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2024年度東京都予算案に対する日本共産党の組み替え提案

日本共産党都議団は3月22日、「2024年度東京都予算案に対する組み替え提案」の記者会見を行いました。史上最高水準の都税収入を経済界ファーストでなく都民のために使う立場からの組み替え提案です。

★記者会見する(左から)里吉ゆみ、白石たみお、清水とし子、曽根はじめの各都議(2024.3.22)


2024年度東京都予算案に対する日本共産党の組み替え提案
史上最高水準の都税収入を経済界ファーストでなく都民のために

2024年3月22日
日本共産党東京都議会議員団

 知事提案の2024年度東京都予算案に、学校給食の負担軽減や高校や都立大学の授業料実質無償化などが盛り込まれたことは、都民の運動の広がりとわが党をはじめとする都議会の論戦のなかで生まれた貴重な前進です。
 同時に知事の予算案は、「経済界ファースト」で、都民に冷たい姿勢が色濃く表れています。日本橋や築地市場跡地などの大型開発や、住民が反対している大型道路建設などにおよそ1200億円、急成長が見込まれる一部企業の支援に516億円もの予算が計上されています。一方で、都民が物価高騰に苦しむなか、都営住宅の新規建設は25年間連続ゼロ、高すぎる国民健康保険料を引き下げる財政支援はなく、ひとり親家庭や障害児のいる家庭への児童育成手当は28年間で1円も増額されていません。
 東京都の財政規模は、一般会計だけで8兆5千億円と過去最大になり、都税収入は小池都政が始まった8年前に比べ1兆円も増えています。この豊かな財政力を、地方自治体本来の役割にふさわしく、都民の福祉・くらしを守り、広がる格差を是正するために使うなら、東京から貧困をなくし、地域経済を立て直し、都民生活の質を向上させる巨大な可能性が開かれます。
 日本共産党都議団はこの立場から、予算の組み替え提案を行うものです。

 

【予算組み替えの主な内容】

1、手薄から手厚い高齢者支援へ

 子ども・子育て支援が進み始めたのに比べて、高齢者の暮らしへの支援はあまりにも手薄です。支援を手厚く拡充します。

  • シルバーパスを無料化します。また、多摩都市モノレール、ゆりかもめ、都県境のバス路線でも使えるようにします。
  • 高齢者の医療費無料化を目指し、まずは75歳以上の低所得の高齢者の医療費を無料化します。
  • 全ての区市町村が補聴器購入費助成を実施し、内容も充実できるよう、都の補助を抜本的に拡充します。

2、子ども・子育て施策を国際的な水準に引き上げる

 子どもの権利保障と子育て世帯の負担軽減を国際水準に引き上げるとともに、給食や学費などの無償化が全員対象となるように拡充します。

  •  諸外国の公共交通運賃は18歳まで無料や割引です。都営地下鉄の小児運賃を50円に、通学定期を半額にします。
  • すべての区市町村で学校給食が無償化できるよう、都の補助を2分の1から全額補助に拡充します。
  • 学費無償を権利保障と位置づけ、都立大学や高専などの学費無償化を全員対象にします。朝鮮学校への私立外国人学校運営費補助の凍結を解除します。
  • 子どもの医療費助成の多摩格差をなくし、都内全区市町村で18歳まで所得制限なく無料化できるよう支援します。

3、いのちと健康を守る

 コロナの経験等を踏まえ、医療・公衆衛生の体制を強化し、いのちと健康を何より大切にする都政に転換します。

  • 新型コロナから重症化リスクの高い方を守るため、高齢者施設、障害者施設、医療機関での定期的なPCR等検査を行います。
  • 多摩地域の保健所増設の検討を進めます。
  • 健康への影響が指摘されている有機フッ素化合物(PFAS)の血中濃度を調べる血液検査をします。
  • 障害者医療費助成の対象を現在の重度のみから中度・軽度の障害者にも拡大します。
  • 都立看護専門学校の学費等を無償にし、看護師の育成を抜本的に強化します。

4、貧困と格差是正を都政の柱にし、くらしを充実

  • 都営住宅の新規建設を再開し5000戸の建設、若者への家賃助成などを行います。
  • 子どもの国民健康保険料(税)を無料化します。
  • ひとり親家庭や障害児のいる家庭に支給する児童育成手当を増額します。
  • 非正規労働者の正規化への支援を行うとともに、賃上げや労働条件の改善につながる公契約条例の制定に向けた検討会を設置します。
  • 職業能力開発センターの学費を無償化し、雇用の創出を強化します。

5、グローバル人材育成ではなく、子どもの成長と学びを支える学校に

  • 英語スピーキングテストは中止し、その予算で英語の教員を750人増やします。
  • スクールカウンセラーの雇止めは撤回し、各学校への配置を充実させます。
  • 35人学級の前倒し実施、特別支援教室の教員配置基準の改善、特別支援学校の重度重複学級の増設などにより、教員の長時間労働を解消し、教育を充実します。

6、「倒壊ゼロ」へ、倒れない・燃えない防災対策

 能登半島地震でも住宅倒壊や火災で多くの方が亡くなっています。住民追い出しの特定整備路線の整備ではなく、地域を守りながらの防災対策を進めます。

  • 木造住宅の耐震診断・改修助成を拡充し、予算を2倍に増やします。
  • 木造戸建て住宅の難燃化改修への助成を創設します。
  • 震災時の通電火災を防止する感震ブレーカーの設置補助を拡充します。
  • マンション耐震改修促進事業を拡充します。

7、人権尊重、ジェンダー平等を都政のあらゆる分野で

  • 東京ウィメンズプラザの拠点機能の強化や、賃金格差のように女性と男性の置かれた状況を「見える化」する「ジェンダー統計」の作成、活用をすすめます。
  • 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを増設します。
  • 区市町村の配偶者暴力相談支援センターの設置自治体が20から増えていないため、新設する費用を補助します。
  • LGBTやそうかもしれない若者の居場所や交流の場を毎月開催するため、支援事業を増額します。

8、化石燃料からの脱却・原発ゼロ、本気の気候危機対策を

 火力発電延命のための水素活用を「脱炭素」の切り札として予算を増やしたのは経済界の要求に沿うものです。水素活用をやめ、省エネ、再エネを大幅に拡充します。

  • 太陽光パネル性能向上とリサイクル促進のための予算を拡充します。
  • 学校をはじめ区市町村施設への再生可能エネルギー導入支援を拡充します。
  • 都内の自然を開発等から守るため保全地域の公有化をすすめます。
  • 気候危機打開について都民と議論する「東京気候市民会議」を開催します。

9、戦争に備えるのではなく平和を広げるとりくみを

 ミサイル攻撃を想定した地下シェルターや避難訓練の予算を削除し、平和のための予算を拡充します。

  • 横田基地のオスプレイ配備の撤回や騒音や振動による健康被害の調査などを実施します。
  • 日米地位協定の都民生活への影響と地位協定改定に関する調査を実施します。
  • 「東京都平和祈念館(仮称)」の建設に向けた検討を開始します。

10、経済界ファーストの予算を削減する

  • 東京ベイeSGプロジェクト、スタートアップ戦略推進関連経費をはじめとする、自治体の本旨にはずれた、経済界の要望に応える事業を削除します。
  • 都庁などを照らすプロジェクションマッピングは、税金を使って都が行うべきものではないため削除します。
  • 臨海、築地、日本橋をはじめ、住民不在の再開発事業の予算を削除します。
  • 羽田新ルートをはじめ都民に危険を及ぼす羽田空港の機能強化調査費を削除します。
  • 住民を盗撮・監視までしていた外環道事業関連予算や、住民追い出しの補助29号線(品川区)、補助73号線(北区)などの特定整備路線の予算を削除します。
  • 公平・公正でなく破綻が明らかな中学校英語スピーキングテストは中止します。
  • 化石燃料の延命につながるパイプラインを含めた水素供給体制構築、水素ステーション、燃料電池車両など水素活用に関する経費を削除します。
  • ミサイル攻撃を想定した地下シェルター整備のための調査費や、避難訓練の経費は削除します。

 

【予算組み替えの規模】

  • 知事提出予算案に計上されている事業の見直しによる歳出削減は、69項目、2053億200万円です。
  • 歳出の減額により生み出した財源と財政調整基金や国からの補助金を活用することなどにより、121項目、3223億5600万円を増額します。
  • 組み替えの規模は、知事提出の一般会計予算案(8兆4530億円)の3.8%です。

以 上