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質問・条例提案

予算特別委員会 あぜ上三和子都議(江東区選出)の討論

2024年3月26日の予算特別委員会で、あぜ上三和子都議(江東区選出)が討論を行いました。

★討論の原稿です。

動画(都議会ホームページです。令和6年第1回定例会 >3月26日(火曜日)予算特別委員会>討論・採決をご覧ください)

討論原稿(PDF)


 日本共産党都議団を代表して、第1号議案、一般会計予算ほか7議案に反対、わが党提出の「予算の編成替えを求める動議」に賛成の立場から討論を行います。

 新年度予算案の財政規模は、一般会計だけで8兆5千億円と過去最大、都税収入も過去最高の6兆4千億円を超えています。
所得再分配という税の本来の機能を発揮して、スウェーデンの国家予算にも匹敵する東京都の豊かな財政力を、都民の暮らし・福祉を守り、貧困をなくし広がる格差を是正するために使うことが必要です。

 ところが知事の予算案は「経済界ファースト」で、都民に冷たい姿勢が色濃く表れています。
都民が物価高騰に苦しむなか、都営住宅の新規建設は25年間連続ゼロ、高すぎる国民健康保険料を引き下げる財政支援はなく、ひとり親家庭や障害児のいる家庭への児童育成手当は28年間で1円も増額されていません。
能登半島地震で家屋・建物の倒壊の深刻な被害が出ているのに、木造住宅などの耐震化予算は減額されています。

 一方で、防災を口実にして都が進める特定整備路線の事業費は、知事査定で70億円も上乗せし、497億円、木造住宅耐震化の実に100倍におよびます。
住民の反対を抑え込んで用地買収を強力に促進するための「機動取得推進課」を63人体制で立ち上げることまで計画しています。

 日本橋や築地市場跡地などの大型開発や大型道路建設にも巨額の予算がついています。
 また、急成長などが見込まれる一部企業の支援に516億円もの大判振る舞いをする一方、厳しい国際競争に勝ち残れない企業は退場すればよいという姿勢です。

 外環道工事で陥没事故を起こした鹿島JVが、被害住民を日常的に監視、盗撮し、さらには誹謗中傷するようなやり取りをしていたことが明らかになりました。 
 こんな人権侵害、不法行為をする鹿島JVに税金を使って公共工事を担う資格はありません。国やネクスコの責任は重大です。都は事業認可を取り消し、外環道工事は中止すべきです。

 都庁舎などをスクリーンにして映像を流すプロジェクションマッピング事業の予算は、今年度と新年度の2年間で48億5千万円にもなります。税金を湯水のように使うことに、都民から疑問や怒りの声が上がっています。
 都庁舎などの事業を進める実行委員会の委員は3人しかいないこと、にもかかわらず一度も対面の会議を開いていないことが明らかになりました。
 実行委員会は、入札停止中の電通の子会社と仕事の契約をするなど、透明性・公平性が求められる東京都の入札契約制度を適用しないで、知事の求めに応じて異例の速さで巨額の事業を進めるための「隠れみの」となっています。
実行委員会には、現時点で情報公開を実施するための規定がないことも明らかになりました。
 このようなプロジェクションマッピングへの税金投入は中止することを求めます。

 英語スピーキングテストの事業者との契約にも、重大な問題があります。
 小池知事は、新年度43億円、6年間で210億円もの巨額を投入する計画ですが、事業者との契約は、地方自治法にもとづく契約ルールを適用していないことが質疑で明らかになりました。
 「グローバル人材の育成」という経済界の目先の要求にこたえる英語スピーキングテスト反対の声は、やむことがありません。きっぱり中止することを、厳しく求めるものです。

 知事は、都立病院の地方独立行政法人化をバラ色に描き、都民の反対を押し切って強行しました。
 ところが独法化から1年半で、病棟の休止は19病棟629床に上ること、にもかかわらず東京都には再開に向け努力する姿勢がないことも明らかになりました。
 知事の責任は極めて重大です。都立病院は直営に戻し、医師・看護師の確保を進め、休止した病床を再開することを求めます。

 東京都が公表した都民1万人調査によると、新型コロナは「収束していない」と答えた方が約45%で、「収束した」の約10%を大きく上回っています。その中で、新年度予算でほぼすべての新型コロナ対策を終了させることは許されません。
 福祉施設での定期的なPCR検査、コロナ後遺症の相談窓口など引き続き実施すべきです。また多摩地域の保健所の増設・拡充が必要です。

 新年度予算案に、区市町村の学校給食費の負担軽減や都立学校の給食無償化、所得制限なしの都立・私立高校、都立大学などの授業料実質無償化が盛り込まれまれたことは、都民の運動の広がりとわが党をはじめとする都議会の論戦のなかで生まれた貴重な前進です。
 給食は、財政力の弱い多摩地域も含め、すべての区市町村で無償化できるよう、都が半額でなく全額補助を行うことを求めます。

 都が新たに事業化した補聴器の購入費補助も23区が全区で実施するのに対し、市町村は大半が実施できず、新たな多摩格差が生まれています。

 年金が減らされ、物価高騰が続く中で、高齢者への支援はあまりにも手薄です。
わずかな年金から介護保険料などが天引きされ、食費、光熱水費に医療費もかかります。
 苦しい生活状態におかれた高齢者の暮らしを支えるために、経済的支援の強化が必要です。シルバーパスの拡充、高齢者医療費助成、家賃補助制度の創設などを求めます。

 「全ての子どもの学ぶ権利の尊重」を掲げる東京都こども基本条例を踏まえ、朝鮮学校への補助金の支給再開を強く求めます。

 東京空襲資料展の実施個所を増やすなど、資料のより広い活用を検討し、資料展の充実を図るとの答弁は重要です。
 また、わが党の常設展示を求める質問に「企画検討委員会のご意見を聞きながら、資料の活用方法を検討」との答弁がありました。平和祈念館の早期建設を重ねて求めるものです。

 日本共産党都議団は、史上最高水準の都税収入を、「経済界ファースト」ではなく都民のために使う立場から予算を組替える動議を提出いたしました。皆さんの賛同を心から呼びかけます。

 最後に、本委員会で子供政策連携室長は、こども基本条例をゆがめる解釈を繰り返し述べ、さらに所管外の事業について答弁を行いました。極めて重大であり、決して許されないことを指摘するものです。
 また、当委員会において本日の数の力での動議は、都議会の歴史に取り消すことのできない重大な汚点を残し、都議会の権威と品位をおとしめるものであると厳しく指摘し、討論を終わります。