2026年度東京都予算案について
2026年度東京都予算案について(PDF)
「2026年度東京都予算案」について(談話)
2026年1月30日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 里吉ゆみ
1 予算編成の基本姿勢、都政の軸足が間違っている
本日発表された2026年度東京都予算案に、①水道基本料金の4カ月無償化、②低所得世帯に対する最大18万円のエアコン購入支援、③シルバーパスの多摩モノレールへの適用拡大準備、④公立小中学校のエアコンの更新や断熱対策補助、都立高校の校舎やトイレ改修をはじめとした環境改善、などの予算が盛り込まれたことは重要です。これらは、都民の運動と日本共産党都議団が繰り返し行ってきた論戦・提案が、都政を動かして予算化されたものです。
しかし予算案の全体は、「国際競争力の強化」が最重要課題とされ、環境破壊や家賃高騰を招く再開発・大型道路建設、地域経済を支える中小企業・小規模企業、商店街を置き去りにしたスタートアップなど一部企業への支援、教育施策ではグローバル人材育成などが、きわだった特徴となっています。また、東京都は自治体としてのあり方を変質させ、税金を投入して、ファンドを多くの分野で次々と立ち上げています。まるで投資会社になったかのようです。これらは、グローバル企業や財界、富裕層の要求にこたえるものです。
一方、都民のくらしについては、労働者の実質賃金が下がり、都庁前で行われている食料支援に過去最高の960人もの方が並んでいるにもかかわらず、「雇用・所得環境」は「改善」したとされ、深刻な貧富の格差拡大への言及はありません。都民を苦しめている物価高騰への対策もきわめて不十分です。
2 都の巨大な財政力を本気で都民のために使うなら、もっともっとできること、やるべきことがある
2026年度予算案の都税収入は、大企業の収益改善などにより、過去最高だった今年度より4,560億円も増え、都税収入・予算規模とも過去最高を更新しています。予算の総額は初めて18兆円を超え、中規模な国の予算に匹敵します。自治体本来の仕事である住民福祉の増進、物価高騰から都民を守り、都民の生活の基盤をしっかり支えるためにこそ、この巨額の増収、豊かな財源を使うべきです。
ところが、物価高騰を上回る賃上げが切実に求められているのに、予算案では中小企業の賃上げ支援で見るべき前進がありません。わが党が提案してきた、賃上げのみを要件とするシンプルな「中小企業の賃上げ応援事業」は具体化されていません。
2026年度は、国民健康保険料(税)や後期高齢者医療保険料の大幅値上げが見込まれているにもかかわらず、都としての負担軽減支援策がありません。障害者医療費助成の対象拡大はなく、障害者・児、ひとり親家庭への福祉手当は、30年間一円も増えていません。
家賃・住宅費高騰が深刻なのに、住宅セーフティネットの中心的役割を担う都営住宅の新規建設は、石原都政以来27年間連続ゼロが続いています。家賃助成にも背をむけています。一方、小池知事が進めるアフォーダブル住宅は、容積率緩和などの都市開発を一体で進めるものとなっており、東京に住み続けたい都民の願いにこたえるものとならない実態が明らかになってきました。
商店街振興予算は、51億円のまま10年連続増やされず、その一方で、成長が見込まれるスタートアップ企業支援は、今年度の529億円が来年度707億円に激増しています。しかも、これほど巨額の予算を投じる効果は、検証も説明もされていません。
3 プロジェクションマッピング、巨大噴水のムダづかいをやめるなど、お金の使い方を改める必要がある
築地市場跡地や新宿駅前の再開発に、2027年度以降も入れると1,493億円、外環道や環状4号線、特定整備路線などの大型道路建設に来年度だけで500億円もの予算が計上されています。
都民の批判がつづく都庁舎などのプロジェクションマッピングに14億8千万円、お台場の巨大噴水は今年度中に設置工事が終わり、来年度予算案では、水道代などの運営費として2億円が予算化されています。毎年同額としたら、10年間で20億円かかります。
巨大クルーズ船誘致のため、総事業費650億円にもおよぶ東京国際クルーズ埠頭(青海)の拡張工事が来年度から始まります。巨大噴水も近い青海地域はIR・カジノを誘致する際は有力候補地とされており、「カジノの玄関口」にもなりかねません。IR・カジノ調査予算も13年連続で計上されています。
エネルギー施策では、化石燃料の延命に固執する財界の要求にこたえる水素事業に、今年度からさらに増額の165億円が計上されています。「環境に配慮したデータセンター整備促進事業」が新規事業で96億円、都内9カ所の見込みで予算化されましたが、「環境配慮」の実効性は不透明です。「整備促進」だけが独り歩きしかねません。
中学生の英語スピーキングテストは、中止を求める声が引き続き広がっているのに36億円を計上する一方、小池知事が2年前の都知事選挙で公約した「中学校の35人学級」は、国が行う1年生の実施にとどまります。知事選公約は何だったのかが問われます。また来年度から、学びのセーフティネットである都立夜間定時制高校6校の生徒募集が停止されます。
都営地下鉄麻布十番駅で、弾道ミサイル攻撃などを前提にした地下シェルター整備が、来年度着工されることも重大です。小池知事が、業界団体の「日本核シェルター協会」の要望を受けて進めているものです。
4 都民の運動と日本共産党都議団が都政を動かして切り拓いた貴重な成果も
冒頭で紹介した①~④の事業のほかにも、2026年度予算案には、都民の運動と日本共産党都議団が都政を動かして切り拓いた貴重な成果が盛り込まれています。
わが党は昨年1月、「地域公共交通の危機打開・充実への提言」を発表しました。それから1年がたち2026年度予算案では、民間バス運転士の定着・離職防止にむけた住宅手当への支援、女性・若者・就職氷河期世代をバス運転手として新たに採用したバス事業者への奨励金、都内自動車教習所と連携して大型二種免許を無料で取得できる免許取得訓練事業、都立高校の生徒に対する特別講座などの新規事業をふくむ地域公共交通支援の総合的対策が、初めて予算化されました。コミュニティバスなど区市町村支援の補助限度額も引き上げられます。
また、わが党は学生むけ交通パスの実施を求めてきましたが、学生等の通学実態調査が予算化されたことは、今後につながるものです。鉄道バリアフリーでは、ホームドア整備緊急対策の予算が拡充されました。
23区内の民間火葬料の高騰が社会問題となっているなか、火葬場の適切な運営や火葬能力の確保を図るための検討委員会が設置されるのは重要です。わが党が繰り返し求めてきたものです。
障害のある方が特別支援学校卒業後に安心して過ごせる居場所づくり促進事業は、余暇活動支援としても大事な成果です。また、長期休暇期間中の障害児の居場所づくり促進事業、子ども食堂等居場所支援事業、中高生の地域における居場所づくりなど、子どもたちが地域で安心してすごせる居場所をつくるための支援が拡充されることは重要です。若者ケアラー調査費が計上され、盲ろう者通訳派遣事業の予算は1.3倍になりました。
教育費の負担軽減では、私立中学校の授業料補助の2万円増額、私立小中学校の給食費負担軽減、都立高校の教材等の負担軽減につながる調査の予算が計上されました。
特別養護老人ホームの整備費補助が大幅削減され、福祉予算の中で「高齢者施策分野」だけ今年度にくらべて減額になっているのは重大ですが、医療的ケアが必要な要介護者の特別養護老人ホームへの受け入れ促進事業や、単身高齢者の総合相談支援事業が新規事業として予算化されました。補聴器購入費助成は、来年度いよいよ都内全区市町村での実施をめざす予算がついています。
防災対策の避難者生活支援に関する区市町村支援では、避難所の空調設備をはじめ、避難者全員が安全・安心な避難生活を送れるよう補助対象などが追加拡充されました。マンション耐震診断・耐震改修助成が拡充されたのも重要です。
気候危機対策では、断熱窓などの補助率が1/3から1/2へ拡充され、賃貸住宅の省エネ改修の対象規模が今年度の3万戸から来年度5万戸へ拡大されます。住宅用太陽光初期費用ゼロ促進事業、折り曲げることができる太陽光パネル「Airソーラー」の普及拡大、浮体式洋上風力などが予算増となりました。
市町村総合交付金は、自治体が自由に使える一般枠が増額され、さらに地域交通の新たな取り組みの支援が加わったことは重要です。ツキノワグマの対策でも、わが党が求めてきた生態調査や緩衝帯設置への支援が盛り込まれました。
日本共産党都議団は、予算議会での論戦や条例提案、毎年行っている予算組み替え提案などをとおして、都の巨大な財政力を本気で都民のために使う予算にしていくため全力をつくします。
以上

