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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団

2000年第1回定例本会議 一般質問

山本信(渋谷区選出)  2000年3月1日

福祉人材の育成に不可欠な実習にたいし都として支援を
医療廃棄物の適性処理へ実態調査と対策強化が緊急課題

-- 目 次 --

 初めに、福祉人材の養成についてです。
 九八年の第一回定例会で、私は、福祉の専門職を目指す人が必ず受けなければならない福祉施設実習についての専任の指導者の配置をすべきだと、現場の皆さんの切実な要望も紹介しながら求めました。それは、福祉の専門職を養成する上で、実習指導が大きな役割を占めていること、また、その仕事が現場職員の献身的努力によって成り立っていることなど、本格的な高齢社会を迎えるに当たって、行政の支援がどうしても必要と考えたからであります。
 これに対して、都の答弁は、人材育成の必要性や実習の役割は認めながら、肝心の人員配置については認めないというものでありました。

福祉施設への実習コーディネーターの配置支援を

 しかし、その後二年たって、介護保険がこの四月からスタートすることになって、改めて、この実習指導の問題が切実な要求として浮かび上がってきたのであります。
 実際に、ある老人福祉施設を訪ねて調べたところ、介護福祉士、看護婦、ホームヘルパー、社会福祉士、さらには教員志望者など、幾つもの実習生を受け入れていました。この二年間の間には、とりわけホームヘルパーの実習生が急激にふえたのと、昨年からの教員志望者の受け入れが新たに加わったことが、ますます現場に大きな負担を押しつけるものとなっています。まさにあふれんばかりの状態であります。
 一方、受け入れ施設と実習生を担当する職員は、少ない人数の中で、しかも、自分の仕事をこなしながら実習生の面倒を見なければならず、それは大変な過重労働を強いられるものとなっているのであります。
 このように実習生を受け入れている施設は、都内六百十一カ所の老人福祉施設のうち、八割に及んでいます。しかも、厚生省は、社会福祉士や介護福祉士の実習については、実習指導者を配置することを求めているほか、施設は養成学校との綿密な連携も求められているのであります。
 また、この二年間の間に、実習生はふえる一方なのに、都の福祉施設への都加算の廃止や、公私格差是正事業の変更が行われ、減額されるなど、施設の経営はますます厳しくなってきています。
 このように、福祉施設の実習生受け入れの状況は、一段と厳しさが増していると思うが、どうでしょうか。もし厳しさが増していないというのであれば、実態を掌握しているのか、数字でお示しを願いたいと思います。
 人材育成については、施設に任せっ放しでありながら、都加算など支援の方はなくしてしまうなど、ひどい話ではありませんか。そもそも、このような福祉人材の育成は、高齢社会の人づくりであります。民間施設に任せっ放しで済ませる問題ではありません。都として少しは責任を感じてもよいのではありませんか。
 石原知事、危機突破・戦略プランの中で、雇用対策として、即戦力となる福祉人材の育成を掲げています。しかし、福祉人材の育成には実習が不可欠で、福祉施設の受け入れがなければ事業として成り立たないのではありませんか。それなのに、なぜ支援できないのでしょうか。せめて、実習コーディネーターの配置支援を来年度予算で提案している特別養護老人ホームの経営支援メニューに加えられないでしょうか。答弁を求めます。

東京の産業廃棄物が都外にもち出され環境破壊などの被害を与えている

 次に、産業廃棄物対策についてです。
 一昨年の埼玉県所沢市周辺のダイオキシン被害に続いて、昨年末、フィリピンに不法に輸出された産業廃棄物が強制送還された事件は、日本の産業廃棄物の処理がいかにずさんなものであるかを浮き彫りにし、都民に大きな衝撃を与えました。
 我が党は、かねてから産業廃棄物の問題を追及してきましたが、こうした取り組みの中で明らかにされてきたことは、東京で発生したごみがいかに多く都外に持ち出され、環境破壊など、周辺住民に被害を与えているかということです。
 ダイオキシン問題で埼玉県や所沢市を訪ねたときに、担当者は口々に産業廃棄物の処理のひどさを告発されるとともに、その大もとのごみが東京から持ち込まれており、東京で何とかしてほしいと訴えられました。
 また、ごみの運搬ルートについて、東京発、関越道、埼玉経由、全国最終処分場行きといわれていると、こういう話も伺いました。
 東京から持ち出されている産業廃棄物は、掌握されているだけでも、中間処理段階で五五%、六百五十八万トン、最終処分では八三%、二百五十六万トンという膨大な量になっています。
 知事は、東京で排出される産業廃棄物の大半が都外に持ち出され、焼却によるダイオキシン発生や、不適切な最終処分による地下水汚染、悪臭などの深刻な影響を与えていることにどう責任を感じているのか、答弁を求めます。
 昨年の産業廃棄物の不法輸出問題は、本来、特定管理物として厳重な安全対策と処理が求められている医療系廃棄物が、信じられないようなやり方で処理されていることを示しました。
 そこで本日は、医療系廃棄物を中心に伺いたいと思います。
 私は、病院から出されるごみの実態をつかむために、病院の廃棄物がどのように処理されているのかを、排出者、中間処理業者、最終処分場まで、廃棄物管理票、すなわち、マニフェスト伝票に基づいて追跡をしてみました。
 ある民間病院が委託していた埼玉県内の中間処理業者は、これまでもたびたび不適正な処理を行って問題となり、昨年九月には、焼却炉のダイオキシン濃度が国基準の二倍以上の一九〇ナノグラムにも達していたことから、焼却炉使用の停止命令を受けていました。

岩手県警が捜査を始めた不法投棄に都立病院の参入業者も関与している

 また、私が実際に病院から出された廃棄物を追いかける中で判明し、調査に足を運んだ青森県田子町の最終処分場の場合は、処分場だけでは足らず、隣の岩手県側の農地を次々と買い入れて、無許可で廃棄物を持ち込んでいるのであります。しかも、堆肥をつくると称して、農地に廃棄物を大量に投棄をするというめちゃくちゃなことを行っていました。
 この問題については、昨年十二月十六日付の岩手日報は「首都圏の産廃不法投棄 数十ヘクタールに埋め立て 県警本格捜査に乗り出す」と報じ、その六日後には、現場検証で掘り返した埋立場所や野積みにされた廃棄物の中から、医療機関で使われたと見られる注射器や点滴容器、点滴用チューブ、紙おむつなどが焼却されない状態で発見されたと報じているのであります。不法輸出と同じく、ここでも医療廃棄物の不法投棄が行われているのです。
 これは、余りのにおいと、首都圏ナンバーの大型トラックが夜間に走っているということで発覚したものです。現地でお話を伺うと、水源の水が汚れ、取水を停止したなどの被害も生まれており、案内をしてくださった方は、首都圏のごみがこんな静かなところに持ち込まれるなんてひど過ぎると、切々と訴えられたのであります。
 このように、わずかな調査の中でも、産業廃棄物のひどい実態が明らかになってきました。
 都として、都内から持ち出されている産業廃棄物の最終処分場について、これをくまなく調査し、実態を把握することが緊急の課題と考えますが、どうか、見解を伺います。
 また、都内でも、ダイオキシン対策で八百度以上の焼却が義務づけられていながら、これに従わず、清掃局から警告書が出されている、武蔵村山市の医療廃棄物の中間処理業者などについても報告されています。また、多摩地域では、多摩川上流での不法投棄や野焼きなどが報告されており、中でも、ひどい場合は、奥多摩の沢一面が廃棄物で埋め立てられるケースもあります。
 今求められているのは、これらの焼却施設や処分場への立入調査や改善指導のできる産廃Gメン制度を確立し、通告に対応するだけではなく、日常的なパトロールを行い、その結果についても公表するなどが必要と思いますが、答弁を求めます。
 私が衝撃を受けたのは、これらの不適正処理を行っている業者の中に、都立病院の参入業者もあったということであります。
 衛生局は、医療廃棄物について、東京ルールに基づき処理していると思いますが、私が指摘した実態について至急調査をし、しかるべき対策を講ずるべきだと思いますが、どうか、答弁を求めます。
 最近、東京都は、医療機関の廃棄物の処理についてという文書を各病院管理者に通知いたしました。その中では、廃棄物の処理と清掃に関する法律に基づく適正な廃棄物処理を要望していますが、問題は、この通達で済まされるような簡単なものではありません。

マル適マーク推進など優良な医療廃物処理業者の育成が急がれている

 東京病院協会の方は、医療廃棄物の処理で一番頭を痛めているのは、信頼できる業者をどうやって選ぶのかだといっておられましたが、実際に病院が入手できる情報は、業の許可書の有無、業者が作成したパンフレット程度であり、それ以外の、特にその業者が適格業者かどうかという肝心の情報はなかなか得られません。とりわけ、遠隔地の最終処分場ではなおさらであります。
 病院など排出事業者の皆さんからは、業者選択の判断をする上でも、どうしても必要な処分歴などの情報を収集し、提供する仕組みをつくることが切望されております。
 東京都医師会と東京産業廃棄物協会が協力して、健全な業者の情報を提供することを目的とした第三者機関を立ち上げようとしていることは重要であります。このような取り組みは、本来、都が率先して行うべきではないでしょうか。公的な仕組みづくりに足を踏み出すとともに、検討されている第三者機関に積極的に協力し、要望として出されている情報の収集と提供については、直ちにこたえることが必要であります。答弁を求めます。
 あわせて、急がれるのは、不法投棄などを繰り返す業者の規制と優良な医療廃棄物処理業者の育成であります。
 全国産業廃棄物連合会では、医療廃棄物適正処理推進プログラムに基づく、業者自身による適正な廃棄物処理の取り組みを始めています。今、この運動と協力して、優良企業を育成するマル適マーク制度の導入を都として推進するつもりはないか、答弁を求めます。
 また、業界と医療関係者の共通している声は、二次感染などの危険や、土中への危険な物質の拡散など、医療廃棄物の処理は、他の産業廃棄物とは違うということです。それは、医療廃棄物のうち特定管理物として厳重に管理されるもの以外のものでも、例えばおむつなどのように管理する必要があるものが存在するからです。医療機関から排出される廃棄物はすべて医療系廃棄物として扱い、病院以外の廃棄物とは区別して処理することは、世界の常識になっております。医療機関が集中する東京でこそ、このような医療廃棄物処理の導入が急がれると思いますが、答弁を求めます。

医療廃棄物の適正な処理のために必要な予算は充実を

 産業廃棄物の不法投棄や不適正処理が横行している背景には、ダイオキシン対策で高温の大型焼却炉が必要となり、フィリピンに不正輸出した業者のように、これに対応できない業者が、中間処理も行わずに破棄してしまう例や、業者の乱立で適正価格が維持されず、価格破壊が進んでいることもあります。
 この点で、日本医師会が発行している「日医ニュース」二月五日付では、医療系廃棄物を完全に処理しようとすると、容器や運搬、焼却などのコストから、医療廃棄物一キログラム当たり三百円から三百五十円のコストがかかるという日医総研の研究が紹介されています。私が調査した民間病院の平均的処理費用は、キログラム換算で約三百六十円台でしたが、驚くべきことに、都立病院の場合の平均処理費は、何と民間の半分の百七十円台という飛び抜けた低さでありました。これで適正に処理しろというのは、どだい無理な話ではありませんか。都が不正処理を奨励しているようなものといわれてもしようがありません。
 あわせて私が強調しておきたいのは、病院の側も切りたくて処理費の予算を削っているということではないということです。実際に毎年財政難を理由に予算がどんどん削減されているのですから、処理予算を削らざるを得ないのであります。知事がいう効率的な運営の正体は、このようなものであります。
 最後に、医療廃棄物を適正に処理するためのコストが社会的に認知されていないということです。例えば、健康保険の診療報酬では、医療行為に伴って必ず排出される感染性廃棄物などの処理費用は全く考慮されていません。透析医療を行っているクリニックなど、他の診療科に比べて感染性廃棄物の量も多く、処理費用もかかるのに、一切算定されていないのです。業界関係者からも、処理コストに見合わない値下げ競争は不法投棄の温床になると厳しい指摘も行われています。都立病院など公的機関の場合には、価格最優先の立場をとるのでなく、適正処理の能力を基準とする契約方法に転換すべきと考えますが、どうでしょうか。
 答弁を求め、質問を終わります。(拍手)


   〔知事石原慎太郎君登壇〕
◯知事(石原慎太郎君) 山本信議員の一般質問にお答えいたします。
 都外に持ち出された産業廃棄物の問題についてでありますが、都内に産業廃棄物の処理施設が極めて不足しているために、都内で発生した産廃物の多くが都外で処理され、これが時には不法投棄などで地域の住民とトラブルを起こしていることは、もう十分承知しております。これまでも、不法投棄などを防止をするため、行政指導や立入調査、産業廃棄物が適正に処理されるかどうかの確認を求める東京ルールの普及などに努めてまいりました。
 今後は、都内に民間業者が処理施設を建設するよう、促進策なども、試験的にも検討していきたいと思っております。
 その他の質問については、関係局長から答弁いたします。

   〔高齢者施策推進室長福祉局長兼務神藤信之君登壇〕
◯高齢者施策推進室長福祉局長兼務(神藤信之君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、社会福祉施設における実習生の受け入れについてでございますが、実習の受け入れは、養成する施設と実習先施設との連携のもとに、双方の責任において調整し、行われるものであると考えております。
 次に、特別養護老人ホームの実習コーディネーターの支援についてでございますが、特別養護老人ホームにおける実習生の指導に要する経費は、今も申し上げました点からも、養成校側で負担していただくものと考えております。したがいまして、お尋ねの経営支援のメニューに加えることは困難でございます。

   〔清掃局長安樂進君登壇〕
◯清掃局長(安樂進君) 産業廃棄物に関します五点の質問にお答えいたします。
 まず、産業廃棄物の最終処分場の実態把握についてでありますが、産業廃棄物の最終処分場は、その所在地の県が設置を許可し、管理や指導を行っております。都は、最終処分場への違法な持ち込みなどが判明した場合には、管轄する県と情報交換を図り、実態の把握に努めております。今後は、さらに七都県市などと連携して、広域的な実態把握に取り組んでまいります。
 次に、産廃Gメン制度の確立についてのお尋ねでありますが、都は、排出事業者や処理業者に対し、必要に応じて施設への立入検査や行政指導を行っております。また、行政指導に従わない場合には、速やかに行政処分を行い、その事実を公表しております。先月には、警視庁、消防庁、多摩市町村と都が合同で、空と陸から連携して、全国初の一斉取り締まりを行ったところでもあります。現行の体制で、産廃Gメンの機能は十分果たせると考えております。
 次に、優良な廃棄物処理業者の選定についてでありますが、ご指摘の協議会のような任意の事業者団体が自主的に処理業者を選択していくことは、適正な廃棄物処理を行っていく上で好ましい試みであると思っております。国は現在、適正な処理業者を選定するために必要な情報を提供するため、処理業者の実績や環境対策などの情報をインターネットで公開するシステムをつくることを検討しております。都は、このシステムの完成を待って、排出事業者などが利用できるよう周知を図ってまいります。
 次に、優良な廃棄物処理業者の育成についてでありますが、お話のありました全国産業廃棄物連合会の適正処理推進運動は、業界の自主的な体質改善運動として大変意義のあるものと考えております。一方、東京都は、現在、都内の処理業者と協定を締結し、処理業者が自主目標を設定して、廃棄物の減量やリサイクルを進めることや、適正処理を厳守することなどを行政指導しております。さらには、自主目標の達成度などを公表し、模範事業者として広く紹介することにより、優良事業者の育成を図っております。今後は、表彰制度の導入なども考えておりまして、当面は、これにより、優良事業者の育成を図ってまいります。
 最後に、医療廃棄物を他の廃棄物と分けて処理する方式の導入についてでありますが、我が国の廃棄物処理法は、医療機関から排出される廃棄物を、感染性のおそれのあるものとそれ以外のものとに分別して適正に処理するよう規定しております。一方、世界保健機関などにおきましては、医療機関からのものとそれ以外のものとに区別して取り扱うようになっております。しかし、その場合にも、医療機関から発生した廃棄物は、さらに感染性のものかどうかなどに分類し、適正に処理するよう定められております。したがいまして、結果的には、医療廃棄物の処理について、我が国と世界保健機関との間には、大きな差異はないものというふうに考えております。

   〔衛生局長今村皓一君登壇〕
◯衛生局長(今村皓一君) 都立病院の医療廃棄物の処理についてご指摘がございました。
 都立病院においては、病院が発行するマニフェストによりまして、収集、運搬から中間処理施設までの経過を確認するとともに、中間処理施設については、病院職員が現地を視察、確認しております。また、東京ルールに沿って、中間処理業者と最終処分業者との契約書及び許可書等の提出を求めております。
 しかし、一部に、ただいまご指摘のような事実があるとすれば、大きな問題でありますので、至急、事実の確認を行い、必要な対応をしてまいります。

   〔財務局長木内征司君登壇〕
◯財務局長(木内征司君) 医療系産業廃棄物の処理委託契約についてのご質問にお答えを申し上げます。
 東京都が委託契約を締結するに際しましては、廃棄物の特殊性にかんがみまして、通常の契約以上に厳格な仕様書を作成しているところでございます。具体的には、先ほど衛生局長が答弁申し上げましたとおりでございまして、今後とも、東京都の契約におきましては、価格などの経済性、契約手続の透明性はもとより、適正かつ確実な履行の確保に努めてまいります。