降6機も相次ぎ不具合による緊急着陸をしています。
 これだけ事故が続く異常事態を放置できません。横田基地のオスプレイの飛行・訓練はやめるよう、政府と米軍に強く要請すべきです。知事いかがですか。

Q6 知事は所信表明で、またしてもミサイル攻撃への備えを強調しました。
 一方、沖縄県知事は、辺野古新基地建設について、平和が脅かされ意思決定への平等な参加が阻害されている沖縄の現状を、国連で訴えました。沖縄県、広島県、長崎県は、県の事業として、平和祈念館や原爆資料館を拠点に世界への平和の発信を行っています。
 知事、自治体の長として、こうした取り組みこそ必要ではありませんか。

 わが党は、東京都平和祈念館を建設し、首都東京から平和を発信する知事を誕生させるため全力をつくします。

10 五輪の談合・汚職問題について

 最後に、五輪の談合・汚職問題です。

Q1 東京五輪の談合について調査報告書が公表されました。
調査チームのトップは五輪組織委員会の関係者であり、個人の責任、違法性の追及はしないとするなど不十分なものです。
 所信表明で知事は、東京で開かれる世界陸上などの国際スポーツ大会が「公正で信頼されるものとなるよう」サポートすると言いました。
 知事は、五輪の談合・汚職事件の徹底検証がないまま、都民の信頼が回復できると思っているのですか。

Q2 まだ多くの問題が残されています。
 たとえば、逮捕された森泰夫元次長は、談合にあたり作成していたとされる受注予定事業者一覧表を見せながら、上司に調整の状況を報告したと認めています。この上司は都から組織委員会に派遣されていた吉村元財務局長です。
 都の調査では、吉村氏と推測される人物が、「一覧を見たことがあるが、それにより受注調整をしているとは思わなかった」と証言しました。
 ところが吉村氏は、検察には「外部に見せたら官製談合が疑われるので、まずいことになると忠告した」と供述しています。
 吉村氏は、受注調整の動きを知っていた可能性があります。知事、事実を解明するための新たな調査が必要ではありませんか。

Q3 また、談合があったテストイベントの事業者を選定したのは、事業者選定審査会です。ところが組織委員会は、メンバーの名前も肩書も公表していません。
 山下財務局長が構成員であったことは、先日の特別委員会で明らかにされました。森元次長も構成員だったのではありませんか。

Q4 都は、談合による排除措置命令等が出たら損害賠償請求を行うよう清算法人に働きかけると表明しています。
 組織委員会に派遣していた都の職員が関与していたら、その個人に対して損害賠償を請求する必要があります。
 損害賠償請求を正しく行うためには、個人の責任を明らかにするための新たな調査が必要ではありませんか。

Q5 大規模大会は、電通をはじめとする大手事業者でなければできないという認識は幻想であり、今後の大会の正常な運営のためにも断ち切るべきです。
 この点について調査に協力した有識者は、報告書の70㌻の特定事業者への依存について、意見の冒頭2行でどのように述べているのか答弁を求めます。

 今回の調査報告書を出発点に、新たな徹底調査が必要です。
 わが党は、議会の役割も厳しく問われていることを深く自覚して引き続き全力で取り組むことを表明し、再質問を留保して質問を終わります。

 

【 答 弁 】

〇小池百合子都知事 

 よろしいですか。——白石たみお議員の代表質問にお答えいたします。

 補正予算についてであります。
 都はこれまでも、当初予算や補正予算におきまして、物価高騰等への対策といたしまして、都民生活を支えるセーフティーネット支援、事業者の前向きな取組に対する支援など、重層的な対策を講じておりまして、物価高騰等の影響が続く中、こうした取組を着実に実施してまいります。

 学校給食費についてのお尋ねでありました。
 学校給食法では、学校給食は設置者が実施し、食材費等の学校給食費は、児童または生徒の保護者が負担することとされております。
 学校給食費の取扱いにつきましては、国の責任と負担によるべきものと考えております。
 区長会、市長会から要望があったことは承知をしております。

 子育て、教育についてでございます。
 次世代へ希望を引き継ぐ社会の実現に向けましては、少子化対策、子育て支援のため、大胆に教育費の負担軽減を図ることが重要でありまして、既にスピード感を持って様々な施策に取り組んでいるところでございます。

 大企業の内部留保に関するご指摘についてでございます。
 企業それぞれの経営判断に基づくものだと認識をいたしております。都は、引き続き機動的に必要な施策を実施いたしまして、都民生活や東京の経済をしっかりと支えてまいります。

 事業者への支援についてでございます。
 原材料価格の高騰の長期化などにより、事業者の経営に影響が生じております。
 このため、都は、資金繰りの支援を行うほか、経営面のアドバイスなどによりまして、中小企業の事業の継続を後押しいたしております。
 これらによりまして、事業者への支援を進めてまいります。

 新型コロナウイルス感染症対策についてであります。
 都は、この冬に感染が拡大した場合に、都民の命と健康を守るための備えといたしまして、高齢者等医療支援型施設の運営、そして高齢者施設等の職員に対する集中的検査などを継続するとともに、感染拡大に機動的に対応できる体制を維持することといたしております。

 次に、シルバーパスについてであります。
 シルバーパス制度は、高齢者の社会参加を助長し、もって高齢者の福祉の向上を図ることを目的といたしております。
 現在、多くの高齢者がシルバーパスの発行を受けまして、社会参加と生きがいの活動に活用されていると認識をいたしております。

 子供の性被害への対応についてであります。
 子供への性犯罪、性暴力は重大な人権侵害であり、決して許すことはできません。
 都は、東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターにおきまして、子供やその保護者等も含めまして、二十四時間三百六十五日体制で電話相談を受け付けるなど対応を行っております。
 今後とも、全ての子供の人権が守られる社会の実現に向けて取り組んでまいります。

 関東大震災で犠牲になられた方々に対する追悼について、私は、三月と九月に都立横網町公園で執り行われている大法要におきまして、震災とその極度の混乱の中で犠牲となられた全ての方々に対して哀悼の意を表しております。

 最後に、東京二〇二〇大会についてでございます。
 国際大会には、都民、国民の信頼が重要であり、調査チームの外部有識者によりまして課題の抽出、分析を行い、報告書を公表いたしました。
 なお、談合事件及び汚職事件につきましては、公判により事実関係が明らかになるものと考えております。

 その他の質問につきましては、副知事、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。

〇中村倫治副知事 

    旧統一教会への対応についてのご質問にお答えをいたします。

 旧統一教会につきましては、その活動について違法性が指摘されており、国が質問権を行使し、さらに過料を科すよう裁判所に求めている状況にございます。
 都は、都庁横断的な体制を構築するとともに、関係機関と緊密に連携し、対応してきております。
 また、国が旧統一教会の運営実態を明らかにし、適切な対応を行うことがまず重要であることから、都民の安全・安心な生活を確保するため、引き続き、国に迅速な対応等を求めてまいります。

〇浜佳葉子教育長

 十四点のご質問にお答えいたします。

 まず、都立学校における学校給食費についてでございますが、食材費等の学校給食費は、法において保護者等が負担することとされており、その取扱いについては、国の責任と負担によるべきものと考えております。
 なお、自治体が行う支援については、各自治体の判断により実施されているものと認識しております。

 次に、都立高校における授業料についてでございますが、都教育委員会は、家庭の経済状況にかかわらず、子供たちが希望する教育を受けられるようにするという考え方の下、国の就学支援金により、年収九百十万円未満の世帯に対し、授業料を実質無償化しております。

 次に、教職員による性暴力の防止についてでございますが、教職員による児童生徒への性暴力は断じてあってはなりません。

 都教育委員会では、全教職員による自己点検や研修等を通じ、性暴力の防止に取り組んでおります。
 当該事案については、警察の捜査状況を踏まえ、厳正に対処いたします。

 次に、教職員による性暴力の相談環境の整備についてでございますが、都教育委員会では、児童生徒への性暴力の早期発見に向けて、都内公立学校の全ての児童生徒に相談シートを配布するほか、弁護士による第三者相談窓口を設置し、過去の事案も含め、広く相談を受け付けております。
 当該事案も、窓口への相談をきっかけとして、警察等と連携して対応したものでございます。

 児童生徒の性暴力被害を防止する取組についてでございますが、都教育委員会は、児童生徒が性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないようにするため、本年度、生命(いのち)の安全教育に関する実践事例等をまとめた教員向け指導資料や、性暴力から身を守る対処法等を掲載した児童生徒向け啓発チラシを電子データで配布するなど、都内公立学校における指導の充実を図っております。
 引き続き、こうした取組を通して、児童生徒が性暴力の被害から自分を守れるようにするための教育を推進してまいります。

 小学校の教員についてでございますが、都内公立小学校においては、休職等の理由による欠員が九月一日時点で百四十人程度でございますが、随時臨時的任用教員を確保し、補充をしております。
 教員の業務負担についてでございますが、学校における教育の質の向上を図るためには、教員が安心して働ける環境を整えることが重要であることから、都教育委員会は、校務のDX化や外部人材の活用等により、教員の業務負担の軽減に取り組んでおります。
 少人数学級の拡大等についてでございますが、学級編制及び教職員定数については、教育の機会均等や、全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任において行われるべきと考えております。

 都立学校の空調設備についてでございますが、都立学校において、お尋ねの事象があったことは承知しております。
 都立学校の普通教室では、既に全校で空調設備を設置しておりますが、空調機能が低下した学校では、スポットクーラー等を設置しております。
 現在、都教育委員会は、全館空調設備の更新工事を順次進めており、全館空調設備を設置している三十二校中、改修が完了している学校は十二校、設計、改修工事中の学校は九校となっております。
 これまでに着手していない十一校については、設計等に着手できるよう必要な対応を行ってまいります。

 都立学校の校舎の断熱についてでございますが、都の施設の改築等に当たっては、省エネ・再エネ東京仕様により、断熱性の向上に取り組むこととなっており、都立学校においても計画的に進めております。

 知事の所信表明についてでございますが、使える英語力を育成するためには、聞く、読む、話す、書くの四技能をバランスよく身につける必要があります。
 都教育委員会では、スピーキングテストの実施や動画教材の提供のほか、ペアワークやグループワークなど、様々な学習形態を工夫し、各学年を通じて英語によるコミュニケーション能力を伸ばしております。
 これらの先駆的な取組の結果として、今年度のスピーキングテストに挑戦する中学三年生を対象に実施された国の学力調査では、英語の平均正答率が全国一位となるなど、英語力の向上が図られていることを説明したものでございます。

 今年度のスピーキングテストについてでございますが、都教育委員会は、都民の理解が得られるよう、必要な周知を関係者に行っており、事業者と締結した協定等に基づき、適切に事業を進めております。
 次期事業者の見積りについてでございますが、新たな資器材の調達や中学一、二年生の実施も含めまして、六年間で二百十億円となっております。

 次に、スピーキングテストの実施についてでありますが、今年度の実施に当たり、運営等の改善を継続し、生徒がより安心して受験できるよう準備してまいります。
 また、事故や病気などやむを得ない理由によりテストを受験することができなかった生徒に対する不受験者の措置は、様々な事情、状況にある多様な生徒が受検する都立高校入試では合理的で最善の方法でございます。
 都教育委員会は、学習指導要領で求められている英語の四技能の習得状況を測るため、スピーキングテストを着実に実施し、引き続き、その結果を都立高校入試に活用してまいります。

〇中島高志東京都技監 

 三点のご質問にお答えいたします。

 初めに、外環の地盤補修工事についてでございますが、陥没発生以降、事業者である国及び高速道路会社は、地盤補修について、繰り返しオープンハウス及び意見交換を行った上で工事に着手しており、引き続き誠意を持って取り組むとしております。
 事業者は、緩んだ地盤を早急に補修するため、買取り等にご協力いただいた場所から着手していると聞いております。

 騒音、振動につきましては、できるだけ抑制する工法を採用するとともに、工事中の状況を随時地元にお知らせし、必要な改善を行いながら、低減に努めるとしております。
 都は事業者に対し、引き続き住民の不安払拭に向け、丁寧な説明やきめ細やかな対応を行うよう求めてまいります。

 次に、外環事業の地元対応についてでございますが、本事業は、国及び高速道路会社により進められております。
 都はこれまでも、事業者に対し、様々な機会を捉えて、住民の不安払拭に向け、丁寧な説明やきめ細やかな対応を行うよう求めてきておりまして、引き続き丁寧に取り組んでいくよう求めてまいります。

 最後に、横網町公園の追悼碑についてでございますが、民間の団体が犠牲者の追悼を目的として寄附を募り、昭和四十八年に建立したものを都が寄附を受けたと認識しております。

〇横山英樹生活文化スポーツ局長 

  四点のご質問にお答えいたします。

 まず、私立中学生の授業料負担の軽減についてですが、私立中学校等特別奨学金は、国が行っていた中学生への支援事業や高校生の授業料負担軽減とのバランスなどを総合的に考慮して、年収約九百十万円未満の世帯に対し、支援を実施しております。

 次に、私立高校生の授業料負担の軽減についてでございますが、都は、家庭の経済状況に子供の学校選択が左右されることなく、希望する教育が受けられるよう、国が定めた基準も踏まえ、年収約九百十万円未満の世帯に対し、私立高等学校等特別奨学金による支援を実施してきております。

 次に、私立高校生の教育費負担の軽減についてでございますが、都は、授業料について、国の就学支援金と合わせて都の特別奨学金により、都内私立高校の平均授業料まで支援をしております。
 また、奨学給付金、育英資金、入学支度金貸付などにより、授業料以外の負担を軽減しております。
 こうした施策を総合的に活用し、保護者負担の軽減を図っております。

 最後に、平和に関する取組についてですが、戦争の惨禍を被った歴史を持つ都民にとって、恒久平和の実現は最大の願いであります。
 都は、東京都平和の日条例を制定し、三月十日の記念式典をはじめ、東京空襲資料展などを実施しております。

〇野間達也総務局長 

 東京都立大学における授業料無償化についてでございますが、都立大はこれまでも、授業料の減免等により、経済的に困窮している学生の修学機会を適切に確保してまいりました。
 今般の無償化は、少子化の現状を踏まえ、都内子育て世帯の教育費負担軽減を図る観点から、所得や住所等の要件を満たす世帯を対象に授業料を免除するものでございます。

〇佐藤智秀福祉局長

 七点のご質問にお答えいたします。

 まず、〇一八サポートの収入認定についてでございます。
 生活保護制度では、児童手当等の給付金は世帯の収入として認定され、その分、保護費が減額されることとなっており、〇一八サポートも同様の取扱いとされております。
 〇一八サポートは、保護者等が給付対象となる児童手当とは異なり、子供本人を対象とした施策であり、給付金は子供本人の収入となります。
 都は、本年四月以降、こうした事業の趣旨を国に説明してまいりましたが、今般、改めて本事業が子供一人一人の成長をひとしく支えるための制度であることを踏まえ、収入認定から除外するよう国に要望いたしました。

 次に、高齢者支援についてでございますが、高齢者の暮らし向きは様々でございます。現行の東京都高齢者保健福祉計画では、介護予防、フレイル予防の推進や、高齢者の地域生活を支える取組などを重点分野に位置づけ、様々な施策に取り組んでおり、現在、次期計画の策定に向け、検討を進めております。

 次に、高齢者の医療費についてでございます。
 高齢者の医療費負担の在り方については、社会保障制度全体の中で、国の責任において対応すべきものでございます。
 なお、後期高齢者医療制度の見直しに当たりましては、受診抑制につながらないよう低所得者に配慮することを国に提案要求しております。

 続いて、補聴器支給等に係る区市町村への調査についてのご質問でございます。
 都は、区市町村が高齢者への補聴器支給等の事業を地域の実情に応じて柔軟に実施できるよう、包括補助により支援をしております。
 今回実施した調査は、区市町村の実施状況を幅広く把握することを目的としております。
 加齢性難聴は、早期発見、早期対応が重要であることから、効果的な施策について、引き続き区市町村など関係者の意見も聞きながら検討してまいります。

 次に、補聴器支給等を行っている自治体の数についてでございます。
 包括補助による実績は、五年前の平成三十年度の二自治体から、昨年度は十三区一市一村の計十五自治体となっております。
 今年度については、現在、区市町村からの申請を受け付けているところでございます。

 続いて、補聴器支給等に係る区市町村の意見についてでございます。
 六十二自治体に調査を行い、財政負担や補助率に関する意見については、三自治体からいただいております。

 最後に、補聴器購入費等に係る補助制度についてでございますが、都は、包括補助の選択事業として補助率二分の一で支援をしております。
 補助実績は、平成三十年度の二自治体から、昨年度は十五自治体へと増加しており、本事業を実施していない区市町村に対し、補助制度の活用を働きかけてまいります。
 また、引き続き区市町村や専門家など関係者の意見も聞きながら効果的な施策を検討してまいります。

〇坂本雅彦産業労働局長

  五点のご質問にお答えいたします。

 まず、賃金の引上げについてでございますが、都内経済の活性化を図り、職場で働く方が安心して生活できる環境を整えることは必要でございます。
 都は、労働者の処遇改善に向けた中小企業の様々な取組について、経営や職場づくりの面から支援をしております。

 次に、中小企業のコストについてでございますが、東京の産業を担う中小企業に対し、都は、エネルギーのコスト等を削減できるよう支援を行っているところです。
 これによりまして、その経営の持続と発展をサポートいたします。

 次に、水素利用の拡大についてでございますが、水素は太陽光などでつくったエネルギーを長期間にわたり蓄え、ニーズに応じ速やかに活用ができます。この普及により、多様な分野での脱炭素化に役立ててまいります。

 次に、省エネ診断についてでございますが、都は今年度から、診断の体制を拡充するほか、民間事業者が現場で調査や提案を行う取組を開始しております。

 最後に、太陽光発電についてでございますが、都は、農家を含む事業者が地産地消型の再エネ設備を導入する場合、その経費への支援を行っております。

〇児玉英一郎主税局長

 消費税についてでございます。

 持続可能な社会保障制度の構築を図るためには、安定財源の確保が必要不可欠であり、消費税は重要な役割を果たしています。
 また、インボイス制度の導入に当たり、中小事業者から不安の声もあるとの報道については承知しています。
 インボイス制度を含む消費税の在り方につきましては、経済や国民生活に与える影響など様々な観点を踏まえながら、国において議論されるべき問題であると認識しております。

〇雲田孝司保健医療局長

    七点のご質問にお答えいたします。

 まず、新型コロナ治療薬の公費支援についてでございますが、患者の急激な負担増による受診控え等が生じないよう、全国知事会から治療薬の公費支援の継続を要望しており、国の責任において全国一律で実施すべきものと認識しております。

 次に、都立病院の病棟についてでございますが、本年九月時点の休止病棟は、十四病院全体で二十二病棟であり、そのうち六病棟は工事によるもの、その他につきましては、新型コロナ病棟への看護師の応援や、現在の職員体制に応じた病床運用などによるものでございます。

 次に、都立病院の新型コロナ患者の受入れについてでございますが、都立病院は、感染症医療等の行政的医療の提供を役割とし、新型コロナ対応では、五類移行後も通常医療との両立を図りながら、重症、中等症の患者や軽症でも重い基礎疾患のある方、妊婦、小児、透析患者、障害のある方などを積極的に受け入れており、引き続き、こうした医療を必要とする患者を受け入れてまいります。

 次に、都保健所についてでございますが、公衆衛生等の学識経験者、医療機関、医師会、市町村の代表等で構成する都保健所のあり方検討会において、都保健所と市町村等との連携強化を図ることなどが重要との意見をいただいており、都保健所の体制強化につきましては、こうして意見等を踏まえ、検討してまいります。

 次に、都保健所の体制についてでございますが、都保健所は、二次保健医療圏における広域的、専門的、技術的拠点として、地域の感染症対策の重要な役割を担っており、新型コロナ対応で得られた知見や、あり方検討会でいただいた市町村等との連携強化などが重要との意見等を踏まえ、体制強化について検討してまいります。

 次に、公衆衛生医師についてでございますが、都は、公衆衛生医師の安定的な確保が必要なことから、医科大学での公衆衛生医師業務に関する講義や、保健所での医学生実習の受入れ、対面やオンラインでの業務説明会などに取り組んでおります。

 最後に、PFOS等の血液検査についてでございますが、国の専門家会議では、現時点の知見では、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が生じるかは明らかでなく、血中濃度に関する基準の設定や、血液検査の結果のみによる健康影響の把握は困難としております。

 都は国に対し、健康影響及び環境に関する評価について、科学的根拠に基づいた知見を示すよう要望しております。

〇栗岡祥一環境局長 

     六点のご質問にお答えいたします。

 まず、気候変動対策についてでございますが、都は、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向けて、今後とも、より一層の省エネとともに、脱炭素エネルギーである再生可能エネルギーの基幹エネルギー化を図ってまいります。

 次に、公開討論会についてでございますが、本件開発事業に係る手続においては、条例等に基づき、都民の意見を聞く機会を設けてまいりました。

 次に、イチョウ並木についてでございますが、事業者は、適切に日常管理を行い、四列イチョウ並木を全て保全するといってございます。

 次に、事業者への要請についてでございますが、今回の要請は、新ラグビー場敷地の樹木の伐採に着手する前までに、環境影響評価書で示された検討を行った結果として、既存樹木の保全に関する具体的な見直し案を示すよう求めたものでございます。

 次に、有機フッ素化合物の土壌調査についてでございますが、国がまとめた土壌中のPFOS等の測定方法は暫定的なものであり、いまだ土壌調査の対象、評価指標、運用方法及び必要な措置等は示されてございません。
 都は、引き続き国に対し、これらについて明らかにするよう求めてございます。
 最後に、有機フッ素化合物の原因究明や支援についてでございますが、都は現在、地元市の意見を聞きながら、都内全域のPFOS等の汚染状況の把握を前倒しして進めてございます。
 暫定指針値を超過した地点では、調査を継続し、関係局とも飲用に供さないよう助言等を行っているところでございます。

〇谷崎馨一都市整備局長
  
 六点のご質問にお答えいたします。

 まず、記者会見での発言についてでございますが、事業者からは、四列のイチョウ並木の保全に万全を期すとともに、関係者が一体となって既存樹木の保全に取り組み、従来よりも樹木の本数や緑の割合を増加させる計画が示されており、こうした事実を踏まえたものでございます。

 次に、再開発についてでございます。

 事業者からは、政教分離の原則も踏まえ、内苑、外苑を合わせた明治神宮を将来にわたって護持していくために、守るべきものを守り、必要な更新は行い、次の百年に向けて、外苑をより開かれ親しまれるものにしていくとの考えが示されており、ご指摘には当たりません。

 次に、羽田新飛行経路の導入についてでございます。
 羽田新飛行経路は、国が自らの責任と判断で導入を決定したものでございます。国はこれまで、都の要請を踏まえて、低騒音機の導入促進や落下物防止対策等を実施してまいりました。
 こうした国の対応は一定の評価ができるものではございますが、都といたしましては、引き続き国に対し、丁寧な情報提供と騒音、安全対策の着実な実施を求めてまいります。
 次に、羽田新飛行経路に関する意見についてでございます。
 都は、新飛行経路の運用開始以降、国が参加している関係区市との連絡会などの機会において、航空機騒音の測定結果などの情報を共有するとともに、都に寄せられた意見を国に伝えております。

 次に、横田基地の泡消火薬剤漏出についてでございます。
 都は、国に対して、国の責任において基地内のPFOS等漏出に関わる地下水への影響について調査、分析、評価を行い、その結果を公表するなど、必要な対応を行うことなどを要請いたしました。
 国からは、本件につき、日米関係者において様々な場を活用して協議を行ってきていること、また、環境省の専門家会議における検討などを踏まえ、引き続き米側及び関係省庁と連携しつつ対応していくことなどを聞いており、今後も国に必要なことを申し入れてまいります。

 最後に、オスプレイについてでございます。
 安全保障に関することは国の専管事項であり、米軍機の安全確保は、国が責任を持って行うべきでございます。
 本年八月、国からは、米軍専門部局から飛行の安全に関わる構造上の欠陥はない旨を確認したと聞いております。
 その後、最近の予防着陸等を受け、運用における安全確保の徹底を国に要請いたしました。

〇田中慎一子供政策連携室長 
 
    東京都こども基本条例についてのご質問です。

 東京都こども基本条例の基本理念に掲げられているとおり、全ての子供が健やかに育っていけるよう、社会全体で子供を育む環境を整備していくことは重要です。
 このため、都は、子供目線に立った政策を盛り込んだこども未来アクションを基に、子供の学びや成長への支援に取り組んでおります。

〇古谷ひろみ政策企画局長 
  
 四点のご質問にお答えします。

 まず、都の調査についてでございますが、都の調査報告書において、有識者からは全てのヒアリング記録を確認いただいた上で、一覧表を見た職員はいたが、談合の認識があったことは確認できなかったとの意見をいただいております。
 また、お話の点について、公判において検察側から受注調整の動きを知っていたとは示されておりません。

 次に、事業者選定審査会についてでございますが、清算法人からは、都における局長級以上の都派遣幹部を除き、具体的な職名は提供されておりません。

 次に、損害賠償請求についてでございますが、談合による排除措置命令等が確定した場合、清算法人に対して損害賠償請求等を行うよう働きかけ、また、対象となる公費について返還を求めるなど、適切に対応することとなります。

 最後に、調査における有識者の意見についてでございますが、お話の箇所には、特定事業者しか遂行できないとの認識は、いわば幻想でしかないと記載されておりますが、有識者からは、ノウハウを持った人材の確保、利益相反対策、監査や情報公開の在り方など、要因は幅広い領域に及ぶものであるとの意見が示されております。

【 再 質 問 】

○百二十五番(白石たみお) 
  
 知事の基本姿勢について一言申し上げます。

 都政の大問題である神宮外苑再開発、PFAS汚染、英語スピーキングテスト問題でも、知事は何と一問も答弁しませんでした。都民と議会に知事自ら説明する気がないのですか。

 再質問への答弁も知事は拒否し続けています。我が党の再質問に知事が答弁したのは、二〇二〇年第一回定例会が最後です。知事が二期目になってから一度も答弁していません。知事、なぜ答弁しないのですか。知事の資格に関わる問題ではありませんか。

 神宮外苑再開発について再質問いたします。

 知事には、事業者からの一方的な情報しか入っていません。私は、知事の所信表明を引いて、神宮外苑再開発は、経済性や効率性が優先された都市開発そのものではありませんかと知事に質問しました。

 これに都市整備局長が、事業者からは、内苑、外苑を合わせた明治神宮を将来にわたって護持していくためと答弁しました。事業者の発言だといいますが、明治神宮を守るための再開発だという都の行政文書にないことを議会であえて答弁したということは、都も同じ考えだということでよろしいでしょうか。お答えください。

 以上、再質問を終わります。(拍手)

〇谷崎馨一都市整備局長
 
 再質問についてお答えいたします。

 今回の再開発は、神宮外苑の歴史や文化を適切に継承しながら、にぎわいあふれる緑豊かなスポーツの拠点としてさらに発展させていくため、明治神宮など民間事業者が自らの所有地において実施するものでございます。
 事業者からは、政教分離の原則も踏まえ、内苑、外苑を合わせた明治神宮を将来にわたって護持していくというまちづくりの意義が示されているところでございます。

以上