東京都男女平等参画推進総合計画に関する申し入れ──国際的な到達点をいかし、ジェンダー平等な東京へ

日本共産党都議団は5月22日、標記の申し入れを小池百合子知事宛てに行いました。
生活文化局の志村将憲・男女平等参画担当部長が応対し、「男女平等参画基本条例に基づき、すべての都民が、性別にかかわりなく個人として尊重され、男女が対等な立場であらゆる活動に共に参画し、責任を分かち合う男女平等参画社会の実現を目指します」と述べました。
申し入れ内容は以下のとおりです。
2026年5月22日
東京都知事 小池百合子 殿
日本共産党東京都議会議員団
東京都男女平等参画推進総合計画に関する申し入れ
──国際的な到達点をいかし、ジェンダー平等な東京へ──
都の「男女平等参画推進総合計画」が今夏に改定される予定です。前回(2022年)の改定以降、ジェンダー平等を求める都民の世論と運動の広がりにより、都政でも痴漢の被害実態調査と痴漢撲滅プロジェクトの開始や、都営地下鉄の女性専用車両の拡大、附属機関等の女性委員の割合を40%以上とすることの条例への明記(ただし、ある役職の人を自動的に委員にする「あて職」を除いて算出)など貴重な前進がありました。また、都は国に対して、都民に生じている不便、不都合を解消する観点から選択的夫婦別姓制度の議論推進をもとめる提案要求も提出しました。
一方で、経済成長戦略やビジネス分野での国際競争を勝ち抜く手段として「女性活躍」を利用したり、「人口は国力」だとして「少子化対策」のために女性に特定の生き方を求める動き、家父長的な家族観を押し付けたり性の多様性を否定するなどの逆流(バックラッシュ)があることは、見過ごせません。
4月には、計画改定に向けた男女平等参画審議会の答申がありましたが、本文が14ページと、120ページあった前回と比べてもあまりにも短く、「内容がわからない」「コメントする中身がない」との声が上がっています。計画改定にあたっては、計画案の全体を示し、都民の声をていねいに聞き、反映させることが必要です。
ジェンダー平等、男女平等参画の推進は、その国際的な到達を指標として、誰もが性別にかかわらず個人の尊厳を大切にされ、生き方が尊重される社会を目指すものです。
日本共産党都議団はジェンダー平等社会を目指す立場から、東京都男女平等参画推進総合計画に盛り込み、都の男女平等参画施策に生かすべき内容として、以下の項目を要望するものです。
1、ジェンダー平等の実現を中心に据えること
○ 男女平等参画、ジェンダー平等は、だれもが性別にかかわらず個人の尊厳を大切にされ、その生き方が尊重される社会をめざすものであることを明確にすること。
○ 男女平等参画を、「2050東京戦略」(都の長期計画)の枠内にはめこまず、女性差別撤廃条約をはじめとする国際的な到達を指標として推進すること。
○ ジェンダーの視点をあらゆる政策や施策の基本にすえる「ジェンダー主流化」や、男女賃金格差をはじめとしたジェンダーギャップを「見える化」し事実に基づいて格差をなくす「ジェンダー統計」を都政に位置づけ、実践すること。
○ 女性活躍を経済成長戦略や「東京の持続的発展」の手段としないこと。
○ 「少子化対策」のために行政が婚姻と出産を推奨することは、特定の生き方の押し付けであり、行わないこと。
○ ジェンダー平等をあらゆる分野で貫くために「ジェンダー平等推進局」をつくること。
○ 民法を改正しただちに選択的夫婦別姓や同性婚を実現するよう、国に求めること。
○ 国連女性差別撤廃条約の選択議定書の批准、2024年の女性差別撤廃委員会による勧告の実施、日本から国連への任意拠出金の使途から女性差別撤廃委員会を除外する通知を撤回することを、国に求めること。
2、働く場でのジェンダー平等
○ 賃金の引き上げと一体の労働時間の短縮を目指すこと。妊娠や出産、子育て、介護等による不利益をなくし、育児介護休業の制度と所得保障を充実すること。
○ 間接差別の是正を図るとともに、女性の半数を占める非正規雇用は雇用形態を通じた女性差別であることを明確にし、均等待遇や同一価値労働同一賃金の取り組みを強化すること。
○ 最低賃金は2000円以上を目指し、速やかに1500円以上に引き上げるよう、知事が東京地方最低賃金審議会に要請すること。中小企業への賃上げの直接支援を強化すること。
○ 医療、介護、福祉など女性が多いケア労働の分野の処遇改善をはかること。ケア労働者の労働条件は公的制度の人員配置や報酬等の基準と直結していることを踏まえ、都として独自の支援策を講じること。
○ 都職員の男女賃金格差の公表は、全職員や現役世代の男女格差、正規男性職員と比較した場合の格差について、金額と割合を公表すること。会計年度任用職員の雇用年限の撤廃、経験年数に応じた昇給、正規化、短時間勤務公務員制度を実現すること。
○ ハラスメントに対し、適切な制裁、防止措置、被害者への救済の強化をはかること。「労働の世界における暴力とハラスメントを撤廃する条約」(ILO第190号条約)を批准しハラスメント禁止と適切な制裁措置を盛り込んだ法整備を国に求めること。
○ 性別による無意識の思い込み・偏見(アンコンシャス・バイアス)の解消に向け、教育や研修、広報、啓発をはじめとする取り組みを強化すること。
3、政策・意思決定への女性への参画を推進
○ 都内の意思決定機関の構成員を男女同数にするとともに、都内事業所が女性の管理職割合の引き上げの目標と計画を持ち実行するよう支援すること。
○ 都の附属機関等の女性委員の割合は、「あて職」も含め40%以上にすること。
○ 都における女性管理職の比率が低下したことを直視し、女性の幹部・管理職への登用機会を増やし、早期に男女同数となるようにすること。
4、リプロダクティブヘルス&ライツと包括的性教育の推進
○ お互いを尊重し合う人間関係やジェンダー平等、性の多様性などを学ぶ包括的性教育を学校教育に位置づけるとともに、大人も学べるようにすること。学習指導要領の「はどめ規定」の撤廃を国に求めるとともに、学校が萎縮することなく子どもたちの状況に応じた性教育を行えるよう励ますこと。
○ 性差を考慮した健診や医療の充実を進めること。都採用の教職員の女性健診を実施する区市町村が減少していることを直視し、配属自治体にかかわらず受診できるようにするとともに、都として区市町村職員の女性健診への支援を行うこと。
○ 学校や公共施設、駅などのトイレへの生理用品の配備を拡充すること。老朽トイレの改修と100%の洋式化を促進するとともに、男女比の改善など安全・安心で行列のできないトイレ整備を進めること。
○ 学校の生理休暇や生理中の体育の対応についてのガイドラインを策定すること。
○ プレコンセプションケアは、子どもを産ませる圧力になる「少子化対策」とは切り離し、実施する場合はリプロダクティブヘルス&ライツの視点を必要不可欠なものとして重視すること。
5、困難を抱えた女性への支援
○ 1人ひとりの女性の願いや困難に光を当て、多様な生き方を応援し、ていねいに支援すること。
○ 女性支援法に基づき、女性の福祉の増進、人権の尊重、男女平等などが進むよう、予算や体制を拡充すること。
○ シングル女性の困難や貧困について実態調査や研究を行うこと。低賃金や低年金になりやすいことや安全確保のため住宅コストがかかることなどを踏まえた支援をすること。
○ 障害者やひとり親、外国人、性的マイノリティであることなど、二重の困難を抱える女性や当事者の支援を強化すること。
6、あらゆる女性への暴力の根絶
○ 痴漢・盗撮ゼロの東京をめざし、加害防止、被害者救済に関して行うべき内容や方法を、女性の意見も取り入れてさらに工夫すること。都の再犯防止計画に再犯防止プログラムを位置づけ、加害者を専門治療につなげる対策をとること。
○ 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを、多摩地域をはじめとする都内各地に増設するとともに、都立病院などと連携し、病院拠点型のセンターを設置すること。
○ リベンジポルノやSNSでの誹謗中傷、ディープフェイクポルノなどのオンライン上の暴力について、通報と削除の仕組みを強化し、被害者のケアの体制をつくること。学校でのリテラシー教育のとりくみや、都民のリテラシー向上に役立つ情報発信を積極的に行うこと。
○ 性売買・性搾取をなくすため、売春防止法をはじめとする関連法を改正し、性を売る側の処罰をやめ支援を強化すること、買う側に罰則を科すなど、女性の人権を守りジェンダー平等の立場に立った法整備を行うよう、国に求めること。実態調査と性売買から抜け出すための支援を行うこと。
○ 不本意な「共同親権」が強制されることがないよう、DV相談等での支援を強化するとともに、民法の「親権」の規定を抜本改正し、子どもの権利を実現する親と社会の責任として位置づけるよう、国に求めること。
○ 女性相談支援センターやウィメンズプラザの女性相談支援員を正規化するなど専門職にふさわしい処遇改善と体制強化をすること。ウィメンズプラザの相談事業は直営で充実させること。
7、ジェンダー平等、男女平等参画施策の推進
○ 男女平等参画苦情処理委員会を設置するとともに、男女平等施策をモニタリングし、評価する常設の第三者機関を設置すること。
○ ウィメンズプラザの機能を充実し、ジェンダー平等の普及啓発、自主的活動をする女性団体の育成や支援、東京における課題を掘り起こす調査研究、情報収集などの体制を強化すること。職員は正規雇用を基本とすること。
○ 男女平等参画を後退させるバックラッシュを許さず、毅然と対応すること。
○ 計画改定にあたっては、計画案の全体を示し、十分な期間をとった都民の意見聴取を行い、計画に反映させること。
以 上
