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申し入れ・談話

2021.08.30

デルタ株による事態急変から子どもたちの安全と学びを保障するための緊急申し入れ

 日本共産党都議団は本日、標記の申し入れを行いました。濃厚接触者を狭くみず、学級や学年、部活、学校全体など広めのPCR検査を行うことや、8月16~22日の週に都立学校の陽性者数が急増した理由を分析し、対策に生かすことなどを求めました。

★教育庁の担当者に申し入れを手渡す(左から)斉藤まりこ、とや英津子、米倉春奈、池川友一、里吉ゆみ、藤田りょうこの各都議(2021.8.30)


東京都知事 小池 百合子 殿
東京都教育長 藤田 裕司 殿

   2021年8月30日
日本共産党東京都議会議員団

デルタ株による事態急変から子どもたちの安全と学びを保障するための緊急申し入れ

 子どもの感染が急増し、夏休み明けの学校再開にあたって不安の声が広がっています。これまでの新型コロナウイルスに比べ感染力が格段に強いデルタ株は、子どもの感染をめぐる状況を大きく変えています。これまで感染しにくいとされてきた子どもへの感染が顕著に増え、10代以下の新規陽性者が7月半ばから4週間で6倍になっています。都立学校の児童・生徒の陽性者数は、8月9~15日の週の260人に対し16~22日の週は423人と急増していることが、都教育委員会から示されました。小中学生の学習塾や保育園、学童保育でのクラスターも増えています。

 こうした状況で、「このまま学校を開けて大丈夫か」「子どもが感染し家族が感染することも心配」などの声が広がり、すでに夏休みを延長する自治体もあります。さらに、子どもたちの感染の急拡大のなかで強行されている学校連携観戦について、「子どもたちの命と健康を最優先に守るために中止してほしい」「感染が起きたらどうするのか」という悲痛な声があがっています。

 何よりも子どもたちやその家族の命を守り、学びを保障していく立場で対策を行なうことが緊急に求められています。私立学校に対しても、十分な対策がとれるよう、東京都として財政支援などを拡充する必要があります。

 よって、日本共産党都議団は以下の点を申し入れるものです。

 

【子どもの安全と学びを保障する】

  1. 登校見合わせの選択・分散登校・オンライン授業などを柔軟に組み合わせて対応し、必要な支援を行なうこと。
  2. 休校や分散登校の場合でも、親の仕事等の事情で登校が必要な児童・生徒には登校できるように保障すること。また、子どもの居場所、セーフティネットとして学校が果たしている役割を重視し、食事の提供ができるように支援すること。
  3. オンライン授業の実施にあたっては、共働きなど、保護者が不在でオンライン授業を受けることが難しい事情があることなどを考慮し、必要な児童・生徒が登校できるように保障すること。
  4. 低所得世帯に対し、自宅での通信費用などの財政援助を行うこと。
  5. オンライン授業のための環境整備状況は区市町村により大きな差があることから、現場の実態を把握し、財政支援も含め必要な支援を行なうこと。
  6. 基礎疾患により登校すべきでないと判断された子どもや、感染予防のために欠席している子どもに対し、オンラインなどによる学習を保障すること。

【学校でのクラスター対策と広範な検査】

  1. 陽性者が出た場合の濃厚接触者を狭くみず、実態に応じ学級、学年、部活、学校全体など広めのPCR検査を行政検査として行うこと。クラス単位など広く検査を行なっている自治体の先進例から学び、取り組みを広げるための支援を行なうこと。
  2. 8月16~22日の週に都立学校の陽性者数が、都内全体の動向と比較しても特に急増した理由について分析し公表するとともに、今後の感染防止対策に生かすこと。
  3. どの学校種でも、広範な子ども・教職員に簡易検査を頻回に自宅で行えるようにすること。
  4. 国が高校等に配布した抗原簡易キットは症状のある人への緊急のものですが、学校現場では採取に必要な場所も防具もないなどの問題が噴出しています。無理なく活用できる対応策を具体的に示すこと。

【教室等での感染防止】

  1. 教室でのエアロゾル感染防止へ、短時間での全換気と不織布マスクを重視すること。都立学校や区市町村に、換気徹底にともなうエアコンの電気代増加分の支給や財政支援をすること。必要な子どもに不織布マスクを支給できるようにすること。
  2. 特別支援学校のスクールバスの密を避けるため、席を空けて座れるように増車、増便すること。小中高等学校の都内校外学習などにバスを使用する場合も、同様な措置がとれるよう財政支援すること。
  3. 学童保育が三密とならないよう、学校などより広い場所を保障するなど柔軟な対応を進めること。
  4. 「中学英語スピーキングテスト」はそもそも問題がありますが、少なくとも今年度は、感染防止のために中止すること。
  5. 消毒液をはじめとする感染防止に必要な備品の購入費用を再度支給すること。

【「災害時」にふさわしい柔軟な教育と子どもたちの主体性の重視】

  1. 学習指導要領を弾力化し、限られた時間の中で、重要な核となる学習内容をじっくり学び、子どもの成長に必要な行事も工夫して行えるようにすること。入学試験がこうした弾力化の妨げとならないよう、出題範囲を実際の学習に合わせるように、都として検討を行うこと。
  2. コロナについての学びとコミュニケーションを重視すること。子どもたちは長い間我慢をしいられ、不満をつのらせています。新型コロナウイルスと感染のしくみを学び、部活動も含め自分たちの学校生活について前向きな話し合いができるような学びと機会を保障すること。
  3. 子どもたちの心のケアのための取り組みに、人的支援や財政支援をすること。
  4. 小中高等学校・特別支援学校の修学旅行の延期や中止に伴うキャンセル料が保護者や学校の負担にならないように、東京都が支援すること。
  5. パラリンピックの学校連携観戦は、今からでも中止すること。

【私立学校への支援】

 21. 私立学校でも公立学校と同様の対策がとれるよう、十分な財政支援をおこなうこと。

以 上