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申し入れ・談話

2023.09.20

秩父宮ラグビー場の移転・新規建設を中止し、現地再整備を求める申し入れ

 申し入れに関して質問する日本共産党都議団
(左から)大山とも子(新宿区)、和泉なおみ(葛飾区)、原田あきら(杉並区)、尾崎あや子(北多摩第一)、原純子(江戸川区)、曽根はじめ(北区)各都議
(右下)JSC提供資料の黒塗り部分を示す原田都議

 日本共産党都議団は9月20日、盛山正仁文部科学大臣、芦立訓日本スポーツ振興センター(JSC)理事長宛てに「秩父宮ラグビー場の移転・新規建設を中止し、現地再整備を求める申し入れ」を行いました。
 JSCの三本英人施設部企画調整役、大澤一騎施設部新ラグビー場企画調整課・運営計画課課長が応対し、「申し入れについては事業者ならびに関係者間で共有させていただく」、「今後の進め方についても、法令等に則り適切に進めてまいりたい」などと述べました。
 三本氏は、樹木の保全策の提示を求めた9月12日の東京都の要請について明確なコメントを避けつつ、対応について事業者間で調整しているとしました。また、都市計画決定以前に新ラグビー場の整備運営事業者の公募をはじめたことについての疑問に対し、「それは何か法令に反することなのか」などと答えました。
 文部科学省からは出席がありませんでした。
 申し入れには日本共産党の田村とも子参議院議員、吉良よし子参議院議員、宮本徹衆議院議員が同席しました。
 
 申し入れと関連資料は以下の通りです。


文部科学大臣           盛山 正仁 様
日本スポーツ振興センター理事長  芦立 訓  様

秩父宮ラグビー場の移転・新規建設を中止し、現地再整備を求める申し入れ

2023年9月20日      
日本共産党東京都議会議員団

 神宮外苑地区再開発事業について、9月7日にICOMOSがヘリテージ・アラートを発令し、事業者四者のうちの一者である独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)と国・文部科学大臣に対しても再開発の中止・見直しを求める緊急要請が行われました。またサザンオールスターズをはじめアーティストや文化人が次々に見直しを求めるメッセージを発するなど、同再開発の中止・見直しを求める国内外の世論は大きく広がっています。
 日本共産党都議団は国会議員団の協力も得て、5月25日にJSCからヒアリング7月27日に現地調査を含むヒアリングを行いました。そこで明らかになったこともふまえ、以下についてJSC及び文部科学大臣に申し入れるものです。

1、秩父宮ラグビー場の移転・新規建設の準備を中止し、建国記念文庫の樹林地について再調査すること

  • 東京都は9月12日、JSCを含む事業者に対して要請を行い、「新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手する前までに、環境影響評価書で検討を行った結果として樹木の保全に関する具体的な見直し案をお示しください」「併せて、その他の区域についても、施設の設計の工夫等による更なる樹木の保全策を検討し、お示しいただくよう要請します」としています。少なくともこれらの要請に応える以前に、樹木の伐採に着手しないことを明確にすべきです。
  • 秩父宮ラグビー場の移転・新規建設によって建国記念文庫の樹木が伐採されることについて、現在、新宿区に対し住民等から樹木伐採許可の取り消しを求める訴訟が起こされ、執行停止を求める申し立ても行われています。少なくとも訴訟の結果がでるまで移転・新規建設の準備を中止すべきです。
  • 建国記念文庫の樹林帯を含む、環境影響評価の群落調査について日本イコモス国内委員会は誤りを指摘しましたが、評価書の修正などは行われませんでした。国際環境影響評価学会日本支部は6月、都に対し、神宮外苑再開発の環境影響評価は「事業者による一方的な説明に終始し科学的議論は不十分だった」と勧告しています。事業者はその後、質問受付ページで、植生図の正確性を上げることや群落数の見直しを求める質問に対し、「今後、環境影響評価⼿続きの中で~事後調査報告等により内容について報告するとともに、プロジェクトサイトにおいても公表を予定しております」と回答しています。事実上の評価書の修正とも言える動きであり、少なくともこれらの報告・公表が行われ、その内容の是非が検討されるまで、移転・新規建設の準備を中止すべきです。
  • 神宮外苑再開発の事業者は、結局これまでのところ、日本イコモス国内委員会と直接、意見を交換する場を設けていません。上記の事後調査やその報告の検討の場に、JSCの責任で日本イコモス国内委員会を参加させるべきです。

2、ラグビー場の移転・新規建設案が、PFIで実施し、屋根がつく案に変更された経過について詳細を国民に明らかにし、説明すること

  • 昨年末、神宮外苑再開発の施行認可申請書が提出され、突然、JSCに代わり施行者に独立行政法人都市再生機構(UR)が登場し、多くの人が寝耳に水の情報に驚きました。わが党の調査で、もともと2020年3月の段階ではURがラグビー場の施行者としてJSCと協定まで結んでいたことがわかりました(資料①)
     施行者の変更は、PFIで事業を行うことを選択し、屋根がつく計画に変更されたことによるものとのことですが、その結果、ラグビーの醍醐味が失われ、座席数も大きく減らされること、ラグビーの聖地をイベントホールにすることが狙いだったのではないか、などの批判が多数寄せられています。日本共産党都議団が質問で明らかにしたように、「ラグビーの振興に関する関係者会議」でも、当初は「ラグビー専用施設」として整備する予定だったものが、最終的にその言葉は計画から削除されています。
     こうした経過は広く国民には知らされていません。なぜ、このような変更が行われたのか、詳細な経過を明らかにすべきです。また、わが党に対して提出された関連資料の黒塗りを外すべきです(資料②)

3、新ラグビー場整備運営事業者の入札結果についての疑念に対しあらためて明確な説明を

  • 5月のレクで、秩父宮ラグビー場の整備運営事業者を選ぶ入札について、鹿島建設・三井不動産グループが他の二者より圧倒的に低価格で落札したことについて、三井不動産はJSC同様、この神宮外苑再開発の事業者で、超高層の業務商業ビルを建てる当事者であり、新ラグビー場から超高層ビルへ容積移転が行われることをはじめ、三井不動産だけが得られる特殊な条件があったのではないか、と指摘しましたが、JSCからはかみ合った回答はありませんでした。この点について、あらためて明確な説明を求めるものです。

4、秩父宮ラグビー場の土地について、自ら不動産鑑定を実施し、その結果を国民的議論に付すこと

  • 独立行政法人であるJSCの財産は、元は国有財産であり、今でも極めて公共性の高いものです。そのため独立行政法人通則法第48条では、財産の処分にあたり主務大臣の認可を受けなければならないことが定められています。そのような言わば「公共の財産」が、不当に低廉な評価をうけるようなことは絶対に許されません。相応しい体制を整備し不動産鑑定などを行い、自らの財産に対し適正な評価を持つ必要があります。
     5月のヒアリングでは、JSCはこうした財産評価を行う予定のないまま、これを権利変換計画に委ね、代表施行者である三井不動産や東京都に評価を丸投げする予定だったことが判明しました。その後7月に入って、わが党に対し「権利変換に係る秩父宮ラグビー場の従前・従後資産の妥当性について、URの協力を得て確認することとしています」と回答がありました(資料③)。厳正な評価を実施すると共に、その結果について公表し、広く国民的審議に付すべきです。

5、陸上サブトラック設置を断念した件について、東京都との責任の押し付け合いをやめ、アスリートと国民に真摯な説明を

  • 日本共産党都議団の調査で、当初計画されていた国立競技場の陸上競技用の恒久サブトラックの整備計画が、再開発計画との矛盾を理由に途中で断念されたことが明らかになっています。この点について、JSCは5月のヒアリングで、あくまでもオリンピックの開催都市である東京都が検討、判断すべき問題と回答しました。しかし東京都は、恒久サブトラックの整備を断念した際、「新国立競技場に付属する恒久サブトラックについては、新国立競技場の整備主体であるJSCが、その必要性を判断した上で、財源と建設用地を確保し整備すべきものと考える」としていることが、日本共産党都議団の調査でわかっています。
     国立競技場のオリンピック後の利用方針は迷走を繰り返し、陸上競技はいったん対象外とされましたが、その後復活。日本陸連は、2025年の世界陸上競技選手権大会をサブトラックなしで開催できるよう、ルールを変えてしまいました。結局、この問題で東京都もJSCも無責任な立場を取ったことが、アスリートにしわ寄せする結果を招いています。
     JSCは東京都との責任の押し付け合いをやめ、この件について、アスリートと国民に対し真摯な説明を行うべきです。

6、秩父宮ラグビー場の移転・新規建設を中止し、都の再開発計画により検討されなかった現地再整備について、あらためて検討すること

  • 5月のヒアリングでJSCは、老朽化がすすむ秩父宮ラグビー場の耐震性の確保は大きな課題であり、耐震改修の検討を進めていたこと、また東京都から神宮外苑再開発の話をもちかけられたことにより、現在の移転・新規建設の計画に変更された経緯を明らかにしました。
     後日、提供された資料によれば、JSCは2011年3月に詳細な耐震調査結果を得ており、改修によって十分な耐震性を確保する確かな見通しを持っていたことは明らかです(資料④)。しかし、すでに日本共産党都議団が明らかにしたように、2012年5月15日、東京都が都民に隠れて森喜朗元首相に秩父宮ラグビー場と神宮球場の位置を入れ替える神宮外苑再開発の計画案を説明。森氏は「すばらしいじゃないか」と絶賛し、結局、この案に基づいて計画は進められ、秩父宮ラグビー場を現地で再整備する道は絶たれました。7月の現地調査で、わが党の港区議会議員の質問に対し、JSCは現地での再整備に関する詳細な検討はしていないと答えました。
     一部政治家や再開発事業者と秘密裏に計画を推し進め、秩父宮ラグビー場の現地再整備の可能性を阻んだ東京都の責任は重大ですが、同時に、都の働きかけに応じ、ラグビー競技の醍醐味や、聖地とされる歴史的建造物の価値について十分に考慮することなく、イベント中心の新施設への建て替えに突き進むJSCの責任も同じく重大です。

     上記のいくつもの懸念や疑問に照らしても、秩父宮ラグビー場の移転・新規建設の条件はありません。あらためて秩父宮ラグビー場の現地再整備を探求すべきです。

以上