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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団

予算特別委員会 総括質疑

村松みえ子(日野市選出)  2001年3月16日

格差是正のたな上げでなく、新たな視点で格差解消、多摩地域の振興を

-- 目 次 --

子育て支援、介護保険など新たな視点でとりくみを

〇村松委員 多摩の振興について伺います。
 新しい世紀を迎えて、私たちは、本格的な少子高齢化社会、地球環境との共生、産業の再生など、新たな課題に直面しています。多摩地域の自治体は、これらの課題とあわせて地方自治の確立、地方分権の大きな流れに取り組んでいるところです。私は、こうしたもとで、東京都が多摩地域の振興と多摩市町村の支援をどのように進めていくべきなのかということについて取り上げたいと思います。
 都が発表した多摩の将来像素案では、格差がおおむね解消に向かう中で、今後は、区部との対比による格差是正の観点から、画一的な対応をするのではなく、新たな視点からの取り組みが必要となっていますと述べています。
 その新しい視点からの取り組みという点では、我が党は、例えば、少子高齢化の進行に対応して、子育て支援の強化や教育のあり方の改善、安心して利用できる介護保険制度の確立、介護基盤整備の促進などを提案し、また、地球環境との共生では、ディーゼル規制など大気汚染対策の強化、公共事業のあり方の見直しなどを提案してきたところです。同時に、こうした新しい課題が区部と多摩との自治体の間では、財政力に差があるために、区では実施できても、多摩ではやりたくてもできないという問題を解決するための都の対応の充実を一貫して提案してまいりました。
 最近の例では、乳幼児医療費助成がその典型でした。私を初め我が党の多摩選出の議員は、多かれ少なかれ、二十三区にいたときは子どもの医療費は無料だったのに、多摩に移ったら医療費をとられて困ったという声を聞かされたものです。
 この乳幼児医療費助成は、現在、すべての区で就学前まで無料ですが、多摩地域では多くのところで都の基準でしたか無料化できませんでした。これが都が来年度から就学まで無料化することで、ようやく多摩都民も区部の都民とひとしく、医療費を心配せずに安心して子どもを病院に連れていけるようになったのです。
 公立小中学校の耐震補強についても格差があります。阪神・淡路大震災を契機に学校の安全が問題となりましたが、耐震診断では、区部は七割近くが終了しているのに対し、多摩では逆に七割の学校が診断をまだ受けていないのです。
 これらの要因の一番の原因は、多摩の市町村の財政力が区部と比べて余りに低いという問題があることは明らかです。また、生活道路や文化施設、交通などの社会資本整備についても同じことがいえるのではないでしょうか。
 こうした問題について、すべて一律に格差でくくることは適切ではありませんが、格差として見て、解決の道筋をつけるのが適当なものも多く含まれていると思います。
 そこで、多摩都民の生活にとって、かかわりの深い事例をパネルにしてみました。

格差広がる医療分野

 まず、医療の分野ですが、多摩都民が思うのは、都立の総合病院が少ないということですが、調べてみると、人口当たりの病床数でまだ開きがあります。都立病院が多摩は少ないために、民間病院に依存する多摩では、差額ベッドなど、高い医療費負担となっていることを指摘されたことがあります。
 とりわけ周産期医療では明らかに差が生まれています。周産期母子医療センターの一カ所当たりのゼロ歳児の数で比較すると、ここを見ていただきたいと思うんですが、こちらが二十三区です。こちらが多摩の方ですが、区部で、とりわけ周産期医療では、明らかに差が生まれております。周産期母子医療センターの一カ所当たりのゼロ歳児の数で比較すると、区部が三千三百八十四人に一カ所なのに対し、多摩は一万一千二十四人と、三倍近い開きが生まれております。
 周産期母子医療センターは、例えば、突然、一般の産院で出産するお母さんが、異常分娩などにより、周産期専門の緊急病床、NICUの緊急対応が必要になることが多くありますが、多摩では病床が少なく、そのために受け入れてもらえず、都内や埼玉、神奈川県など、近県の施設に時間をかけて運び込むということが頻繁に起きています。お母さんや赤ちゃんの生命にかかわる問題です。
 そこで、周産期医翼e施設の整備を積極的に進めることは、都としての緊急課題と思いますが、いかがでしょうか。
〇今村衛生局長 多摩地域では、周産期母子医療センターの整備が課題となっていることは承知しております。今後とも、周産期母子医療センターと、新生児に対応が可能な医療機関等との連携を強化するなどして、当面は多摩地域の周産期医療の充実に努めてまいります。
〇村松委員 ぜひ早急に取り組んでいただきたいと思います。
 原因は、民間の周産期医療施策がまだ大きく立ちおくれていることにありますけれども、同時に、多摩地域には都立病院が絶対的に少ないわけですから、都の責任も大きいんです。具体的にどうふやしていくのか、それをお示しいただきたいと思います。
〇今村衛生局長 都立病院の担うべき役割や全体の再編整備につきましては、ただいま知事の諮問機関である都立病院改革会議において、本年夏の報告に向けてご議論をいただいているところでございます。

救急病院は区部の三分の一

〇村松委員 このほかの問題でもあるわけですけれども、救急病院が多摩には区部の三分の一しかありませんから、一病院当たりの救急患者数でも開きが生まれております。しかも、多摩は面積も広いわけですから、大変です。
 知事、このように人の命を支える医療に格差があってはならないと思いますが、どう思いますか。
〇松村副委員長 知事いかがですか。
〇今村衛生局長 都は、これまでも、東京都保健医療計画に基づき、二次保健医療圏を基本とした計画的な病床整備に努めてきており、現在、人口当たり病床数では、多摩地域は区部の水準に近づきつつあります。周産期医療など、医療機能の中には、区部に比べて十分でないものもありますが、先ほど申し上げたように、地域連携の強化等を通じて、その確保に努めております。
 多摩地域の医療につきましては、区部と同水準になるように、引き続き充実を図ってまいります。
〇村松委員 それを本当に実施していただきたい。このことを強く要請したいと思います。

ケアハウスでは、これから大きな格差となることが懸念される

 このほか、高齢者施策でも、介護保険の減免などに、多摩の市町村は厳しい財政状況の中でも減免に取り組むなどしていますが、施設で見れば、自立や軽い障害で、その範囲の支援が必要な高齢者が入居するケアハウスは、区部が十一カ所、入所者数六百四十二人に対して、多摩では三カ所、六十六人しか入れません。この施設は、この五、六年間くらいの間に整備されてきたものですが、これから大きな格差となることが懸念されます。
福祉改革プランでケアハウスの整備が重点として位置づけられましたけれども、ほうっておけば、この格差はますます広がるとの心配があります。
 市町村での整備促進のため、何らかの支援が必要と思いますが、いかがでしょうか。都営住宅への併設なども考えられますが、いかがでしょうか。
〇前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 お尋ねのケアハウスは、平成六年に補助体系が固まって、最近になって整備が本格化したばかりでありまして、区部、多摩につきまして比較をする段階ではないと考えております。逆に、特養ホーム等につきましては、多摩の方が整備が進んでいる状況でございます。いずれにせよ、今後、都内全域で、お尋ねのケアハウスにつきましても整備の促進に努めてまいりたいと思っております。
 なお、お尋ねの都営住宅への併設については、現在でも可能となっております。
〇村松委員 ぜひ重点的に進めていきたいと、そういうご答弁でしたから、進めていただきたいと思います。

急がれる社会資本整備

 次に、社会資本整備についてですが、ボトルネックでの渋滞や多摩地域が軌道系交通が少なく、不便であること、そして、市のホールなど普及してきたとはいえ、民間も含め本格的な文化施設が少なく、都内まで出かけてこなければ、そういうものを味わえないと、三多摩都民は実感させられております。
 ここでは、二つ紹介したいと思いますが、まず、歩道の整備の問題です。区部は道路の八割以上が整備されているのに対して、多摩地域では六割にとどまっています。私の地元でも、日野市のJR豊田駅南口の一方通行の都道では歩道がなく、人が歩くところを白線で引いてあるだけです。朝夕の通勤時に危険なだけでなく、毎日、近くの図書館に通う目の不自由な人を含めて二人が通っております。危険で見ていられない、何とかすべきだ、そういう訴えが私の方にも届いております。

歩道整備などに重点的に予算の配分を

 以前、我が党の小松議員が本会議でも取り上げましたが、多摩には、こうした危険と隣り合わせの道路が多く残されております。私は、むしろこうした分野にこそ予算を重点的に配分して、整備を促進することが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
〇古川建設局長 既設道路の用地取得を伴う歩道整備については、百四十九カ所、約六十キロを選定して事業を推進中です。多摩地域では、現在、東村山市内の所沢街道、青梅市内の吉野街道など、百十四カ所、約三十一キロで整備を進めております。加えて、平成十二年度から新たな施策として、路面補修事業に合わせて、現道内での歩道の拡幅や設置、電柱の移設、段差、勾配の改善を計画的に実施しております。
 今後とも、工夫を凝らし、地元の協力を得ながら歩道整備に重点的に取り組んでまいります。
〇村松委員 問題は、重点化ということで幹線道路のしわ寄せを受け、こうした歩道整備の予算が毎年のように減らされていることです。公共事業というのであれば、こうした都民に喜ばれるような事業に予算を重点的に配分してほしいと思います。
 もう一つは、知事もいわれている交通渋滞ですが、多くの渋滞が交差点、踏切、橋で起きていることは明らかです。踏切渋滞は、従来の鉄道の連続立体化事業に加えて、来年度から新たに踏切すいすいプランがスタートしますが、これは、我が党がかねてから提案してきた連続立体一本やりを改め、単独立体を進めるもので、歓迎するものです。多摩で一カ所などといわないで、必要なところを急いでやってほしいと思います。
 あわせて、多摩は二車線道路が多いために、交差点やバス停留所での渋滞の解消が急がれています。実際に、交差点すいすいプランが実施されたところや、バスベイが設置されたところでは、渋滞が大きく解消されていると聞いております。
 多摩地域での交差点右折レーン及びバスベイの設置を一層促進すべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇古川建設局長 右折レーンを設置する交差点すいすいプランは、多摩地域を中心に百カ所を選定して事業を進めております。平成十二年度までに四十カ所を完成させます。引き続き本事業の推進に努めます。
 また、バスベイの設置については、新たに用地の確保が必要なことから、地元の理解と協力を得られる箇所について設置してまいります。
 なお、今、踏切すいすい事業についてでございますけれども、これは連続立体交差事業を推進していくに加えて、知事の新しい発想で、現道内で踏切解消を図るものであって、決してお説のようなことがきっかけではございません。

多摩モノレールにシルバーパス適用を

〇村松委員 きっかけがどうであるかはともかくとしても、私たちが一貫して主張してきたものであることは事実です。
 もう一つの新たな格差というべきものが、多摩都市モノレールのシルバーパスの適用です。今、シルバーパスは都営交通と民間バスに適用されていますが、もともと多摩地域は公的機関による交通が少なく、しかも、多摩都市モノレール営業開始後は、前に走っていたバスが廃止され、高齢者は立川にある病院に行くにもシルバーパスが使えなくなって困っているんです。私たちも、この地域に行けば、あいさつがわりにシルバーパスをモノレールに使わせてほしい、そういうふうにいわれております。
 多摩モノレールにシルバーパスを適用させるのは当然だと思いますが、いかがでしょうか。
〇前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 シルバーパスにつきましては、今お話がありましたように、都営交通と路線バスを対象とするものでありまして、多摩都市モノレールに適用を拡大することについては考えておりません。
〇村松委員 随分冷たい答弁なんですけれども、都営交通は四本走っているんですね。そこには、シルバーパス代として二十二億五千二百万も払っている。これは当然いいんですけれども、だったら、多摩で、イチョウマークで走っているあのモノレールになぜできないんですか。本当に強くこのことは要求しておきたいと思います。

多摩格差の根本に財政力の違い

 私は、そこで改めて多摩地域との格差がなぜ生まれているのか、その根本に財政力の違いがあること、このことを強調しておきたいと思います。この問題は、私が四年前の予算特別委員会でも取り上げました。その際に基本的問題を明らかにしましたが、何より、税収構造に区と多摩の間では天地のような差が、違いがあるということです。
 伺いますが、市町村税である法人住民税、固定資産税の税収のうち、二十三区分と多摩市町村分はそれぞれ幾らになっているでしょうか。
〇大関総務局長 平成十一年度の決算数字でございますけれども、市町村税である法人住民税の総額は四千六百八十一億円、そのうち二十三区で都が徴収したものは四千二百二十三億円、多摩の各市町村が徴収したものは四百五十六億円となってございます。
 同様に、固定資産税について申し上げますと、総額は一兆三千六百七十三億円で、そのうち二十三区分は一兆一千三十六億円、多摩の市町村は二千六百二十三億円となってございます。
〇村松委員 数字の問題ですから、非常にわかりにくいと思うので、ちょっとパネルにしてまいりました。こちらの方が二十三区分で、こちらが多摩の方です。いずれも、法人住民税が十倍で、固定資産税が四倍だ、このことがいえると思うんです。これが財政力の格差となって、結果的には住民サービスの格差となってあらわれているわけです。
 しかも、二十三区内では都区財政調整という仕組みがあって、税収が大きい都心区と、そうでない周辺区との間で財源の水平調整が行われていますから、二十三区内での格差というのは余り聞くことはありません。この構造は、前回質問から四年たった今日でも全く変わっておりません。こうした財政格差の穴を埋めるものが、市町村交付金などの都の財政支援の仕組みです。

市長会も新たな行政格差の解消が課題と認識

 以上、私は、明らかに格差が認められる幾つかの事例と原因を紹介し、改善を求めたところですが、こうした医療、福祉、教育、社会基盤整備などの格差の実態は、我々、私たち多摩選出の各会派の都議会議員と懇談した際に市長会が表明された、これまでの多摩の行政格差を解消するとともに、衛生、医療、文化、芸術面などの新たな行政格差の解消を実現する必要があるという認識を裏づけたものとなっております。
 そこで、この市長会の認識についてどうお考えでしょうか、伺います。
〇大関総務局長 多摩選出都議会議員、それから市長意見交換会におきまして、そうした意見表明が出されていることは承知してございます。
 なお、参考までですけど、市長会から多摩格差についての東京都への要望は特に来ておりません。
 ご案内のとおり、現在、多摩地域は、義務教育施設など三多摩格差八課題ということで、これは昭和四十八年に整理したものでございますが、八課題について重点的にやっていこうということでございます。そういう意味で、お互い努力してきたこともありまして、かなりの部分で解消してきているわけでございます。そういう中で、社会経済状況の変化や多摩地域の変貌によりまして、多摩格差ということではなくて、新たな行政課題や地域的な課題が生じている、このように認識しております。
〇村松委員 この市長会が、私たち多摩選出の超党派の議員を前にして懇談したその意見表明の中で、新たな格差にも取り組んでほしいと、それは私たちが要望されたんです。それをぜひ東京都にお願いしたいと。私たちも、多摩の市長会の市長さんとか、あるいは担当者にお話を聞いておりますが、やっぱり格差解消から目をそらさないでほしい、こういう意見が多いんです。そこをぜひ受けとめていただきたいというふうに思います。

市町村交付金は多摩振興にとって欠かせない、増額を

 続いて伺いますが、市町村調整交付金及び振興交付金は、多摩振興に当たって欠かせない極めて重要なものと考えておりますが、どうでしょうか。
〇大関総務局長 東京都は、これまで市町村調整交付金や振興交付金を通じまして財政支援に努め、都内市町村の行政水準の向上や均衡ある発展など、多摩振興に一定の役割を果たしてまいりました。
 今後とも、この両交付金につきましては、市町村の行財政運営を十分考慮しながら、厳しい都財政の状況も踏まえつつ、適切に対処していきたいと考えております。
〇村松委員 今、包括的な財政補完制度として、役割を引き続き担っていくというご答弁をいただきました。予算そのものをふやしていくことも差し迫った問題となっております。この間、地方分権法の制定などを受けて、都から市町村にさまざまな仕事がおろされております。それに伴う税財源移譲はないんですね。市町村の財政を圧迫する要因となっていますが、しかも、今年度最終補正予算では、五百三十六億円ものお金が、税収大幅増に対応して特別区の財政調整会計に繰り出されているんです。多摩では、立川などの一部のところを除いては、その恩恵をこうむっておりません。
 財政的に困難な多摩の市町村が住民サービスを積極的に実施できるように、市町村調整交付金、振興交付金を増額するべきだ、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
〇大関総務局長 先ほど申し上げましたけれども、今後とも、両交付金につきましては、市町村の行財政運営を十分に考慮しながら、都も厳しい財政でございますので、都財政の状況を踏まえて適切に対処していきたい、このように考えております。
〇村松委員 市町村の財政が困っているというのは、皆さんが感じているよりははるかに強いということを、ぜひ承知していただきたいというふうに思うわけです。今の東京都の税収の額と、九二年代の多摩市町村に対する補助金がピークのとき、ほぼ同じ額の税収だったんですね。ところが、あのときと比べると、多摩市町村に対する補助金、振興交付金にしても、あるいは調整交付金にしても、九二年をピークにしてどんどん削ってきた。十億円ずつ削ってきたんですね。それで、市長会を応援してきた、応援cIてきたというけれども、そんなに威張れるものではないんじゃないか、そういうふうに私は思うんです。
 市町村振興交付金、あるいは調整交付金、そしてまた、多摩の市町村にとっては本当に大事な振興基金の問題があるんですが、今度、振興基金の借りかえ、この問題もまた我が党が繰り返し、これは委員会を通して、あるいは決算委員会、また本会議でも、私もこの問題は取り上げてきましたけれども、振興交付金の借りかえ、そして繰り上げ償還、このことも実現されているわけですが、もっと積極的な東京都の支援をお願いしたいと思います。

多摩の振興プランに格差解消を位置付け、市町村と協働・協業で策定を

 さて、東京都は、一月に多摩振興プランの素案を発表し、この三月末には最終のプランを発表するとしております。その際には、今私が指摘したような点について、十分考慮していただきたいと思います。
 あわせて、こうしたプランを策定するに当たって、事前に都は市町村の担当者の意見を聞いているとのことですが、各市町村から出された意見には、先ほど紹介したような医療や福祉、社会資本整備などの格差の解消を位置づけてほしい、意見をよく聞いてほしいとの意見も寄せられております。
 私は、こうした多摩の将来にかかわる重要なプランであるだけに、多摩市町村、住民、市民団体などの参加も組織して、協働、協業で進めることが欠かせないと思います。
 そこで、多摩のこの種の計画としては、九三年に取り組まれた多摩東京移管百周年記念事業の際に、都と市町村、さらには多くの住民団体、市民団体が参加して取り組まれた経験があります。プランを都が策定して、市町村に提示するやり方もあるかと思います。例えば、市町村と共同でシンポジウムを開催するとか、都民と机を並べて振興プランをかんかんがくがくの議論も行いながら練り上げるとかの方法もあります。
 知事に伺います。直接の担当者である市町村や住民団体などと協働、協業で振興プランを策定することを検討されませんか。
〇大関総務局長 実際私どもが今事務方を請け負っておりますので、私の方から知事のかわりに答えさせていただければと思っております。
 ご案内のとおり、将来像、これは当然のことながら、多摩のそこに住んでおられる方が満足していただけなければ困るわけですから、先生からおっしゃられるまでもなく、私どもとしては、代表の方に入っていただいて、いろいろご意見を聞きながら組み立てていきたいと思っております。
 そういうことでございますので、どうぞ、これからいろいろな意見を私どもも受けとめて、その中で入れられるものは入れていきたい、このように考えておりますので……。
〇石原知事 総務局長の申したとおりでございます。
〇村松委員 本当に多摩の今後の将来像、この問題は、私たち多摩の住民にとっては大変重要な問題である、そういう思いから質問いたしました。
 東京都が発表いたしました多摩の将来像の素案は、大型開発に偏った東京構想二〇〇〇の多摩版とするのではなく、私が述べてきたように、本格的な少子高齢化社会、地球環境との共生、地方自治の確立、地方分権の拡充などについて、多摩の市町村、住民との協働、協業で策定してこそ生きたものとなることを申し述べて、私の質問を終わります。