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申し入れ・談話

2022.09.29

英語スピーキングテストの都立高校入試への活用は、都教委による教育への「不当な支配」──都民の声と運動、都議会での党派を超えた力で、中止させるために全力でとりくみます(談話)

英語スピーキングテストの都立高校入試への活用は、都教委による教育への「不当な支配」──都民の声と運動、都議会での党派を超えた力で、中止させるために全力でとりくみます(談話)

2022年9月29日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 和泉なおみ

(1)問題だらけの英語スピーキングテストの活用決定に抗議

 都立高校入試に英語スピーキングテスト(以下、ESAT-J)を活用することに対して、当事者である中学生、保護者、教職員、研究者など幅広い都民から、問題点が指摘され、中止・見直しを求める声が日をますごとに高まっています。
 多くの傍聴者が詰めかけた22日の教育委員会定例会で、ESAT-Jを都立高校入試に活用することを決定したことに、満身の怒りを持って抗議します。

(2)都議会で「延期・見直し」を求める請願は継続審査に

 今月15日の都議会文教委員会で、「中学校英語スピーキングテスト結果の都立高校入試への活用の延期・見直しに関する請願」が、中止を求める世論に押されて「継続審査」となりました。都民を代表する都議会が「継続審査」という結論を出したことを東京都教育委員会(以下、都教委)は重く受け止めるべきです。
 この間、採点の公平性、不受験者への対応、個人情報の扱い、ESAT-Jがベネッセの商品GTECと酷似していること、民間企業のテストを入試の合否に使うこと、利益相反、都教委の説明不足など、多くの懸念や問題点が指摘されてきました。
 日を追うごとに新たな問題点や矛盾が明らかになり、今なお追加の通知や取り扱いの変更がくり返され、教師も生徒・保護者も振り回されています。テストまで2カ月となったこの時点で、これだけの問題点が指摘されていること自体、極めて重大であり、都民の合意形成ができたとは言えない中で、テストを強行することは許されません。

(3)子どもたちの不安や心配の声を真摯に聞くべき

 当事者である中学生が「僕たちのこれからの人生を決める大切な試験に、公平かどうかもわからないものを導入してはいけないと思います。ただでさえ負担の大きい僕たちに、こんなテストを受けされないでください」という声を上げています。また、テストのサンプルをやった生徒が、「(ベネッセの)GTECと同じ」という声を寄せています。
 子どもたちの人生を左右し、プレッシャーの大きい入試の制度に対して、少なくない子どもたちが不安や心配の声を寄せていることに向き合うことこそ必要です。東京都こども基本条例や国連子どもの権利条約の考え方を踏まえれば、都教委は子どもの声を真摯に受け止めなければなりません。この点からも、大きな問題があります。

(4)入試に活用することで事実上強制することは、都教委による不当な支配

 これまでの都立高校入試は、入学試験当日に行われる「学力検査」の点数と各教科の中学校3年生2学期の成績を記した「調査書点」の合計によって決めることになっていました。
 ところが都教委は、民間教育産業ベネッセが問題の作成から採点まで実施するESAT-Jの点数を「調査書」に加え、合否判定に反映するとしています。このテストは、公立中学3年生全員を対象とする到達度をはかるテスト(アチーブメントテスト)であり、入試の「学力検査」ではありません。到達度をはかるテストであれば、都教委が区市町村教育委員会や公立中学校に対して、強制的に実施させることはできません。それを、都立高校入試に活用することによって、実施しなければ生徒に不利益が生じるものとして強制することは、都教委による「不当な支配」(教育基本法16条)に当たります。
 わが党は、27日の代表質問で、再質問を含め2度にわたって厳しく質問しましたが、都教育長は「不当な支配ではない」とは答えませんでした。

(5)英語スピーキングテスト中止へ全力をつくす

 日本共産党都議団は、2019年から英語スピーキングテストの問題点を質し、2020年の予算特別委員会では、ベネッセが実施することによって公平性・公正性が損なわれ利益相反になることを明らかにするなど、一貫して追及してきました。英語スピーキングテストの予算を削除する予算組み替え提案を行い、教育長に直接申し入れもするなど、あらゆる機会に中止を求めてとりくんできました。こうした中で、問題点が次々と浮き彫りとなり、中止・見直しを求める声が大きく広がっています。
 引き続き、都民の運動と力を合わせるとともに、都議会でも党派を超えたとりくみによって、英語スピーキングテストを中止させるために全力でとりくむ決意を表明するものです。

以 上