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質問・条例提案

2024.03.28

本会議 清水とし子都議(日野市選出)の討論

2024年3月28日の本会議で、清水とし子都議(日野市選出)が討論を行いました。

動画(都議会ホームページです。令和6年第1回定例会 > 3月28日(木)本会議(議案の決議など)をご覧ください)
★討論全文(原稿です)


 日本共産党都議団を代表して、一般会計予算ほか42議案に反対、その他の知事提出議案および、わが党提出の2つの条例案に賛成の立場から、討論を行います。

 今定例会をとおして、都民の声を聴かない、都民の暮らしに無関心、そして「経済界ファースト」という小池都政の姿が、浮き彫りになりました。その特徴は、新年度予算案に表れています。

 予算案の都税収は過去最高の6兆4千億円、財政規模は一般会計だけで8兆5千億円におよびます。
 一部の大企業や富裕層は豊かになる一方で、都民の暮らしや営業は厳しさを増しています。所得の再配分という、税本来の機能の発揮が強く求められています。

 ところが予算案は、とりわけ高齢者への支援があまりに手薄です。わずかな年金で生活する高齢者の暮らしを支える経済的支援も、高すぎる国民健康保険料を引き下げる財政支援もありません。
都民が物価高騰に苦しむなか、生活支援の予算は減額されました。都営住宅の新規建設は25年間連続ゼロ、障害者福祉手当、児童育成手当は28年間で1円も上がっていません。

 能登半島地震で家屋の倒壊による被害が明らかになったのに、木造住宅の耐震化予算は減額しました。
片や、防災を口実にして住民や商店街に立ち退きを迫る特定整備路線の事業費には、木造住宅耐震化の100倍の497億円が計上されています。その上、住民の反対を抑え込んで用地買収を強力に進める、「機動取得推進課」を63人体制で立ち上げます。

 地域経済に欠かせない中小企業・小規模企業には冷たいのに、経済界の要望を全面的に反映したスタートアップ企業支援には、516億円もの予算を計上しています。
 また、日本橋や築地市場跡地、臨海副都心など、経済界の要求にこたえる大型開発に巨額を投じています。

 都庁舎などに映像を映すプロジェクションマッピング事業に、今年度と来年度あわせて48億5千万円もの都民の税金を使うことに、無駄遣いとの声が上がっています。

 都庁の事業を進める実行委員会の委員は、東京都、新宿区、東京都観光財団の3人だけ、事業の委託先は、都の入札契約制度を適用することなく、異例の速さで決定しました。
 決定した事業者は、五輪談合で指名停止中の電通が100%出資している電通ライブ、選んだ側の東京都観光財団には電通が入っています。極めて不透明です。プロジェクションマッピングへの税金投入はやめるべきです。

 英語スピーキングテストの事業者との契約にも、重大な問題があります。

 新年度43億円、6年間で210億円もの税金を投入する計画にもかかわらず、地方自治法に基づく契約ルールが適用されていないことが、明らかになりました。
「グローバル人材の育成」という経済界の要求から出発し、入試で一番大事な公平性・公正性・透明性を欠く英語スピーキングテストは中止すべきです。

 新型コロナ対策は、ほとんどが今月末で終わります。まるで、「コロナは終わった」と言わんばかりです。
 しかし、今もコロナで亡くなられる方や、後遺症に苦しむ方はたくさんいらっしゃいます。医療や介護、福祉の現場で、感染を広げないために緊張しながら必死に働いている方々がたくさんいます。今、ほとんどのコロナ対策をやめてしまうのは誤りです。
 福祉施設での定期的なPCR等検査、コロナ治療薬の自己負担の軽減、後遺症相談窓口等引き続き実施することを強く求めます。

 知事は、都立病院の地方独立行政法人化をバラ色に描いて強行しました。
 ところが、独法化からわずか1年半で、病棟の休止は大幅に増え、19病棟629床にも上っていることが明らかになりました。しかし都は驚いたことに、再開に向けた姿勢を示しませんでした。知事の責任は極めて重大です。

 都立病院は直営に戻し、医師・看護師の確保を進め、休止した病棟を再開することを求めます。
 PFASが、いろいろな経路から体内に入り蓄積された量は、血中濃度に反映されます。血液検査を行えば、その状況を把握できます。
 東京都には、都民の健康に対する責任があります。PFAS対策として、地域住民の血液検査を実施することを改めて要望するものです。

 小池知事は、多摩格差ゼロを公約に掲げて知事になりましたが、もはや見る影もありません。
言うまでもなく、いのちや教育の地域間格差をなくすことが必要です。
 ところが、学校給食費は多摩地域では半分以下の自治体しか無償化に踏み出せず、市長会の理解も得られていません。

補聴器購入費補助も23区がすべて実施する一方、多摩地域の自治体は多くが実施できずにいます。2026年度には62の全区市町村で実施する計画ですが、このままでは絵に描いた餅です。
 
 どちらも、東京都が全額補助を行うことしか、解決の道はありません。
さらに、多摩地域で切実に求められている保健所の増設にも、小池知事は背を向けています。
 多摩地域の願いを受け止め、本気で多摩格差をなくす都政を実現することが必要です。

 スクールカウンセラーの大量雇止めによる退職が、いよいよ子どもたちにも告げられ、温かく誠実なカウンセラーを頼りにしていたのにショックを受けている、弱い立場の子どものことを考えていないと、怒りの声が寄せられています。
 都教委は真摯に反省し、雇止めを撤回し、配置を継続・充実すべきです。

 「すべての子どもの学ぶ権利の尊重」を掲げる東京都こども基本条例を踏まえ、朝鮮学校への補助金の再開を強く求めるものです。

 神宮外苑再開発の中止を求めるヘリテージ・アラートを出した国際イコモス各国代表委員の委員長は、「世界の主要都市で公園の土地を再開発に回すことは聞いたことがない。全員がショックを受けた」と述べました。

 神宮外苑の工事中止を小池知事に勧告した国際影響評価学会日本支部の代表は、「SDGsを求める世界の標準からかけ離れている」と指摘しました。
 今日は坂本龍一さんの命日です。坂本さんは、最期に小池知事に宛てた手紙で「目の前の経済的利益のために先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではありません」と諭しました。

 知事は、重く受け止めるべきです。「経済界ファースト」の計画に固執するのではなく、事業者に再開発の中止を要請すべきです。

 警視庁の捜査員が裁判で証拠の捏造を認める異例の展開となり、都が東京地裁で敗訴した大川原化工機事件について、知事が控訴したことは承認できません。

 委員会質疑で警視庁は、冤罪だと認めませんでした。これでは再発防止はできません。控訴を取り下げ、第三者機関による徹底検証をすることが必要です。

 日本共産党都議団は、史上最高の都税収入を、「経済界ファースト」ではなく都民のために使う立場から予算を組み替える提案を、予算特別委員会で行いました。予算のわずか3・8%を組み替えるだけで、シルバーパスの無料化、都営地下鉄子ども料金の一律50円への引き下げ、若者の家賃助成をはじめ、121項目にわたる都民の切実な要望が実現できます。

 また、都立看護専門学校の授業料を無償化する条例案、および都議会議員の期末手当の支給額を昨年12月の引き上げ前に戻す条例案を提出しています。皆さんのご賛同を心より呼びかけます。

 予算特別委員会で、日本共産党と立憲民主党の議員の発言取り消しを求める動議が、3つの会派の反対を押し切って採決されました。
 議会は、言論の府です。議員は誰からも拘束されず、自らの責任で自由に発言することが保障されています。この「発言の自由」は、議会の最も大事な原則の一つです。
 自民党、都民ファースト、公明党が可決した動議は、議員の質問の内容に立ち入り、虚偽、不穏当だと決めつけて議事録の削除を求めるもので、議員の発言権を侵害し、議会の民主主義を踏みにじる暴挙です。改めて強く抗議するものです。

 最後に、都民に冷たく「経済界ファースト」の小池都政をこのまま続けるわけにいきません。都民の声を聴き、都民に寄り添う知事を誕生させるため全力をつくす決意を申し上げまして、日本共産党都議団の討論を終わります。

以上