ご意見・ご要望
ページトップヘ

質問・条例提案

2023.12.20

2023年第4回定例会を終えて


★都議会本会議での給食無償化条例案の採決。共同が広がり6会派41人が賛成しました(2023.12.20)


2023年第4回定例会を終えて

2023年12月20日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 和泉なおみ

1、学校給食費の負担軽減へ、重い扉をついに開いた

 都民の声と運動が広がるなか、今定例会で小池知事は、高校授業料の実質無償化や学校給食費の負担軽減に大胆に踏み出すと表明しました。これをわが党は歓迎します。給食費無償化を求めてきたわが党に対し、知事はこれまで、法律で保護者負担と決まっている、区市町村立小中学校の給食費は区市町村が決めるもの、という答弁を繰り返してきました。それが、都として国に先行して学校給食費の負担軽減に踏み出す、という姿勢に変わったことは重要です。都立学校の給食費負担軽減も、「検討する」と答弁しました。
 しかし負担軽減の中身は、「来年度予算編成で検討する」として明らかにしませんでした。学校給食費の無償化は、23区はすべて実施する一方、財政力の違いによる多摩格差が生じています。都内のすべての自治体が無償化に踏み出せるよう、都の全額補助にすることが必要です。
 この立場からわが党は、東京都の全額補助、全額負担により公立小中学校と都立高校の給食費を無償化する条例を、ミライ会議、生活者ネット、グリーンな東京とともに4会派共同で提案し、立憲民主党を含め6会派41人、都議会議員の3分の1が賛成しました。自民党、都民ファ―スト、公明党などの反対で否決されましたが、予算をともなう議員提出条例に、これだけ多くの共同が広がり賛同が得られたのは、都議会史上画期的なことです。
 高校や大学などの学費無償化も、わが党は繰り返し求めてきました。知事は、高校授業料の実質無償化の中身についても、「今後、予算編成の中で具体化を図る」として明らかにしませんでしたが、高校の授業料は私立・都立とも所得制限を撤廃し、あわせて私立高校の入学金や施設費なども無償化すべきです。すべての子どもの権利を保障するため、朝鮮学校への補助金を復活することも重要です。
 都立大学等の授業料無償化は、来年度予算で具体化されます。所得制限を撤廃し、高等教育無償化に向け国に先行して取り組むこと、また、都立看護専門学校の授業料無償化に踏み出すことを求めました。

2、都民のくらし・福祉を守り、東京の地域経済を立て直す都政への転換を提案

 知事は物価高騰対策の補正予算を提出し、都民生活を下支えすると言いましたが、中身も規模もきわめて不十分なものでした。財源はすべて国の交付金で都の財源は1円も使っていません。ここに、都民のくらしに冷たい小池都政の姿勢がくっきり表れています。わが党は、バブル期を超える史上最高水準が続く都税収入を、今こそ都民のくらしと営業を守り、格差を是正するために使うことを求めました。
 学校給食費などの負担軽減にくらべても、高齢者への支援はあまりにも手薄であることを、わが党は指摘しました。高齢者が安心してくらせる東京にすることは、現役世代の安心にもつながります。高齢者の医療費助成やシルバーパスの負担軽減に踏み出すべきです。
 都営住宅の新規建設を再開し、戸数を大幅に増やすよう求めたわが党の質問に、都内では低所得の高齢者世帯などの住宅確保が困難な状況が続いている、高齢単身世帯の増加も予測されているという答弁がありました。それに加えて40代前後の就職氷河期世代や、シングル女性などにも住宅困窮は広がっています。にもかかわらず、「今後人口減少が見込まれる」として都営住宅の増設を拒否したことは、都民のくらしに冷たい都政を象徴するものです。
 住宅の建設は、大きな経済波及効果もあります。また、福祉をはじめ都民のくらしの支援を充実すれば、家計の負担が軽くなり、消費に回り、経済の好循環をつくり出すことができます。日本共産党都議団は、こうしたことも踏まえて、地域経済の立て直しとくらし・福祉の充実を進めます。

3、都政の大問題で、知事の姿勢を厳しく追及

<オスプレイ・平和> 横田基地所属のオスプレイ墜落事故で、機体の構造的欠陥が改めて明確になりました。アメリカは生産終了を決めましたが、オスプレイの運用は中止し、ただちにすべて撤去するよう国と米軍に求めるべきです。また、ウクライナやガザ地区で戦火が広がるなか知事は、都民にミサイルへの危機意識を養うなどと戦争の不安をあおっています。憲法の立場で平和を守り抜き、関係各国の都市と平和の枠組みについて協力や対話を進めることに力をつくすべきです。

<神宮外苑再開発> 都政の大問題なのに、知事は今回も答弁しませんでした。三井不動産など民間事業者による再開発事業だと言って逃げています。しかし、わが党は、知事が昨年発表した都の基本計画で、超高層ビルを林立させる東京、品川、新宿などの駅前再開発と神宮外苑再開発を同列に扱い、国際ビジネス拠点づくりの開発だと位置づけていることを明らかにしました。都が、神宮外苑の自然と歴史、文化を台無しにする再開発の旗振り役となっていることは明らかです。

<見せかけの環境配慮> 神宮外苑や都立日比谷公園、葛西臨海公園などの樹木伐採に対する都民の批判が広がるなか、知事は、開発が進む都心の緑は増えている、6ヘクタールを超える緑が新たに生まれたと言い始めました。しかし、知事が所信表明で例示した、麻布台ヒルズや品川駅周辺の再開発後に排出されるCO2は10万トンにもおよびます。これを森林で吸収しようとすると、樹齢40年の杉林が、6ヘクタールの1,800倍、1万ヘクタール以上必要です。再開発をやればやるほど緑が増えるなどという印象操作は見せかけの環境配慮・グリーンウォッシュであり、許されません。

<化石燃料> 化石燃料について「削減ではなく廃止する立場ですか?」この単純明快な質問に知事は正面から答えることができず、国の問題だと逃げました。知事が参加した COP28の最大の成果は、「化石燃料からの離脱」が初めて合意文書に入ったことです。国連事務総長やヨーロッパ諸国は、化石燃料の削減ではなく廃止を強く求めました。知事はCOP28で何を見てきたのでしょうか。わが党は、化石燃料にしがみつく岸田政権と小池都政の姿勢を変え、化石燃料の廃止を進めるために力をつくします。

<五輪談合> 組織委員会に派遣されていた吉村憲彦元財務局長が談合に直接関与し、主体的な役割を果たしていたことを、東京地裁の公判で、被告人である電通側が主張しました。徹底検証を求めたわが党の質問に、都は、公判の内容は承知しているとしたものの、身内をかばい、疑惑解明に背を向けています。都議会が、吉村氏の参考人招致を行うなど役割を発揮することが求められるのに、自民党、都民ファースト、公明党などは、その大事な場となるオリパラ特別委員会の終了を決めてしまいました。疑惑にフタをするものであり、わが党は反対し、オリパラ特別委員会を継続して疑惑解明を進めることを求めました。

<英語スピーキングテスト> 英スピ議連と都民団体が取り組んだ実施状況調査では、昨年同様、イヤーマフ越しの音声漏出、装着時の痛みや苦痛などの人権侵害にあたる状況、未経験・単発アルバイトの試験監督の不適切な対応などの声が、生徒や保護者などから寄せられました。外部の事業者に委託し、大勢がいっせいに、同じ部屋で同じ問題を解く形式では公平・公正な入試は担保できません。事業者がかわっても解決できません。英語スピーキングテストはきっぱり中止すべきです。

4、都民の世論・運動と結び、都議会野党第1党の力で前進つくる

<ガザ地区停戦決議> 「パレスチナ自治区ガザ地区における人道目的の停戦等の実現に関する決議」を、全会派一致で採択することができました。わが党は、即時停戦に向けて力をつくします。

<PFAS汚染対策> 有機フッ素化合物PFASについて、比較的高濃度の地域については地元自治体の意見等を聞きながら、追加調査の地点選定を進めていることや、区市町村との連携のあり方などを検討していくと前向きな答弁がありました。課題山積で、環境、保健医療、都市整備、上下水道など多くの局にまたがる問題であり、都議会として特別委員会を設置し、総合的な対策を検討することを求めました。

<気候危機対策> 都内エネルギー消費の3割を占める家庭部門の対策として、住宅の省エネ対策と自治体支援を欧米水準まで引き上げるよう提案。都は、ゼロエミ住宅の基準引き上げの検討を表明しました。

<都立高校のトイレ> 洋式化率の目標80%を達成しても、学校から要望があればさらに進めていること、高校の寮では食堂など共用部の洋式化に今年度着手することが明らかになりました。わが党は、都立高校トイレの洋式化率の目標を100%にすることを求めました。

<女性支援法> 来年度から施行される新法について「人権が尊重され、女性が安心、自立して暮らせる社会の実現に寄与することを目的としている」と、知事が答弁したことは重要です。
 また「トー横」に集まる若い女性を含む青少年について、実態把握のあり方を検討する、年明けには臨時の相談窓口を設置し、NPOとも連携し青少年に寄り添った対応を行うという答弁がありました。

 知事選まで半年です。年明けには予算案が発表されます。日本共産党都議団は19人が力を合わせて、また都民や他党と一致点での共同を広げて、都民によりそう都政への転換をめざします。

以 上