2025年第4回定例会を終えて(談話)

2025年第4回定例会を終えて
2025年12月17日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 里吉 ゆみ
日本共産党都議団は「生活できる東京」をめざし、①物価高から暮らしを守る、②自己責任・市場原理優先の政治を終わらせ「公共を取り戻す」、③すべての人の権利尊重、④「財界ファースト」の都市政策からの転換、⑤高市政権が進める戦争準備ストップの「5つの柱」の提案を行いました。また高市政権と、都民ファーストの会、自民党、公明党などが支える小池都政の問題点を明らかにする論戦を行いました。
1 「生活できる東京」へ、物価高騰から暮らしを守るために全力
<補正予算案の問題点と、わが党の具体的提案> 物価高騰の影響は、あらゆる都民生活に及び深刻です。ところが高市政権は、暮らしを壊す政策を次々進めようとしています。小池知事は、物価高騰対策の補正予算案をようやく提出しましたが、都民生活の深刻な現状と都の財政力に照らして規模も中身も貧弱です。
しかも、都が行う物価高騰対策の6割以上、450億円は、東京アプリに4000ポイントを加算する事業です。生活応援が目的だと言いながら、マイナンバーカードがない方、スマホがない方、15歳未満の子どもは対象外です。15日から始まった最終検証に応募しようとした方からは、スマホがあっても認証機能がない場合、対象にならないことへの怒りの声が多数寄せられています。わが党は、物価高騰対策として不適切な東京アプリのポイント付与に反対し、ポイント付与はやめて、その財源を、たとえば水道料金の半年間の基本料金の無料化、もしくはそれに相当する1万円を全世帯に給付金として出すなど、物価高騰対策として有効な施策に振り向けることを提案しました。
<中小企業の賃上げ支援> 都の賃上げ支援は、申請から支給まで平均1年7カ月もかかることから、わが党はシンプルな制度にして迅速に支給するよう求めました。これに都は、「奨励金の速やかな支給の両立について検討を進めている」と答弁し、わが党の指摘を踏まえて検討していることを明らかにしました。そうであるなら、賃上げのみを要件とする「中小企業の賃上げ応援事業」に速やかに踏み出すべきです。
<教育費の負担軽減、さらに前へ> 学校給食費無償化に続き、教育費のさらなる負担軽減に向けて、学用品や宿泊行事への支援、都立学校の教材費無償化、私立学校の経常費補助拡充、入学金・施設費の保護者負担軽減などを進めることを求めました。
<医療の危機打開> 都の調査で都内病院の7割が赤字という実態が明らかになったことを指摘し、都の支援を求めました。国の診療報酬改定の動きを見ていくとの答弁でしたが、国まかせにせず都が今年度行った民間病院への支援をさらに充実し実施すべきです。公立病院、都立病院への支援強化も求めました。
<児童育成手当条例、火葬料ゼロ円条例の提案> わが党が提出した児童育成手当条例改正案は、ひとり親や障害児を扶養する方などに対し都独自に支給している児童育成手当を月6500円引き上げ、対象も大幅に拡大するものです。関係する方々から、「精神障害者も含み、所得制限なしで支給する案を出していただけることは大変ありがたい」「シングルファザーで様々なサポートを依頼していて、負担額が多くても所得制限で手当は受けられない。支給があれば大変助かる」など、歓迎の声が寄せられました。
23区内の民間火葬料の高騰が大問題になっていますが、都立瑞江葬儀所の火葬料も「受益者負担」という考え方が持ち込まれ、この20年間で8倍にもなり、現在5万9600円です。火葬は、お金のあるなしで受けられないことがあってはならないとの立場から、都民はゼロ円にする条例を提出しました。
条例案はいずれも採択されませんでしたが、今後も実現をめざします。
2 女性活躍推進条例は、課題を明確にした修正案を提出
女性活躍推進条例が、今定例会に提出されました。男女平等参画基本条例の趣旨を踏まえるとしていることは重要であり、わが党は賛成しました。しかし、「東京の持続的な発展」のための条例だとされており、女性の人権保障を据えるものとなっていません。男女の賃金格差や女性管理職割合の低さ、非正規雇用における女性割合の高さ、長時間労働、ハラスメントの解消こそ必要です。この立場から、わが党は女性の権利とジェンダー平等の実現を据え、課題を明確にした修正案を提案しました。
3 都民の声とともに、前進を切り開く
<水害対策の止水板補助など実現> 水害に対する止水板の補助や、台風22号・23号による八丈島・青ヶ島の被害について国の制度が適用されない一部損壊の住宅等の補修工事に対する都の支援が決まりました。被災者の声とともに求めてきたことであり重要です。さらに被災者の所得補償や、9月に起きた短時間集中豪雨での被害にも支援を行うことを求めました。
<医療・福祉施設などの物価高騰対策充実> 今回の補正予算で障害福祉と介護保険の通所施設でも食材費の支援が行われることになりました。また訪問看護ステーションのうち、医療的ケアが必要な方や精神疾患の方を専門としているため介護保険の対象とならない事業所はこれまで物価高騰対策の対象外でしたが、今回から対象となりました。どちらもわが党が繰り返し求めてきたものです。
<エアコンなど省エネ家電への支援強化> 補正予算では、脱炭素化などを一層推進するため、既存住宅向けの太陽光発電設置支援、東京ゼロエミ住宅の整備推進、家庭の省エネ家電への買い替えを促進するゼロエミポイントがそれぞれ拡充されました。これらは、わが党が求めてきたものです。さらに低所得者も負担なく環境に配慮した高性能なエアコンに買い替えができるよう、補助の拡大を求めました。
<都立学校の断熱化がスタート> 学校での断熱化や再エネを進めることは温室効果ガス削減に貢献し、子どもたちの健康維持や学習に集中できます。しかし3年間で4校の断熱化ではスピードが遅すぎることから、早急に全校に進めることを求めました。あわせて区市町村立学校への支援を求めました。
<性売買・性搾取のない社会へ> 東京における子どもへの性搾取について、なくす姿勢を明確にする必要があることを求めた質問に「被害者の心身に甚大な影響を及ぼし、その人権を著しく侵害する極めて卑劣、悪質な行為である」と答弁がありました。性売買・性搾取の禁止と脱性売買支援に向けて取り組みを強化することを求めます。
4 都民の声を聞かない小池都政から、転換を
<英語スピーキングテスト> 今年も会場準備の遅れ、機器のトラブルや試験監督の指示の間違いが繰り返され、試験監督によるセクハラまで起きていたことが、議員連盟と市民の調査で明らかになりました。ところが教育長は調査もせず、事実を「一切確認していない」と、あたかもトラブルが起きていないかのように答弁しました。事実をねじ曲げるものであり、断じて許されません。テストの中止を強く求めます。
<大型道路・再開発> 都市計画道路の第5次事業化計画案の公表が迫るなか、住環境や自然を壊す計画が含まれることに、怒りの声があがっています。神宮外苑再開発は、多くの学校が近接する第一種文教地区であり、巨大な観覧場の建設は本来できません。それを知事が特例許可で建設しようとしていることに、批判が広がっています。各地の取り組みが横につながり、神宮外苑や北区赤羽を含め都内11カ所で再開発の見直しを求めて運動する都民が先日、一堂に会し、東京のまちづくりのビジョンについて交流しました。まちづくりは、「財界ファースト」でなく、「住民が主役」でこそ成功します。都民の声に耳を傾けて、見直すべきは見直すことを厳しく求めました。
<原発再稼働> 柏崎刈羽原発の再稼働を容認する新潟県知事の発言に、8割の県民が反対しています。ところが小池知事は、県知事発言を「非常に重みのある発言」と答弁しました。知事がかつて原発ゼロを掲げ、その後も原発再稼働について「住民合意が重要」としていた態度を投げ捨て、原発再稼働へとカジをきる重大な答弁です。また、自民党が再稼働は不可欠だと小池知事に迫り、国民民主党が再稼働を容認すると発言したことは言語道断です。日本共産党は原発再稼働に断固反対します。
5 高市政権が進める戦争準備ではなく、平和のための行動を
<米軍のパラシュート訓練中止> 米軍がパラシュート訓練で、相次いで横田基地外で落下事故を起こし、しかも落下させたパラシュートを夜間に無断で児童館の敷地に侵入し回収していたことについて、さすがに国も「強い遺憾の意」を表明しました。主権侵害であり、本来は不法侵入として立件すべき事案です。またこの児童館は都営住宅と一体の都有地にあります。知事が米軍に直接抗議し、無条件で訓練中止を要請すべきです。わが党は立憲など4会派共同で米軍の訓練中止等を求める意見書案を提出しましたが、反対する会派があり、まとまりませんでした。
<非核三原則の堅持> 核兵器を作らず、持たず、持ち込ませずという非核三原則は、国会決議で何度も確認されてきた国是であり、国際公約であり、国のあり方にかかわる大原則です。世界が核兵器禁止条約で核なき世界を目指している時に、唯一の戦争被爆国日本が逆行し、非核三原則を見直すことは許されないと高市総理にはっきり伝えることを求めましたが、小池知事は国まかせの答弁でした。日本共産党都議団は、非核三原則を堅持し、平和のための行動を前に進める決意です。
日本共産党都議団は、14人の議員全員で力を合わせて、今後も都政の問題点を厳しくチェックするとともに、物価高騰対策、賃上げ支援、家賃助成をはじめ「生活できる東京」の実現に向けて全力をつくします。
以上
