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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団

2002年第1回定例本会議  一般質問

小松 恭子(北多摩区選出)  2002年02月27日

-- 目 次 --

障害者ヘルパー派遣の有料化拡大は、再検討を

 はじめに障害者福祉についてです。
 深刻な不況のなか、障害者は真っ先にリストラの対象にされ、二ケタもの障害者が一般就労からリターンしてきた福祉作業所もあります。都の就職面接会でも、求人のほとんどは非常勤やパート。このような状況のもとで、都がおこなった障害者医療費助成や福祉手当、重度手当のきりさげは、とりわけ切実な痛みとなっています。
 それに加えて都は来年度予算案で、障害者ヘルパー派遣の有料化の拡大をうちだしました。すでに二年前、一連の福祉きりさげと同時に、週二日六時間までの無料制度が一部廃止されており、「何とか在宅でとがんばってきましたが、もうこれ以上の負担はできない。施設に入れることも考え始めています」など悲痛な声がひろがっています。そのうえさらに、住民税非課税をのぞくすべての世帯に、全面有料化をひろげようというのは、あまりにもひどいのではありませんか。
 今回の対象は約六百人と言われますが、その影響は月に最高二万円にもなります。「不況で夫の収入も減り、生活するだけで精一杯。自己負担が導入されたら、利用を減らさざるを得ません」「怒りと悲しみでいっぱいです」。こんな声があがっています。
 知事は、「地域の中で選択できる福祉」とか「新しい福祉」をつくると言いながら、つぎつぎ有料化をひろげていますが、その行き着く先は、収入に応じたサービスを選択するということ、つまりお金のある人は選択できるけれど、ない人はがまんせざるをえない、という結果になるのではありませんか。
 障害の重い人ほど、週二回六時間の無料枠だけでは足りず、無理をしてでも自費負担をして、ヘルパー派遣を利用しているのです。せめて週二回六時間の最低保障ぐらいは当然ではないですか。ヘルパー派遣制度は、在宅福祉のカナメ中のカナメであり、障害者が地域で生活していくために、なくてはならないものです。拡充こそすれ削減はゆるされません。
 障害者ヘルパー派遣の有料化拡大は、「在宅サービスの充実」や「地域での自立を支える福祉」という理念と逆行するものであり再検討をもとめます。所見を伺います。

知的障害者の生活寮、通勤寮への支援を

 知事は、知的障害者の生活寮など地域での居住の場を大幅に増設するとしており、これは歓迎するものです。
整備促進のため何点か提案します。
 第一は、家賃助成の拡充です。
 人口三百三十五万人の横浜市は、生活寮を毎年ほぼ二十カ所ずつ整備しており、人口比率で言えば、都の計画の三倍以上です。都の制度との一番の違いが家賃助成です。都の家賃助成制度は、きびしい所得制限で、利用できるのは寮生全体の一割ていどです。「家賃は自己負担が原則」と言いますが、知的障害者の年金と福祉手当、作業所の労賃による収入では、家賃と食費、高熱水費を払うと、ほとんどマイナスになってしまいます。これで
は、家賃の負担ができる人しか生活寮に入れません。関係者からも、「障害者が地域で自立した生活をと言うなら、家賃補助がしっかりないとくらせない。今の制度は実態とあっていない」と声があがっています。
 これにたいし横浜市は、すべての生活寮を対象に、一カ所当たり月十七万七千円まで家賃助成を、運営費助成の一部としておこなっています。これにより、寮生の家賃は三万円ほどで、だれでも入れる生活寮になっており、それが増設への意気込みを高めているのです。
 都の家賃助成制度の所得制限を大幅に緩和するか、または横浜市のように生活寮の運営費の一部として家賃助成をおこなう必要があると考えます。お答えください。
 第二は、生活寮にできる住宅やアパートがなかなか見つからない、という共通の悩みへの支援です。
 生活寮など福祉のために提供してよいという土地、住宅、アパート、マンションなどを登録する公的な窓口、福祉資源登録バンクの創設を提案します。見解を伺います。
 第三に、生活寮に入る前段階としての通勤寮の拡充です。
 通勤寮は、知的障害者が通勤しながら、就労や日常生活の必要な支援を受け、三年間で生活寮など地域での自立した生活に移行するもので、障害者本人はもちろん、家族や職場からも大きな評価をえています。現在都内六カ所で定員百八十五人はあまりにも少なすぎます。西武沿線をはじめ、空白地域が多く残されています。
 都の障害者施設緊急整備事業に、通勤寮がないのはなぜか。通勤寮の役割をどう評価しているのか。今後の計画をふくめ、答弁をもとめます。

精神障害者のグループホームにも用地費支援制度を

 一方、身体障害者や知的障害者にくらべて、精神障害者が地域でくらしていくための条件整備は大きく立ち遅れています。その結果、本来は地域で生活できる精神障害者の多くが、長期にわたる社会的入院をよぎなくされており、この問題の解決は、重要な課題です。
 そこでまず、精神障害者のケアは「入院医療中心の体制から地域におけるケアを中心とする体制へ」という国際的な理念にたいする、知事の基本認識を伺います。
 都の精神障害者社会復帰施設あり方検討会の報告書では、精神障害者のグループホームなど生活の場は、必要数にたいし充足率がわずか十一%であり緊急の課題である、しかも相当数の整備を早期に推進していくべきであると指摘しています。
ところがそこで、今後十五年間にグループホームは三百カ所を新設する、単純計算で年間二十カ所との目標をかかげたのに、来年度予算案を見ても十二カ所増設の予算しかついていません。
 精神障害者の社会的入院を解消するための具体的な戦略をつくると同時に、とりわけ遅れている生活の場をはじめとした社会復帰施設の緊急整備事業にとりくむことをもとめるものです。
 そのためにも、知的障害者の生活寮、重度生活寮と、重度身体障害者グループホーム、痴呆性高齢者グループホームにたいする用地費支援制度である暮らしの福祉インフラ整備事業を精神障害者のグループホームにも適用する必要があると考えますが、見解を伺います。

多摩の対策は、支援というより多摩地域からの撤退だ

 つぎに、多摩地域における都政の役割についてです。
 多摩地域の市町村は、これまでの格差是正の課題にくわえ、本格的な少子高齢化、地方分権の流れ、多様化する住民サービスなど、あらたな行政課題の増大に直面しており、東京都のあたたかい支援を求めています。
 ところが東京都がすすめている多摩の対策は、支援というよりは、多摩にあるさまざまな施設の廃止や縮小、補助の削減などで、多摩地域からの撤退と言われても仕方のない状況です。
 石原知事が発表した、「都庁改革アクションプラン」や「多摩の将来像」は、民間や区市町村との役割分担、コーディネーターの役割への特化などの方針にもとづいて作成されていますが、多摩地域でも、これらの構想にそった施策の見直しがあらゆる分野ですすめられています。
 都民の反対運動が起きている都立病院や保健所の統廃合、さらには、労働者をサポートする三鷹と立川の労政事務所をはじめ、勤労福祉会館、経済事務所などの移管・統廃合もおしすすめられようとしています。
 社会教育分野でも、青年の家や多摩社会教育会館の市民サービスコーナー、都立としての高尾自然科学博物館の廃止など目白押しです。多摩図書館の分館化と十万八千冊の図書の処分は、関係者の怒りをよんでいます。
 これらざっと数えただけで、統廃合、縮小の対象となっている都立施設は、三十を超えています。市町村国民健康保険への補助の削減も市町村財政に深刻な影響をあたえています。
 本来、広域自治体としての都道府県の仕事のひとつとして、基礎自治体がまかなえない住民サービスを直接提供する責務があります。実際に、全国の自治体では、この立場で保健所などさまざまな仕事を提供しています。
 私は、先日、一方の当事者である多摩市長会の青木会長にお会いしましたが、そこでだされたのは、「都の施設をみんなひきあげてしまうなんて、石原知事は多摩を東京都と思っているのか、多摩の実情をしらないのではないか」というきびしい指摘されていました。この声に率直に耳をかたむけることが必要ではありませんか。
 都道府県行政としての東京都と基礎自治体としての市町村の役割が違うのは当然ですが、同時に、機械的にここまでが東京都、ここからは市町村と区分けすることには、現実的に無理があるのではないでしょうか。
 東京都、市町村が重層的に役割をはたす仕組みが欠かせません。東京都には、市町村が自力ではまかなうことが困難な住民サービスについて、補完的にもしくは代行して実施する責務があると考えますが、知事の見解をうかがいます。

村山大和保健所は、予定通り、建設すべき

 東京都のやり方についてもきびしい声があげられています。いま、中止においこまれようとしている村山・大和保健所もその一つです。
 この保健所の建設にあたっては、東京都と地元市、住民との間で話し合いが積み重ねられてきた経過があります。しかも、九七年には、東京都が、東大和市に保健所の用地をさがして欲しいと依頼。これを受けた市長が先頭にたって半年かけて、やっと候補地をみつけ、実施設計が市議会、住民に報告までされた経過もあります。衛生局長も、昨年五月末までは、「早期建設」を約束していたのです。
 知事、市長が「承伏できない」といい、住民が抗議の声を挙げるのは、当たり前ではありませんか。違いますか。
 村山大和保健所の建設計画の中止の経過は、都民と地元市の、東京都への信頼を根本的に裏切るものです。予定通り、建設すべきと考えますが、あわせて、知事の見解を求めます。

市町村との信頼関係を壊しかねない乱暴なやり方を改めよ

 清瀬、八王子の都立小児病院の統廃合にもおおきな怒りがひろがっています。石原知事になってから目立つようになってきた問答無用とばかりのトップダウン式のおしつけについて、青木市長は、「市長会は都の出先機関でもないし、単なる連絡機関ではない」と反論されていました。
 このような、多摩地域の市町村との信頼関係を壊しかねない乱暴なやり方は、都政にとっても失うことが多いとは、考えないのか。知事の所見を伺います。
 介護保険など、あらたな行政需要に対応する都の財政支援も欠かせません。市町村交付金にくわえ、全都的な財政の水平調整など積極的な支援をおこなうことも考えられますが、どうか、答弁を求めます。
 最後に、交通不便地域である武蔵村山市では、モノレールなど公共交通を、市民が切望していることをつよく訴えて、質問を終わります。


〇知事(石原慎太郎君) 小松恭子議員の一般質問にお答えいたします。
 福祉施策の有料化についてでありますが、都が取り組んでおります新しい福祉は、障害を持つ方々を含めて、だれもが地域の中で自立した生活を送ることのできる社会の実現を目指すものであります。
 これまでの、行政から与えられる福祉ではなくて、利用者が能力に応じた適切な負担を行いながら、必要なサービスをみずから選択、利用してこそ、真の意味での自立に相ふさわしいと思います。
 新しい原則、お尋ねの心身障害者ホームヘルプサービスの見直しも、こうした観点に立って、介護保険制度の導入を契機として行ったものであります。しかし、従前の利用者の八割以上については、引き続き全額無料でサービスを受けられるものでありまして、ご指摘は当たらないと思います。
 次いで、精神障害者のケアに対する基本認識でありますが、我が国の精神障害者施策においては、自立と社会参加の促進という理念のもとに、入院医療中心から地域ケア中心の施策へという流れが既に定着しております。この流れを踏まえ、引き続き社会復帰施設の整備など、必要な施策を推進していくつもりでございます。
 それから、村山大和保健所についてでありますが、今まであったものがなくなるということになりますと、地元の方々はやはり不満、不安を抱くのは人情の常でありますが、しかし、行政としては、地元の方々も含めて、より多くの都民というもののメリットというものを考えて行政の合理化をしなくてはならないと思います。
 都保健所の再編整備に関しては、地元自治体や関係者からさまざまな意見や要望が出されております。都としては、都保健所を二十一世紀にふさわしい総合的な保健医療戦略の地域拠点として再構築していくつもりでございます。
 今後、都と市町村との適切な役割分担を踏まえ、地域の実情に応じた施策を支援し、多摩地域の保健サービスの一層の充実を図りたいと思います。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。

〇福祉局長(前川燿男君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、心身障害者ホームヘルプサービスについてでありますが、都が進めている福祉改革は、障害を持つ方も、地域の中で、必要なサービスを選択し、自立した生活ができる福祉の実現を目指しております。そのため、福祉改革推進プランにおきましては、今後、ホームヘルプサービスの大幅な拡充を行うことといたしております。
 今回の見直しは、介護保険の導入を契機として、一定限度まで無料であったホームヘルプサービスについて、能力に応じた見直しを十二年度に引き続きお願いするものであります。
 今回の見直しによっても、全利用者の八割は無料でのサービス利用が可能であり、新たに影響を受ける一割の世帯についても、収入との比較では十分負担の可能な額と考えております。
 次に、生活寮の家賃助成についてでありますが、生活寮は知的障害者の地域生活の場であり、利用者は、ここで共同生活を送りながら、日中は就労し、あるいは授産施設等に通所いたしております。したがって、お尋ねの家賃助成につきましては、地域生活に伴って本来、必要な経費として自己負担を原則としているわけでございます。
 都は、生活寮の運営費の助成を行うとともに、本人に経済的な事情がある場合には家賃助成を実施しており、制度として十分合理的なものだと考えております。
 次に、生活寮などの福祉資源の登録バンクについてでございますが、生活寮は、ただいまお話をいたしましたとおり、知的障害者の地域における生活の場であり、設置、運営に当たっては、区市町村が密接に関与をいたしております。
 その整備に必要な土地建物の情報につきましては、不動産情報誌から地域の不動産業者まで、さまざまな媒体から十分に提供されており、具体的な設置に当たっては、身近な区市町村が地域の実情を踏まえて対応することが望ましいと考えております。
 最後に、通勤寮についてでありますが、通勤寮は、一カ所当たり約三十人の知的障害者が集団生活を送りながら、自立に向けた援護、指導を受けて、生活寮など地域生活への移行を目指す施設でございます。
 通勤寮は、これまで、知的障害者の自立を促進する上で重要な役割を果たしてまいりましたが、今後は、障害者がより地域に根差した形で自立生活を送れるよう支援することが課題となっております。
 このため、都は、平成十三年度に体験型生活寮モデル事業を創設いたしました。今後、モデル事業の実績を検証しながら、区市町村と連携して、知的障害者の地域生活を支援する仕組みづくりに努めてまいります。

〇衛生局長(今村皓一君) 保健、医療のご質問にお答えいたします。
 まず、精神障害者の社会復帰施設の整備についてでございますが、長期入院の是正を図り、社会復帰を進めるためには、地域における受け入れ体制の整備がまず必要であります。このため、都は、精神障害者社会復帰施設の重点的な整備を図ることとし、東京構想二〇〇〇の三カ年推進プランにおいて、具体的な整備目標を定めております。現在、このプランに基づき、社会復帰施設の整備を着実に進めているところであります。
 次に、グループホームに対する支援についてでありますが、グループホームの多くは、家族会などの任意団体が施設を借り上げて運営していることから、都は、国基準とは別に、平成四年度の制度開始より、運営費補助の中で、居室や集会室など施設の借り上げに要する経費についても補助の対象としているところでございます。
 終わりに、村山大和保健所についてでございますが、多摩地域の保健サービスの再構築を検討する中で、保健所の建設の中止を判断したものでございます。
 今後は、地元自治体とのこれまでの経緯を十分踏まえまして理解が得られますよう、誠意を尽くして対応してまいります。

〇総務局長(大関東支夫君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、市町村が自力で賄うことが困難な住民サービスについては、東京都が補完的に、もしくは代行して実施する責務があるのではないかというお尋ねがございました。
 改めて申すまでもなく、住民に身近なサービスの提供は、第一義的には、基礎的自治体である市町村が責任を負うのが原則でございまして、単独で実施することが困難な場合は、協議会などを用いて共同で実施していくこととなっております。その上で、都は、広域自治体としての立場から、各市町村の自立性、自主性が向上できるよう支援してまいります。
 次に、多摩地域における施設の統廃合や事業の見直しについてのお尋ねでございます。
 その実施に当たりましては、関係局と調整するとともに、関係する市町村に対しましても、事前に説明をするなどして、理解、協力が得られるよう努めてまいります。
 次に、多摩支援についてでございます。
 全都的な財政の水平調整などを行うべきというお尋ねがございました。基本的には、地域間の財政力格差の水平調整機能は、国の地方交付税制度が担うものでございます。しかしながら、都といたしましては、こうした国の制度とは別に、市町村の行政水準の向上や均衡ある発展を図るため、その時々の都や市町村の状況などを十分に踏まえながら、市町村調整交付金や振興交付金を通じて財政支援に努めております。