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質問・条例提案

2025.10.09

本会議 田中とも子都議(北多摩第3(調布市・狛江市))の討論

2025年10月9日の本会議で田中とも子都議(北多摩第3(調布市・狛江市))が討論を行いました。

 

動画(都議会ホームページ。田中都議の討論は45:48ごろから)

★討論全文(原稿です)


 日本共産党都議団を代表して討論を行います。

 都民の暮らしはますます厳しくなっています。

 食料品は10月から3千品目以上値上げされ、実質賃金は8カ月連続マイナスとなりました。都庁の下で行われている食料支援には9月末、過去最高の922人が並びました。「物価高で暮らしが大変。食費を浮かすため」という若い人や女性も増えています。

 ところが自公政権は、暮らしを守る具体策を示さず無策で、消費税減税の願いに背を向けています。

 小池都政も同じです。物価高騰対策の補正予算も編成せず、その一方で、都民から反対の声が上がっている巨大噴水や大型道路の建設は、着実に進めるという答弁がありました。都民の暮らしに無関心で、無駄遣いを改めようとしない姿勢が鮮明になりました。

 そういうもとで日本共産党都議団は、都政を厳しくチェックするとともに、物価高騰対策をはじめとした公約実現のために、具体的提案を行いました。

 そのひとつが、わが党が提出した中小企業の賃上げ応援条例です。一人15万円、年間20万人を対象に賃上げを後押しします。賃上げのみを要件とするシンプルな条例なので、都が実施している制度と違って早く支援が届きます。

今定例会では、多くの会派が賃上げへの支援を求めました。みなさんのご賛同を心から呼びかけます。

 わが党はさらに、水道料金や国民健康保険料の引き下げ、修学旅行代や制服代など教育費の負担軽減、交通費を支援する学生フリーパスの創設などを提案しました。また、多くの人が要望している消費税減税、フリーランスの方などに重い負担となっているインボイス廃止を、国に働きかけるよう求めました。切実な願いにこたえるべきです。

都が実施しているエアコン購入費補助の対象を低所得者に広げるよう、わが党は求めましたが、都は後ろ向きでした。気候危機による猛暑は、命にかかわる事態です。支援の拡充を求めます。

 高騰する23区内の火葬料問題は深刻です。多摩地域の公営の火葬料は無料か1万円以下なのに、23区内で多くを占める民間の火葬料は9万円、都立も20年間で8倍も値上げして6万円です。

知事が、料金を含む指導が適切に行えるように国に求めると表明したことは重要ですが、都立の火葬料を率先して下げるよう求めたわが党の提案に、都は背を向けました。それでは説得力がないという再質問にも、同じ答弁を繰り返すだけでした。都立の火葬料の大幅な引き下げを重ねて求めます。

 都立病院の運営も厳しくなっています。

都は、「物価高騰分を確実に予算に反映する」という方針ですが、独立行政法人化した都立病院の運営費負担金や交付金は、物価高騰分を基本的に反映していません。

 しかも今後の運営方針について、病院機能の縮小や病床数の削減、人件費の抑制につながる話が出されています。

 新型コロナの教訓は、パンデミックに対応できる余裕のある医療体制が必要だということでした。都立病院が、都民に必要な行政的医療を提供し続けることができるよう、都直営に戻して拡充すべきです。

 都立も公立も民間も、医療機関は経営危機です。公立病院と民間病院への財政支援も拡充するよう、改めて求めるものです。

 わが党は、大規模再開発による地価高騰や、住宅の投機・転売を野放しにしてきたことが、住宅価格や家賃の高騰を引き起こしていると指摘し対策を求めましたが、都は深刻な問題を直視しようとしませんでした。

 国が市街地再開発に対する補助金の対象を「必要性・緊急性の高い事業」に絞り込んだことを、都は認めざるを得ませんでしたが、あくまで開発を推進する姿勢に固執したことも許されません。

 再開発や投機・転売の規制に乗り出すこと、さらに家賃補助や借り上げ都営住宅、都営住宅の新規建設に踏み出すことを強く求めておきます。

 都営住宅等事業会計における消費税の未申告は許されません。現在行っている監察の結果の公表はもちろん、監察の結果を待つことなく都民に情報を提供すべきです。

 そもそも一般会計は特別会計より公共性が高いとされ、消費税の申告は必要ありません。都営住宅事業を一般会計から切り離して特別会計にしたことにより消費税の申告が必要となりました。

 特別会計に係る税の申告・納付は所管局まかせで、全庁的にチェックする体制がなかったことも大きな問題です。改善が必要です。

 福祉切り捨てを進めた石原都政のもとで都営住宅等事業会計がつくられた際、主要会派で反対したのはわが党だけでした。都営住宅は都民の居住の権利を保障するための制度であり、当時、管理戸数の抑制や使用料の引き上げを狙って特別会計としたこと自体が間違いです。都営住宅事業を一般会計に戻すべきです。

 わが党は、すべての人の人権を尊重する都政への転換を求めました。

 知事は、雇用分野での女性活躍推進条例の検討を進めていますが、それは「東京の持続的な発展のため」と答弁しており、人権の視点が欠けています。

大切なことは、男女賃金格差の是正、均等待遇の実現、ハラスメントの禁止を明確に掲げ、ジェンダー平等を本気で進めることです。

 全国知事会は、排他主義・排外主義を否定し、多文化共生社会を目指すと明言した「青森宣言」を全会一致で採択しました。小池知事も、国籍や文化的背景等の違いを認め合う社会をめざすと答弁しました。

一方、今定例会では、外国人など特定の属性を標的とした攻撃的、差別的発言が何度も行われました。

 日本共産党は差別と排外主義を許さず、すべての人の人権を尊重する社会をめざします。知事も都議会も、青森宣言の立場で多文化共生の施策を前に進めることを求めるものです。

 関東大震災の時に、当時の陸軍が朝鮮人の虐殺にかかわったことを示す陸軍関係資料が、東京都公文書館にあることを都は認めました。知事はこの歴史の事実を直視し、二度と繰り返さないと誓ってきた都民や都議会の取り組みに向き合って、追悼文を送付すべきです。

 大川原化工機えん罪事件について、警視総監は本会議場で謝罪しましたが、被害者が求めている第三者機関による検証の必要性を認めませんでした。また委員会質疑では、えん罪であるということを認めませんでした。えん罪であることを認めることなしに、実効性のある再発防止はできません。

 警視庁が敗訴した一審判決を不服として控訴した小池知事、および、その専決処分に賛成した都民ファーストの会、自民党、公明党、立憲民主党の責任も厳しく問われます。

 夜間定時制高校について、「不登校を経験するなど多様な生徒の学びの場となっており、社会人としての自立を促すうえで重要な役割を果たしている」と、教育長が答弁しました。ならば、夜間定時制高校7校の廃止計画は撤回すべきです。

 障害があっても安心して余暇活動を行い、自己実現をかなえる居場所を持つことは当たり前の権利です。

わが党の一般質問に、地域の実情に応じた居場所の確保ができるよう、引き続き取り組んでいくと都が答えたのは重要です。都内全区市町村が実施できるよう支援の充実を求めます。

 イギリスの空母が8月末、東京港に寄港したことに対し、軍事訓練の一環であったにもかかわらず、都は「国際親善の目的だった」と危険な実態を覆い隠す答弁をしました。憲法と平和を守るべき自治体として、戦争準備に手を貸すことは許されません。

 「ガザのジェノサイド許すな」の集会が一昨日、東京で開かれました。パレスチナを国家として承認し、イスラエルによるジェノサイドをやめさせるために、都議会としても力を合わせて取り組もうではありませんか。

 最後に、本日の都議会終了後、被爆者団体である東友会の要請により、超党派で「被爆の実相を聞く会」を開催します。

 被爆80年の年に核兵器の悲惨さを学び、広島・長崎を二度と繰り返さないことを誓いあう画期的な機会です。みなさまのご参加を呼びかけて討論を終わります。