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質問・条例提案

2023.06.21

文書質問 朝鮮学校の子どもの権利について 福手ゆう子都議(文京区選出)

2023年第2回定例会で以下の文書質問を提出しました。

質問事項 一 朝鮮学校の子どもの権利について
答 弁  一 朝鮮学校の子どもの権利について


令和5年第二回都議会定例会
文書質問趣意書 提出者 福手ゆう子

質問事項
一 朝鮮学校の子どもの権利について
  子供政策連携室は今年3月22日、朝鮮学校に通うこどもから直接「子どもたちの声」が届けられ、それを受け取りました。
  そこには、朝鮮学校に通う子どもたちに対する差別や偏見、高校無償化や補助金制度から除外されている差別に傷ついている思いや、朝鮮学校が子どもたちにとってかけがえのない場所であること、また、東京都こども基本条例への期待など、さまざまな子どもたちの声が書かれていました。
  私は第一回定例会の総務委員会で、「東京都こども基本条例の「すべてのこども」に朝鮮学校に通っている子どもは含まれるのか」と質問したのに対し、子供政策調整担当部長は「東京都こども基本条例に規定されている「こども」とは、「全てのこども」」と答弁しました。
  2010年に補助金を停止して以降、人種差別撤廃委員会総括所見(2014年)の19、子どもの権利委員会一般的意見23(2017年)の63、同委員会の日本の第4・第5回統合定期報告書に関する総括所見の18では、朝鮮学校とそこに通う子どもたちに対する差別を懸念し、補助金支給停止の解除などの対応を求めていることが読みとれます。こうした勧告と、東京都こども基本条例とは整合性がとれていません。
  子どもの最善の利益を確保することの責務をもつ東京都は、朝鮮学校に通う子どもの意見を受け止め、補助金支給を再開するべきです。
  日本共産党都議団は先日、朝鮮中高級学校を見学し、生徒や先生とも懇談をさせていただきました。生徒たちからは「朝鮮人である誇りをもって生きたい。それをかなえてくれる環境がある」「自分を知ること、どう生きるかを考えることができる」「同じ状況の人がいるところで学びたい」と、自分がどう生きるかを真剣に考え朝鮮学校で学んでいる姿を見ることができました。
  また先生からは、補助金停止と生徒数の減少で学校経営が非常に厳しい状況にあること、そのため保護者負担が大きく、家庭の経済状況によって朝鮮学校に行きたくても行けない子が増えていること、そして、生徒が減ることに子どもたちがとても悲しく不安に思っていることなどをお聞きしました。
  子どもの権利条約は教育において、父母や子どもの文化的同一性、言語や価値観、居住国と出身国の国民的価値観などへの尊重を育成するとしています。また、東京都人権尊重条例の前文では都が様々な人権に関する不当な差別を許さないという立場を明らかにしています。そうであるなら、都は朝鮮学校が子どもの教育に不可欠な役割を担っていることを認識し、子どもの学ぶ意欲や権利を尊重し、補助金の対象から排除するとした、子どもたちに対する差別的対応はただちに止めるべきです。
  朝鮮学校で学ぶ在日コリアンの子どもたちは、日本で生まれ日本でくらし、多くが将来も日本社会で生活していきます。全てのこどもが誰一人取り残されることなく、あらゆる差別を禁止し、子どもの最善の利益を保障する国や東京都の責務を果たすことを求め、以下質問いたします。
 1 今年3月22日に、子供政策連携室は「朝鮮学校に通う子どもたちの声」を受け取っていますが、その後「子どもたちの声」は、子供政策連携室の中で共有し読んでいただけましたか。
 2 3月22日の件のほかに、朝鮮学校に通う子どもか否かにかかわらず、子どもたちが子供政策連携室に対して意見書を持参し、手渡したことはあるか伺います。
 3 子ども自身の声を直接受け止めることの大事さについて、認識をうかがいます。
 4 子どもたちから出された声・意見をどのように受け止めたか感想をうかがいます。
 5 東京都は、東京都こども基本条例の「全てのこども」に朝鮮学校に通う子どもたちは含まれるとしています。しかし、当事者である子どもたちからは「条例の対象外になっている」「私たちだけが権利を踏みにじられている」という意見があります。子供政策連携室はこのことをどう受け止め、どう対応するのですか。
 6 子どもの最善の利益とはどういうことか、子供政策連携室の認識をうかがいます。
 7 在日コリアンの子どもたちにとって、母国語で教育を受けることや文化や歴史を学ぶ機会は極めて限られています。子どもの権利条約には少数者の民族教育も含めた教育を保障することが書かれています。子どもたちは朝鮮学校で学ぶ権利の保障を求めています。東京都こども基本条例の第8条(こどもの学び、成長への支援)に照らし、朝鮮学校で学ぶ子どもの権利について現状の認識をうかがいます。
 8 学校以外の場所で日常的にある差別や偏見に子どもたちは不安と恐怖を感じています。学校に訪問した際に、昨年の赤羽駅での悪質な落書き以降、登校できなくなっている子がいることもお聞きしました。朝鮮学校に通う子どもが差別や偏見を受けている状況をどう認識し、またこうした状況を無くすためにどう対応するのですか。
 9 朝鮮学校の子どもからは、東京都こども基本条例が施行されたことについて「私たちが未来への希望をもって健やかに学び育っていくための条例が施行」し「ありがたく心強い」と言っています。この子どもたちの条例に期待する思いをどう受け止め、応えていくことが必要と考えますか。
 10 朝鮮学校に通う子どもの声を受け、子供政策連携室として子どもの置かれている実態を直接把握することが必要と考えますが、いかがですか。


令和5年第二回都議会定例会
福手ゆう子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 朝鮮学校の子どもの権利について
  1 今年3月22日に、子供政策連携室は「朝鮮学校に通う子どもたちの声」を受け取っているが、その後「子どもたちの声」は、子供政策連携室の中で共有し読んでいただけたか伺う。

回答
  東京都として、「子どもたちの声」の内容については確認しました。

質問事項
 一の2 3月22日の件のほかに、朝鮮学校に通う子どもか否かにかかわらず、子どもたちが子供政策連携室に対して意見書を持参し、手渡したことはあるか伺う。

回答
  令和5年3月22日のほかには受け取っていません。

質問事項
 一の3 子ども自身の声を直接受け止めることの大事さについて、認識を伺う。

回答
  「都は、こどもが社会の一員として意見を表明することができ、かつ、その意見が施策に適切に反映されるよう、環境の整備を図るものとする。」
  このように、東京都こども基本条例第10条に規定されているものと認識しています。

質問事項
 一の4 子どもたちから出された声・意見をどのように受け止めたか感想を伺う。

回答
  学校に通う子供たちや保護者の皆様の思いが書かれていました。

質問事項
 一の5 都は、東京都こども基本条例の「全てのこども」に朝鮮学校に通う子どもたちは含まれるとしているが、当事者である子どもたちからは「条例の対象外になっている」「私たちだけが権利を踏みにじられている」という意見がある。このことをどう受け止め、どう対応するのか伺う。

回答
  全ての子供があらゆる場面で社会の一員として尊重され、健やかに育つ環境を整備するためには、子供の権利に関する都民の理解を醸成することが重要であり、子供をはじめ、都民に対し、条例を分かりやすく周知しています。

質問事項
 一の6 子どもの最善の利益とはどういうことか、認識を伺う。

回答
  東京都こども基本条例の前文において、「こどもの権利条約(児童の権利に関する条約をいう。以下同じ。)では、こどもに対するあらゆる差別の禁止、こどもの最善の利益の確保、生命・生存・発達への権利及びこどもの意見の尊重を一般原則としている。」と規定されています。

質問事項
 一の7 こども基本条例の第8条(こどもの学び、成長への支援)に照らし、朝鮮学校で学ぶ子どもの権利について現状の認識を伺う。

回答
  子供の学びや成長への支援は、重要であると認識しています。

質問事項
 一の8 朝鮮学校に通う子どもが差別や偏見を受けている状況をどう認識し、またこうした状況を無くすためにどう対応するのか伺う。

回答
  人権尊重条例では、東京に集う多様な人々の人権が、誰一人取り残されることなく尊重され、人権尊重の理念が広く都民等に一層浸透していくこととしており、引き続き、人権全般に関する啓発冊子や動画等を活用して効果的な啓発を行っていきます。

質問事項
 一の9 朝鮮学校の子どもからは、東京都こども基本条例が施行されたことについて「私たちが未来への希望をもって健やかに学び育っていくための条例が施行」し「ありがたく心強い」と言っている。この子どもたちの条例に期待する思いをどう受け止め、応えていくことが必要と考えるか伺う。

回答
  子供を権利の主体として尊重する「こども基本条例」の理念も踏まえ、子供の目線に立った施策を推進しています。

質問事項
 一の10 朝鮮学校に通う子どもの声を受け、子供政策連携室として子どもの置かれている実態を直接把握することが必要と考えるが、見解を伺う。

回答
  子供が日常的に過ごす居場所でのヒアリングやSNSアンケートなど、様々な手法により子供との対話を実践し、多様な子供の意見を把握しています。

以上