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申し入れ・談話

2018.07.25

中学校の道徳教科書採択についての申し入れ

東京都教育委員会 各位
東京都教育長 中井敬三 殿

2018725
日本共産党東京都議会議員団

 中学校の道徳教科書採択についての申し入れ

 今夏、来年度から中学校で使われる「特別の教科 道徳」の教科書採択が行われます。

 わが党は、民主主義社会の道徳教育は、すべての人に人間の尊厳があることを土台に、子ども一人ひとりの選択による価値観形成を大切にする、市民道徳の教育として行われることが大切であると考えています。道徳の教科化により、国が教科書検定などを通じて上から子ども、ひいては国民に特定の道徳を押し付け管理する動きには反対です。

 憲法や子どもの権利条約などの学習、いじめや人間関係のトラブルなどをみんなで解決していくクラス討論や学校行事などの自治活動、すべての授業や生活で子どもが人間として大切にされ体罰などが厳しく批判されることなど、教育全体をとおして市民道徳の教育が行われるべきであり、「道徳の時間」はそれらの一つとして位置付けてこそ有効なものになります。

 また、愛国心についての教育は、戦前の偏狭な愛国心をともなっておこなわれた植民地支配と侵略戦争の歴史の問題を伝えてこそ、世界の人々と共生できるものとなりえます。

 今回、初めて中学校で「特別の教科 道徳」の教科書採択が行われますが、多くの都民が大きな関心と注目を寄せています。国家への忠誠を求め、内心に踏み込んだ戦前の「修身」の復活につながるようなものにしてはならないと、懸念する声もあがっています。

 また、安倍首相の真珠湾での演説を掲載し、伊勢神宮を「ご鎮座以来、国家の幸せを祈って」と描写し、日本の植民地とされた台湾でのダム建設を指導した土木技師を紹介する教科書に対して、子どもの心を特定の方向に誘導するものではないかと、心配の声が寄せられています。

 教科書会社8社のうち5社が、学習指導要領が示す22の徳目ごとに数値で自己評価することを生徒に求めていることも、価値観の押しつけにつながり、子どもの内心の自由を侵害するものだと、疑問と不安の声が多数よせられています。しかも徳目の中には「日本人としての自覚をもって国を愛し…」などというものもあり、外国につながる子どもたちへの配慮に欠けるなどの問題があります。

 これらのことを踏まえ以下の4点について申し入れるものです。

  1. 日本国憲法を尊重し、公正・民主的で都民に開かれた教科書採択を行うこと
  2. 教科書の選定には、それぞれの学校の教員の意見や評定を反映できるようにすること。
  3. 教育委員会での審議に当たっては、各委員が教科書名をあげて評価や意見を述べるようにするとともに、投票は記名投票とすること。
  4. 教育委員会は希望者が全員傍聴できるよう規則を改正し、広い会場を確保すること。

以 上