ご意見・ご要望
ページトップヘ

質問・条例提案

2024.03.28

文書質問 独法化した都立病院の休止病床の再開と行政的医療の実施について、 踏切の赤色せん光灯とバス停留所の安全対策について 藤田りょうこ(大田区選出)

 2024年第1回定例会で以下の文書質問を提出しました。

 

 

令 和 6 年 第 一 回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 藤田 りょうこ

【質問事項】

独法化した都立病院の休止病床の再開と行政的医療の実施について
踏切の赤色せん光灯とバス停留所の安全対策について

【答 弁】

独法化した都立病院の休止病床の再開と行政的医療の実施について
踏切の赤色せん光灯とバス停留所の安全対策について

 


一 独法化した都立病院の休止病床の再開と行政的医療の実施について
 今年の予算特別委員会の質疑では、都立14病院全体で稼働していない病棟の数は、工事に伴うものを除き、本年3月時点で19病棟、休止病床の数は629床であることがわかりました。
 また、独法化の効果としては、柔軟な人材確保や機動的な運用で、行政的医療をはじめとする質の高い医療を提供している、とも答弁しています。引き続き都立病院が、民間で担うことが難しい医療の提供に責任を持つため にも 、休床となっている病床の運用ができるよう、職員体制の確保を進めることが必要です。
 ところが、予算特別委員会の保健医療局長の答弁では、すべての病床を稼働させるために必要な人員について質問したところ、「職員体制の状況や患者動向等を総合的に勘案して対応」と繰り返すのみで、具体の数については答弁されませんでした。

Q1 2023年度中の、看護師の退職者数は何人でしたか。2024年4月1日就職の看護師は何人で、同日の現員は何人ですか。
Q2 2024年度初めに看護師が欠員の都立病院はどこですか。各病院の欠員の人数についても伺います。
 都立小児総合医療センターは全体で約600床ですが、そのうち小児精神科の病床は202床です。14年前に、多くの保護者と都民の反対を押し切って、全国でも貴重な都立梅ケ丘病院を廃止し、小児総合医療センターへの統廃合を強行しました。そのことにより、当時264床あった小児精神科の病床は、約200床にまで減らされたのです。そしてさらに、小児精神科病棟は2病棟60床が休止されたままとなっています。
Q3 独法化前の小児総合医療センターの小児精神科医の定数は何人ですか。
 また、今の小児精神科医の現員についても伺います。
Q4 独法化前の小児総合医療センターの副院長の定員は何人ですか。院長と合わせて、どのような専門領域で構成してきたのかについても伺います。
Q5 小児総合医療センターの小児精神科部長はいつからいないのですか。補充のめどはあるのですか。
 3月14日の予算特別委員会の質疑では、小児総合医療センターの運営協議会で、地域の医師会から、「不登校から鬱になるケースが増加しているが、府中市内には専門医がほとんどいない。」「摂食障害の患者さんについても都立小児に相談したが、入院適応でないから待ってほしいという結論であった。」「開業医レベルでもリストカットや自殺企図の対応を迫られている。入院まで行きつかない患者の対応もしてほしい。」など、切実な声が寄せられていることを紹介しました。
 しかし、保健医療局長は「地域の医療機関では対応困難な重症患者を確実に受け入れている」「地域医療機関との役割分担の下、連携体制を構築いたしまして」「行政的医療である児童精神科医療を着実に提供している」と強弁しました。Q6 都立小児総合医療センターの児童・思春期精神科では、初診までの待ち時間は、2013年2月1日現在は80日程度だと過去の厚生委員会で答弁がありました。現在はどのようになっていますか。
Q7 開設当初、2010年度の小児総合医療センターの児童・思春期精神科の外来には、1,300名の20歳未満の新規患者が来ていましたが、昨年度は半減しています。なぜ、減ったのですか。
 責任ある立場の医師も含め、児童・思春期精神科の体制を抜本的に強化し、地域の医療機関では対応が難しい患者を確実に受け入れられるようにすべきです。運営協議会で出された意見に対し、責任を持って対応することを要望します。
 また、保健医療局長の答弁では、「小児総合医療センターの児童・思春期精神科では、子どもの健やかな成長などの観点から、可能な限り地域生活を経験できますよう、患者や保護者の意向も確認しながら入院期間を必要最小限にしている」という答弁もありました。
 しかし、そもそも梅ケ丘病院と小児総合医療センターでは、前提となる入院環境が大きく異なります。
Q8 旧梅ケ丘病院では、院外に行くと言えば病院の敷地の外に行っていました。庭にも直接出られました。地元の商店街も温かく子どもたちを受け入れて、見守ってくれていて、体調が良くなってくれば商店街に買い物に行ったり、高校生なら商店街でアルバイトもさせてくれるなど、それ自体が、社会に出ていく、退院するにあたっての助走にもなっていました。児童・思春期精神科では、こうした地域に開かれた環境で入院できることが、子どもの健やかな成長の観点からも重要だと思うのですが、いかがですか。
 ところが、3つの小児病院の統廃合が進められる中、児童精神科は身体の分野とは別にすべきだということや、たとえ総合病院になったとしても、単独の施設であることが最低限必要だという病院の現場からの指摘がありましたが、それさえも守られませんでした。
 ゆったりとした環境が必要な児童精神科を、身体の急性期と一緒の病院施設にしてしまいました。小児総合医療センターの児童・思春期精神科は、ドアに鍵がかけられ、外にも自由には出られない環境になってしまいました。
 小児精神科医療は、対象となる子どもたちに対して、生活面でも安心できるように支えようとするならば、いつでもゆっくり入院できる環境が必要です。一方、その診療報酬や処遇は、実態とは大きくかけ離れた、極めて低い設定となっているため、行政的医療の中でも、確固たる方針をもって運営していかなければ、途端に患者や家族の行き場がなくなってしまう医療なのです。
 都は、梅ケ丘病院の廃止を強行した歴史に責任を持つ必要があります。
Q9 都立梅ケ丘病院を小児総合医療センターに統廃合して14年が経ちます。その間、子どもたちを取り巻く環境はどう変化したのか。統廃合によって小児精神科医療はどうなったのか、閉鎖病棟のみにしたことは、子どもたちにどう影響しているのかなど、都として検証すべきと考えますが、いかがですか。
 貧困と格差が広がり、子どもの虐待相談対応件数が増加しています。子どもの自殺や不登校の人数も過去最高水準となっています。子どもが生きづらい社会に未来はありません。都立小児総合医療センターでは、そうした社会環境も見据えて、子どもたちが必要とする医療に責任を持つ体制整備を進めるよう、強く要望します。

二 踏切の赤色せん光灯とバス停留所の安全対策について
 聴覚に障害のある方が線路の踏切を渡る際、注意してみているのが「踏切警報灯」「赤色せん光灯」です。
Q1 東京都交通局が運営する路線の踏切警報灯はいくつありますか。保守点検や、踏切警報灯の交換のタイミングはどうしているのですか。
 踏切警報灯は、一般的には車両の進行方向に対して通行車線側の路側に設置されている場合が多いため、歩行者が右側の歩道から踏切に進入するときは、多くの方が音で遮断機が下りることを認識しています。
 しかし、視覚情報に頼らざるを得ない聴覚障害者は、目の前の踏切警報灯で情報が得られない場合には、対角にある赤色せん光灯も見ようとしますが、実際には真横からでは見えにくく、かつ、車の通行などで遮られ、見えないこともあります。
 先日ある聴覚障害者から、「気が付いたら踏切内に閉じ込められていた」、というお話を伺いました。
Q2 都営交通の踏切警報灯のうち、全方位の視認を確保した赤色せん光灯はいくつですか。全方位の視認性があることの重要性について伺います。
  現在、赤色せん光灯の視認方位には決まりが無いので、故障や老朽化などの問題がない場合には、視認方位が一方向のみの赤色せん光灯が残っている踏切も少なくありません。
 しかし、情報保障を進めていこうとしている今日において、本来は法律等で「原則全方位の視認を確保した赤色せん光灯にすること」とし、そのための財政措置も国や行政で行うべきです。
 情報コミュニケーション条例の検討を行っている都において、国に先駆けて障害者に安全なまちづくりを進めるべく、都営交通の路線においては、踏切警報灯をすべて全方位の視認を確保した赤色せん光灯に更新することを求めます。
 次に、バスの停留所の安全についてです。
 身近な交通手段となっている路線バスですが、近年の猛暑と高齢化等による要望として、ベンチと上屋の設置を求める声が多く寄せられています。
 都は、東京都交通局経営計画2022の中で、停留所の上屋とベンチについて、「バス停留所での待ち時間における負担感の軽減を図り、より一層都営バスを快適にご利用いただくため、上屋・ベンチの更新等を進めます。」とし、2017年度から2022年度までの5年間で、停留所の上屋を61か所、停留所のベンチを133か所増やしています。
Q3 都は都営バスの停留所に上屋を設置することで、どのような負担感の軽減が図られると考えていますか。また、上屋を設置する上でどのような課題がありますか。
Q4 都バスの停留所にベンチを設置することで、どのような負担感の軽減が図られると考えていますか。また、ベンチを設置する上でどのような課題がありますか。
 鉄道よりも路線数が多く、自宅から近くにある路線バスは、多くの高齢者の生活の足となっています。日中にはベビーカーで外出するにも便利な手段となっています。
Q5 高齢者の外出を促進し、赤ちゃんや子ども連れの方でも安全に利用できるようにするためには、民営バスの停留所においても待ち時間の負担感の軽減を図ることが重要です。福祉のまちづくりの観点から、都として民間バス事業者に対し、バス停留所にベンチや上屋の設置促進を働きかける必要があると考えます。都の認識を伺います。


令和6年第一回都議会定例会
藤田りょうこ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
独法化した都立病院の休止病床の再開と行政的医療の実施について
一の1 2023年度中の、看護師の退職者数は何人か。2024年4月1日就職の看護師は何人で、同日の現員は何人か伺う。
回答
都立病院の看護要員について、令和5年度の退職者数は493名、令和6年4月1日付けの採用者数は570名であり、同日の現員数は6,203.7名で前年同時期と比べ115.8名増加しています。

質問事項
一の2 2024年度初めに看護師が欠員の都立病院はどこか。各病院の欠員の人数についても伺う。
回答
 都立病院機構では、都と同様の定数管理は行っていませんが、令和6年度予算における看護要員の人件費の積算基礎は、6,258名です。
 令和6年4月1日の看護要員の現員数を、積算基礎と比較した場合の職員数の多寡は患者動向などにより病院ごとに様々であり、病院数は7病院、14病院の現員数は54.3名、それぞれ下回っていますが、前年同月の現員数との比較では、115.8名増加しています。

質問事項
一の3 独法化前の小児総合医療センターの小児精神科医の定数は何人か。
 また、今の小児精神科医の現員についても伺う。
回答
小児総合医療センターの児童・思春期精神科医師について、独法化前の令和4年度の定数は 11名、令和6年4月1日時点の現員数は12.8名です。

質問事項
一の4 独法化前の小児総合医療センターの副院長の定員は何人か。院長と合わせて、どのような専門領域で構成してきたのか伺う。
回答
 独法化前の小児総合医療センターの副院長の定数は3名です。
院長、副院長の専門領域に定めはなく、小児科や外科、精神科などの医師が務めており、副院長はそれぞれ、医療連携や医療人材、経営戦略等に係る業務を担当していました。

質問事項
一の5 小児総合医療センターの小児精神科部長はいつからいないのか。補充のめどはあるのか伺う。
回答
 都立病院の診療科には、責任者を適切に配置しており、小児総合医療センターの児童・思春期精神科においては部長又は医長が務めています。

質問事項
一の6 都立小児総合医療センターの児童・思春期精神科では、初診までの待ち時間は、 2013年2月1日現在は 80日程度だと過去の厚生委員会で答弁があったが、現在はどのようになっているか伺う。
回答
 小児総合医療センターの児童・思春期精神科は、原則として、かかりつけ医等からの紹介に基づき、地域の医療機関では対応が困難な重症患者を中心に治療を行っており、初診までの待ち日数も、緊急度や重症度により異なります。
 小児総合医療センターのホームページでは、児童・思春期精神科外来の初診までの待ち日数の目安として、早期入院を要するような緊急度、重症度の高い方は1か月程度、中程度の方は2か月程度、他の方と比べて相対的に緊急度の低い方は3か月程度と案内しています。
 なお、極めて緊急度の高いケースはおおむね1週間以内に診察しているほか、急性精神病や拒食、希死念慮などの症状や状態にあるとかかりつけ医が判断した場合は、即日から数日以内に入院受入れを行っています。

質問事項
一の7 開設当初、2010年度の小児総合医療センターの児童・思春期精神科の外来には、1,300名の20歳未満の新規患者が来ていたが、昨年度は半減している。なぜ、減ったのか伺う。
回答
 小児総合医療センターの児童・思春期精神科の外来では、地域の医療機関等との適切な役割分担の下、かかりつけ医等からの紹介に基づき、地域の医療機関では対応が困難な重症患者を中心に治療を行っています。

質問事項
一の8 児童・思春期精神科では、こうした地域に開かれた環境で入院できることが、子どもの健やかな成長の観点からも重要だが、見解を伺う。
回答
 小児総合医療センターの児童・思春期精神科では、入院が必要な場合には、子供の健やかな成長などの観点から、可能な限り地域生活を経験できるよう、患者や保護者の意向も確認しながら入院期間を必要最小限にしています。
 また、退院後の円滑な地域生活への移行に向け、入院中から、子ども・家族・地域サポートセンターが地域の医療機関等と連携して支援を行うほか、退院後の外来診療や、緊急時又は症状の悪化が見込まれる際の再入院にも対応しています。
 地域の医療機関等との適切な役割分担の下、かかりつけ医等では対応が困難な重症患者を中心に着実に治療を行っています。

質問事項
一の9 都立梅ケ丘病院を小児総合医療センターに統廃合して14年が経つが、その間、子どもたちを取り巻く環境はどう変化したのか。統廃合によって小児精神科医療はどうなったのか、閉鎖病棟のみにしたことは、子どもたちにどう影響しているのかなど、都として検証すべきだが、見解を伺う。
回答
 都は、都立病院機構中期目標において、児童・思春期精神科医療などの行政的医療について、医療環境が変化していく中でも、適正に提供していくことを、都立病院機構に求めています。
 都立病院機構では、中期計画において、精神疾患を有する患者の権利擁護を推進するとともに、地域の医療機関等と連携し、入院患者の円滑な地域生活への移行を積極的に支援することを定めています。
 小児総合医療センターの児童・思春期精神科では、他の医療機関等との適切な役割分担と密接な連携を図りながら、地域の医療機関では対応が困難な重症患者等に積極的に対応するなど、こころとからだを総合した質の高い医療を提供しています。

質問事項
二 踏切の赤色せん光灯とバス停留所の安全対策について
東京都交通局が運営する路線の踏切警報灯はいくつあるか。保守点検や、踏切警報灯の交換のタイミングはどうしているのか伺う。
回答
 交通局では、東京さくらトラム(都電荒川線)において83か所に踏切警報灯を設置しています。
 踏切警報灯は、2か月に一度巡回検査するなど定期的に保守点検を実施しており、老朽化等の状況を踏まえ計画的に交換しています。

質問事項
二の2 都営交通の踏切警報灯のうち、全方位の視認を確保した赤色せん光灯はいくつか。全方位の視認性があることの重要性について伺う。
回答
 交通局の踏切警報灯のうち、全方位型せん光灯は21か所の踏切に設置し
ています。
 せん光灯の種別については、設置場所における視認性等を勘案し選定しています。

質問事項
二の3 都は都営バスの停留所に上屋を設置することで、どのような負担感の軽減が図られると考えているか。また、上屋を設置する上でどのような課題があるか伺う。
回答
 都営バスでは、お客様がバスをお待ちいただく際に日差しなどを避けられるよう、停留所への上屋の整備に取り組んでいます。
 上屋の設置に当たっては、歩道の幅員等が道路占用許可基準を満たすこと、警察の許可や停留所付近の地権者の同意等を得ること、地下埋設物がなく、上屋の基礎が構築できることなどが必要となります。

質問事項
二の4 都バスの停留所にベンチを設置することで、どのような負担感の軽減が図られると考えているか。また、ベンチを設置する上でどのような課題があるか伺う。
回答
 都営バスでは、お客様がバスをお待ちいただく際にお掛けいただけるよう停留所へのベンチの設置に取り組んでいます。
 ベンチの設置に当たっては、上屋と同様に、歩道の幅員等が道路占用許可基準を満たすこと、警察の許可や停留所付近の地権者の同意等を得ること、地下埋設物がなく、ベンチの基礎が構築できることなどが必要となります。

質問事項
二の5 福祉のまちづくりの観点から、都として民間バス事業者に対し、バス停留所にベンチや上屋の設置促進を働きかけるべきだが、都の認識を伺う。
回答
 バス停留所等の整備は、バス事業者が交通管理者、道路管理者及び地元自治体と協議・調整を行った上で、事業者が対策を行うものと考えています。