ご意見・ご要望
ページトップヘ

質問・条例提案

2025.12.17

本会議 せいの恵子都議(北区選出)の討論

 日本共産党都議団を代表して討論を行います。

 まず、補正予算です。
 物価高騰の影響は、あらゆる都民生活に及んでおり深刻です。その中で、知事はやっと、物価高騰対策の補正予算を出しました。福祉・医療施設などへの支援を継続・拡充する大事な内容もありますが、都民生活の深刻な現状と都の財政力に照らして規模も中身も貧弱です。
 しかも、都が行う物価高騰対策の6割以上、450億円は東京アプリにポイントを付与する事業です。生活応援が目的だと言いながら、マイナンバーカードがない方、スマホがない方、15歳未満の子どもは対象外です。
 15日から始まった最終検証に応募しようとした方からは、スマホがあっても認証機能がない場合、対象にならないことへの怒りの声が多数寄せられています。
 対象から漏れる人たちへの生活応援は、今回の補正予算にはほとんど含まれていません。物価高騰対策として不適切な東京アプリのポイント付与はやめ、国の交付金と昨年度決算の繰越金1800億円を活用して、抜本的に対策を強めるべきです。
 たとえば水道料金の半年間の基本料金の無料化、もしくはそれに相当する1万円を全世帯に給付金として出すなど、物価高騰対策として有効な施策に振り向け、「生活できる東京」にしていくことを提案するものです。

 台風22号・23号による八丈島・青ヶ島の被害について、一部損壊の住宅等の補修工事に対する支援や、事業の再建・継続に向けての支援など、補正予算を組んだことは重要です。
 しかし、農産物や水産加工物などの損害で、収入を絶たれている方々にとって、すぐに届く所得補償の支援が必要です。また、住宅再建のための国制度の支援は最大でも300万円までしか出ないため、都として上乗せすることを求めます。

 都の賃上げ支援は、あまりにもスピード感がありません。
 申請から支給まで平均1年7カ月もかかることから、わが党は、制度をシンプルにして迅速に支給するよう代表質問で求め、都は「奨励金の速やかな支給の両立について検討を進めている」と答弁しました。そうであるなら、賃上げのみを要件とする「中小企業の賃上げ応援事業」に速やかに踏み出すべきです。

 また、学校給食費無償化に続き、教育費のさらなる負担軽減に向けて、学用品や宿泊行事への支援、都立学校の教材費無償化、私立学校の経常費補助拡充、入学金・施設費の保護者負担軽減などを進めることを求めます。

 医療の危機打開について、わが党は、都の調査で都内病院の7割が赤字で病院運営の深刻さが明らかになったことを指摘し、都の支援を求めました。
 国の診療報酬改定の動きを見ていくとの答弁でしたが、国まかせにせず、都が今年度行った民間病院への支援をさらに充実し実施すべきです。加えて、公立病院、都立病院への支援強化も強く求めます。

 日本共産党都議団が提出した児童育成手当条例の改正案は、ひとり親や障害児を扶養する方などに対して都独自に支給している児童育成手当を月6500円引き上げ、対象も大幅に拡大するものです。
 この条例案に、障害者団体や保護者の方から、「精神障害者も含み、所得制限なしで支給する案を出していただけることは大変ありがたい」という声や、「私自身、シングルファザーで様々な業者にサポートを依頼していて負担額が多くても所得制限で手当は一切受けられない。支給があれば大変助かる」など歓迎の声が寄せられています。物価高騰が深刻な今、29年間あがっていない児童育成手当の充実は不可欠です。

 都立葬儀所の火葬料は、「受益者負担」という考え方が持ち込まれ、この20年間で8倍にもなっています。しかし火葬は、お金のあるなしでサービスを受けられないことがあってはなりません。この立場から、わが党は、都立葬儀所の都民の火葬料を現在の5万9600円から、ゼロ円にする条例改正案を提出しています。
 都がこれまでの姿勢を変え、民間火葬場のこれ以上の火葬料値上げを許さず、引き下げるという明確な姿勢・メッセージを打ち出す絶好の機会になると確信します。

 日本共産党都議団が提出した条例案への、ご賛同を呼びかけるものです。

 次に、女性活躍条例です。
 男女平等参画基本条例の趣旨を踏まえるとしていることは重要であり、賛成します。しかし一方で、「東京の持続的な発展」のための条例だとされており、女性の人権保障を据えるものとなっていません。
 男女の賃金格差や女性管理職割合の低さ、非正規雇用における女性割合の高さ、そして長時間労働、ハラスメントの解消こそ必要です。この立場から、私たちは女性の権利とジェンダー平等の実現を据え、課題を明確にした修正案を提出しました。今後、指針の作成にあたっては、労働実態の調査をすることを求めるものです。わが党は、ジェンダー平等を実現し、誰もが人間らしく働ける東京をつくるために力を尽くす決意です。

 今定例会をとおして、都民の声を聞かない小池都政の姿勢が、改めて浮き彫りになりました。

 英語スピーキングテストは今年も、会場準備の遅れ、機器のトラブルや試験監督の指示の間違いが繰り返され、試験監督によるセクハラまで起きていたことが、議連と市民の調査で明らかになりました。
 しかし教育長は調査もせず、事実を「一切確認していない」と、あたかもトラブルが起きていないかのように答弁しました。事実をねじ曲げるものであり、断じて許されません。改めてテストの中止を求めます。

 都市計画道路の第5次事業化計画案の公表が迫る中、住環境や自然を壊す計画が含まれることに、怒りの声があがっています。
 神宮外苑再開発は、多くの学校が近接する第一種文教地区であり、巨大な観覧場の建設は本来できません。それを知事が特例許可で建設しようとしていることに批判が広がっています。
 各地の取り組みが横につながり、神宮外苑や、私の地元・北区赤羽を含め都内11か所で再開発の見直しを求めて運動する都民が先日、一堂に会し、東京のまちづくりのビジョンについて交流しました。
 まちづくりは、財界ファーストでなく、住民が主役でこそ成功します。都民の声に耳を傾けて見直すべきは見直すことを、改めて求めます。

 新潟県知事が柏崎刈羽原発の再稼働を容認したことに、8割の県民が反対しています。ところが小池知事は、県知事の発言を「非常に重みのある発言」と答弁しました。知事がかつて原発ゼロを掲げ、その後も原発再稼働について「住民合意が重要」としていた態度を投げ捨て、原発再稼働へとカジをきる重大な答弁です。
 福島原発事故は収束しておらず、頻発する地震をみても再稼働は言語道断です。日本共産党は原発再稼働に断固反対します。

 五輪談合事件で、「電通グループ」の有罪判決が、事業者では初めて確定しました。電通の行政訴訟や他の5社の訴訟は継続しており、引き続き五輪の闇の解明が必要です。都職員の関与についてもいまだ疑惑のままであり、クリーンなスポーツ行政の実現のために、都として徹底調査することを求めるものです。

 米軍がパラシュート訓練で、相次いで横田基地の外で落下事故を起こし、しかも落下させたパラシュートを夜間に無断で児童館の敷地に侵入し回収していたことについて、さすがに国も「強い遺憾の意」を表明しました。
 主権侵害そのものであり、本来は不法侵入として立件すべき事案です。またこの児童館は、都営住宅と一体の都有地にあります。知事が米軍に直接抗議し、無条件で訓練中止を要請すべきです。

 最後に、国が税制改正大綱の議論で、「偏在是正」の名のもとに都の固定資産税などを対象として、さらなる見直しを進めていることは許されません。
 固定資産税の増収は、不動産価格が上がり苦しむ都民のためにこそ使うべきものです。国は、「偏在是正」を名目に都の財源を奪うのではなく、地方への配分こそ増やすべきです。

 日本共産党都議団は、引き続き都政での問題点を厳しくチェックするとともに、物価高騰対策、賃上げ支援、家賃助成をはじめ、「生活できる東京」の実現に向け全力を尽くすことを表明して、討論を終わります。