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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団

2001年第1回定例本会議  代表質問

秋田かくお(品川区選出)  2001年2月27日

増えた税収をいかし、切りすてられた福祉の復活、介護保険の減免の実施を

-- 目 次 --

 私は、日本共産党都議団を代表して質問します。
 いま、国民の国政に対する怒りの声がうずまいています。
 アメリカの原子力潜水艦によって、水産高校の実習船が衝突・沈没させられたとき、わが党は、直ちに緒方靖夫参議院議員を団長とする調査団をホノルルに派遣して、アメリカ側に対して、救助に全力をあげるとともに責任の所在、真相の究明を求めました。
 ところが、森首相は、報告を受けても二時間もゴルフをつづけていたのです。「米原子力潜水艦が一人として救助しなかった」「民間人が多数司令室にいて浮上レバーまで握っていた」など、様々な重大問題が指摘されているのに、現地に行った桜田外務政務官は調べもしないで、「米軍に落ち度はなかった、適切に対応した」などと発言する。このような政権が国民から見放されるのは当然であります。
 KSD事件では、中小企業の皆さんがこの不況の中で血のにじむような思いで払ってきた共済掛け金が自民党の本部や議員に流され政治がゆがめられてきました。
 機密費事件は、何十億円という国民の血税が、国会対策費や国会議員の海外視察の餞別などに何十年間も使われていたという問題です。配った方も配られた方も、わが党以外のすべての党がかかわっていたことが明らかになっています。こういう汚い政治をそのままにしておいたのでは、日本の政治に未来はありません。
 二十一世紀に国民と心が通う政治を切り開くために、わが党は、金権・腐敗にいっさい無縁な政党として、国民そっちのけの自民党政治を一日も早く終わらせ、「国民が主人公」という新しい日本への道を切り開く決意を表明するものであります。

高齢者福祉の充実は、都民要望の第一位

 さて、都政についてでありますが、わが党は、今日まで知事が誰であろうと「都民が主人公」の立場から、都民のためによいことには賛成をし積極的に推進する。しかし、悪いことにはキッパリ反対する態度を貫いてきました。この立場から、都民にとって切実ないくつかの問題にしぼって知事の見解を伺います。
 いま都民にとって最大の焦点は、福祉、社会保障をめぐる深刻な事態をどう打開するかという問題です。東京都が行った調査結果を見ても、都政にたいする都民要望の第一位は、「高齢者福祉の充実」であります。
 ところが国の動きはどうでしょうか。これまでも社会保障の相次ぐ切り下げで都民生活を苦しめてきましたが、そのうえ政府の予算案では、これでもかと言わんばかりの冷たい仕打ちが待ち受けています。七十歳以上の老人医療費の負担増、六十五歳以上の介護保険料を半額にする経過措置のうちきり、六十歳以上の年金の賃金スライド停止などで二兆円もの新たな負担が来年度、高齢者を直撃するのです。
 こういう時に、国の社会保障切り下げにたいして「まちがっている」とモノを言い、都民生活を支えるために全力を尽くすのが、地方自治体の役割であります。

道理のない福祉の切り下げ

 ところが石原知事は逆に、国の悪政のもとで苦しむ都民に追い打ちをかけ、都民の命綱となってきたマル福の老人医療費助成や老人福祉手当の段階的廃止、さらに障害者の医療費助成、重度障害者手当などの削減、シルバーパスの全面有料化を強行したのであります。間もなく一年を迎えようとしている現時点にたってみると、都がこれらの福祉切り下げの理由とした論拠が、いかに実態を無視し道理のないものであったかということが、いよいよはっきりしてきました。

相次ぐ社会保障、年金のきりさげ

まず第一に、福祉きりさげの理由として、「国の社会保障が充実した」とか、「年金が充実した」などと言ってきました。しかし国の社会保障は、年金も老人医療制度も充実の方向は何ら示されず、大幅負担増と給付の切り下げが相次いで国民・都民におしよせているではありませんか。年金額は、賃金スライドをやめることなどによって、所得が上がっても年金の水準は上がらない仕組がつくられ、今後の受取額は夫が七〇才の夫婦で三〇〇万円、六〇才で五〇〇万円も減らされます。そのうえ介護保険料の天引きで、年金の実際の受け取りは減額となっているのです。
私たちはいままで繰り返し指摘してきましたが、高齢者の半数を占める国民年金の平均額は年に六十万円にしかなりません。ある八十九歳のひとり暮らしの女性の方の場合、収入は老齢年金三万四千六百五十円と、あとは都の老人福祉手当だけです。そのなかから介護保険の利用料五千三百円と保険料を払っています。この方は、「老人福祉手当が削減、廃止されたら年金だけでは生活がなりたたないし」と切々と訴えています。これは特殊な事例ではありません。冬でも暖房も電気もつけずくらしている高齢者がたくさんいるのです。それが、東京の現実であります。

高まる経済給付的事業の重要性

 第二に、マル福や老人福祉手当などを開始した昭和四十年代に比べて社会経済状態が変化し、こうした経済給付的事業は時代遅れになったとの理由も、ますます説得力がなくなりました。
 社会経済状態についていえば、深刻な不況、リストラ、史上最悪の失業のなか、今回の福祉切り下げのおもな標的となった高齢者や障害者、ひとり親家庭をめぐる雇用状態はとりわけ悪くなっています。また昨年十二月にまとまった厚生省の「社会福祉のあり方に関する検討会」報告書は、近年の社会経済環境の変化にともない、新たなかたちによる不平等・格差の発生が指摘されていると述べ、さらに貧困や低所得などの問題が、リストラによる失業、倒産、多重債務などとかかわりながら再び出現していることに警鐘をならしているのであります。
 このような現状をふまえるなら、国の対応にとどまらず自治体としても経済的支援の福祉事業にとりくむ必要性は、時代遅れどころか、むしろ高まっているのではないですか。知事、お答えください。
 しかも、国も都も今後、福祉を契約制度へときりかえ、有料化をいっそう推進しようとしているのですから、利用料負担の問題を解決するための経済給付的事業の役割はますます重要になることは、介護保険の現実を見ても明らかであります。
 知事が、今回の予算案で乳幼児医療費助成について、小学校入学前までの対象拡大にふみきったことは、経済給付的事業は時代遅れだなどという理屈の道理のなさを自分で証明する結果となりました。乳幼児医療費助成の拡充は多くの都民のつよい要望であり、わが党がいっかんして提案し実現に力をつくしてきたものであり大賛成です。乳幼児医療費助成だけでなく経済給付的事業は都民の支えであり、拡充こそ切実な要求であります。それにもかかわらず、乳幼児や子育てには経済給付が必要だが、高齢者には時代遅れだなどという話が通用するとでも思っているのですか。
 都民の福祉切りすてに対する批判の声の高まりのなかで、、東京都はたしかに障害者施設の緊急整備計画をつくり、高齢者の介護基盤整備への一定のとりくみをおこないます。このことは当然であります。しかし、それで障害者や高齢者のかかえている深刻な経済的困難が解決されるわけではありません。また、ショートスティや老人保健施設は、都のいまの計画を完全に実行したとしてもなお、全国最悪という状態からぬけだせません。
 経済給付的事業も、その他の福祉サービスも、両方充実させる必要があるのではないですか。知事の答弁を求めます。

増収の一部で福祉復活は可能

 第三に、都は「財政再建団体転落の危機だ」と宣伝し、「ないそでは振れなくなる」といって福祉切り下げを強行しました。「財政再建推進プラン」では、四年間で一般財源が六千三百億円不足するので、これを生み出すために福祉や医療を中心に聖域なく見直すとしました。しかし、今年度と来年度あわせれば、都税の増収が八千四百億円も見込まれています。これは「財政再建推進プラン」では想定されていなかったことであり、これだけで都が不足するとした六千三百億円を埋めてもなお二千百億円の余裕となります。この点からも、福祉切り下げの論拠は崩れているのであります。
 知事、いかがですか。都財政の借金を計画的に返済していきながら、増収の一部をふりむけて、あらためて切り下げた福祉を元にもどしていく努力をすべきと考えます。たとえば高齢者福祉のシルバーパス、マル福、老人福祉手当の三つの施策を元にもどすには百三十七億円で、増収分の一・六%をふりむけるだけでよいのです。お答え願いたい。

独自のマル福廃止は東京だけ

 なかでも本日は、高齢者福祉ではマル福の復活にしぼって質問をします。
 マル福は、二〇〇七年六月三十日をもって廃止されることになっています。そして非常に複雑な経過措置がとられており、いま六十五歳の誕生日を迎えた人は、以前なら誕生日のその日から受けることができたのに、来年二〇〇二年の七月一日まで待たなければ、受けることができません。
 先日、品川区の都営住宅でひとり暮らしの男性が、当てにしていたマル福が受けれないと相談に来ました。この人は、二〇〇〇年八月一〇日で六十五歳、わずか四十一日遅れで二年待ちとなったのです。八万円の年金に、清掃のパート収入が四万円で、合計十二万円の月収です。この中から、高血圧と胃かいようなどの治療費で月に一万五千円、収入の一二%が医療費に消えるのであります。この負担がマル福で五分の一に下がるのを心待ちにしていたので、なんともやりきれない、怒りがおさまらないと訴えていました。
この方の例は、決して特殊ではありません。六十歳代の後半は、二人に一人が何らかの病気にかかっています。この年代に多い糖尿病や高脂血症など、重症化する前に早期に治療することがいかに大事かということは、厚生省の「健康 日本二十一計画」も強調しているところです。だからこそ東京都は、これまで六十五歳からのマル福を実施してきたのではないでしょうか。早期に医者にかかり治療する機会をひろげ、元気に長生きできるようにするため、マル福はかけがえのない役割を果たしてきたのであります。
 もともと日本の公的保険制度の医療費の患者負担割合は、ヨーロッパ諸国に比べ、きわめて重いものです。イギリスが二・四%、ドイツが六%にたいし、日本は一五・四%にもおよび、老人医療の場合でも七・二%です。イタリアは最近、医療費の大部分を無料にすることを決めています。マル福の削減・廃止どころか、医療費の患者負担軽減は、むしろ国民的課題であります。
 たとえば糖尿病で月一回通院する場合、マル福なら一七六〇円ですが、マル福を受けられない人は、三割負担で五、二九〇円となります。現役をしりぞき収入が激減したときに、これは重い負担となり自然と病院から足が遠のくことは明らかです。大阪では昨年度、マル福と同様の老人医療費助成を住民税非課税者にかぎるとした結果、府医師会の調査によると、通院が二割もダウンしています。
 東京の場合、低所得者対策さえないまま、マル福が削減・廃止されていくのですから、長期的に見た受診抑制の影響は、計り知れないものがあるのではないでしょうか。目先の財源対策のために、都民のいのちや健康を削ることは、結局のところ何年か先に医療費や介護費用の増大を招く結果にしかなりません。これは将来展望をもたない愚策と言わねばなりません。
 知事いかがですか。このような重要な意義があるからこそ、東京以外の大都市では独自の老人医療費助成制度を廃止するようなところはないではありませんか。目先の財政負担を減らすことを優先させるのではなく、あらためて、現時点にたって老人医療費助成の意義を位置づけ直し、マル福を六十五歳からの制度にもどすことを検討するよう求めるものでありますが、知事の所見を伺います。

マル障、障害者福祉手当をもとに戻せ

 さらに、障害者医療費助成の有料化と所得制限強化、重度手当への所得制限導入についても、私たちのもとに切実な声がよせられています。少し紹介します。まず中学一年の重度障害児をもつお母さんの声です。「四月に高校に入学する兄の学費が増え、弟の医療費が上がり、そのうえ私は働きにでられない。いったいどうやって生きていけと言うのでしょうか。重度障害児のいる家庭をもっとよく知って下さい。私たちも普通の生活をして、笑ってくらしたい」。次も重度障害児のお母さんです。「今まで支給されていた医療費助成や手当がすべてカットになります。今回の所得制限は厳しい。たいへん生きていきにくい現状です」。
 知事、こうした訴えが数多くよせられています。昨年の第四回定例会一般質問でわが党が、影響実態調査を求めましたが、福祉局長は、「さまざまな統計調査等をふまえ、十分に検討したうえで実施したものだ」として、こたえようとしませんでした。しかし制度見直しにあたり、あれこれの統計調査は調べたが、重度障害児の家庭の現状調査は行われなかったことが、昨年の予算議会で、すでに明らかになっているのであります。
 東京都は、「障害者医療費助成の見直しは、適正な制度内容になっている」と言いますが、事前の実態調査も、見直し後の影響調査もしないで、どうして適正だと言えるのですか。
 障害者基本法は、障害者及び扶養者の経済的負担の軽減を図ることを自治体に義務づけています。ことしの八月から実施予定の重度障害者手当の所得制限をこえた人の支給額二万円削減は直ちに中止し、さらに障害者医療費助成や障害者福祉手当についても元にもどすべきであります。お答え下さい。

介護保険減免は急務

 次に、介護保険の保険料、利用料軽減について伺います。
 わが党は、議会のたびにこの問題をとりあげてきましたが、知事は、介護保険制度は「おおむね順調にすべりだした」とか、「保険料には低所得者への配慮した仕組みがある」などと言って、こたえようとしませんでした。
 しかし、この問題も実施一年たった現時点でみれば、とうてい順調とは言えません。とりわけ、保険料、利用料の負担については是正が急務となっていることは明白ではありませんか。
 渋谷区が東京都と共同で行った介護保険利用者満足度調査の報告書が、昨年十二月にまとまりました。それによると、介護保険が始まり悪くなったことでは、「経済的な負担が増えた」が最も多くなっています。そして、サービス利用が減った人の理由で一番多いのも「自己負担がふえるため」となっています。
わが党都議団は、ひろく都民の率直な声を聞こうと、アンケートはがき調査に取り組んでいますが、そこにも、保険料、利用料の負担軽減を願う声が、次々よせられています。「健康保険料のうえに介護保険料が加わり、年金のかなりの部分が吸い上げられてしまう」「日常の生活さえままならないのに、月五万円の年金から保険料がもっていかれる。もう少し年寄りのことを考えてほしい。結局、病院にかかるお金を惜しんでひどくしてしまう」、さらに「利用したくても高すぎるので、利用回数をへらしています」などの声もあがっています。「区民税が年間四千円で、なぜ介護保険料を年四万円も払うのか、納得がいかない」との訴えもあります。なかでも、住民税非課税者や無年金の人にまで保険料を請求することには、「あんまりだ」「どこから払えというのか」などの批判がうずまいています。
 保険料は、まだ半額徴収ですが事態は深刻であります。そのうえ、ことしの十月から倍額にはねあがります。その時、高齢者の、とりわけ住民税非課税など低所得の方々の生活は、いったいどんなことになるのか。知事、考えたことがありますか。答弁を求めます。
また要介護認定をうけてもサービスを利用しない人が多く、在宅サービスの利用状況は低迷しています。日本能率協会の調査によれば、在宅サービス事業者のうち五四%が今年度赤字の見通しだといいます。事業者の撤退も相次ぐなど、このままでは介護保険制度全体が、行きづまることになりかねません。
 実際のところ、高齢者にとって保険料と利用料の負担は、重すぎるのです。だからこそ、、東京でも独自の軽減措置にふみきる自治体が、六十二自治体のうち過半数の三十四区市町村にまでひろがっているのであります。しかし、制度の規模や内容はばらばらであり、区市町村単独では財政力に限界があり、対象人数などきわめて限定されたものにとどまっている場合が少なくありません。保険料・利用料軽減を本格的に前進させるには、東京都の制度実施が不可欠であります。また、減免に踏みきっていない区市町村からも、都として制度化してくれれば、当然、いっしょにやりたいという声があがっています。

国への減免の働きかけと都としての支援を

 かつて革新都政は老人医療費無料化を実施し、全国にひろがり、ついに国の制度となりました。石原知事、東京から国を変えるというなら、こういうことをやるべきであります。東京都が全国に先駆けて介護保険の保険料、利用料減免制度の実施にふみきり、さらに国にたいしても、減免制度をつくるようつよく働きかけるべきと考えますが、お答え下さい。
 同時に、東久留米市や稲城市が実施しているような、介護保険対象外の自立高齢者に対しても介護予防のためケアプランを作成して総合的サービスを提供するとりくみをひろげるために都として支援をおこなうこと、またひきつづき介護予防・生活支援事業の拡充をはかることが必要であります。いかがでしょうか。所見を伺います。
 この問題の最後に、介護保険の減免を実施し、きりすてられた福祉を元にもどすことは、増えた税収の一部をあてることで可能であることを重ねて申し述べておくものです。

さけて通れない公共事業の見直し

 公共事業のあり方の見直しは、都政にとってさけて通れない問題です。
 知事は、施政方針演説で、「政府は、時代遅れで効果の少ない公共投資をくり返すだけであり、このような手法が景気の回復に何の力もないことはここ一〇年の経過が端的に証明している」と述べました。これはその通りであります。
 同時に、知事としては東京都の予算の使い方について、メスを入れることが求められているのではありませんか。しかし、知事が今定例会に提案されている予算案は、知事の発言とは裏腹に、国に追随した従来型の公共事業が目白押しになっていることを指摘しないわけにいきません。
 まず、今年度の最終補正予算案では、千四百十億円の事業費のうち九九%の千三百九十億円が国の補正予算に伴う公共事業費によって占められています。しかもその内容は、本来、国が負担すべき国道などの直轄事業負担金がどの幹線道路に使うかも明らかにされないままに計上され、国言いなりの首都高速道路公団への無利子貸付金が二六六億円も計上されるという有り様です。

一兆六千億円も投資関連に

 来年度予算案では、幹線道路や環状二号線市街地再開発、汐留区画整理事業などの大型開発や、首都高速道路公団への貸付などを中心とした投資型経費が一兆一千億円とバブル前の二倍近く計上され、過去の投資のツケである公債費を合わせると、投資関連経費は一兆六千億円を超えます。このため都債残高は一般会計だけで二千八百八十億円も増え、残高は七兆七千五百八十億円と史上最高の記録をまた塗りかえようとしています。また、臨海開発にはあいかわらず一〇〇〇億円もつぎこまれます。
 知事は、東京の社会資本整備が遅れているといいますが、何が遅れているのか、何がすすんでいるのか、吟味が必要です。知事は、三環状道路をはじめ幹線道路や都市再開発などの社会資本が遅れているとして、これらの大型公共事業を中心とした「東京圏メガロポリス構想」を推進するといっています。しかし、高速道路をふくむ幹線道路についても、一平方キロメートル当たり四千人以上が隣接している「既成市街地」という同じ物差しで測ってみると、東京もニューヨークやロンドン、パリも二十%前後で差はありません。そもそも島や奥多摩の山岳地帯を有する東京と、平坦な土地につくられているニューヨークやロンドンなどを一緒くたにして論じるのが間違っています。知事がおくれている根拠としている「道路率」は、雲取山や硫黄島までふくめているのです。
 全体として区部の上下水道は百%普及、地下鉄公共交通網や道路の整備などは全国でもすすんでおり、世界の大都市と比較してもあまり遜色がないという状況になっているではありませんか。
 もちろんこれらの社会資本についても、今後とも必要な整備をすすめることは大切ですが、遅れているというのなら、私は、高齢者の介護施設など社会福祉施設こそあげ、この整備に全力をつくすべきだと思います。長年の自民党都政のもとで大型施設建設に集中してきたため、老人保健施設やショートスティは全国最低ではありませんか。

公共事業を見直す二つの角度

 そのうえで私は、公共事業を見直す場合、ムダをどうはぶくのか、財政状況や都民要望からみて不要不急な事業はないのかどうかという二つの角度が重要だと考えます。
 知事は、圏央道などについては国に金をださせるからよいのだ、といっていますが、三環状道路だけで九兆円もかかると言われているのですよ。「東京圏メガロポリス構想」を同時多発的にすすめたら一体どれだけのお金が必要となるのですか。国民にとって、国であれ、都であれ、大型開発をやめて欲しい、これ以上借金をふやさないで欲しいというのが共通の声です。だからこそ長野県の田中知事は、「脱ダム宣言」のなかで「国からの手厚い金銭的な補助が保証されているから、との安易な理由でダム建設を選択すべきではない」とはっきりいっていることを、国民は歓迎しているのではありませんか。
国のお金なら良いなどと言う安易なやり方で、財政立て直しをそっちのけにして大型公共事業を無制限に広げてはなりません。
 長野県ではダム工事など公共事業の抜本見直しを行うことで、来年度には起債残高を減らし、財政立て直しの道にすすむことになりました。
 知事、東京都でもいまこそ、ムダをはぶき不要不急の事業を抑えるという立場で、圏央道や臨海部の湾岸道路など国が当然、負担すべき事業についても、都が直轄事業負担金の名で安易に都財政をつぎこんだり、首都高速道路公団に対し国のいいなりになって無利子貸付をおこなうなどはきっぱりやめるべきではありませんか。そして、都がおこなうべき事業についても大型幹線道路や大企業のための都市再開発中心の公共事業については、あらためて抜本的再検討をくわえることが必要だと考えます。
 また、東京でも過大な水需給計画にもとづいて計画されている八ツ場ダム、戸倉ダムなどをはじめ今後、あらたに三つのダムをつくるという計画を見直すことが求められていると思いますが、それぞれ知事の見解を伺います。

大型公共事業は景気回復に役立たない、生活密着型中心に

 知事が東京ですすめようとしている大型の公共事業が景気回復に役立たないことは、すでにあきらかです。九九年度までの十一年間に一兆五千億円の工事が発注された臨海副都心開発では、中小企業に直接発注されたのは一番低い時にはわずか三・一%、平均では七・三%にすぎませんでした。だから、都内の中小建設業者団体の間では臨海開発をやってもわれわれには関係ないと言われていますし、また、知事が目玉にしている圏央道では、地元中小企業は一社も入っていないと言われてます。
 首都高速道路の中小企業発注率は明らかにすることさえ拒否されていますが、圧倒的に大企業中心の発注であり、調布保谷線では、事業費の九割が土地購入費ですから、これでは経済波及効果も現れようがありません。大企業がうるおえば、中小企業にも波及して景気がよくなるという宣伝についても、いまやマスコミや専門の経済学者からも事実に反していると厳しく批判されているではありませんか。経済企画庁がだした「ミニ経済白書」でも、大企業はバブル経済に近い収益をあげているが、それが家計には結びついていないといっています。
 その一方、同じ公共事業でも都営住宅や特別養護老人ホームなどの福祉施設、学校施設などの建設は、中小企業に七割から九割近くと高い比率で発注され中小企業を直接うるおします。しかも住宅の場合、建設による資材の発注や雇用効果だけでなく、入居者による家具や什器などの購入など二次三次の波及効果があらわれるものです。しかもこの都営住宅ほど、都民の間から建設の要望が強くよせられているものはありません。都営住宅の入居者の応募はこの一〇年間に六万人からほぼ倍の十一万四三七六人に増えており、都が出している「住宅白書」でも「都営住宅には、都民の三割に近い利用意向が見られるなど需要も高い」と強調しているほどです。知事の都営住宅の新規建設のゼロ方針は、都民の願いに背を向けるだけでなく、景気回復という面からも大問題と言わざるを得ません。
 知事、東京の社会資本として整備の遅れている住宅や公園、介護基盤施設など景気効果の高い生活密着型こそ、東京都の公共事業の中心にすえるべきではありませんか。知事の所見を伺います。

臨海開発こそ「負の遺産」

 知事は施政方針演説で、「負の遺産」として、首都移転をとりあげ、白紙撤回を強調しました。同感であります。また、知事が東京都の「負の遺産」としてあげたのは都施行の市街地再開発と多摩ニュータウンであり、これらについては、巨額の欠損の発生がさけられず事業の見直しに着手すると述べました。であるならば、なぜ都政の最大の「負の遺産」である臨海副都心開発の抜本見直しをおこなわないのでしょうか。「負の遺産」、しかも隠れ借金というのであれば、何をおいても臨海副都心開発の基盤整備に投入され、まったく返すあてのない五千億円の借金をあげるべきではないでしょうか。臨海開発事業会計は、毎日一億円の赤字がたれ流しとなり、借金の利息を払うために借金を重ねる事態をつづけています。
 都は臨海副都心への来場者が三〇〇〇万人を超えたといっていますが、肝心の土地利用は四年前の見直し以後も、まったくすすんでおらず、収入を上げていく道は閉ざされたままです。今後とも、借金が雪だるま式に増えていくことはさけられません。最近、日商岩井のビルが竣工しましたが、これも第一次公募の企業がやっとビルを建てただけのもので、竣工祝賀パーティーの席上でも、企業進出のメドがないことについて、他の進出企業の経営者から苦言が呈されたではありませんか。
 この臨海副都心開発に都は、これまですでに三兆円もの都財政を投入してきましたが、今後、さらに一兆八千億円近い都財政投入が予定されています。都財政のどこにそのようなゆとりがあるというのでしょうか。

三会計統合はやめ臨海開発は抜本見直しを

 知事が最終決断を下した臨海開発事業会計と二つの埋立事業会計などとの統合は、潤沢に資金がある二つの埋立事業会計の五千億円近い資金を臨海開発事業会計につぎこむことによって借金の穴埋めをするものです。この五千億円近い資金があれば、どれだけの都民施策ができることでしょうか、都財政の立てなおしにどれだけ貢献することでしょうか。
 会計を統合してもこの五千億円が役に立つのは、一年か二年にすぎません。石原知事の任期の間くらいのもので、いずれ次の支援がなければ資金が足りなくなり、さらなる支援が必要となります。そして現在の計画のままでいけばさらなる基盤整備に莫大な資金を投入することになります。まさに、臨海副都心開発は都財政を食いつぶしていく重しにほかなりません。
 大阪府でさえ水と緑の健康都市などの開発計画を負の遺産として、計画の中止や見直しをせざるを得なくなっています。知事の三会計統合でお茶をにごす姿勢とは大違いです。来年度は、青島都政がおこなった計画の見直しで定められた五年目の見直しの年にあたります。この際、三会計の統合はやめ、都のこれ以上の財政負担をどう抑えていくのか、臨海部をどう都民の貴重な財産として活用していくのかという立場に立って、都民参加での抜本的な見直しを決断すべきではありませんか。答弁を求めます。
 また、知事は施政方針演説で地球環境の保全、ヒートアイランド現象の緩和を強調しましたが、その立場からいえば有明北地区の埋立の見直しも緊急の課題です。埋立はあらたな都財政への負担をもたらすだけでなく、稚魚のゆりかごとしての浅瀬をつぶし、都のレッドデータブックでも絶滅危惧種としてあげられているエドハゼなどが生息する都心に残された貴重な自然を破壊するものにほかなりません。
 知事、埋立を中断し、計画の再検討を指示することこそ、ふさわしい行動ではありませんか。あわせて、エドハゼを自然保護条例にあらたにもりこまれた「東京都希少野生動植物種」に指定して保全するようもとめるものです。見解を伺います。

庶民増税の都税調答申は見過ごせない重大問題

 都政にとって、きびしい条件のもとにおかれて必死に歯を食いしばってがんばって中小企業振興は緊急課題です。
 その中小企業に対して、大増税が追いうちをかけるという危険が迫っていることを指摘しないわけにはいきません。
 その一つが消費税の増税です。先日の衆議院予算委員会で、宮沢財務相は財政改革をめぐり「国民負担がふえざるを得なくなったとき」の対応について、「税制なり、保険料なりで負担することになる。いずれの場合も、消費税を上げなければならないという答えになる公算が高い」とのべ消費税率の引き上げは不可避との考えを打ち出しました。四年前に消費税を三%から五%に引き上げたことが、今日の不況をもたらした最大の原因であり、中小企業にとっても重い負担となっていることは間違いなく、これ以上の増税はなんとしてもやめさせなければなりません。
 ところが、昨年十一月に発表された東京都税制調査会の答申は、消費税を引き上げていくことが課題であるとしています。さらに免税点を三分の一程度に引き下げ、簡易課税制度も基準を二分の一程度に引き下げることによって中小企業の負担増の方向も打ちだしました。そればかりか、個人住民税を一律一〇%にすることによってこれまで五%の課税であった所得の低い層への増税、さらには個人所得税の課税最低限の引き下げまで打ちだしています。まさに都民にとって見過ごすことのできない重大問題です。
 知事は、この答申について「有力な武器として最大限活用し、東京から新しい税のかたちをつくる」と述べました。東京都がこんな増税の旗振りをしようというのですか。消費税率引き上げについて、そして住民税、所得税の庶民増税についてどう考えているのか。明確な答弁を求めます。

中小企業への外形標準課税は間違い

 さらに重大なことは都税制調査会が、「全国規模の外形標準課税については、今後、景気動向を勘案するとともに中小企業にも配慮しつつ、導入を図るべきである」とし、石原知事自身が国への要望で「中小法人に配慮しつつ、法人事業税への外形標準課税の導入を図られたい」としていることです。もともと、外形標準課税は、赤字企業からも税金を取ろうという制度であり、これが全法人を対象に実施されたら、都内法人の七割を占める赤字企業は大打撃をうけることは必至です。  周知のように、すでに自治省は昨年十一月、全国一律で全法人に対して外形標準課税をおこなう具体案を示しています。これで試算すると、大企業を含めた赤字企業は全体として、平均で七十万円近く増税になります。しかも、自治省がいうように中小企業に配慮したとしても赤字の中小企業に限ってみれば平均四十万円近い大増税となります。いま、中小企業は生きるか死ぬかという瀬戸際に追いこまれているんです。
 知事、東京の中小企業は事業所数では九九%を占めています。そこで働く人は全就業者の約八割を占めています。ことは、全都民に影響する重大問題と言わなければなりません。このような中小企業への大増税を国に要求すること自体、間違っていると言わなければなりませんが、どうですか。答弁を求めます。
 しかも、この外形標準課税は、都独自に実施することのできるものです。知事、東京都独自にやらないと約束できますか。答弁を求めます。

中小企業支援のルールづくりを

 東京都がこの戦後最悪の不況のもとでおこなうべきは、このような増税ではなく、血の通った中小企業支援の方策に全力をつくすことではありませんか。その立場から中小企業対策についていくつか伺います。
 その第一が、欧米では当たり前となっているルールの確立の問題です。この問題は昨年来くり返し取り上げてきましたが、昨年六月の大店法の廃止、野菜や衣類の輸入攻勢などで、事態はいっそう悪化しています。
 とりわけ大型店の出店は、大店法廃止に向けたかけこみ出店があいつぎ、大型店の売り場面積は四百八十三平方メートルと全小売店面積の半分に及ぼうとしています。問題は、こうした出店ラッシュが地域商店街を破壊するだけでなく、大型店同士の過剰競争によって閉店や撤退があいつぎ、消費者である都民の生活にも深刻な影響を与えようとしていることです。
 江戸川区では、突然、スーパーが撤退し更地になったために、買い物ができなくなり、曳き売りの業者に頼んで週一回、店を出してもらっているという現実も生まれています。
 このような好き勝手な大型店の横暴がまかりとっているのは先進諸国の中でも日本くらいのものです。フランスの超大型スーパー「カルフール」が昨年末、幕張に出店し都内東部地域に影響が出始めています。しかし、フランス本国では無秩序な出店を規制するロワイエ法があって、三〇〇平方メートル以上の大型店は許可制で、日曜日は原則閉店などの厳しい規制があるので、フランス以外の国であいついで出店を計画しているというではありませんか。また、ドイツでも厳しい時間制限が課せられています。ある商店会の会長の方は、こうした欧米のルールを紹介しながら、日本でもルールをつくって守らせて欲しいと訴えられていました。自治体の窓口や商店街からのききとりのなかでも、立地法に基づく規制は一定の役割はあるが、根本解決には至らないと言うことが口々に指摘されました。
 知事、出店の許可制、地元関係者との合意、開店時間の制限などを内容とした新大店法が必要となっていると思いますが、どうか。また、ある自治体では、せめて東京都が行っている立地法にもとづく大規模小売店舗審議会を区市町村におろして欲しいという要望が寄せられました。知事が国に発信するというのなら、こうしたルールづくりこそ国にもとめるべきではありませんか。さらに、都として商業版東京ルールを策定することを提案するものですが、それぞれ答弁を求めます。
  また、東京の地場産業である靴や野菜などの生産者から、めちゃくちゃな輸入攻勢から産業を守るためにセーフガードを発動して欲しいという切実な声が寄せられています。都としてこれらの産業の生き残りを支援するために、セーフガードの出動を要請すべきときと考えますが、見解を伺います。

商店街活性化総合事業の実行予算準備を

 次に、都として行うべき商店街支援についてです。
 現在、わが党議員団は、商業振興についてのアンケートを都内各区市にお願いし、現在十七区、十二市合計二九自治体から詳細な回答をいただきました。
 その回答を見ますと、中小企業基本法の改正をうけて、区市町村が中小企業振興に積極的にとりくみはじめていること、同時に、空き店舗が二四自治体だけで三、五九七店、一自治体平均一五〇店も生まれるなど、共通して大型店の影響をうけ、商店街が急速に衰退していることなどが報告されています。
 そこでまず、区市町村への支援の仕組みについてですが、都は来年度からわが党がかねてから提案してきた区市町村の商店街振興施策の計画づくりの支援を予算化しましたが、その計画を実行するための予算は再来年度以降といわれています。商店街は一日も早い支援を待ち望んでいます。一年も二年も計画だけですぎてしまうなど悠長なことはいっていられません。
 商店街活性化総合支援事業については、すべての区市町村の予算を用意すること、また、計画ができたらすぐに実行に移せるように事業のための予算も来年度予算で準備すべきではありませんか。答弁を求めます。
 アンケートで共通して、区市町村が活用している都の施策は、なんといっても元気出せ商店街事業でした。実際に、スタートした九八年には六九八商店街の申し込みであったものが、今年度は九六五商店街にふえ、都内商店街の三分の一近くに及んでいます。
 同時に、「申し込みの締めきりが六月なので、組合でイベントを計画しても間に合わない」「助成制度が変えられ補助率が下げられた」「希望した補助額どおりもらえなかった」などの声もよせられています。実際に、支給額がスタートの九八年の時には上限三〇〇万円であったのに、今年度は半分以下に減額されるなど後退されています。また予算が限られていることもあって、今年度の一件あたりの実績は、九九年度より平均一〇万円も低くなっています。
 そこで、元気出せ商店街事業の予算を増額して、補助率、上限額を事業開始のときにもどすとともに、申し込みのあった商店街すべてに、希望額通りに支給することが必要であると考えますが、どうか。あわせて通年受付を実施し、助成金の支給も敏速におこなうこと、対象事業も柔軟にすることなど改善を提案するものですが、答弁を求めます。

女性財団廃止方針は撤回を

 次に、石原都政が打ちだした女性財団の廃止と子どもの権利条例の制定問題ついて伺います。いずれも長い都民の運動ととりくみのなかで築き上げられてきたもので、男女平等、子どもの教育など二一世紀的課題にかかわる問題です。
 まず、女性財団についてですが、都が廃止を打ちだしたことに対して女性団体をはじめ多くの都民から反対の声が広がっています。東京都の狙いは、都財政の負担を少しでも軽くするために管理団体の見直しをしようというものですが、一番税金を無駄遣いしている臨海三セクなどは野放しにして、すでに都民のなかに定着、成果を上げてきている女性財団を廃止するという、逆立ちを押しつけようとしているのです。
 女性財団は、設立以後、五年立ちましたが、この間に男女平等施策の啓発や女性問題での相談、女性団体の交流や発展に大きな役割を果たしています。しかも、財団ならではのしくみとして、役員会や評議員会が設置され、研究者や弁護士、民間団体の役員などが参加して、広く専門的な立場から意見をウィメンズプラザの運営に生かしています。
 同時に、男女平等の本格的とりくみは二一世紀の重要な課題であり、運動団体や民間の力が結集される女性財団の役割はいっそう重要になっています。いま、求められているのは女性財団をもっと支援していくことであり、都はそのこととあわせて、本来、都が責任を負うべき事業について予算と体制を確保して、女性財団と協力して、男女平等のとりくみを一気に引きあげることであり、財団廃止は逆行です。
 知事、男女平等の普及啓発、情報の収集、発信、研究、女性団体の交流など、行政と民間が連携して創意ある多様な活動を柔軟に展開できる東京女性財団の役割はいっそう重みを増していると思いませんか。女性財団の廃止方針は撤回し、予算を復活すべきではありませんか。知事の答弁を求めます。

子どもの権利条例早期制定を

 子どもの権利条例は、青島都政時代に子どもの権利保障を一層推進するために、条例制定が一番有効だと考える」として、「平成一二年度」すなわち、今年度までの制定が表明されていたものですが、石原都政になっても、いっこうに条例制定の動きが見られないために、都民から条例制定を求める請願が出されていたものです。
 この一五日に開かれた厚生委員会では六十人におよぶ傍聴者が見守るなかで、大いに議論をおこない、すべての会派が、条例制定を推進すべきとの意見を表明したのであります。すでに、都の児童福祉審議会は一九九八年に、子どもの権利条例制定を求める意見具申をおこない、つづいて青少年問題協議会も同様の答申をおこないましたが、その後も経過は、児童虐待などの問題はいっそう深刻となり、子どもの意見表明権や社会参加の権利、さらには子どもの権利保障のための総合的な施策の推進を定める条例制定の必要性は高まっていることを示しています。川崎市では昨年、当事者であるこども自身が参加し、その意見をとりいれた、子どもの権利条例が制定されました。
 実効性のある条例を制定するには、数々の難しい問題があります。しかしだからこそ、都民的な議論をおこし、条例制定にむけ全力をつくすことが求められているのであります。私は、あらためて子どもの権利条例の早期制定を求めるものであります。見解を伺います。

三宅島全島避難から七ヶ月、支援の拡充を

 つぎに三宅島避難島民への支援についてです。
 三宅島支援については昨年末に復旧のための補正予算が組まれましたが、同時に、全島避難からすでに七カ月が経過し、避難生活のなかで新年をむかえるという事態のもとで、多くの島民が収入をたたれています。雇用保険も切れ、義援金も使いはたし、これまで取り崩してきた預金も限界となるなど新たな困難に直面しており、今日の状況にふさわしく支援策を見直し、拡充・強化することが求められています。
 わが党は、雲仙岳噴火災害のあった長崎県を訪ね、避難者支援と復興対策について調査をおこないましたが、そのなかで、雲仙岳噴火災害にあたって長崎県や有珠山噴火の際の北海道がおこなった支援にくらべて、東京都の支援が立ち遅れていることが明らかになりました。
 まず、被災者に対する食費や生活費の支給については、いまだに東京都は支給していません。しかし、長崎県も北海道も所得制限はありますが、どちらも、食費は一人当たり一日一千円、生活費として一世帯あたり月額三万円を六カ月をこえて支給し、避難生活者に大変喜ばれ、避難生活を支えるよりどころとなったのです。国土庁は「災害の長期化」と「収入途が断たれた」ことを根拠に、長崎県の支給事業を援助しました。
 また、児童生徒の給食費や学用品については、は、秋川高校を利用している以外の多くの生徒には支援がおこなわれていません。この問題でも、長崎県は警戒区域のすべての児童生徒を準要保護、要保護の対象として学用品、給食費、修学旅行費等を支給しています。
 債務をかかえた島民にたいする利払い猶予や、借り換えのための無担保無保証人融資制度では、有珠山噴火災害では借り換えのために無担保無保証人融資制度がつくられましたし、台湾大震災では主要銀行が住宅再建対策として、全壊した建物のローンについて債務を免除しています。ところが、三宅島避難者に対しては、元金の返済は一時据え置きとなりましたが、利払いは免れることはできず、その支払いに追われているのが現状で、民宿とダイビングを営む中堅の業者は「利払いだけで毎月二十万円。もう取り崩す預金も底をついた」と訴えています。
 知事、三宅島避難島民に食費、生活費をただちに支給すること。給食費などの支給はどこに通学していても支給すること。融資についても、利払いの猶予を金融機関に申し入れるととも、借り換えのための無担保無保証人の緊急特別融資制度など、今日の事態に見合った支援策を講じることをつよく求めるものですが、それぞれ答弁を求めます。

横田空域返還にむけ国民的大集会を

 最後に東京の平和をめぐる問題です。
 知事は施政方針演説で、横田空域を含む横田飛行場の返還を強く求めて行くことを表明されました。戦後半世紀以上たった今も米軍が支配し、航空機の安全な航行をはかるうえで、最大の障害となっている広大な横田空域を返還させ、日本の空の安全と主権を取り戻すことは、米軍横田基地の返還とともに、わが党が一貫して主張し続けてきたことであり、今回の知事の表明に賛成です。
 重要なことは、横田空域の全面的な返還を実現していくうえで、日本政府がアメリカ政府に対してキッパリ返還を要求し、国際世論にも訴えることです。ところが政府の外交姿勢は、アメリカいいなりで、横田空域の全面返還を要求するという基本的立場さえ確立していません。先日の衆議院国土交通委員会での、わが党議員の質問への政府の答弁は「米軍とも協議する」としながらも、現状の過密な空域について「危険な空域で飛行機を飛ばしているわけではない」などと危機意識のなさをあらわにしました。
 一方のアメリカ政府も、戦後いっかんして首都の空に居座りつづけていることをみても、日本を属国扱いしていることは明らかです。こうした日米両政府の態度を改めさせなければなりません。
 いまこの問題で、東京から声をあげ、国を動かすには、大きな世論と運動をつくっていくことが重要です。そのためにまず、広く都民に横田空域の弊害や問題点について知らせていくとともに、首都圏七都県市や、長野、静岡、新潟など横田空域の影響をうけている自治体に共同を呼びかけ、横田空域の返還を目的にした国民的な大集会を開催するなど、多彩な行動を起こしていくことが必要だと思いますが、知事の見解を求めて、私の質問を終わります。
 以上


〇知事(石原慎太郎君) 秋田かくお議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、福祉のあり方についてでありますが、基本的に、所得格差の是正や所得保障は、経済政策や社会政策の課題であります。社会経済状況の変化の中で、負担と給付のバランスをいかにとるかという問題として、これは国の責任で対応すべきものと認識しております。その例としても、生活保護という方法があるわけであります。
 都は、かつて、福祉手当などの経済給付的事業を独自に始めましたが、それは、国の政策が極めて不十分であった昭和四十年代のことでありました。
 それから三十年、国の社会保障制度が格段に充実した今日、都が果たすべき役割は、従来の独自施策を抜本的に見直した上で、少子高齢社会における都民のニーズにこたえられる福祉サービスの整備に全力を挙げることだと心得ております。
 次いで、経済給付的事業についてでありますが、十二年度に行った施策見直しは、ただいま述べた考え方に沿って、都が独自に行ってきた各種福祉手当や医療費助成制度について、制度間の整合性や負担の公平性の確保などの観点に立って実施したものであります。
 これを踏まえ、福祉改革推進プランを策定し、五千二百億円を超える財源を集中投入し、幸い共産党からも高くご評価いただいたようでございますが、福祉サービスの充実に向けた基盤整備などに取り組むことといたしました。
 その意味で、施策見直しとプランとは一体をなすものであります。
 なお、乳幼児医療費助成制度については、都議会各派からいただいたご提案を受けとめ、少子社会における子育て支援策の一環として、十二年度に引き続き、十三年度予算案においても対象年齢を拡大し、就学前までといたしました。
 次いで、財政と福祉の関係についてでありますが、福祉改革は、戦後枠組みができてから基本的に見直されることのなかった福祉のシステムを改め、利用者本位の新しい福祉を構築するための改革であり、既に実施した福祉施策の見直しは、その一環をなすものであります。
 都が今日推進しているこの改革は、長期的、歴史的視野に立った取り組みでありまして、その時々の税収の動向に右顧左べんして、短期的に変更するような性格のものではございません。
 したがって、今回の見直しをもとに戻す考えは全くございません。
 次いで、老人医療費助成制度についてでありますが、経済給付的事業の見直しの意義は、ただいま申し上げたとおりであります。
 見直しに際して、議会で十分審議をいただきました。
 したがって、今回の見直しをもとに戻す考え方は全くございません。
 ご意見を伺っておりますと、まさに前衛という名前を外されるだけあって、まさに退嬰的であると存じます。
 障害者施策の見直しについてでありますが、見直しの意義は、ただいま申し上げたとおりであります。
 都議会の審議をいただいており、もとに戻す考え方は全くございません。
 次いで、介護保険料の全額徴収についてでありますが、社会保障に関する国の最近の論議においては、負担なくして給付はあり得ず、高齢者も能力に応じて負担を分かち合うことが必要とされており、私も同感であります。
 次いで、介護保険制度は、国民の共同連帯を理念とするものでありまして、既に、低所得者に配慮して、所得に応じた保険料の設定方式が講じられております。
 また、本来、制度開始当初から全額を徴収すべきところ、円滑な実施を図るための国の特別対策によって、手厚い軽減措置が実施されているわけであります。
 次いで、介護保険料、利用料の軽減制度についてでありますが、保険料については、今お話ししたとおり、利用料についても、既に制度上、利用者負担が著しく高額とならないための仕組みが設けられているほか、特別対策としての利用者負担の減免も可能とされております。
 したがって、都としては、保険料、利用料について、ご提案のような新たな減免制度をつくる必要があるとは考えておりません。
 次いで、圏央道等についてでありますが、投資的経費については、財政構造改革を推進する見地から、事業の重点化を一層進めることなどにより、都の財政力で対応可能な範囲に抑制し、都債についても、世代間の負担の公平性に配慮しつつ、将来の財政負担の軽減を図るため、十二年度に引き続き減額を行いました。
 そうした中にあっても、圏央道や首都高速道路などの幹線道路については、交通渋滞を解消し、環境の改善に寄与するとともに、東京の活力向上のために欠かすことのできない重要な都市基盤であり、今後ともその整備を着実に進めてまいります。
 また、公共事業の見直しについてでありますが、東京における空港、鉄道、道路などの都市基盤施設は、次世代に引き継ぐ財産となるものでありまして、その着実な整備は、産業の活性化や国際競争力の向上はもちろんのこと、生活基盤の質を高める上でも重要であります。
 厳しい財政状況を踏まえつつ、今後とも、限りのある財源を投資効果の高い事業に重点的に配分し、整備に努めてまいります。
 次いで、水資源開発についてでありますが、水道などの水の確保は、首都東京の都市生活や都市活動に不可欠のものでございます。将来確保すべき水源量一日六百五十万トンに対して、現在、安定的に確保されている水源量は五百二十九万トンのみであります。
 また、都の水源の約八割を占める利根川、荒川水系において、近年の少雨傾向の影響もあり、過去十年間で五回もの取水制限が行われました。
 このため、将来の水需要への対応はもとより、渇水時に極力安定した給水が行えるよう、引き続き、八ッ場ダムなどの必要な水源の確保に努力するつもりでございます。
 ダムの建設を中止して、断水になっても、それを共産党の責任にするわけにもいきませんので......。(笑声)
L  今後の公共事業のあり方についてでありますが、公共事業については、これまでも、事業の緊急性や必要性を考慮しつつ、都市基盤の整備を努めて進めてまいりました。
 また、事業の実施に当たっては、分離分割発注や共同企業体方式の活用など、中小企業の受注機会の確保に努めてまいりました。
 今後とも、こうした観点に留意しつつ、着実に公共事業の実施を図っていきたいと思っております。
 次いで、臨海副都心開発の見直しについてでありますが、臨海副都心開発は、首都東京の活力と創造力を生み出し、都民生活を支える新しいまちを創造する重要な事業と心得ております。
 既に、道路などの地域内都市基盤の約八割は完成し、国際研究交流大学村や、七百社を超える企業等が進出するなど、まちは発展し、活況を呈しつつあります。
 また、臨海副都心を中心とする東京臨海地域を、総合的、一体的に開発していく上で、財政基盤の強化は不可欠であり、ゆえに、三会計統合は、そのための有効な手法の一つと心得て行います。
 今後とも、社会経済状況の変化に弾力的に対応しながら、臨海副都心開発を着実に進めてまいります。
 有明地区の埋め立てについてでありますが、この事業は、都民も参加した懇談会や都議会などでの十分な議論を踏まえ、既に計画の見直しを行っております。
 その後、地権者や地元区の合意を得て、昨年、埋立免許を取得した上で、工事に着手しております。
 埋め立てに当たっては、埋立規模を縮小し、水域の三分の一強を残すとともに、水生生物への環境対策を十分行うこととしております。
 この事業は、臨海副都心の発展のみならず、東京の活性化にも資するものでありまして、再検討を行う考えはございません。
 次いで、消費税についてでありますが、これはもうあくまで国家マターであります。しかし、そのあり方については、我が国の歳入歳出の行く先を見通しつつ、国民的な議論を重ねることが重要であると思っております。
 次いで、外形標準課税についてでありますが、地方団体にとって、税収の安定化は極めて重要な課題であります。しかし、一般的な外形標準課税が国の制度として近い将来実現するとは思いません。
 今日、自治省がいい出しておる外形標準課税は、我々が心得ているものと本質的に違いまして、それを対象とする構造等にいろいろな問題があると思います。いずれにしろ、近い将来実現するとは思っておりません。
 外形標準課税を都独自に実施することについてでありますが、これまでも答弁しているとおり、外形標準課税を都独自に銀行業等以外に拡大することは考えておりません。
 大型店出店にかかわる新法制定等についてでありますが、昨年六月に、商業調整を目的とした旧大店法が廃止されまして、新たに、地域の生活環境の保持を目的とした大店立地法が施行されております。
 新法では、地元区市町村が生活環境保持の観点から述べる意見を、都として必ず聴取することになっております。都としても、新法の趣旨を踏まえ、引き続き、大型店の出店が適正になされるよう努力してまいるつもりであります。
 女性財団の廃止と関連する予算についてでありますが、前にも申しましたように、女性財団は、自立した組織としての体をなしているとはいいがたく、監理団体総点検の結果、その存続は困難であると判断いたしました。
 また、男女平等参画の新たな段階に対応するため、行政として責任を持って施策を推進していく必要があるとも思っております。
 したがって、今回提出している予算案どおり、四月から財団事業を直営化いたします。
 最後に、横田空域の返還に向けた取り組みについてでありますが、横田空域の存在や、その問題について、都民のみならず、国民や政治家が知らないという現況は、まことに憂うべき事態であります。
 共産党はかねてからこの返還を主張されたと聞いておりますが、私、二十五年間国会にいましたけど、そういうものを見知したことはございません。
 そのため、横田空域の問題について、さまざまな機会をとらえ、都民を初め、国民や政府に強く訴えてまいります。
 また、返還が実現するように、私自身がアメリカ政府との交渉を行うつもりでありまして、さらに、国に対しても働きかけてまいりますが、その中で、必要に応じて、関係する地方自治体とも連携して事を推進していきたいと思っております。
 なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。

   〔教育長横山洋吉君登壇〕
〇教育長(横山洋吉君) 三宅村の児童生徒への給食費などの支給についてですが、秋川高校内に集団避難している三宅村の児童生徒への食事の提供は、避難所での生活を維持するために必要な措置として行っているところでございます。
 経済的理由により小中学校への就学が困難な児童生徒の保護者に対しては、区市町村による就学援助措置がございまして、学校給食費も対象となっております。
 都教育委員会は、各区市町村教育委員会に対しまして、三宅村の児童生徒の就学援助の認定及び支給手続について、弾力的な対応を依頼しているところでございまして、今後とも、その周知徹底を図ってまいります。

   〔福祉局長高齢者施策推進室長兼務前川燿男君登壇〕
〇福祉局長高齢者施策推進室長兼務(前川燿男君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、心身障害者医療費助成制度の見直しについてでございますが、さきの見直しに際しましては、東京都の社会福祉基礎調査に基づく、都内の生計中心者の平均収入や、障害者の収入分布等の分析を基本として、厚生省の所得再分配調査等を参考に、制度設計を行ったものでございます。
 実施に当たっては、区市町村や関係団体の要望を十分に配慮し、都議会でのご審議をいただいて決定したものであり、見直しは適正な内容と考えております。
 次に、自立高齢者に対する支援でございますが、都は、かねてから、介護保険対象外の高齢者に対し、区市町村と連携をして、介護予防のための種々のサービスを実施してまいりました。
 平成十三年度につきましては、介護予防プランを作成する区市町村への支援を新たに開始するとともに、従来から実施している介護予防・生活支援事業についても大幅に充実していく方針でございます。
 次に、子どもの権利条例の制定についてでございますが、東京における児童の福祉の増進は重要な課題であり、児童の置かれた実態を踏まえ、実効性のある具体的施策を積み上げていくことが必要と考えております。
 また、児童の権利をどうとらえるかについては、多様な意見があり、いまだ概念の整理も不十分であります。
 ご質問の権利条例については、こうした観点に立って、児童の福祉増進に有効か否か、さまざまな角度から慎重に検討する必要があります。
 今後、東京の児童の実態、児童をめぐる環境の変化などを幅広い視点からとらえ、これに基づいて適切に対応してまいります。
 最後に、三宅島の避難島民の方々への食費、生活費の支給についてでございますが、都では、これまで、避難島民の皆さんに対し、独自に種々の支援策を講じてまいりました。生活福祉資金の無利子貸付、国制度の対象とならない世帯への生活再建支援金の支給、都営住宅等の無償提供などに加え、今回新たに、老人医療費助成制度の一部負担金の免除などの措置を講じました。
 また、かねてから、生活保護の適用など、個々の生活実態に即した対応を図るよう、区市町村に対し協力の要請をいたしております。
 今後とも、避難島民の方々への支援については、村と密接に連絡をとりながら、国等関係機関と連携し、適切に対応してまいります。

   〔環境局長中野英則君登壇〕
〇環境局長(中野英則君) エドハゼの東京都希少野生動植物種への指定についてでございますが、エドハゼは、これまでの調査によりますと、一定の個体数が確認されており、また、生息地である干潟も安定していると認められることから、現状では、自然保護条例に基づく東京都希少野生動植物種に指定する考えはありません。

   〔労働経済局長浪越勝海君登壇〕
〇労働経済局長(浪越勝海君) 中小企業対策等に対する五点の質問にお答えいたします。
 まず、商業版東京ルールの策定についてでございますが、大規模店舗の出店に当たっては、周辺のまちづくりとの調和が重要と考えております。大店立地法は、これまでの商業調整から政策を転換し、交通、騒音、廃棄物等について、地域の生活環境保持の観点から必要な規制を行うものでございます。
 都といたしましては、大店立地法が、都市計画法や中心市街地活性化法とともに、地域の生活環境保持のための重要な施策の一つと考えており、今後とも、その適正な運用に努めてまいります。
 次に、セーフガードの出動要請についてでございますが、輸入農産物の増加が、国内の生産者に甚大な影響を与えることが懸念されることから、政府は、ネギ、生シイタケ及び畳表の三品目について、セーフガード措置の発動手続としての調査を実施しており、国の動向について注視してまいりたい。
 また、革靴については、国は、昭和六十一年から、関税割り当て制度により、輸入枠を設けて、国内生産者を保護してまいりました。
 制度の維持については、都はこれまでも、関係府県とともに国に要請しているところでございます。
 次に、商店街活性化総合支援事業についてでございますが、商店街の振興に当たっては、地域の実情に精通し、商店街とのかかわりが強い区市町村の果たす役割が極めて大きいと認識しております。
 このため、現在検討中の二十一世紀商店街づくり振興プランを踏まえ、区市町村が商店街の振興のための計画を主体的に策定することが期待されます。
 都としても、新たに平成十三年度から、希望するすべての区市町村の計画づくりを、二カ年に分けて支援してまいります。
 次に、元気を出せ商店街事業についてでありますが、平成十二年度においては、地域の活性化を図る観点から、事業実施を希望するより多くの商店街を対象とするため、補助率等の見直しを行ったところです。
 平成十三年度においても、引き続き厳しい財政状況の中で、前年度と同額の予算を計上しました。
 事業実施に当たっては、通年受け付けは実務上困難であり、従来と同様に、期限内に申し込みのあった商店街を対象に、迅速な審査と執行に努めてまいります。
 最後に、三宅島避難島民の融資に関する支援策についてでございますが、都としては、現在、島外避難が長期化する中で、資金繰りに支障を来している中小企業者の金融の円滑化を図るため、被害の甚大さを考慮し、貸付期間の全期間を無利子とする、災害復旧資金融資を実施しているところです。
 また、関係金融機関等に対して、既往の信用保証つき融資の返済猶予措置の協力要請を行っており、事業者の実情に応じた条件変更が実施されております。