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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団

予算特別委員会 総括質疑

野村友子(目黒区選出)  2001年3月15日

理事会の議決もなしに女性財団の廃止……男女平等施策に逆行。高齢者が地域で安心して暮らせるように住宅バリアフリー支援の拡充を

-- 目 次 --

高い評価を受けている女性財団をなぜ廃止

〇野村委員 私は、まず、女性財団廃止の問題について伺います。
 東京都が、昨年、東京女性財団の廃止方針を打ち出して以来、財団を廃止するなの声は急速に広がっております。最近では、マスコミでもこの問題が取り上げられまして、それらは一様に、都の廃止方針に疑問を出しております。都議会には既に百十五件、財団廃止反対の請願陳情が付託をされておりますし、まだ付託していないものも多数ある。そして、都議会のほとんどの会派の議員が紹介議員になっております。私も女性財団の評議員でもありますけれども、この財団、男女平等の前進にとって、大変豊かな功績を上げているのです。
 例えば、財団でつくられました男女平等の普及啓発のためのビデオ、「スタートライン」といいますが、これは文部大臣最優秀賞をいただいております。これは一つの例ですけれども、その他、今ここに持ってまいりましたけれども、「『ことば』に見る女性」、それから「都民女性の戦後50年」とか「セクシュアルハラスメントのない世界へ」とか、こういう数々の研究成果が、こういう出版物になっているところです。
 改めて伺いますが、これだけ高く評価を受けております、そして成果も上げております女性財団をなぜ廃止をするのか、生文局長、お答えください。
〇高橋生活文化局長 幾度か申し上げておりますが、女性財団につきましては、今般の監理団体総点検におきまして、ゼロベースからの視点の見直しを行った結果、自立した経営体として存続するのが困難だと判断し、直営により普及啓発事業等を継続することとしたものです。
 また、現下の重要課題である企業における参画促進や、家庭内等における暴力などには、本庁とウィメンズプラザとが一体となって、行政機関として対応する必要があることから、財団事業を直営化し、それに伴い、財団を廃止するという方針を決定したものであります。
〇野村委員 そもそも男女平等という分野は、公とともに民間の力が大変重要なんです。もともとこの運動は、民間の自覚した女性たちの運動によって進められてきた問題ですから、男女平等という事業は、公が行政的に進めていくだけでは限界がある、どうしても民間の力による普及啓発活動が決定的だと思います。
 例えば、相談件数がふえて、都も重視するという、いわゆるドメスティック・バイオレンス一つとっても、固定的な性的役割分担意識が強い男性の方が女性に対する暴力を容認する割合が高いという結果が、平成十年の女性に対する暴力調査報告書という都の調査でもくっきり出ているわけです。

限界のある行政のとりくみ、公と民とは車の両輪

 こうした背景にある問題を解決していくのは、行政の取り組みでは限界がある。東京女性財団の設立趣意書にもありますように、法や制度面での改善はあるけれども、固定的役割分担、分業意識に根差した女性差別や女性べっ視はまだまだ残っているということではないでしょうか。
 ですから、行政と民間が協力して男女平等の社会的風土づくりを進めるという、この東京女性財団の役割は、いよいよ重要になっていると思います。まさにこの分野というのは、公としての仕事と民としての仕事は車の両輪であって、片方をなくせば車が進まないというように、男女平等施策などは前に進まないという、こういうわけです。局長がいわれたように、これからは行政が全部やるから、女性財団もやりたければ自前でやりなさいというのは、これは間違っています。
 そこで伺いますが、他の都道府県で、公設民営は何割になっていますか。生文局長に伺います。
〇高橋生活文化局長 数の問題の前にちょっと申し上げておきますけれども、私どもは、都としては、ウィメンズプラザの運営に当たって、当初から直営と公営というような、いろいろなさまざまな議論があったわけでございまして、事業をいかに有効に展開するかという角度から、その当時の状況の中で公設民営がとられたわけでございまして、今の新たな状況の中でそれがいいかどうかということで廃止の方針を打ち出しているわけでございまして、財団そのものが初めからありきということではないということを、まずご理解をいただきたいと思います。
 その上で申し上げますが、全国の女性センターの数は、都道府県ベースで三十一カ所、そのうち六割は公設民営になっております。ちなみに区市町村の施設については、ほとんどすべて直営となっております。
〇野村委員 いろいろおっしゃいましたけれども、小さい市町村は、これは農村問題とかそういうことでつくられているものというふうに考えて、こういうふうにつくられました全国的な女性センターの運営は、今いわれましたように六割、三分の二を占めているというのも、この分野は多様な市民参加や民間の力が決定的だから、だからこういうことになっているということです。
 私どもは、大阪府や横浜市など女性センターなどを直接調べてまいりました。特に私が注目をしたのは横浜市です。横浜では、横浜市女性協会という法人が三つの女性会館、去年からもう一つ加わって三つの女性会館を運営委託しております。この市からの委託金で、固有の職員を五十八名、理事長も含めていますが、派遣職員はわずか八名、この固有職員は事務職ですけれども、長い人は始まってから十三年、それぞれ専門職の力を身につけていると、そして大変評価された活動、例えば女性情報ジャーナルという出版をしている、こういう活動をしております。
 それでは、女性財団はどうか。全国から特別高く評価されていることも、私も実感しております。最近東京新聞に載りましたこの問題の連載記事の中で、佐賀県の女性センターの初代館長であられます大阪女子大の教授が、東京女性財団は、全国の女性政策を先導する役割を果たしていたんです、全国に向け女性の研修を積極的に行い、市民団体へ研究助成をしてきましたからと評価をしておられました。

女性財団の役割に熱い期待

 東京女性財団の役割は、これからますます重要になっているのです。ですから、各方面から熱い期待が寄せられているのではないでしょうか。
 総務局長に伺いますが、今回の女性財団の廃止は、監理団体の見直しの結果ということでありますけれども、ほかにも基本財産や運営費などのほとんどを都が出資している団体がたくさんあります。しかし、一〇〇%出資のところでも、基本的に存続が認められました。どうして女性財団だけは廃止なのか、お答えください。
〇大関総務局長 今回の統廃合は、団体の設立趣旨にさかのぼった上で、効率的、効果的な事業実施が見込めるかどうか、また都以外からより多くの収入が見込まれるかどうかなどを勘案して整理したものでございまして、単に都の出資や財政支出の割合が高いことのみをもって判断したものではございません。

資金ストップで立ち枯れねらう

〇野村委員 都の出資や財政支出の割合のみが問題ではないというご答弁の趣旨、これは先日の本会議、きょうもおっしゃいましたけれども、知事の発言、おんば日傘とか、おんぶにだっこ、こんな自立していない団体は世間では通用しないという、これが本質ではないということですね、今の答弁。
 東京女性財団の設立趣旨というのは、設立趣意書や規約(寄附行為)にもありますように、男女平等の社会的風土づくり、普及活動です。啓発活動です。もともと営利が目的ではなく、どれだけ収入を稼げるかという、こういうことを押しつけるのは、なじみません。
 東京都も、女性財団にそうした営利活動を求めるのは難しいと、去年十一月の文教委員会でも答弁しています。そして、財団として効率的、効果的に運営するということ、これは当然だと思いますが、廃止することを前提に予算も人も引き揚げて、どうやって効率的、効果的な活動ができるのでしょうか。これはだれが聞いてもおかしな話ではないでしょうか。総務局長の今の説明で納得する人は一人もおりません。
 さて、財団の存廃は一年かけて検討してもらうということですが、四月からは都が直営でやる、すなわち、もう財団にはお金は出さないということです。これでは立ち枯れを待っているといわれても仕方がないではありませんか。とんでもないことです。

都が一方的に廃止、これが反感を呼んでいる

 今回の女性財団の廃止問題で、もう一つ大きな問題になるのは、今回の廃止のやり方に、みんな納得いかないということなんです。突然、理事会や評議員会の議決もなく、一方的に都が廃止を決めてしまった、これが反発を呼んでいるわけです。
 総務局長に伺いますが、今回の監理団体改革の実施計画策定作業は、どのように進めたのですか。財団側の意向をどう酌み取ったのでしょうか。伺います。
〇大関総務局長 監理団体改革は、何よりもまず当事者である団体みずからが、危機意識を持って経営改善を実施すべきものでございます。経営改善計画は、こうした観点から、より効率的、効果的な経営を実現するため、団体みずからの責任で策定し、団体としての意思を決定する場である理事会や総会等の議を経た上で、所管局を通じて提出されたものでございます。
 これを、今回、東京都が、監理団体改革実施計画といたしまして、所管局を通じて取りまとめたものでございまして、団体意向を十分に反映した形で作成したものであると考えております。
〇野村委員 ちょっとパネルを出して見ていただきたいと思います。(資料1質疑末尾参照)
 これは、私たちの調べですけれども、総務局長の答弁のとおり、すべての団体が理事会で決定をしているわけですけれども、女性財団だけが理事会決定をしていない、これをはっきりと示していると思います。一目瞭然だと思います。総務局長、これで間違いはないですね。
〇大関総務局長 団体が作成いたしました経営改善計画につきましては、提出に当たり、理事会等団体運営の重要事項決定機関の決定を得るよう、公文書で通知したものでございます。その後、各団体の決定について確認いたしましたところ、東京女性財団以外は団体としての意思決定をしたものと認識しております。
〔高橋生活文化局長発言を求む〕
〔野村委員「いえ、結構です」と呼ぶ〕
〇野村委員 本当にこれは重大なことです。要するに、これは間違いない、このとおりだというご答弁でした。
 さきに総務局長が答弁いたしました、団体みずからの責任で策定し、団体としての意思を決定する場である理事会や総会等の議を経たという点に照らして、理事会でも評議員会でも廃止は決定していない。私は評議員ですけれども、直近の評議員会で、今回の方針には納得できないというのが多数の意見でありました。
 さらに、所管局を通じ取りまとめたものであり、団体の意向を十分に反映したという答弁に照らしましても、生活文化局は、当事者の意向を無視して総務局に報告していたということでありまして、監理団体改革の実施計画との関係で、手続上大きな欠陥があったと私はいわざるを得ません。改めて振り出しに戻すべきではないでしょうか。
 知事、こうしたいきさつをご存じなかったかもしれませんけれども、余りにもひどいやり方だとお思いになりませんでしょうか。お答えください。
〔大関総務局長発言を求む〕
〔野村委員「知事がお答えください」と呼ぶ〕
〔石原知事「事実関係の説明をさせなさいよ」と呼ぶ〕
〔野村委員「事実ではありません」と呼ぶ〕
〔高橋生活文化局長発言を求む〕
〔発言する者あり〕
〇野村委員 これは、今までの経過でありまして、こういう経過を通じて知事がどういうふうに思われたか、知っていらっしゃらないことかもしれないけれども、どういうやり方なのだということで、ご感想をお聞かせください。
〇石原知事 外郭団体はたくさんありまして(発言する者あり)うるさいな、だから答えているんじゃないか、ここで。
   〔発言する者多し〕
〇松村副委員長 ご静粛に願います。
〇石原知事 外郭団体はたくさんありまして、それぞれいろいろな問題を抱えているんですよ。ですから、それぞれ担当の局長がそれに当たっているわけでありまして、私はその結果を聞く、そして要するに、自分の判断でその報告を精査して、自分の責任で物を決めているわけでありますから、だからそのプロセスについて生文局長が話そうというのを聞いたらどうなんですか。
〇高橋生活文化局長 今、生文局という名前が出ましたので、私の方からお答えをしますけれども、経営改善計画そのものは、基本方針にのっとって、各局、各団体がつくるということでございますけれども、通常の団体の改善ということと異なって、事業そのものは直営で、しかもそのために廃止をするという話でございます。したがって、これを事前に了解を求められていることであれば、そもそも今回の問題はないわけでございまして、むしろこれにつきましては、経営改善計画が出る前に、事前に私が説明に参っております。
 そのとき、野村先生もたしかいたはずでございますけれども、あくまで現在の段階では都としての方針ということで、したがいまして、解散等については、今後財団のみずからの理事会あるいは評議員会のご議決をいただくと、そういうことでございまして、現在の段階では、私どもはむしろ理解をいただくよう努力をしているという状況でございます。

理事会の議決を経ていないのは女性財団だけ

〇野村委員 今、そういうお話ありましたけれども、確かにそういうふうに評議員会では私も聞きましたけれども、これは大変おかしいと、改めて今、総務局長の答弁した内容で本当に正しく行われたのかということを伺っているわけです。団体みずからの責任で策定し、団体としての意思を決定する場である理事会や総会等の議を経て、そしてほかの団体は全部そういう議を経て、そして総務関係、その結果を出したと。
 しかし、ただ一つ、女性財団だけは、その議を経ずに、廃止なんだからしようがないじゃないかという、そしてその仕事は都が直接やるんだからいいんじゃないか、これは絶対に入れるわけにはいきません。本当にひどいやり方であります。
 今、知事は本会議でも、予特でも(発言する者あり)静かにしてください。
   〔発言する者あり〕
〇松村副委員長 ご静粛に願います。質問中です、ご静粛に願います。
〇野村委員 知事は、本会議でもこの予特でも、財団の存続は、十三年度中に財団として決定してもらうという答弁をされました。しかし、私は、財団の主務官庁である東京都が、一方的に委託契約を打ち切る、財団への補助を打ち切るということになれば、信頼関係上問題がある、いわば大家と店子の関係じゃないか、一方的な行為は問題があるという、これは私の発言ではなくて、ある法律の専門家からも伺っております。疑義があると。
 私は、知事に、女性財団自身がこれから理事会、評議員会で決めることは、結論がどうであれ、尊重していただきたいと思いますし、それまではこれまでどおり、財団にウィメンズプラザの委託を続けていただきたいと思うんですけれども、知事、いかがでしょうか。
〇石原知事 女性財団に派遣している都の職員の給料も、年間の費用も、全部都民から預かっている税金で賄っているわけです。そして、いわば都が女性財団の一種のスポンサーであるわけですけれども、そのスポンサーとして費用対効果といいましょうか、活動の効率からいっても、とにかくこれは、私たちとしては、もっと効果のある方法で運用をしようと。理念は結構ですけれども。ですから、都としてはそういう態度を決めたわけでありまして、あとは私たちの意向を踏まえて、評議会が、皆さんのどれだけのお力でこれをどれだけ存続するか、どうするか、しないかということはお決めになったらよろしいんじゃないんですか。
〇野村委員 先ほど総務局長の答弁されました内容で、今回の統廃合は、団体の設立趣旨にさかのぼった上で、効率的、効果的な事業実施が見込めるか、あるいは都以外からの多くの収入が見込めるかなどを勘案して整理したので、単に都の出資や財政支出の割合が高いことのみをもって判断したものではないというふうに答弁されているわけですよ。お答えがあるわけです。

廃止の再検討と都の全面的な施策の展開を求める

 それに対して今、知事はまたさらにおんぶにだっこ論ですか、お金をいっぱいつぎ込んでいる、それでその内容はどうかといわれるけれども、これはもう本当に、男女平等参画の条例が知事のもとで制定された今、そして法律もできている今、本当にまだまだ風土づくりは必要だというところで、このいい方は絶対にこれは許せない、こういう中身だと思います。
 私たち女性、これは人口の半数を占めておりますが、今回の都のやり方にどうしても納得できない、これが大きな声です。今後とも再検討を求めてまいりますし、また二十一世紀を真に男女平等の世紀にするために、財団としての活動とともに、都自身が、より全面的な施策を展開、実施されるように求めて、次の質問に移ります。

介護保険導入で高齢者の住宅改造ーバリアフリーが後退

 では次に、高齢者のバリアフリーについて質問をいたします。
 私は、九十歳の夫の母を、在宅で一年半前にみとりました。このきっかけは、居室の入り口でよろけまして、平衡感覚を失い倒れ込んで、ちょうど敷居に胸を打って肋骨骨折ということで入院したのがもとでありました。
この入院を契機にして痴呆が進み、食欲も弱まり、退院しても動作が鈍って、家の中でも車いすで生活しなければならなくなったわけです。
 私は、この経験を通じまして、高齢者の住宅をバリアフリーにする住宅改修は、お年寄りにとって大変重要だということを実感いたしました。東京都は、高齢者が住宅改造を行うときに、その費用を補助してまいりましたが、その実績件数も、九四年と九八年を比較いたしますと、区部でも市町村でもほぼ二倍にふえております。
ずっと都がやってきた施策が都民に喜ばれて、年々ニーズが高まってきたというのがこの事業だったと思います。
 ところが、今まで区の窓口に行きさえすればよかった住宅改造が、去年から介護保険が始まると同時に、介護保険の住宅改修と都の高齢者いきいき事業、この住宅バリアフリー化事業の二本立てになりまして、複雑でわかりにくくなって利用も減っているというわけなんですね。
 実際、各区の介護保険実施前後の住宅改造の実績を調べてみたところ、今年度の実績はかなり落ちております。例えば、私の住んでおります目黒区では、九九年には九百九十件だったものが、今年度は、二月末までですけれども、介護保険適用と都の住宅バリアフリー化事業による住宅改修を合わせても六百四十九件なんです。渋谷区では、今年度の予算で、住宅バリアフリー化事業を二百七件と見込んでおりましたのに、一月の末まで五十七件の利用しかない、各区ともこんな状況であります。
 せっかく都の制度があるのですから、もっと使っていただけるようにすることが大事だと思います。利用実績が上がらない要因として、私は、利用者の方、ケアマネジャー、工務店の方、区の担当者などのお話をお聞きして、まず二つの要因があると思いました。

介護保険との連携、ケアマネージャー支援を

 一つは、介護保険制度が導入されて、住宅改修も含めて、介護の相談はとにかくケアマネジャーにと考える人が多くなった。そのケアマネジャーは、看護婦出身の方などは、建築の知識の必要な住宅改修は苦手分野だということでありました。まして、介護保険外の制度であります住宅バリアフリー事業の存在をケアマネジャーは知りませんし、利用者から相談を受けたからといって、いろいろやってあげても、一円の報酬もないというのが現状であります。
 そこで、お伺いをしたいと思います。
 介護保険の住宅改造や都の住宅バリアフリー化事業などをもっと知らせることが必要ではないでしょうか。そのために、ケアマネジャーや在宅介護支援センターの職員に、研修などを通じて制度を知らせたり、またケアマネジャーなどがこの事業に携わりやすいようにするべきだと思います。財政支援も含め、都としてこの現状の改善を早急に図るべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 住宅改修に係る事業についてでございますが、これは現在、介護保険の実施主体である区市町村が住民に広報を行うとともに、ケアマネジャーに対して周知を図っております。
 都といたしましても、区市町村を支援するために、ケアマネジャーに対する研修に住宅改修関係のカリキュラムを組み込むとか、また必要書類の作成のための経費を補助いたしております。さらに、専門的な助言指導を行うアドバイザーも養成をいたしております。
〇野村委員 ぜひ都が率先して、介護保険の住宅改修と住宅バリアフリー化事業の連携の推進や、ケアマネジャーへの支援などを行っていただきたいと思います。

自己負担の軽減、補助限度額の引き上げを

 もう一つ、利用しづらくなってしまった理由として口々に訴えられたのが、一割の自己負担が重いということ、補助の限度額が以前に比べて低く抑えられているために、十分な対応ができないということです。
 まず、利用者負担との関係では、これまでは所得に応じた負担ということで、高齢者の八割の方にはほとんど自己負担がなかったのに、介護保険はもちろん、住宅バリアフリー化事業の方も、新制度では一割負担になっております。
 また、これまでいろいろ組み合わせますと最高百四十五万円までの補助が出たのが、今では介護保険分と住宅バリアフリー化事業の給付分を合わせても八十四万円が限度になってしまいました。
 そのために、目黒区では住宅バリアフリー化事業を利用した人、補助だけでは足りなかった分を、一人当たり平均を出してみますと、四十三万円も自己負担をしているという、そういう数字が出ております。こうした負担が可能な人はまだいいわけですけれども、高齢者世帯やひとり暮らしなどでは、とりわけ重い負担になってしまいます。
 こうした中で、自治体によっては、メニューの上乗せ、必要な改修への柔軟な対応、補助基準額の拡大、さらに低所得者への減免など、いろいろ努力をしているところがあるということが調べてわかりました。住宅バリアフリー化事業のもとになっております高齢者いきいき事業の要綱の目的には、地域の実情に合わせて主体的に事業を展開できるよう、区市町村を支援するとありますけれども、これは、高齢者が地域で安心して暮らせるために、新規事業はもちろんのこと、いろいろ工夫して実施することを、都として奨励するというふうに思いますが、それでよろしいでしょうか。
〇前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 今お話しの高齢者いきいき事業でございますが、これは、高齢者が地域で安心して暮らせると、そのために、区市町村が自主性や創意工夫を持ってさまざまな事業をやっていくと、これを促進するための事業でございます。そのために、補助要件や基準を必要最小限にとどめた、区市町村の主体性が発揮できるような柔軟な補助の仕組みといたしているところでございます。補助率は原則として二分の一といたしております。
〇野村委員 区市町村の創意工夫、それに対して都としても協力をしていくということ、こういうことをおっしゃったと思います。包括事業というのは、本来そうあるべきものだと思います。
 各自治体がサービス向上のために努力していることに対して、ぜひ前向きに支援をしていただくことを期待しております。トイレの改修などの場合に、和式から洋式へという、これだけではなくて、そういう場合にどうしても必要な改修改善、そういうことも柔軟に対応するという、そういうようなことを考えていただくことを期待しております。
 さらに、所得の低い方の負担軽減を進めていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。