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都議会第二回定例会を終えて
二〇一一年七月一日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 吉田 信夫
東日本大震災と原発事故をうけて被災地・被災者支援、エネルギー政策の
転換、防災・福祉都市づくりにどう取り組むかが問われた議会
石原都政は五月末に、東日本大震災をふまえて今後の都政の方向を定めた「都政運営の新たな戦略」を発表するとともに、今定例会に、被災地・被災者への支援や、東京の防災対策を緊急に進めるための補正予算を提案しました。
「都政運営の新たな戦略」は、「東京が機関車となり日本を牽引することで、日本は再生することが可能になる」と述べ、「震災被害に足踏みをすることなく」、都市インフラ整備などを加速させることで、「アジアのリーダーとして地位を維持する」と宣言するものでした。
この「宣言」をうけて提案された補正予算は、一�丹豌�円もかける外郭環状道路など浪費的投資に手をつけないため、予算規模は一千三百七十四億円と規定の全会計予算の一%余にとどまる、きわめて不十分なものでした。しかし、補正予算の中身は、被災地・被災者や都民の要望を反映したものであったため、日本共産党は、さらなる補正を組むべきことを要求しつつ賛成しました。
石原知事は所信表明でも、外国企業のアジア本社などを誘致することを強調しました。それだけに日本共産党は、〃東京に大企業を集中させれば日本はうまくいく〃などという知事の誤った立場をきびしくただすとともに、被災地支援や東京の防災・福祉都市づくりなどを最優先課題として、思いきった財政投入をはかるよう求め、積極的な提案を行い、その実現をせまりました。
一、都のもてる力を総発揮し、被災地・被災者支援を
日本共産党が被災地・被災者支援に大きく貢献するよう求めたのに対し、石原知事は「全力で支援することは当然」と答弁しました。しかし、ボランティアの派遣も八月以降どうするかについては明らかにされておらず、義援物資の募集は中止のまま、技術者や専門職の派遣による応急対応は五億円規模にすぎません。着の身着のままで避難してきた都内被災者への支援でも、上下水道料金の減免は九月末までにすぎず、応急仮設住宅とする民間賃貸住宅は四人世帯で家賃七万五千円までしか認めないなど、「全力で支援」とはほど遠いものです。日本共産党は、被災地への物的・人的支援の強化、都内被災者への都独自の見舞金支給や食費、交通費の負担軽減など、生活への支援をおこなうよう求めました。
このなかで、被災地支援では、空き店舗を利用した物産販売への支援や被災地応援ツアーへの支援、また都内被災者への住宅提供の拡大や民間借り上げ住宅の提供、クーラーをはじめとする生活備品の設置などを実現させたことは貴重な一歩です。ひきつづき被災者に心を寄せ、総力をあげた支援にむけ努力していきます。
二、都民の命を守る防災・福祉都市づくりを
東京を巨大地震がいつ襲っても不思議ではないといわれ、都民の不安がひろがっています。にもかかわらず石原都政には、都民の生命と財産を守るという確固とした立場がないことが、今議会の質疑を通じてうきぼりになりました。
そのひとつは、東京では木造住宅の倒壊・延焼による被害がきわめて大きいと想定されているにもかかわらず、木造住宅の耐震・不燃化を急速にすすめる姿勢がないことです。わが党は、都の住宅耐震化助成の対象が一部地域に限定されており、助成額も最大でも七十五万円にすぎないため、助成実績が静岡県の三%程度と遅れていることを明らかにし、助成対象の拡大や、高齢者世帯への加算などの拡充を提案しました。しかし、都は冷たく拒否したのです。横浜市が東日本大震災後、助成を七十五万円加算し、最大で一戸あたり三百万円まで助成するようにしたこととくらべても、都が都民の命を守る姿勢に欠けていることを示すものです。
その背景には、石原知事が都に持ち込んだ「自己責任論」、すなわち自分の命は自分で守れという立場があります。このため、震災を予防するために都政が責任をはたすという立場が後景にしりぞいてしまったのです。
日本共産党は、都のこうした立場は、防災計画の前提となる地震の震度想定にもあらわれていることを明らかにしました。多摩地域や都心東部地域では最大震度7の地震が発生する危険があるのに、最大でも震度6強までしか想定していませんでした。日本共産党は知事に対し、現在の想定のあり方への反省を出発点として、どのような大地震が発生しても都民を守りぬける対策をすすめるべきと主張しました。これに対し、都は「震度7に対応している」と言いはりましたが、都の地域防災計画などに、そのような文言はひと言もありません。
同時に質疑のなかで、津波についてはこれまでの想定をこえたものを想定して検討していくと答えたこと、液状化などによる被災世帯への支援では国に対象拡大を要求し、その実現までの間は地元自治体の意向を踏まえ都の対策を「検討」すると答弁したことは重要です。
三、原発ゼロ、再生可能エネルギー確保の抜本強化を
(1)都民の不安にこたえ徹底した放射能対策を
福島原発事故による放射能汚染に都民の不安がひろがり、きめ細かな測定と情報提供、対策を求める声が上がっています。日本共産党都議団が都民の声にこたえ率先して、都内全域128か所での放射線量の調査を実施し公表するなかで、都が100か所での放射線量調査の実施、区市町村への測定器の貸与などを実施したことは一歩前進です。
今議会でも日本共産党は、保育園や学校が放射線量を確認できる測定機器購入支援や、給食食材の測定への支援を求めました。また都として放射性物質が測定できる機器等の整備、海底土、海産物、農産物の測定を拡充するよう求めました。
これに対し、都がいま以上の測定や機器の拡充に消極的態度をとったことは、都民の願いに背をむけるものです。
また、都が広報で「被曝した放射線量が年間10万マイクロシーベルト以下(年間100ミリシーベルト以下)では健康に影響を及ぼすことはありません」と発表したことは重大な誤りであり、撤回を求めました。国でさえ「健康にただちに影響を及ぼすことはない」と、急性の症状などを引き起こさないという言い方にとどめているのです。放射線にはこれ以下は安全だという値はないというのが、国際的な共通認識であり、少なくとも平常時は年間1ミリシーベルト以下が限度とされているのです。しかも、いま問題になっているのは、たとえ低い放射線量であっても被曝しつづけることによる影響です。都は、こうした問題をふまえ、子どもの安全を守りぬくというきびしい立場で、放射能対策にあたるべきです。
(2)原発安全神話からの脱却を
石原知事は、これまで福島原発事故は「想定外だった」とする立場や、浜岡原発必要論をくりかえし表明してきました。しかし今議会における、わが党の追及によって、福島原発事故については、巨大津波の危険性を無視した「人災」であると言わざるをえませんでした。一方、「原発は必要」との立場を知事がくずそうとしませんでした。このためわが党は、原発が死の灰を原子炉内に閉じ込める手段を確立できず、放射性廃棄物の処理の見通しもない未完成で危険な技術であることを指摘し、認識をただしました。知事はまともに答弁できず、「的外れ」と居直るだけでした。さらに、浜岡原発はこうした本質的危険とともに、東海地震の震源域の真上にあることを指摘し、廃炉を求めるべきとただしたのに対しても、知事は耳をかたむけようとしませんでした。四月一日の記者会見で「原発のことはあまり知らない」と公言した石原知事が、原発の危険性について学ぼうともせず推進論をくりかえしていることは、都民の命と安全に背をむけるものであり、きわめて重大です。
(3)都内でも再生可能エネルギーの確保は可能
再生可能エネルギーについて日本共産党は、太陽光発電を都有地や公的施設に設置し、民間住宅の三分の一にとりつければ都内供給電力の一割以上を確保できることを明らかにしました。また小水力発電や洋上風力、波力発電の可能性を示し、自然エネルギーの本格的導入に都がとりくむよう求めました。都も、再生可能エネルギー導入促進の重要性は認め、再生可能エネルギーの全量買い取り制度が開始される必要があるとの認識を示しましたが、都として本格導入をめざす姿勢は表明しませんでした。日本共産党は、都民のみなさんとともに、再生可能エネルギーの本格的導入の道を切り開くために、さらに奮闘するものです。
四、五輪招致かかげ、基金4000億円を復興と防災に回さないのは許せない
被災地・被災者支援や防災対策に、国や都の思い切った財政投入が求められているなかで、石原知事は、二〇二〇年のオリンピック招致を打ち出しました。わが党は、被災地の復興や地震につよい東京を実現することを最優先にとりくむなかで、仮に都民の中に招致の声がひろがれば、その時点で検討すればよいと主張しました。
これに対し知事は、「わが国が大震災から復興をなしとげるためには、その目標ともなる夢や希望が必要」と述べ、招致をすすめる立場に固執しました。被災者が求める最大の夢や希望は、一日も早い原発被害の収束と大震災からの復興によって、安全かつ健康で文化的な生活を送りたいということではないでしょうか。都民の希望も、大地震が発生しても安全な東京を一日も早くつくりたいということではないでしょうか。ましてや、復興支援や防災対策が最優先されるときに五輪招致を理由に準備基金4000億円余を温存し、復興や防災・福祉都市づくりに一切まわさないことは許されません。
五、液状化が発生した豊洲への築地市場移転はやめるべき
石原都政が築地市場を強引に移転させようとする豊洲の予定地では、今回の地震によって108箇所の液状化・噴砂が発生しました。しかし都は、表面を目視しただけで、液状化の詳細な調査や、汚染物質がどのように移動したのかという調査をおこないません。わが党は、多くの専門家が地下部分の調査など詳細な調査をすべきと述べていることも紹介し、全面調査を求めました。
都はこれを拒否しましたが、液状化の危険地域に市場をつくること自体、大問題であり、液状化によって汚染が移動していたら、これまでの汚染調査にもとづいて実施される汚染処理対策は成り立たなくなるのです。国の市場整備計画でも、築地市場の豊洲移転は、まだ確定していません。わが党は、築地市場の現在地再整備をめざし、ひきつづき力をつくすものです。
以 上
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