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質問・条例提案

予算特別委員会 藤田りょうこ(大田区選出)の一般総括質疑

★議事録速報版より

  1. 令和6年1月2日に羽田空港で起きた事故の原因究明と再発防止策について
  2. 新空港線(蒲蒲線)計画の意義について
  3. 独立行政法人化した都立病院と東京都の医療提供体制について
  4. 都立看護専門学校の授業料無償化について

.令和6年1月2日に羽田空港で起きた事故の原因究明と再発防止策について

内山委員長 藤田りょうこ委員の発言を許します。

藤田委員 日本共産党の藤田りょうこです。
 私の地元大田区にある羽田空港で、1月2日、日航機と海保機が衝突、炎上し、海保機の乗組員6人のうち5人が亡くなられました。亡くなられた方とご家族に対し、深い哀悼の意を表します。関係者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 身近な空港で起きた事故だけに、私を含め、区民は大きな衝撃を受けています。原因究明が急がれます。同時に、再発防止のために何が必要か考える必要があります。
 私は、日本の航空業界で最大の団体、航空安全会議の現役パイロットの方からお話を伺いました。羽田空港の大きな特徴は、天候が変わりやすく、頻繁に滑走路の使い方が変わることだと話していました。滑走路は四本あるものの、風向きによって使い分けるため、使える滑走路が限られることなどから、安全会議の方は、羽田空港は世界でトップクラスの混雑空港だと話していました。それなのに、管制官の体制強化がなかなか実現しないことへの怒りも口にされていました。
 私たちはまた、国交省からのヒアリングも行いました。今回の事故について、羽田空港の過密化が原因ではないといい切れるのかと航空局に聞いたところ、因果関係については、まだ明らかではないとの答えでした。
 事故の原因究明は、運輸安全委員会の下、慎重に進める必要があります。同時に、今紹介した関係者の話からも、羽田空港の過密化が事故の要因の一つであることは否定し難いと思います。
 そして、羽田空港の過密化を招いたのは、羽田新ルートの導入をはじめとした空港の機能強化にほかなりません。
 まず、羽田空港の機能強化の意義について、知事がどのように考えているのか伺います。

谷崎都市整備局長 将来にわたり、国内外の都市をつなぐ交通ネットワークを強化し、世界の旺盛な航空需要に的確に応えなければ、厳しい国際競争の中で取り残されてしまいます。
 羽田空港は都心に近く、国内外に豊富なネットワークを有する基幹的なインフラであり、その機能を十二分に発揮させていくことが必要でございます。
 航空需要に応え、東京、ひいては日本の国際競争力を向上させていくためには、容量拡大や空港アクセスの改善、駐車場等の既存施設の機能向上等による羽田空港の機能強化が必要不可欠でございます。

藤田委員 これまで都は、羽田新ルートは、国の判断と責任により導入したと繰り返してきました。しかし、答弁のとおり、東京都も機能強化は必要だという立場から、羽田新ルートの導入を歓迎してきたわけです。その責任において、都としても、羽田空港の安全対策について、自ら深く考える必要があります。
 都は、一月二日の羽田空港の事故を受けて、一月五日、国に対し再発防止策の徹底を求めています。どのような再発防止策を求めたのですか。

谷崎都市整備局長 羽田空港の安全な運用は何より重要であることから、都といたしましては、事故発生後、国に対して、直ちに原因究明と再発防止等について要請してきました。
 現在、事故原因については、国の運輸安全委員会において調査中であり、国からは一月中旬に、羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会を立ち上げ、さらなる安全・安心対策について検討を進めていると聞いております。
 羽田空港の運用は国の責任と判断で行われており、都はこれまでも、国に対し、提案要求などの機会を捉えて、安全対策について万全を尽くすよう求めるとともに、羽田空港に発着する航空会社に安全対策の徹底を指導するよう適宜要請しております。

藤田委員 今、私は、事故を受けて、どのような再発防止対策を求めたのですかと伺ったんです。しかし、具体的なお答えはありませんでした。そして、これまで安全対策を求めてきたとすり替えて答弁されました。
 しかし、これまで東京都が繰り返し求めてきた安全対策というのは、部品欠落が起きないように徹底した対策をしてくれという内容のものばかりです。そうであるなら、今回の事故について、安全対策を具体的に伝えたという中身にはならないと思います。
 結局、都は、事故以前にも、そして今回の事故を受けてもなお、直接役に立つような再発防止対策や安全対策を求めたわけではないと思います。
 お手元の資料をご覧ください。パネルをご覧ください(パネル1)。

(パネル1)

 これが一月五日に都が国に要請した文章です。空港の安全な運用は何より重要であることはいうまでもないと、空港の安全について、一言も、いうまでもないといって、本来、いった方がいいと思うんですけども、結局いっていないんです。
 よくよく読みますと、この内容を見てみますと、空港施設の早期復旧に努めてほしいということが盛り込まれています。当然、安全に運用することが大事ですし、事故が起きたら、それは機能の問題も起きるでしょう。やっぱり空港の早期復旧に努めてほしいということが一番いいたかったんじゃないかなと、この文章からうかがえるわけです。安全対策を軽視しているといわざるを得ないと思います。
 一方で、東京都が羽田空港機能強化に関する調査を毎年行っていますが、いつからどのようなことを調べているのですか。総額も教えてください。

谷崎都市整備局長 羽田空港の機能強化に関する調査は、国への政策提案等の基礎資料とするために平成24年度から行っているものであり、これまで羽田空港における将来的な航空需要、旅客便や貨物専用便により物資を輸送する航空物流、鉄道、バスなどの公共交通機関や自家用車による空港アクセス、国内外の空港容量等について調査しております。
 また、平成27年度の調査におきましては、国内外主要空港における航空機騒音や落下物に関する事例収集や法規制について調査検討を行っており、国へ政策提案した後、国において防音工事助成及び落下物防止対策基準が策定されております。
 なお、これまで幾らだったというものにつきましては、合計2・5億円というふうに認識してございます。

藤田委員 いろいろ述べられたんですけれども、私、実際もらった資料によりますと、平成30年度、羽田空港の機能強化の効果に関する都民への情報提供、皆さんにもお配りしております。令和元年度、さらなる機能強化の在り方検討、令和2年度、羽田空港の空港容量に関する検討、令和四年度、羽田空港の機能強化に伴うメリット……(発言する者あり)同じです。メリットの抽出と整理です(パネル2)。

(パネル2)

 やはり、この中身を見てみますと、機能強化に係る調査委託ということで、やはり10年以上、2・5億円もお金をかけて、税金をかけて調査し続けて、機能強化の効果やメリット、容量拡大についての調査しか行っていないということです。機能強化のデメリットや安全性に関わる調査は、全く見当たりません。
 しかも、本来、国がやるべき……(発言する者あり)理事会では、中身まで確認はするものではございません。しかも、本来、国がやるべき調査を、都が成り代わって行い、国に対して機能強化をもっとやれと、都が後押ししてきたことがよく分かります。
 ここにも、機能強化ありきで、安全は二の次、三の次という東京都の姿勢が鮮明に表れていると思います。
 国際競争力の下、羽田空港の機能強化ありきで突き進み、事故が起きた下でもまともな対策を求めない姿勢は、経済界ファーストそのものです。そんなことでは知事、東京の空の安全と都民の命は任せられません。
 羽田空港の機能強化は立ち止まり、問題点を全面的に検証すべきです。そして、羽田新ルートは中止することを強く求めて、次の質問に進みます。

2.新空港線(蒲蒲線)計画の意義について

 東京都と大田区が進めようとしている、新空港線、蒲蒲線計画について質問いたします。私は、あえて蒲蒲線と呼びますので、よろしくお願いいたします。
 皆さんのお手元の資料をご覧ください。パネルも用意しております(パネル3)。

(パネル3)

 大田区内には、東急線やJRの蒲田駅と、京浜急行線の京急蒲田駅の、2つの蒲田駅があり、約800メートル離れています。
 このパネルでも点線のところが離れている場所なんですが、この2つの蒲田駅の間の地下を線路でつないで、羽田空港まで直通運転ができるようにしようというのが、蒲蒲線計画です。工事は、1期と2期に分けて行います。
 第一期工事の事業費は幾らですか。国、都、大田区の負担額は、それぞれ幾らですか。

谷崎都市整備局長 矢口渡から京急蒲田までの区間について、都と大田区との新空港線に関する協議の場で検討した事業費は約1360億円でございますが、現在、整備主体となる第三セクターである羽田エアポートライン株式会社が精査しており、事業費については未定でございます。
 令和4年6月に整備主体となる第三セクターに区が出資することや、広域的な空港アクセスの向上等に資することから、大田区と事業費の地方負担分のうち、その3割を都が、7割を大田区が負担することなどについて合意に至っております。

藤田委員 事業費は約1360億円です。
 地方と国が事業費の3分の1ずつ負担するので、東京都136億円、大田区317億円、国が453億円の税金を負担することになります。
 たった800メートルつなぐ第一期工事だけで1360億円、1メートル当たり1・7億円もかかります。
 国民の大きな疑問は、これほど巨額を投入して進める意味はあるのか、線路は羽田空港につながるのかということです。
 第1期工事で羽田空港まで線路はつながるのですか。

谷崎都市整備局長 まずは、矢口渡から京急蒲田までを整備することとしており、京急蒲田から大鳥居までについては未定でございます。
 矢口渡から京急蒲田までの整備では、新空港線の京急蒲田において、京急空港線への乗換えができることとなり、東急東横線、東京メトロ副都心線、東武東上線、西武池袋線との相互直通運転を通じて、国際競争力強化の拠点である新宿、渋谷、池袋等や東京都北西部等と羽田空港とのアクセス利便性が向上し、早期の事業効果の発現が可能であると認識しております。

藤田委員 もう一度、皆さんの資料を見てください。
 第1期工事はちょっと真ん中にある矢口渡駅から京急蒲田までです。羽田空港には当然つながりません。
 第2期工事は京急蒲田から大鳥居までとなっています。大鳥居駅というのは、京急蒲田駅から羽田空港に向かって2つ先の駅になります。
 第2期工事はいつを予定しているのですか。第2期工事では羽田空港まで線路はつながるのですか。

谷崎都市整備局長 京急蒲田から大鳥居までの整備時期については未定でございます。
 国の交通政策審議会答申第198号において、新空港線の新設は大鳥居駅において京急空港線と相互直通運転を行うとされております。
 一方、京急空港線の線路幅は1435ミリメートルの標準軌を採用しており、東急多摩川線の線路幅は1067ミリの狭軌を採用しているため、線路幅が異なる路線間の接続方法等の課題も併せて示されております。

藤田委員 細かい説明ありがとうございます。つながるというお答えはありませんでした。軌間が違うんです。
 第2期工事が終わると、羽田空港につながるはずですが、そもそも第2期工事はいつ始まるのか未定ということです。始めることができるかどうかも分からないということです。
 蒲蒲線計画の最大の問題は、第2期工事の区間で、線路の幅が違う東急と京急の線路をどうやってつなぐのかということなんです。難題が解決していないので、羽田空港にはつながる見通しは全く立っていません。羽田空港につながらないなら、新空港線とはもはや呼べないと思います。
 蒲蒲線計画で、蒲田駅などを日常的に使う人たちの利便性がどうなるのかということも大事な問題です。
 知事に伺います。
 段差解消の重要性について、知事はどうお考えですか。

小池知事 段差解消についてのお尋ねでございました。
 誰もが個性を生かし活躍できる東京の実現には、あらゆるバリアが取り除かれた段差のない社会をつくり上げていく必要があります。
 これまでも、道路の段差解消、主要駅でのホームドアの設置などに加えまして、東京2020大会を契機といたしましたまちのバリアフリー化などに取り組んでまいりました。
 引き続き、ユニバーサルデザインのまちづくりなどハード、ソフトの両面から取組を推進しまして、全ての人が輝くインクルーシブなまち東京を実現してまいります。

藤田委員 バリアフリー化など、段差のない社会をつくり上げていくと答弁されました。
 また資料をご覧ください。パネルもご覧ください。

 蒲田駅で乗り換える多くの区民や通勤する人は、驚くほど不便になります。
 現在の東急線の蒲田駅です。2つの駅があって、2つ路線が乗り入れております。ホームに降りたらどちらの路線からもフラットで乗換えができるということが一目瞭然です。乗換え時間は約1分半です。
 東急線からJR京浜東北線への乗換えも、改札同士は向かい合っておりますので、JRの改札口までもフラットで乗り換えることができます。乗換え時間は約4分です。
 ところが、蒲蒲線計画の第1期工事が終わると、JRの蒲田駅と池上線の蒲田駅は地上に残りますが、東急多摩川線の蒲田駅だけ地下に移設されます。このため、東急同士の乗換えもJRとの乗換えも、1分20秒近く延びることになります。
 とりわけ朝夕は、JR蒲田駅を経由して通勤する方が多いので、乗換えが不便になります。毎日が不便になるということです。しかも、フラットだったところに大きな段差が生まれます。
 東急蒲田駅で乗り換えて新橋まで通勤している方は、その方は、自宅を早く出なければならなくなる、不便になるのでやめてほしいと話しています。
 多摩川線から蒲田駅で乗り換えて買物に行っている方は、荷物を持って上下に移動するのは大変といいます。
 また、多摩川線沿線には、1万人以上の方が働いているキャノン本社をはじめ、多くの企業や工場があります。蒲田駅で乗り換えるみんなが不便になるのは地元の区民だけではありません。
 こういう不便な状況を皆さんはご存じでこの計画を進めているのでしょうか。
 蒲田駅から羽田空港に向かう方も、全く便利にならないということがまた分かります。
 蒲蒲線計画の第1期工事では、京急蒲田駅付近の地下に終着駅が来る予定です。この駅と、京急蒲田駅の乗換えには、都の開示資料でも6分20秒を予定しています。
 蒲田駅と京急蒲田駅の間が、現在は歩いて10分なんですが、蒲蒲線をつくって電車で2分になるといわれても、その後の乗換えに6分20秒もかかるようになります。この乗換えにかかる時間、これは利便性の向上といえるのでしょうか。誰のための、何のための計画なのかということにもなります。
 多摩川線の各駅が通過駅になってしまうことも、沿線の住民にとって大きな問題です。
 現在の東急多摩川線は3両編成です。
 しかし、国の答申では、この蒲蒲線によって新宿等と羽田空港とのアクセス利便性が向上するとしています。
 埼玉方面からやってくる8両編成の副都心線及び東横線が、3両分しかない多摩川線のホームには停車できませんから、通過せざるを得なくなります。
 それでは、蒲蒲線計画は何のために進めるのでしょうか。
 交通経済学がご専門の中央大学の後藤孝夫教授は、蒲蒲線は、国の審議会が位置づけたように、羽田空港に直接乗り入れるからこそ期待される効果を発揮する、京急蒲田駅止まりで乗換えを残したり、区内の移動を主な対象としたりするだけなら、多額の費用をかける必要があるのか疑問だと、朝日新聞の取材に答えています。
 蒲蒲線計画の意義について、知事はどう考えていますか。

谷崎都市整備局長 先ほど写真で委員の方から蒲田駅の状況を見させていただきましたが、確かに、多摩川線の駅からJRの改札、南口ですけれど、駅まで、改札ですけれども、ただ……〔藤田委員「計画の意義について伺っているんですけれども」と呼ぶ〕

内山委員長 答弁を続けてください。

谷崎都市整備局長 そこはバリアフリーがなされていないです。
 今回の意義につきましては、先ほど来申し上げているように、空港アクセスへのアクセス性の向上ですとか、まずは、矢口渡から京急蒲田までつながって空港アクセスが改善する。これと同時に、JR蒲田駅と東急蒲田駅の乗換えについて新たなバリアフリーがつくれる空間、これが取れるということです。
 今、蒲田の駅は、中央改札から入って、そのところでしかエレベーターがないんですね。ですので今いったように……〔藤田委員「意義は何ですか」と呼び、その他発言する者あり〕

内山委員長 ご静粛にお願いします。

谷崎都市整備局長 空港アクセス利便性が向上することと、早期の事業効果の発現、さらにはJR蒲田と東急蒲田、こちらのバリアフリーが改善される。これが大きな改善点だというふうに考えております。

藤田委員 質問に答えてください。早期の事業効果の発現が可能ということですが、その事業効果とは、どのようなものですか。

谷崎都市整備局長 今、東急蒲田と京急蒲田間には鉄道は通っておりません。そこでまず、つなぐことによって、乗換えは生じますが、空港アクセス線として利便性は向上いたします。それが大きな効果でございます。
 一方で、渋谷とかから空港の方に行けるルートもそうなんですけれども、蒲田から逆に渋谷とか新宿に乗換えなしで行ける。それも大きな効果だというふうに考えております。

藤田委員 ちゃんと答弁書どおり答えてください。もう一度お聞きします。事業効果は何ですか。

谷崎都市整備局長 事業の効果でございますね。事業の効果でございますね、はい。
 国の交通政策審議会答申198号において、東急東横線、東京メトロ副都心線、東武東上線、西武池袋線との相互直通運転を通じ、国際競争力強化の拠点である渋谷、新宿、池袋等や東京都北西部と羽田空港とのアクセス利便性が向上すると示されております。
 また、矢口渡から京急蒲田までの先行整備により、現状、鉄道の導入空間が確保されていない蒲田駅と京急蒲田駅間を整備し、早期の事業効果の発現が可能とされており、都としても同様の認識でございます。
 さらに、都と区の協議の場において、JR蒲田駅と東急蒲田駅の乗換えについて新たなバリアフリーの確保が可能となるスペースを創出するなど、乗換え利便性の向上を図る。こちらも効果でございます。

藤田委員 先ほどの羽田空港の機能強化と同じように、またまた国際競争力強化が目的だということなんです。
 大田区内で進められる事業なのに、区民のためではないということなんですよ。それを明らかにしたかったんです。
 蒲蒲線計画は、40年前に大田区基本構想に位置づけられたものですが、当時から課題とされた線路の軌道幅の違いの問題は、いまだに解決をしていません。
 にもかかわらず、なぜ今、動き出したのか。一役買ったのが小池知事です。
 小池知事は、2020年、新空港線整備に伴う協議の場設置に当たって、当時の松原区長に対して、次のように発言しています。
 新空港線に対し強い決意を持って進めていきたいという区長の思いは理解している、都としても事業化に向けて区の取組をしっかり支援していきたい、お互い努力しましょうというものでした。
 この小池知事の発言をきっかけにして、都と大田区は、まずは第1期工事を先行させて既成事実化して進めようという計画が動き出したのです。
 しかし、羽田空港までつながらないのであれば新空港線とは呼べません。
 巨額を投じて段差が生まれ、地元の区民が不便になり、新空港線といいながら羽田空港にはつながらない、経済界ファーストの蒲蒲線計画は中止するよう厳しく求めて、次の質問に移ります。

3.独立行政法人化した都立病院と東京都の医療提供体制について

 4年前に始まったコロナパンデミックは、日本と東京の医療提供体制が脆弱だったことを浮き彫りにしました。感染拡大が何度も繰り返され、その都度、都内の救急搬送も逼迫を繰り返しています。
 改めて、東京の医療提供体制の強化が求められています。
 そして、都立病院の体制強化は、都の責任で行うべきです。
 初めに、知事に伺いたいと思います。
 今日における都立病院の重要性をどう考えていますか。また、知事は、独法化の効果をどう見ていますか。〔発言する者あり〕

小池知事 お答え申し上げます。都立——お静かに願います。
 都立病院は、感染症医療や災害医療、周産期医療などの行政的医療の安定的かつ継続的な提供をはじめ、高度、専門的医療の提供、そして地域医療の充実への貢献に向けました取組などを推進することで、都民の健康を守り、その増進に寄与することを役割といたしていることはご存じのとおりでございます。
 超高齢社会の本格化や医療の高度化など、医療環境が大きく変わっていく中でも、こうした役割を着実に果たしていく必要がありまして、独法化のメリットを生かしまして柔軟な人材確保や機動的な運営によりまして、行政的医療をはじめとする質の高い医療を提供しているところでございます。

藤田委員 独法化のメリットを生かして質の高い医療を提供していると、従来どおりのばら色の答弁です。現状はどうでしょうか。
 現在の都立病院で稼働していない病棟の数と、休止している病床数を伺います。

雲田保健医療局長 本年3月時点で、工事を理由とするものを除いた休止病棟数は都立14病院全体で19病棟であり、病床数は629床でございます。

藤田委員 衝撃です。
 昨年9月の都立病院の休止病床数は540床でした。この半年間で、約90床増えて、休止病床数は629に広がったということです。病棟も3つ増え、19病棟に拡大しています。
 先ほど独法化は効果があったと答弁されています。なぜ、休止病床が増えたのですか。理由を説明してください。

雲田保健医療局長 休止病棟の理由でございますが、今回の増につきましては、患者動向等でございます。

藤田委員 まるで患者のニーズがないかのようにおっしゃいましたね。
 ちなみに、全ての病床を稼働させるために、課題は何ですか。そして、必要な看護師は何人ですか。

雲田保健医療局長 病棟の再開に当たりましては、職員体制の状況ですとか患者動向等を総合的に勘案いたしまして対応することとしております。

藤田委員 必要人数も答えられないんですか。本当に内容のない答弁です。職員体制といいましたが、必要な人数さえ分からないと。今の現状、そうなんです。
 そもそも、再開のめどはあるんですか。

雲田保健医療局長 先ほどもご答弁申し上げましたとおり、病棟の再開に当たりましては、職員体制の状況ですとか患者動向等を総合的に勘案して対応することとしております。工事を理由として休止している病棟を除きまして、現時点で再開を予定している病棟はございません。

藤田委員 再開に必要な看護師の数も分からない、再開のめどもない。独法化の効果というのは何だったんでしょうか。都民の医療に責任を持っている姿勢とは到底いえないと思います。
 そもそも、この病棟閉鎖の問題を、この間取り上げてきて感じているのは、東京都が現状に対してあまりにも問題意識が薄いのではないかということです。
 休止している病棟や病床があることについて、都としてどう考えているのですか。

雲田保健医療局長 都は中期目標におきまして、感染症医療や災害医療、周産期医療などの行政的医療につきまして、医療環境の変化に応じ、適正に提供していくことを、都立病院機構に求めております。
 都立病院では、休止している病棟はございますが、職員体制の状況や患者動向等を勘案しながら病棟運営を行い、各病院が有する医療機能に応じて、行政的医療を着実に提供していると認識しております。

藤田委員 要するに、何の問題もないと思っているということです。本当に驚きます。629床ですから、地元の荏原病院一つを超える規模の病床が稼働していないわけですよ。これだけ休止病棟が増えて、なぜ適正だといえるのですか。
 豊島病院の事業概要令和5年度版には、このように書いてあります。
 当院が地域に必要とされる急性期病院としての使命を果たすためには、休止病棟の再開と、急性期病院として核となる救急外来や手術室などの部署の活性化を図ることが必要であると。当然の考えだと思います。
 現場では、使命を果たすためには再開が必要だといっているんです。これは、東京都とは違う認識だということですか。お答えください。

雲田保健医療局長 先ほども申し上げましたとおり、都立病院におきましては、職員体制の状況ですとか患者動向等を勘案しながら病棟運営を行っておりまして、各病院が有する医療機能に応じまして、行政的医療を着実に提供していると認識しております。

藤田委員 現場はこれでいいとは思わないから必死で何とかしようとしているんです。あまりにも危機感のない答弁です。
 先ほどから患者動向と、まるで都立病院が必要とされなくなってきているかのようなことをいっていますが、東京は人口当たりの病床数は全国的にも少なく、今後急速に高齢化が進んでいく地域です。そんな認識でいいのでしょうか。
 独法化を強行した知事の責任が問われる問題です。
 こうした病棟の休止や休床が進めば、真っ先に切り捨てられるのが行政的医療です。知事は独法化の効果を、行政的医療をはじめとする質の高い医療を提供すると述べましたが、実態は正反対です。
 小児総合医療センターの小児精神科についてお聞きします。
 小児精神科医療の重要性について認識を伺います。

雲田保健医療局長 児童、思春期精神医療でございますが、発達障害への医療のほか、統合失調症や摂食障害等、精神疾患の早期発見、治療を行うなど、重要な役割を担っております。
 小児総合医療センターの児童・思春期精神科では、子供の健やかな成長などの観点から、可能な限り地域生活を経験できますよう、患者や保護者の意向も確認しながら入院期間を必要最小限にしてございます。
 退院後は外来での診療のほか、緊急時や症状の悪化が見込まれる際の再入院に対応するなど、地域の医療機関では対応が困難な重症患者を確実に受け入れており、行政的医療である小児精神科医療を着実に提供しているところでございます。

藤田委員 障害があっても、病気になっても、入院していても、子供は権利の主体です。いかなるときでも生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利が保障されなければなりません。
 心の問題を抱えていたとしても、どの子供にも最善の利益を尊重して関わることが大切です。そのため、小児精神科医療では多くの専門職が連携し、子供の成長、発達に応じた学習や遊びを取り入れながら治療を進められるようにする必要があります。
 開設当初の小児総合医療センターの児童・思春期精神科の外来には1300名の20歳未満の新患の患者が来ていましたが、昨年度は半減しています。
 昨年3月の小児総合医療センター運営協議会では、児童・思春期精神科に関する切実な声が寄せられています。
 府中市医師会の委員からは、コロナ禍で、子供たちの不登校から鬱になるケースが増加している、府中市内には専門医がほとんどいない、患者さんは専門の医師の診察を希望しており、困る場面が多い、最近では、児相の虐待ケースで摂食障害の患者さんについて都立小児に相談したが、入院適用でないから待ってほしいという結論であった、入院適用でないと診てもらえないことが困っているという意見がありました。
 調布医師会の委員からは、精神科については危惧している、開業医レベルでもリストカットや自殺企図の対応を迫られている、重症患者の対応はしてもらえているが、入院まで行き着かない患者の対応もしてほしいという意見が寄せられています。
 この事態、ゆゆしき事態だと思いませんか。知事、こうした意見をどう受け止めますか。

雲田保健医療局長 こちらの小児総合医療センターの児童・思春期精神科でございますが、子供の健やかな成長などの観点から、可能な限り地域生活を経験できますよう、患者や保護者の意向も確認しながら入院期間を必要最小限としてございます。
 退院後は外来での診療のほか、緊急時や症状の悪化が見込まれる際の再入院に対応するなど、これまでと同様、地域の医療機関では対応困難な重症患者を確実に受け入れております。
 さらに、地域医療機関との役割分担の下、連携体制を構築いたしまして、緊急度が高いとかかりつけ医が判断した患者は速やかに初診で受け入れるほか、希死念慮者など極めて緊急を要する患者は即日入院対応とするなど、行政的医療である小児精神科医療を着実に提供しているところでございます。

藤田委員 トリアージの仕方が間違っています。現場で受け入れることができない、なのに、都立病院では重症の方しか診ない。これでは、そのはざまで困っている方は誰が助ければいいんですか。とても命に責任を持った立場で行政を行っているとは思えません。
 梅ケ丘病院の2009年度の事業概要には、梅ケ丘病院として蓄積してきた臨床経験は児童精神医学の宝ともいうべきものであり、その内容をいかに継承し発展させていくかは、小児総合医療センターへの移行を果たした後に、我々に課せられた大きな課題であると書かれています。
 しかし、統廃合から十五年たち、医療が必要な子供は増えているのに、小児精神科は入院も外来も規模が縮小しています。外来にはつながりにくい。そして、病棟は二年間近くも二つの病棟、60床が閉鎖されたままになっています。このままで本当にいいのでしょうか。
 独法化したら職員を柔軟に確保できるとか行政的医療を提供していくとかばら色に描いて、独法化を強行したことは極めて重大です。休床の対応として人件費の抑制がされたり、病床が削減されたり、病院の統廃合や縮小が行われることは断じて許されません。
 都立病院の職員を大幅に増やし、都民の命に責任を持つこと、独法化した都立病院は東京都直営に戻すことを強く求めて、次の質問に移ります。

4.都立看護専門学校の授業料無償化について

 私は子供の頃、いつも祖母と一緒でした。家族のために家事をこなし、いつも元気でしたが、徐々に年を取っていく様子を見て、おばあちゃんのお世話をする仕事がしたいと思い、看護師を目指しました。
 看護師は、戦前戦後の厳しい時代を生き抜いてきた人たちからこの世に生を受けたばかりの人たちまで全ての世代のケアをすることができるすばらしい専門職です。
 その後私は、都立大学看護学科の前身である都立医療技術短期大学看護学科に進学しました。当時の授業料は年間30万円で、都の修学資金制度の一種、二種を両方借りて、学費や友達との交際費、交通費に充てていました。
 一方、当時の都立看学の授業料は年間3万円と安く、自宅から近くにあった荏原看学に本当は進学したかったということを覚えています。
 それから30年。バブル崩壊以降は、賃金が上がらないのにあらゆる学費が値上がりし、都立大学の授業料は年間約52万円、都立看学は約27万円になりました。それでも、私立看護大学は平均で約100万円もかかりますので、経済的に厳しい家庭は都立を選ぶ傾向にありました。
 今の大学生は、親が就職氷河期世代なので、非正規雇用が多く、仕送りもない学生が増えています。中には、学費だけでなく生活費も自分で賄っている学生もいます。
 そのような中で、来年度から、都立大学が看護学科も含めて所得制限も撤廃し、都内生の授業料が実質無料になるのはとても重要だと思います。
 しかし、今回、修学資金の返済免除要件は緩和されますが、都立看護専門学校の授業料はなぜか無償化されません。
 そこで、まずお聞きします。知事は、都立看学の役割と重要性をどう考えていますか。

雲田保健医療局長 都立看護専門学校は、看護師の養成と都内における看護師の充足を目的として設置しております。
 都民が健康でその人らしい生活が送れますよう、医療の側面から支えることができる看護師を育成するため、学生に対して看護師として必要な知識及び技術を教授しているところでございます。

藤田委員 都内における看護師の充足を目的としているのみならず、その人らしい生活が送れるように援助ができる看護師を育成しているということで、とても大切なことです。
 私は、都立看学出身の看護師からお話を伺いました。
 その方は、親がシングルマザーだったため、自分以外の二人の兄弟の学費を心配し、四年制の看護大学を諦め、都立看学を選んだといいます。
 都の修学資金制度を使って学費に充てていたということですが、都立看学は安いと分かっていても、やっぱり負担と話していました。
 その方の学年で、ほとんどの看護学生がアルバイトをやっていたということです。
 このような方が、お金の心配なく学べるようにすることは、とても大切なことだと思います。
 そして、東京都は医療人材が足りず、ぎりぎりの体制で医療活動を行っています。
 都内で働く看護師は、人口10万人当たり全国で42番目となっています。
 ぜひとも、東京都が直営で行っている都立看護専門学校の授業料を無償化し、経済的な問題を抱える方でも誰もが望んで進学できる、そういう看護科をつくっていただきたいと思います。
 増設も求めて、私の質問も終わります。(拍手)

内山委員長 藤田りょうこ委員の発言は終わりました。