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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団


本会議 代表質問 二〇〇四年九月二八日

清水ひで子(八王子市選出)

石原知事の五年で、福祉は冬の時代に
住民福祉の切りすてと環境破壊の「都市再生」の都政の転換を

石原都政のもとで、東京の福祉は冬の時代に
転換・充実すべき第一の課題は、高齢者福祉対策
私立保育園の都加算補助削減は許されない、学童クラブの整備計画を
私立幼稚園保護者負担軽減補助の充実を
石原知事の「都市再生」で環境と都財政悪化
規制緩和で巨大ビル建設をあおった石原知事
都市づくりのあり方を抜本的にみなおし転換を
小売商業調整特別措置法に着目を
商店街支援予算の拡充を
水道料金は生活保護世帯の免除、公衆浴場なども値上げを抑えよ
【再質問】
【答弁部分】
【再質問への答弁】

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石原都政のもとで、東京の福祉は冬の時代に

 日本共産党都議団を代表して質問します。
 石原都政の五年間に、地方自治体が第一の課題としてとりくむべき福祉が大きく後退したことを、わが党はきびしく指摘してきました。
 医療費助成など経済給付的事業の切りさげや廃止で二百八十七億円の予算が削減され、のべ百万人をこえる高齢者や障害者に負担増をもたらしました。補助金の削減では、国民健康保険への補助、特別養護老人ホームの運営費、整備費、私立保育園などのサービス推進費補助だけでも五百三十億円が削減されました。そのうえ、第二次財政再建推進プランで、福祉をはじめ千二百億円もの補助金削減が計画されています。
 この五年間に廃止された都立施設は百をこえ、そのなかで都立病院、保健所など福祉分野が三十五施設におよびます。さらに今後、第二次都庁改革アクションプランにより福祉分野だけで三十一もの廃止が計画されています。
 その一方、知事が「充実します」と約束してきた基盤整備などの状況はどうでしょうか。
 グループホームなど前進しているものは、福祉全体のほんの一部分にすぎません。たとえば、訪問看護の目標達成率はわずか三〇%、訪問リハビリ二〇%、ケアハウス一八%にすぎません。老人保健施設やショートステイは、依然として全国最低水準です。
 〇歳、一歳の保育所待機児は今年度中に解消する計画でしたが、今年四月で二千三百人をこえています。延長保育をふやす計画は、目標達成率一二%、一時保育は一八%、子ども家庭支援センターの整備四四%という現状です。
 要するに、切る方はしっかり切ったが、充実する方は大きく立ち遅れており、その結果、この五年間に都の社会福祉関係予算は六百六十一億円もの大幅削減となったのです。高齢化、少子化対策に、いよいよ本腰を入れなければならない時に、ほんとうに異常なことです。だからこそ、全国で福祉予算のこんな大幅削減をしたところは東京のほかただのひとつもありません。石原都政のもとで、東京の福祉は冬の時代に入ってしまったのです。
 知事、いまの都民生活の現状をしっかり見てください。東京都の「都民のくらしむき」調査でみても、国の医療改悪の影響で、都民の医療費負担は調査公表以来、最高額を記録しています。なかでも高齢者世帯の医療費負担は大幅にふえ、毎月一万八千円もかかっています。世界一物価が高い東京で、都民の老齢基礎年金受給額は全国十八位で、平均わずか五万三千円にすぎないなかでの負担です。
 また、不況・リストラや社会保障改悪により、この数年間で所得格差が急速に拡大し不平等がひろがっており、低所得層だけでなく、中間所得層の生活もきびしくなり、貯蓄率が急速に低下しています。
 こういう状態だからこそ、私は東京都政が、住民の福祉の増進を第一の使命とする地方自治体の本来のあり方に立ち返り、福祉予算の削減から福祉拡充の方向に転換することが必要だと考えます。まず、知事の基本的見解を伺います。

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転換・充実すべき第一の課題は、高齢者福祉対策

 転換・充実すべき第一の課題は、高齢者福祉対策です。
 わが党は、高齢者の介護状況調査をすすめていますが、特別養護老人ホームの不足は深刻です。ひとり暮らし高齢者や高齢者のみ世帯が多く、住宅事情が悪いという大都市特有の条件のもとで、東京における施設整備の重要性は特別のものがあります。七十六歳の妻を八十一歳の夫が介護している、あるいは痴呆がひどくなった夫を、胃がんの手術をした妻が介護しているなどのケースもあります。二年前に都がおこなった調査で特養の入所希望者は二万五千人におよぶことが明らかになったにもかかわらず、石原都政のもとで、特養の整備は抑制されてきたため、高齢者人口にたいする定員の割合は介護保険前より低下しています。
 都として特養の整備目標を引き上げ、そのための十分な予算を確保することが必要です。
 また、痴呆性高齢者グループホームの緊急整備を促進するとともに、「通えて、泊まれて、必要なら住むこともできる」小規模・多機能型施設の整備に都としてふみだすことを求めるものです。見解を伺います。
 介護保険の負担軽減も急務です。必要ないといっていた東京都も、やっと態度を変え、国にたいし、保険料の第二段階人のうち所得が低い人について、軽減するしくみを導入することを提言しました。しかし都独自の保険料軽減については、「全国的に統一した制度で対応すべき」だと言っています。口をひらけば全国画一的な福祉制度を批判する東京都が、どうしてこの問題では全国画一の制度にこだわるのか理解できません。
 改めて伺います。保険料第二段階には、現行の保険料では苦しい人がいることを都は認めているのですから、国の対応を待つのでなく、都独自の保険料軽減にふみきるべきではありませんか。お答えください。
 利用料についても、都はとくにくらしが困難な人にたいする軽減措置を拡充し、恒久的なしくみにするよう国に提案するにいたりました。だとしたら、都がおこなっている生計困難者にたいする利用者負担軽減措置は、今年度で終了するのではなく、来年度以降も継続し、さらに拡充することを求めるものです。
 知事は、「国の社会保障が充実した」とか「所得格差の是正や所得保障は国の責任」だといって経済給付的事業の切りさげをすすめましたが、医療も介護も年金も、国は負担増をおしつけるばかりです。高齢者への経済的支援は、ますます重要な自治体の責務となっています。わが党の介護状況調査のなかでも、多くの人から、老人福祉手当を再開してほしい、あるいは何らかの経済的支援が必要だとの切実な訴えがよせられました。少なくとも、要介護4、5の手厚い介護が必要で、利用料限度額をこえる自己負担ができない人や、月十五万円におよぶ老人病院の差額ベッド料やお世話料などの入院費用の負担に苦しむ人にたいし、何らかの経済的支援が必要です。知事の見解を伺います。
 元気な高齢者にとってもっとも身近な都の施策であるシルバーパスは、かつては七十歳以上の高齢者の七割が利用していましたが、全面有料化により、今では五割前後の人しか利用できなくなりました。私たちは無料にもどすべきだと考えていますが、一歩一歩改善することも必要です。いま大きな負担感があるのは、少しでも住民税を課税されたら、千円から二万五百十円にはねあがることです。
 「せめて五千円や一万円のパスがあればいいのに」「いっぺんに二万五百十円を払うのは苦しい。分割で払えないか」などの切実な声がよせられています。少なくとも、これくらいの声には答えていただきたいと思いますが、答弁を求めます。

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私立保育園の都加算補助削減は許されない、学童クラブの整備計画を

 転換・充実すべき第二の課題は、少子化対策です。
 東京都の次世代育成支援行動計画の策定が始まっていますが、合計特殊出生率がついに一をわりこみ、少子化が全国でいちばん深刻な東京こそ、もっとも本格的対応が求められています。保育の予算をけずって、子育て支援や少子化対策にまわすというようなやり方では、問題の解決はありえません。次世代育成支援、少子化対策の抜本的拡充は、福祉保健局だけでなく全庁的課題であり、少子化対策に必要な財源は知事が責任をもって確保するという立場にたつことが必要です。知事の答弁を求めます。
 仕事と子育ての両立支援と、子どもの豊かな成長をすすめるために、保育の拡充は少子化対策の要をなす課題です。ところが石原都政のもとで、今年から私立保育園のサービス推進費補助の改悪・削減が実施されたのをはじめ、保育の現場には嵐がふきあれています。
 東社協保育部会が、サービス推進費補助について六百八の施設を対象に調査をおこなっていますが、回答をよせた三百二十七施設のうち、削減されたのが二百三十七施設、そのうち六十施設は、年間四百万円をこえる大幅削減です。
 わが党も影響調査をすすめていますが、今年は職員の給与・賞与の削減でしのいだけれど、来年も再来年も削減がつづけば運営の見通しがたたない、職員集団の力や質は低下せざるをえない、貧弱な国基準の運営費では都民の保育要求にこたえられないことをわかってほしい、などの切実な訴えがよせられています。
 そのうえ都は今後、公立、私立保育園の都加算補助のあり方について検討していくとしています。ゼロ歳児保育の保健師配置や、開所時間延長のための保育士の増配置、アレルギー対応など給食を充実するための調理師加配などの都加算補助の削減は絶対にゆるされません。
 しかも、いま国がすすめている国庫補助・負担金制度見直しで、公立保育園につづき私立保育園運営費補助の一般財源化がおこなわれようとしています。国の三位一体改革で財源が削られ、そのうえ保育の運営費補助を一般財源化すれば、保育水準の低下に直結することは明らかです。そうならないよう、国に働きかけると同時に、都の負担分を堅持すべきと考えますが、見解を伺います。
 サービス推進費補助の削減はやめて、職員の経験年数をきちんと評価した補助制度にすることや、都加算補助は削減ではなく拡充するなど、認可保育園への支援をつよめることこそ必要です。
 そして都として認可保育園の整備目標をあきらかにした計画をつくり、増設をすすめることを求めるものです。
 学童クラブの不足も深刻で、希望して入れない子どもが千六百人もいます。整備計画をつくり増設をすすめることが急務です。お答えください。

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私立幼稚園保護者負担軽減補助の充実を

 つぎに、私立幼稚園の保護者にたいする支援です。
 私立幼稚園への依存率は、全国的には七九%にたいし東京は九一%におよびます。ほとんど私立幼稚園しか行く所がないのが実態ですが、年間の学費は平均四十二万円。幼稚園ですから共働きではない若い世帯が、結婚、出産に費用がかかったうえ、子どもが三歳からの三年間で百二十六万円もの学費負担というのは深刻な問題です。一方、「都民のくらしむき」調査によると、三十代前半の勤労世帯の実収入はこの三年間に月額十万円も減少しています。
 私立幼稚園保護者負担軽減補助の充実を求めるものです。
 また、とりわけ経営がきびしい個人立幼稚園にたいする経常費助成は、拡充することが必要です。お答えください。
 以上のほか、乳幼児医療費助成の所得制限をなくすとともに、小中学生の医療費助成にふみだすこと、企業における育児休業制度の充実と利用しやすい環境づくり、子育て中は家族そろって食事ができるようにするなど労働条件をととのえること、子育て世帯のための安くて質のよい住宅の確保などを、都の次世代育成支援行動計画に具体化する必要があると考えますが、答弁を求めるものです。

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石原知事の「都市再生」で環境と都財政悪化

 石原知事のこの五年は、「都市再生」の名のもとに、東京のこれまでの都市政策をくつがえし、東京の環境や都財政をさらに悪化させる方向にふみだした五年でもありました。
 知事は、就任早々に、「東京構想二〇〇〇」を発表し、都心を中心とした地域内の開発を打ちだし、つづいて都内七カ所の都市再生緊急整備地域を指定することで、かつてない規模の再開発に踏みだしました。そして、「都市再生」を推進するための規制緩和、すなわち環境影響評価条例改悪をはじめ、大規模建築物の容積や日影などの規制緩和をあいついでおこなってきました。
 こうしたもとで、この五年間に高さ百メートル以上の業務商業ビルだけでも、四六地区、延べ床面積およそ五〇七ヘクタールという巨大な超高層ビル群が建設され、東京の環境におおきな影響をおよぼし、このため、東京の環境は二酸化炭素の増大をはじめ、ヒートアイランド現象や自動車排気ガス公害などによって、かつてない深刻な事態をむかえようとしているのです。
 先日、わが党は、丸の内、汐留、虎ノ門・新橋間、さらには海の上から都心と臨海部の開発の現状をつぶさに視察してきました。
 これらの地区では、容積率一三〇〇%という巨大ビルや高さ一五〇メートル超える超高層ビルがあいついで建設されており、海の上から見ると、これが、品川から汐留、丸の内にかけて巨大ビルによる壁が海風をふさぐ形でたっているのがよくわかりました。
 こうしたビル開発が、すでに東京の環境に悪影響をあたえていることを、今年の異常気象が示しました。とりわけ、今年の夏、東京では、四二・七度という観測史上最高温度を記録、また、真夏日はこれも過去最高の六八日を記録するという、ヒートアイランド現象にみまわれました。そしておおくの専門家が、これらの東京の異常気象の原因として、巨大開発、とりわけ、海風をふさぐ形で臨海部にそって建設されているビル群にあることを指摘しています。

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規制緩和で巨大ビル建設をあおった石原知事

 ところが、石原知事は、記者会見で、都の責任を問われて、「戦後六〇年間都市計画なしに来た」、「都市が非常に悪化していくという予測は誰も立て得なかった」という、無責任な発言をおこないました。
 しかし、東京には、本当に都市計画がなく、環境悪化の予測はおこなわれてこなかったのでしょうか。とんでもありません。
 そもそも、東京都も国も、まがりなりにも、東京とりわけ都心に経済や人口が集中することの弊害、たとえば、公害の発生、住宅の不足、交通渋滞などの弊害を認め、その弊害を回避するために、集中を是正する政策、すなわち多極分散型の国土政策、多心型都市づくりの政策をとってきたのではありませんか。
 これにたいし、石原知事は、集中は必要論の立場から、これまでの都市政策を転換し、丸の内地区や汐留地区などの開発を促進する都心集中政策を打ちだしたのであり、その責任は重大です。
 たとえば、三菱地所が中心となった丸の内の再開発計画は、かつてマンハッタン計画といわれたものですが、都心一極集中の弊害が明らかになるなかで、計画が凍結されていたものです。これを石原知事が、「都市再生」の目玉にすえ、緊急整備地域に指定し、いたりつくせりのサービスをすることで、息を吹きかえさせたのです。
 しかも、都は、丸の内地区の開発を促進するために、全国ではじめて特例容積率制度の適用地域に指定し、容積率の緩和と東京駅などの未利用容積率の転用も可能にすることで、一三〇〇パーセントなどという超高層ビルの建設を可能としてあげたのです。
 また、環境アセス条例をビルの高さ一八〇メートル、面積十五万平方メートルまでの緩和することで、丸の内地区では、すでにアセス手続きにはいっていた東京ビルディング、丸の内北口開発、丸の内二丁目一街区ビルが自動的にアセス対象外となり、また、別の建物では、ビルの高さを一メートル下げただけで、アセスの適用をのがれて百七十九メートルの超高層ビルをたてることができるようになりました。
 知事は、「ビルを乱立させてきた」責任は、「みんなの責任だ」といわれましたが、「都市再生」と、規制緩和でビル建設をあおっているのは、知事自身なのではありませんか。知事自身の責任について、どう認識しているのか。答弁を求めます。

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都市づくりのあり方を抜本的にみなおし転換を

 さらに重大なことは、知事の「都市再生」がこれから本格化すると言うことです。
わが党の試算では、今後、開発が計画されている地域は、緊急整備地域をはじめ、七十七地区のビルで約八百二十ヘクタールとなることが予想されます。そうなったらビル自体とあらたに発生する自動車交通によって、二酸化炭素や排熱がおおはばに増大し、いまでさえ、四十度を超えるヒートアイアンド現象が激化し、灼熱化することは間違いありません。
 だからこそいま、都市づくりのあり方を抜本的にみなおし、転換することが緊急課題となっています。
 私は、なにより、今後、建設が予定されているビル開発を都として掌握し、環境や住まいなどへの影響について総合的に調査、公表することによって、都民とともに、今後の開発がどうあるべきかを検討することが必要と考えますが、見解を伺います。
 また、東京一極集中、都心一極集中の是正の立場にたち帰り、欧米でとりいれられている都市の開発をコントロールする「成長管理」や環境を重視した修復型のまちづくりのしくみを都市計画にとりいれることが急がれていると、考えますが。見解を伺います。
 東京のヒートアイランド対策として、専門家が共通してとりあげているのが、海風の利用です。ある学者は「熱をうまく捨てるのは河川か風、自然の力しかありません」とのべ、「大手町で幅一キロメートルの空間に都心より五度涼しい海風が吹くとすれば、その冷却能力は一〇〇キロワットに匹敵する」とも述べています。
 知事は、「風の道をいまごろ言い出している」などといっていますが、実は研究者は二〇年も前から指摘しており、福岡県では、すでに風の道に着目した施策を実施しています。
 そこでまず、すくなくとも、海風をふさぐような臨海部でのビル群の開発を抑制することを提案するものです。
 また、開発にあたっては、冷房排熱を空中以外に排出する空調システム、「都市排熱処理システム」を付置させること。エネルギーについても、再生可能エネルギーや風力、太陽熱、小型水力などを開発、普及させることを積極的にすすめるよう提案するものです。
 クールスポットの確保も重要です。全国で最低水準の都市公園の増設、ビルの屋上や壁面、さらには公開空地の緑化、学校敷地の芝生化、さらには、暗渠化されている河川の復元などに、全力をつくすことをもとめるものです。どうか。
 人口排熱の二割を占める自動車交通の抜本的対策も急がれています。ところが、「都市再生」は、二三区内の自動車交通を一〇万台もふやすことがわが党の試算であきらかにされています。この点からも、いますすめられ、間違った「都市再生」を見直すことが欠かせないのです。
 交通需要の対応をもっぱら道路建設によるのではなく、総合的な方法で対応しようとしているイギリスの事例などに学び、公共交通の拡充を基本に、自動車を総量として抑制する都市政策が必要です。そのためにも、ビル建設や商業施設の建設にあたっては、駐車場を最低限に抑制し、TDM、モーダルシフトなどの対策を組み合わせて、公共交通機関の利用にふりかえることで、自動車に依存しがちな交通利用を転換することが重要であると考えますが、それぞれ、答弁を求めます。
 多国籍企業のための都市づくりとしての「都市再生」は、都財政をもおおきくゆがめています。すなわち、この五年のあいだに、石原知事は、都市再開発と幹線道路などを中心に、毎年、一般歳出の二割をこえる一兆円規模の投資をつづけることで、都債を積みまししました。その結果、都の一般会計の借金残高は六兆九六八二億円と都政史上最高となり、都財政を圧迫しています。
 しかも、重大なことは、国直轄事業負担金、首都高速道路公団への無利子貸し付け、羽田空港再拡張への負担金など、これらの借金のすくなくないものが、本来、東京都が負担しなくてもよい投資によってもたらされています。
 また、臨海副都心開発や破たんした三セクなど、都が当然、メスを入れるべきであるにもかかわらず、容認してきた浪費的公共事業や無駄な財政支出も、都財政をゆがめる要因となっています。
 全国でも異常な石原都政の福祉切りすての本当の理由は、「財政危機」などでは断じてありません。こうした不要不急の投資こそ福祉切りすての理由だったことは、いまや明白です。投資のあり方を抜本的に見直すことによって、都民のくらしと福祉を守るという地方自治体の最大の使命を最優先にした政治に転換することこそ、いま都政に緊急にもとめられていることをつよく申しのべておくものです。

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小売商業調整特別措置法に着目を

 つぎに都民のくらしを守るうえで、緊急の課題となっている問題のなかで、存亡の危機にたたされている商業支援にしぼって伺います。
 二〇〇〇年の大規模小売店舗法の廃止後、第二次の出店ラッシュといわれる大型店の出店攻勢がつづいています。しかも、その特徴は、商圏が広域にわたる超大型化した複合商業施設になっていることと、既存の大型店をも閉店に追いこむし烈なものになっていることです。
 八王子でも、中央道・八王子インター北地区周辺に超大型ショッピングセンターの出店計画が浮上し、大問題となっています。計画では、大型総合スーパー、大型ホームセンター、百店舗を超える小売店、飲食店、シネマコンプレックス、スポーツ・娯楽施設で構成され、駐車台数は実に三五〇〇台という巨大なセンターです。商圏は八王子や周辺地域はもちろん、関東一円におよび、年間一五〇〇万人の集客を見込むというすさまじいものです。
 八王子商工会議所などがおこなった「影響調査」によれば、同ショッピングセンターには一日、六万人集客をする一方、市内の商店街は三万一五〇〇人もお客が減少し、、売上では年間、数百億円の被害を受けると推計しています。
 また、この計画は、すでに地元商店の減少と既存大型店の撤退で衰退をかさねている八王子駅周辺の中心市街地に壊滅的な打撃を与えるものになりかねません。
 このため、八王子市商店街連合会はあげて反対し、市長に対して、ショッピングセンター出店計画の白紙撤回をもとめる意見書を提出しています。
 このような超大型店の出店計画は、葛飾区の亀有で延べ床面積十六万平方メートルのイトーヨーカ堂出店、大田区大森ではアサヒビール工場跡へのこれもイトーヨーカ堂の出店計画など目白押しで、しかも、そのいづれもが地域商業の壊滅的な破壊をもたらす危険が指摘され、地元での反対運動がまきおこっているのです。
 このような今日の事態は、超大型店栄えて、地域商業枯れるという事態をまねきかねないものです。
 そして重要なことは、高齢者をはじめ消費者にも深刻な影響をもたらし、地域商店街が支えてきた地域社会の成り立ちにとりかえしのつかない打撃を与えかねないということです。
 知事にうかがいます。このように地域経済や地域社会に甚大な影響をあたえることが予測される大型店の出店が、事実上、野放しにされている状況をどう認識されているのですか。答弁を求めます。
 また、少なくとも、都として、都内地域商業の現状を調査・掌握し、都市政策として地域商業のあり方について方向を示すべきと考えますが、どうですか。見解を伺います。
 大店法廃止にあたって、立地法が制定されたといいますが、これが何の役にもたっていないことは、今日の出店ラッシュを見れば明らかです。それは、立地法が環境に着目したものであり、こうした問題解決に欠かせない商業調整の機能がもたされていないからです。
 そこで、いま、小売商業調整特別措置法に着目することが、重要だと考えるものです。同法は大店法と競合するということで、事実上、凍結されていた法律ですが、大店法廃止によってその規制が解除されました。この法律の理念と過去の適用事例はどうなのか。商調法にもとづく調査・調停はどのようにおこなわれるのか、また、商調法にもとづく調査・調停の申請があった場合、すみやかに作業に入ることが必要と考えますが、所見を伺います。

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商店街支援予算の拡充を

 大型店の対策とともに、地域商業の支援を強化することが急がれており、そこで、いくつかの問題にしぼって提案をおこないます。
 はじめに、新・元気を出せ商店街事業についてですが、この事業はいまでは、夏・冬のイベント事業など商店街振興にとっては欠かせないものとなっており、今後の継続と予算の拡充はつよい要望となっており、拡充がもとめられています。事業執行にあたっては事業の詳細な認定は区市町村の裁量にゆだねることや、申請書類の簡素化など、あらためて商店街や区市町村の要望を聞き、改善が必要と考えますが、どうか。
 また、都が昨年度実施した「輝け!店舗支援事業」は、「思った程反応がなかった」ことを理由にうち切られました。しかし、その後、あらためてわが党がおこなった調査では、おおくの区市町村でこの事業が歓迎されていたこと、東京都がうち切った今年度、二十三区では五つの区が単独で事業を継続、もしくは新規に事業化していることがわかりました。ある区の担当者は、「これで東京都も本気になった」と思ったとのべ、来年度は事業として復活して欲しいと要望していました。
 あらためて伺いますが、商店街の個々のお店を支援し、輝かせる事業の意義について、どう、考えているのか。お答え下さい。
 さらに、区市町村が都の提案をうけて、商店街振興に関するプランをいっせいに策定したことは、わが国の中小企業行政のなかで画期的なことではなかったでしょうか。
 私は、区市町村が策定したそれぞれのプランにもとづいて、商店街を総合的に支援することは、商店街の活性化の大きな力になると考えるものですが、見解を伺います。
 これらの事業はいずれも商店街や区市町村が事業化や拡充を切に求めているものばかりですが、都の商店街支援の予算は、要望に応えるには十分ではありません。
 新・元気を出せ商店街事業、輝け!店舗支援事業、商店街を総合的に支援する包括的補助事業、後継者対策など、商店街支援に必要な対策がはかられるよう予算を拡充することをつよく求めるものですが、見解を伺います。

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水道料金は生活保護世帯の免除、公衆浴場なども値上げを抑えよ

 最後に、水道料金体系の見直しについてです。
わが党はかねてより都の水道事業の料金の収支は大幅な黒字であり、水道料金は値下げすべきと、要望してきました。「値下げなど不可能だ」という議論には、実際の水需要を大きく上回る需要計画を前提にしてつづけられている過大な投資を見直せば、値下げは可能であるということを、議会審議でのさまざまな機会で論証してきました。
今回、都の水道行政史上初めて基本的には値下げの内容で提案されたことは、かねてからのわが党の指摘が裏づけられたものであり、歓迎するものであります。
 同時に、提案には見過ごすことのできない問題もふくまれています。それは、新しい料金体系を組みこんでつくられた「東京水道プラン二〇〇四」が、水需給計画を見直さず、過大な投資計画にもとづいて財政計画がつくられていることです。
 都はすでに日量六百二十三万立方メートルの既得水源をもち、一日あたり六百九十六万立方メートルの施設能力をもっていて、なおかつすでに十年以上にわたって一日最大配水量が六百万立方メートルを超えた日は一日もないというのに、さらに、新たな水源開発と称して、おおくの人が反対している八ッ場ダム開発に巨額の税金をつぎこむなど過大な投資事業をあらためようともしていません。
 このため、今回は値下げが行われたものの、「プラン二〇〇四」が終了する二年後にはまた累積収支不足という料金値上げの口実が生ずるしくみになっているのです。そうでないというならば、二年後には値上げしないと、この際はっきりと明言していただきたいと思います。おこたえ下さい。
 また、基本的には値下げ提案だというものの、大口の需要者がすべて大きく値下げされるのに対して、小口の、それも生活がきびしい人々に値上げがおしつけられていることも、見過ごすことはできません。
 そこで、口座振替を使わなくともすべての利用者が値下げになるようにすること、生活保護世帯については、従来通り、十立方メートルまでは、料金を免除すること、公衆浴場などについても値上げを抑えることをもとめるものですが、答弁をもとめ、再質問を留保して、質問をおわります。

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【再質問】

 二点について、知事に再質問します。
 第一に、私は福祉予算の拡充を求めたのです。それには答えていません。福祉予算を六百六十一億円も削ったのは異常なことなんです。このことを、知事は何度いっても理解できないようです。
 経済給付や補助金を大きく削り、先ほど指摘したように、充実すると約束したものは、一部を除いて大きくおくれています。その結果、高齢者を初め都民から、特養に入れない、介護保険の負担が重いなど、本当に切実な訴えが上がっています。
 少子化対策もますます重要になります。二十三区では、中学卒業までの医療費助成に次々踏み出しています。
 どう考えても福祉予算をふやす必要があるのではないですか。このまま減らし続けてよいというのですか。知事、お答えください。
 知事がいった広義の福祉で見ても、ますます後退しています。医療では、都立病院の廃止や医療費助成の廃止を進め、環境も、ヒートアイランド現象はひどくなり、雇用も大変な状態です。インフラ整備も、都営住宅は新規建設ゼロなど、生活の質を高めるインフラ整備は進んでいない。そのことを厳しく指摘しておきます。
 第二に、超高層ビルを林立させる知事の都市再生路線は、ヒートアイランド現象をひどくし、東京の環境に重大な影響を与えていることは、多くの専門家やマスコミも指摘しています。この責任について、知事は人ごとのように答えましたが、それでは済まされません。
 知事は、多国籍企業のために超高層ビルを集中させることはよいことだ、不可欠だと答えるだけですが、それでは、多国籍企業が栄えて、環境や地域経済、都民生活滅ぶの道を進むことになります。みずからの責任についてきちんと答えていただきたいと思います。

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【答弁部分】

○知事(石原慎太郎君)
 清水ひで子議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、福祉予算を転換せよとのことでありますが、これまで何度も何度も何度も同じことを申し上げてまいりましたけれども、一向にご理解いただけないようでありますが、我々が目指すべき福祉は、だれもが安心して快適に暮らせる東京の実現でありまして、そのために、狭義の福祉だけではなく、治安、医療、環境、雇用、インフラ整備など、さまざまな施策を複合的に実施する必要があります。
 私はこれまで、こうした住民福祉の増進を都政の第一の使命と考え予算編成に臨み、施策の充実を図ってまいりました。
 また、福祉の分野における一連の改革は、長期的、歴史的視点に立って、ばらまき的な現金給付や入所施設中心の画一的なサービスを思い切って見直し、利用者本位の福祉の実現を目指したものであります。こうした流れは、都民福祉の充実に資するものとして、既に都民の理解を十分に得ていると確信しております。
 福祉は冬の時代に入ったといわれましたが、そういうことを一向に理解できない共産党こそが冬の時代に入ったのではないでしょうか。
 次いで、少子化対策などに必要な財源の確保についてでありますが、いわれるまでもなく、少子化対策は、青少年の健全育成や治安対策などと同じく、組織を超えて横断的、総合的にとるべき課題であります。
 都はこれまでも、大都市特有の保育ニーズを踏まえた都独特の認証保育所を初め、子ども家庭支援センターや小児救急医療体制の整備など、安心して子どもを産み育てられる環境の整備を積極的に推進してまいりました。
 今後とも、長期的、歴史的視点に立って見直すべき事業や組織は徹底的に見直し、真に必要な施策に財源を集中的に投入してまいります。
 次いで、都市再生におけるビルの建設についてでありますが、政経不可分の文明論からいえば、日本の首都東京のように、行政、立法、経済の中枢が隣接して集積しているという機能的な都市は、余りほかにございません。
 丸の内周辺には経済活動の合理性から高層ビルが集中しているのであります。それは日本全体の機能にとっても大変よいことだと思います。
 今後とも、この地域の機能を維持し、大都市東京の国際競争力を高めていくためには、老朽化したオフィスビルの新陳代謝を図る都市開発が不可欠と思います。
 次いで、大店舗の出店についてでありますが、大型店はもとより、商店街などの小売業者が、創意と努力により消費者の求める商品、サービスを提供することは、東京の経済活性化にとって重要なことであります。
 消費者ニーズの多様化、モータリゼーションの進展などにより、複合的な機能を持つショッピングセンターがふえていくことも十分承知しております。
 一方、大型店は、交通量の増加や騒音など周辺環境に与える影響も大であります。大型店の出店に際しては、決して野放しではなく、大規模小売店舗立地法により地域の生活環境保持の観点から必要な規制が行われておりまして、法の趣旨を踏まえ、適切に運用してまいります。
 他の質問については関係局長から答弁いたします。

○福祉保健局長(幸田昭一君)
 特別養護老人ホーム等に関します福祉、保健に関する十二点のご質問にお答えいたします。
 まず、特養への支援についてでございますけれども、ケアリビングや在宅サービスの充実を、特別養護老人ホームを含めまして進めているところでございます。施設での介護が真に必要な高齢者に対応できるよう、適正な水準の介護保険施設の整備をこれまでも進めてまいりましたが、この支援につきましては、引き続き適切に支援等を行ってまいります。
 次に、特別養護老人ホームについてでありますが、現在の整備目標は、区市町村と十分な調整を図った上で、平成十四年度に策定した第二期介護保険事業支援計画において設定したものでありまして、今後とも、同計画に基づき着実に整備に努めてまいります。
 次に、痴呆性高齢者グループホームの整備促進等についてでありますが、痴呆性高齢者グループホームの整備については、今年度の都の重点事業として痴呆性高齢者グループホーム緊急整備三カ年事業を実施するとともに、グループホーム設置促進事業本部を立ち上げるなど、積極的に整備促進を図っています。
 また、小規模・多機能施設については、現在、国において、その整備費を国から区市町村へ直接交付する制度の対象とすることを検討中と聞いております。
 次に、介護保険の保険料軽減についてでありますが、低所得者に対する保険料の取り扱いは、社会保険としての介護保険制度の根幹にかかわるもので、全国的に統一した仕組みの中で対応すべきものであり、都独自の軽減措置を講じるのは適当ではないと考えます。
 次に、介護保険の利用者負担軽減措置についてでありますが、都では、国の特別対策をもとに、対象サービスを四種類から九種類に拡大するなど、都独自の支援策を行ってまいりました。
 来年度以降の事業のあり方については、現在、国において進められている介護保険制度改正の動向を見据え対応してまいります。
 次に、高齢者への経済的支援についてでありますが、老人福祉手当を初めとする一連の福祉施策の見直しは、利用者本位の新しい福祉の実現を目指す福祉改革の一環として実施したものであり、再検討する考えはございません。
 次に、シルバーパスについてでありますが、本制度は、若年世代との間に負担の不公平があるなどの課題があったことから、平成十二年度に見直しを行ったものであります。
 現在、多くの高齢者がパスの発行を受け、社会参加と生きがいの活動に活用されており、現行の仕組みは、パス本来の目的に十分沿っているものと考えます。
 次に、私立保育所の運営費負担金の一般財源化についてでありますが、現段階では、この問題に関して、国は何ら考え方を示しておりません。したがって、仮定の話を前提に議論しても余り意味がありませんが、地方六団体では、保育所の運営費負担金を廃止して税源移譲すれば、地方の裁量度を高め、自主性の拡大につながるものであるとの見解を取りまとめています。
 なお、一般財源化と保育水準の問題は別の次元の問題であり、保育水準の低下に直接つながるというご主張は理解できないものであります。
 また、一般財源化とは、事業費の全額が何らかの形で財源措置されるものであり、仮に一般財源化されても、財政運営のルールからいって、現行の都の負担分を堅持する合理的な理由はないと考えます。
 次に、保育所への補助についてでありますが、民間社会福祉施設サービス推進費補助は、職員の平均経験年数に基づくこれまでの補助が、必ずしも質の高い保育サービスの提供につながっているとはいえないことから、都として望ましいサービス水準を確保するとともに、サービス向上に向けた施設の努力が真に報われる仕組みとして、施設代表者との合意を踏まえ再構築したものであります。
 また、保育所運営費補助については、さきの児童福祉審議会の意見具申を踏まえ、今後、都として補助のあり方について検討してまいります。
 次に、認可保育所の整備についてでありますが、認可保育所は、保育の実施主体である区市町村が、地域の保育需要を的確に把握、分析し、既存の保育所の受け入れ枠の拡大などの対策を講じた上で、なお不足が生じ、必要があると判断した場合に整備するものであります。
 都としては、こうした区市町村の施設整備の取り組みに対し、必要な予算措置を行うなど、これまでも的確な対応を図ってまいりました。
 なお、改正された児童福祉法の規定に基づきまして、保育サービスの供給体制の確保に関する計画を、都としても今後策定していきます。
 次に、学童クラブについてでありますが、学童クラブは、定員設定などに関する厳格な定めがなく、あくまでも事業の実施主体である区市町村が地域の事情を的確に把握し、整備、運営を行っています。
 都ではこれまで、福祉改革推進事業の活用などにより学童クラブの設置促進に努めてまいりました。その結果、本年三月末の設置状況は千三百十一カ所となっており、公立小学校数に対する設置率は全国一の九七%であります。
 最後に、次世代育成支援行動計画についてでありますが、東京の未来を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境の整備を図ることは社会全体の課題であります。
 このような考え方から策定する都の行動計画には、施策の優先度や効果などを十分考慮しながら、すべての子育て家庭を視野に入れた子育て支援策を盛り込む方針であります。
 なお、ご提案いただいた施策については、ただいまの観点から申し上げれば、実現可能性が薄いものが多いと思います。

○生活文化局長(山内隆夫君)
 私立幼稚園の補助についてお答えいたします。
 私立幼稚園児保護者の負担軽減補助につきましては、所得に応じた負担の適正化を図りながら、預かり保育の充実など施策の展開に努めてまいりました。
 また、個人立等幼稚園については、国が補助対象外としている中で、都は単独補助を実施し、学校法人化をより一層促進する観点から、事業の見直しにも取り組んでまいりました。
 今後とも、社会経済状況の変化に対応しつつ、適切に対応してまいります。

○都市整備局長(梶山修君)
 都市再生に関する五点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後のビル開発について総合的に検討することの必要性についてでございますが、都市間の国際的な競争が激化する中、おくれている道路などの都市基盤の整備とあわせ、優良な民間プロジェクトを推進する都市再生の取り組みを強力に進めていくことが必要でございます。
 プロジェクトの具体化に当たっては、これまでも条例に基づく環境影響評価を実施してきております。
 また、特定街区や総合設計制度などに基づく都市開発につきましても、計画策定時に、環境に与える影響などについて調査、検討を行っており、ご提案のような検討は必要ないものと考えております。
 次に、都市の成長管理や修復型のまちづくりについてでございますが、大都市東京の再生にとって今必要なことは、首都東京のポテンシャルを引き出し、その活力や国際競争力を回復させることであります。
 このため、都は、交通ネットワーク、とりわけ三環状道路など広域的交通基盤を強化するとともに、業務、居住、産業、文化など、多様な機能を地域や拠点が分担し合う環状メガロポリス構造の構築を目指しております。
 このことが、バランスのとれた活力ある東京圏の形成のみならず、交通渋滞の解消や環境負荷の軽減、ひいては、環境と共生した都市の実現にもつながると考えております。
 次に、海風をふさぐようなビル開発を抑制せよとの提案についてでございますが、大都市東京の魅力や活力を高めていくためには、東京臨海地域の持つポテンシャルを生かし、今後とも優良な都市開発を推進していく必要がございます。
 風の通り道については、都の基本的な計画である東京ベイエリア21や東京都環境基本計画において、建物や緑の計画的な配置などにより確保することとしております。
 臨海地域における開発においても、このような考え方に基づき、風の通り道の確保について、可能な限り配慮してまいります。
 次に、交通需要への対応についてでありますが、効率的な都市活動と快適な都市生活を実現するためには、三環状道路を初めとする道路ネットワークの構築はもとより、駅へのアクセス道路やバスレーンの整備などにより定時性を確保し、公共交通への利用促進を図ることが重要でございます。
 あわせて、都市の機能更新や都心居住を推進し、職と住が近接した市街地の形成に取り組むことにより、交通負荷の軽減を図ってまいります。
 今後とも、おくれている道路整備を推進するとともに、交通需要マネジメントなどによる、ハード、ソフトを含めた総合的な都市交通を推進してまいります。
 最後に、ビル建設などにより集中する自動車交通の抑制策についてでございますが、商業・業務施設などの建設に当たりましては、利用者に必要な駐車場設置を義務づけておりますが、これらを抑制することは、違法な路上駐車を招くなど、道路交通の円滑化を妨げることになります。
 一方、公共交通機関につきましては、山手線内側のほぼ全域が徒歩十分以内で鉄道まで到達できるよう整備が進み、世界の大都市の中で最も便利で使いやすい公共交通網が既に形成されております。
 今後とも、バリアフリーによる乗りかえ利便性の向上策や、パーク・アンド・ライドなどの駐車マネジメントを推進するなど、公共交通機関の利用促進を一層進めてまいります。

○環境局長(平井健一君)
 都市再生に関し、まず、都市排熱処理システムや再生可能エネルギーの普及についてでございます。
 都市排熱処理システムについては、その効果や排熱エネルギーの処分先での環境影響などについて研究が必要であります。
 再生可能エネルギーについては、都の率先導入事業として、臨海部に風力発電施設を設置するとともに、都議会議事堂屋上や浄水場などに太陽光発電施設を設置するなど、取り組みを進めております。今後とも、再生可能エネルギーの普及拡大に努めてまいります。
 次に、クールスポットの確保についてですが、ヒートアイランド現象を緩和するためには、公園、緑や水辺などのクールスポットを充実させ、都市を冷やしていくことが有効でございます。
 ヒートアイランド対策取り組み方針では、都の率先行動として、公園の整備促進、街路樹の再生、屋上緑化の推進などに取り組むこととしております。
 今後とも、この方針に基づき、ヒートアイランド対策に取り組んでまいります。

○産業労働局長(関谷保夫君)
 商業支援に関する六点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、地域商業についてでございますが、都は、東京の小売業の調査や中小企業経営白書などにより、都内の地域商業の現状を調査し、実態の把握に努めているところでございます。また、具体的な大型店の出店に当たっては、区市町村から意見を聞いているところでございます。
 都としては、大規模小売店舗立地法や中心市街地活性化法などを適切に運用し、地域の生活環境保持と地域商業の活性化に努めてまいります。
 次に、小売商業調整特別措置法についてでございますが、この法律は、小売商の事業活動の機会の適正な確保等を目的としており、中小小売業がかかわる紛争解決等のための緊急避難的な措置を規定したものでありまして、商業調整につながるものではないとされております。都における適用事例はございませんが、全国では、過去に調査、あっせんが延べ十六件あったと承知しております。
 調査の申し出があった場合、相当の理由があると認めるときは調査を行うものとされております。また、調停の申請については、物品の流通秩序の適正を期するために必要があると認めるときは調停を行うものとされております。いずれの場合も、法に基づき適切に対処してまいります。
 次に、新・元気を出せ商店街事業についてでございますが、都はこれまでも、区市町村と綿密に情報交換をするとともに、商店街への定期的な実態調査等を通じて意見の把握に努めてまいりました。これらを踏まえて、申請書類の簡素化や交付決定時期の早期化など、必要な改善を図ってきたところでございます。
 次に、商店街の個店支援についてでございますが、商店街を活性化するためには、集客の核となるような魅力的な店舗が必要でございます。このため、都は、専門家の派遣や講習会の開催など、商店主の経営力向上や魅力的な店舗づくりへの支援に努めているところでございます。
 次に、商店街への総合的な支援についてでございますが、都は既に新・元気を出せ商店街事業において、区市町村が策定した振興プランに基づく商店街の自主的、意欲的で多種多様な取り組みを支援しているところでございます。
 最後に、商店街振興に関する予算についてでございますが、都は平成十五年度において、それまでの商店街振興施策を再構築するとともに、予算規模を大幅に拡充しているところでございます。

○水道局長(高橋功君)
 水道料金の改定に関する二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、今回の計画案終了後の料金改定についてでございますが、今回の計画案は、昨年十二月に見直しを行いました水道需要予測を踏まえまして、八ッ場ダムなどの必要な施設を盛り込むとともに、最大限の企業努力を実施することにより、料金値下げを行った上で、平成十八年度末の収支を均衡させることとしたものでございます。
 また、本計画案終了後の水道料金につきましては、水道事業を取り巻くさまざまな状況変化を踏まえる必要がございますので、現時点で判断することはできません。
 なお、今回の料金改定は、東京都水道事業経営問題研究会の最終報告に基づきまして実施をするものでございまして、共産党のかねてからのご主張に沿ったものではございません。
 次に、料金値上げとなる使用者への対応についてでございますが、今回の料金見直しは、節水を促す仕組みやコストに見合った負担の実現を求める都民の声にこたえるとともに、都民生活への配慮から、最大限の企業努力を実施することにより、料金を平均で二・二%引き下げたものでございます。
 なお、生活保護世帯、公衆浴場につきましては、引き続き、一般世帯に比べ安価な料金としております。

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【再質問への答弁】

〔「知事答えなさいよ、知事。知事に聞いてんのよ」と呼ぶ者あり〕

○財務局長(松澤敏夫君)
 福祉の分野における予算についてのお尋ねでございますが、ただいま知事から答弁がございましたように、福祉改革を進めていく中で、必要性が薄れた施策などは思い切って見直す一方で、厳しい財政状況にありましても、新しいニーズに沿い、大都市東京の特性に合った利用者本位の福祉の実現を目指して、さまざまな施策の充実を図ってきたところでございます。
 また、その間には、児童扶養手当を区市に移管することによる予算の大幅な当然減などもありまして、単純に予算額だけを問題としてとらえ、福祉サービスの後退とのご主張は余り意味がない、このように考えます。

〔「知事答えなさい、石原知事。答えられないの」と呼ぶ者あり〕

○都市整備局長(梶山修君)
 先ほど知事の方からご答弁ありましたとおり、現在、都心部などで多くのオフィスビルの建設が行われておりますが、これにより、国際的に見ても優良なオフィスが供給され、機能更新が一層進むことになると思います。このことが、都市の魅力や国際競争力の向上につながるものと確信しております。
 都は、引き続き首都東京の都市再生を積極的に進めてまいります。