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質問・条例提案

2023.10.05

本会議 藤田りょうこ都議(大田区選出)の討論

2023年10月5日の本会議で、藤田りょうこ都議(大田区選出)が討論を行いました。

 

動画(都議会ホームページです。令和5年第3回定例会 > 10月5日本会議(議案の議決など)ご覧ください)

★討論全文(原稿です)


 高島直樹議員のご逝去を悼み、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 日本共産党都議団を代表して、知事提出の第167号議案に反対、日本共産党提出の条例案に賛成の立場から討論します。

物価高騰が暮らしや営業に深刻な影響をもたらす中、知事が今定例会に補正予算を出さなかった姿勢は、厳しく問われます。
 知事は、重層的な対策を講じていると答弁しましたが、6月補正予算に計上した都民生活と中小企業等を支援する13事業すべて、9月末で終わってしまいました。
 特別区では20区が、都が終了した事業の継続を含め、暮らし支援の補正予算を9月議会に提出しました。
全国では32道府県が、物価高騰対策などの補正予算を組んでいます。
 国が経済対策をまとめたら具体化します、という話は通用しません。国に従うだけの姿勢では、自治体としての役割を果たすことはできません。
 都民の暮らしの支援に全力をあげることを、重ねて強く求めるものです。

 なかでも、学校給食の無償化は急務です。
 東京23区はすべて踏み出しましたが、多摩・島しょ地域は7市町村に留まっています。
 市長会は、都の来年度予算に対する「最重点要望」で学校給食費無償化への補助を掲げ、区長会も都の財政支援を求めています。この要望にこたえるべきです。
 また都立学校の給食費無償化に必要な予算は、8億円程度です。ただちに実施することを求めます。

 わが党提出のシルバーパス条例改正案は、費用負担の軽減などを行い、もっと使えるシルバーパスにすることを目的としています。
 対象人口に対する発行率は4割台へと低下しており、利用促進が必要です。高齢者の社会参加を後押しするためにも、皆さんのご賛同を心から呼びかけるものです。

 補聴器への補助についても、都内の全区市町村が実施できるよう、都の個別補助として実施し、補助率も引き上げるなど拡充することを改めて求めておきます。

 デフリンピック東京大会の概要が示されました。わが党は、東京での開催を歓迎します。大会を契機にデフスポーツが広く認知され、聴覚障害者への理解が進むことを期待します。

 9月時点の教員の欠員が140人に上ることが判明しました。
 深刻な事態であり、都教委が採用試験で、昨年より1000人以上多い4926人を合格とし、正規教員の確保に努めたことは重要です。
 同時に、教員不足の抜本的解決のために、教員一人あたりの授業時間を減らす、少人数学級の実施に踏み出すなど教員の負担を減らし、教育の充実を進めることを求めます。

 新型コロナの第9波で患者が急増し、救急や医療体制のひっ迫を招いています。ところが知事は、10月以降の対策を国に従って縮小しました。都民の命と健康を守る責任を果たす姿勢とは到底言えません。医療や検査体制の抜本的強化こそ必要です。
 保健所の役割を再評価し、増設、拡充に踏み出すことも、改めて求めておきます。

 コロナ対策特別委員会は、本日、調査終了について採決が行われようとしています。委員会を閉じることは、コロナ感染は終わったというメッセージにもなりかねません。
 本委員会は都議会が2021年8月に設置し、コロナ感染症にかかわる多くの局が一堂に会し、一問一答で質疑できる重要な場として役割を果たしてきました。これまで副知事、教育庁、旧病院経営本部も出席しました。
 新型コロナは5類移行後も、ウイルスの性質が変わったわけではなく、第9波が現実のものとなりました。後遺症も引き続き深刻です。冬に予想される新たな感染拡大への対応も必要です。
 コロナ対策を局横断で議論できるコロナ対策特別委員会の役割はますます重要であり、継続することを求めるものです。

 知事が昨年7月に独立行政法人化を強行した都立病院は、職員不足などにより全病院でなんと16病棟540床が休止されています。
 小児総合医療センターの小児精神では、医師の減少により、初診の受け入れ制限や、病棟の休止がされています。広尾病院でも医師不足により、小児科や外科の救急外来が制限されています。
 知事は、独法化の目的を救急医療や小児医療など行政的医療を守るためと言ってきましたが、実際は大きく後退しています。

 都民や職員の声に耳をかさず独法化を強行したことにより、職員の離職に拍車をかけたことは紛れもない事実であり、知事の責任は重大です。
 都立病院の事業概要には、コロナ対応と独法化により、看護師の疲弊感や徒労感は限界であったという現場の実態が記載されています。
 ところが知事は、こうした深刻な実態に向き合わず、病院ごとに収支目標を設定し、達成に向けて取り組むよう求めています。
 採算性の確保最優先の姿勢を改め、都民の命の砦である都立病院本来の役割に立ち返り、都が責任を持って拡充強化することを強く求めるものです。

 わが党の代表質問に対し知事は、神宮外苑再開発、PFAS汚染、英語スピーキングテストなど都政の大問題について、自席からヤジを飛ばす一方、一問も答弁しませんでした。
 「東京の未来は都民と決める」という都知事選挙の公約は、見る影もありません。知事としての資質、資格が厳しく問われます。

 PFAS汚染対策については、一貫して国まかせです。
 一方、住民の不安解消、要望に応えようと国分寺、小金井、国立の市議会では、汚染原因の究明、PFAS汚染対策、財政支援などを求める東京都への意見書が採択されました。
 防衛大臣は9月29日の記者会見で、横田基地への立ち入り調査について「関係自治体と相談しながら対応していきたい」と発言しています。
 知事の姿勢が問われています。横田基地への立ち入り調査を周辺自治体と連携し国に求めること、血液検査や土壌調査の実施、自治体への財政支援など早急に行うことを求めます。

 知事は所信表明で、あたかも英語スピーキングテスト・ESAT-Jで英語力が上がったかのように言いましたが、その根拠とした全国学力テストの結果とESAT-Jは何の関係もないということが、教育長の答弁からも明らかになりました。都民の批判をかわすために間違った情報を振りまくのはやめるよう、改めて求めるものです。
 先日も保護者や都民が新宿駅で、入試の公平性・公正性が担保できないESAT-Jは中止しかないと訴え、多くの方々が耳を傾けました。
 批判が広がる中、事業者のベネッセが撤退し、破たんは明らかです。にもかかわらず、新しい事業者との契約に210億円もつぎ込むのは認められません。ESAT-Jは今年度から、きっぱり中止すべきです。

 神宮外苑再開発を批判する都民の意見を小池知事が、「ネガティブキャンペーン、プロパガンダ」と攻撃し、イコモスの警告を「かなり一方的な情報しか入っていない」と誹謗したことについて謝罪・撤回し、公開討論会を開くよう、わが党は知事に求めました。ところが知事は答弁に立ちませんでした。
 外苑を象徴するイチョウ並木の一部で状態の悪化が進んでいることをご存じですかという質問にも、知事は答えませんでした。
 自らの言葉で、都民と議会に説明すべきです。

 神宮外苑再開発は、知事が「遠い過去のもの」だと言った、経済性や効率性が優先された都市開発そのものです。イコモスは、そのことに厳しい警告を発しているのです。
 ところが都の答弁は、三井不動産など事業者の説明を代弁するだけでした。
 事業者の言葉を引いて、「明治神宮の護持」が再開発の意義だと答弁しましたが、神宮外苑再開発は五輪を発端にして、東京都と森喜朗氏が開発の絵をかいて、明治神宮などに持ち込んだものです。
 今回の答弁で、東京都と事業者がまさに一体になって進める神宮外苑再開発の深刻な問題点が、改めて浮き彫りになりました。

 事業者は都の要請を受ける形で、9月中にも始める予定だった敷地内の樹木の伐採を、年明け以降に延期し、保全策の見直し案を示すと表明しました。樹木伐採、再開発の中止・見直しを求める世論の高まりを、都も事業者も無視できないことの表れです。
 しかし、都も事業者も再開発そのものを見直す予定はありません。

 こうした中、「神宮外苑再開発をとめ、自然と歴史・文化を守る東京都議会議員連盟」が昨日、議員の3分の1を超える40人で発足しました。都民運動も広がっています。 
 わが党は、神宮外苑再開発の中止・撤回に向け引き続き奮闘するものです。

 都民の声を聞かず、「経済界ファースト」の政策を推進し、都民の暮らしに無関心な小池都政を、続けるわけにはいきません。
 日本共産党都議団は、9カ月後の知事選で、都民の声に耳を傾けて尊重し、都民に寄り添う知事を誕生させるため全力をつくすことを表明し、討論を終わります。

以上