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2024.01.26

「2024年度東京都予算案」について(談話)

 

「2024年度東京都予算案」について(談話)

2024年1月26日   
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 和泉 なおみ   

授業料無償化と学校給食費負担軽減は、世論と運動、議会論戦の大きな成果

 本日発表された「2024年度東京都予算案」に、都立・私立の高校や都立大学等の授業料実質無償化、都立学校の給食費無償化、区市町村が行う学校給食費補助の1/2を都が財政支援して保護者負担を軽減する予算が計上されました。都民の世論と運動、都議会での野党共闘の広がり、日本共産党都議団が取り組んできた論戦や条例提案が、後ろ向きだった小池知事の姿勢を変えたのです。声をあげれば政治は変わることが示されました。
 しかし、授業料以外にも世界に例がない日本特有の入学金などの負担があること、授業料無償化の対象が都内生にかぎられること、都立看護専門学校だけは無償化されないこと、区市町村の学校給食費は都の財政支援が1/2では、無償化している23区と財政力が弱い多摩地域との格差が生じることなど、課題も残されています。日本共産党都議団は引き続き、よりよい制度になるよう力をつくします。

「経済界ファースト」で、都民に冷たい姿勢が色濃く表れている予算案

 一方で予算案には、日本橋や築地市場跡地、新宿駅前、臨海副都心など経済界の要求にこたえる大型開発、陥没事故を起こして大問題になっている外環道をはじめ住民が反対している大型道路建設などに、およそ1,200億円が投入されています。神宮外苑再開発に都の予算は使われませんが、予算案と同時に発表された都の基本計画「未来の東京戦略2024」には、世界から人とモノが集まるまちづくりとして、大手町や品川の巨大開発と並べて、神宮外苑が位置づけられています。
 防災を口実にして都が進める特定整備路線の事業費は497億円におよび、住民の反対を抑え込んで用地買収を強力に促進するための「機動取得推進課」を63人体制で立ち上げることまで計画しています。能登半島地震で家屋・建物の倒壊の深刻な被害が出ているのに、木造住宅などの耐震化予算は軒並み減額されています。
 火力発電を延命させるための水素活用を「脱炭素」の切り札と位置づけ、予算を12億円から50億円に増やしたのは、まさに経済界の要求に沿うものです。
 IRカジノ調査費は11年連続予算計上されました。中小企業施策では、急成長などが見込まれる一部企業の支援に516億円もの大判振る舞いをする一方、「予算案の概要」や「未来の東京戦略2024」では、厳しい国際競争に勝ち残れない企業は退場すればよいという「新陳代謝」を促す姿勢を示しています。雇用対策では若者、就職氷河期世代を含む中高年者の就業支援の予算が減額されています。
 教育施策でも、経済界が求める「人材育成」「グローバル人材の育成」が重視され、反対意見に耳をかすことなく、英語スピーキングテストに43億円も投じています。
 都民が物価高騰に苦しむ中、生活困窮者支援の予算は減額され、都営住宅の新規建設は石原都政以来25年間連続ゼロがつづいています。高すぎる国民健康保険料(税)を引き下げる財政支援はなく、ひとり親家庭や障害者に対する現金給付の児童育成手当、障害者福祉手当の額は28年間1円も上がっていません。新型コロナの第10波が懸念されているのに「コロナ対策」予算は大半が終了します。
 戦争が起きてミサイル攻撃を受けることを前提にした「地下シェルター」整備に向けて、1億6500万円の調査費が予算化されたのは重大です。

史上最高水準の都税収入を都民のために使えば、巨大な可能性がひらかれる

 東京都の財政規模はスウェーデンの国家予算に匹敵します。そのうえ、人件費抑制や円安などによる大企業の収益改善、都心の富裕層の人口増などにより、都税収入はバブル期を超える史上最高水準が続いています。2024年度予算案の都税収入は、小池都政が始まった8年前に比べ、なんと1兆円も増えています。
 この豊かな財政力を、地方自治体本来の役割にふさわしく、都民の福祉・くらしを守り、地域経済を立て直し、広がる格差を是正するために使うなら、東京から貧困をなくし、都民の生活の質を格段に向上させる巨大な可能性がひらかれます。日本共産党都議団は、そのために力をつくします。

都民が声をあげれば、都民に寄り添う都政に変えることは必ずできます

 授業料無償化や学校給食費負担軽減のほかにも、都民のみなさんと日本共産党都議団が力をあわせて2024年度予算案で実現させた前進は少なくありません。
 高齢者介護、障害者福祉の職員に月1~2万円の居住支援手当を支給する予算が計上されたのは、そのひとつです。補聴器購入費の補助は、これまでの包括補助事業のメニューのひとつというあいまいな位置づけから改善され、独立した補助事業になりました。いずれも、さらなる拡充を求めていきます。多摩地域に5カ所ある都立保健所の職員が25人増え体制強化されることも重要です。保健所の増設を引き続き求めていきます。
 PFAS(有機フッ素化合物)の対策で、地下水汚染調査、PFOSを含む泡消火剤の交換・撤去支援の2つが新規事業として計上されたことも大事な成果です。
 気候危機対策ではゼロエミ住宅の新たな基準を設けて補助を行う新規事業や、賃貸住宅・集合住宅・都営住宅の省エネ化・再エネ導入促進、区市町村支援の新規事業が予算化されました。
 賃上げを含む従業員処遇改善に取り組む中小企業への支援の拡充、ものづくり等の産業人材育成支援、伝統工芸品に対する後継者育成への支援などの新規事業も貴重な前進です。職業能力開発センターの「しごとセンター校」も新設されます。また、東京の高い家賃の支払いが困難な若者やシングル女性が増える中で、就労支援策と連携して都営住宅を試行的に提供する事業が盛り込まれたことは注目されます。都内全マンション実態調査が予算計上され、エレベータへの非常用電源への補助など、マンション防災でも前進があります。
 教員の長時間労働解消でも、専科教員の増配置や、担任を補佐する支援員の全校配置など前進がありました。不登校の生徒のための校内分教室の設置(教員60人の増配置)や、スクールソーシャルワーカーの機能強化、日本語が必要な児童生徒の支援、性犯罪・性暴力被害に関するSNS相談、中高生政策提案ミーティングの新規事業も計上されました。
 いずれも都民のみなさんとごいっしょに取り組み、予算案に盛り込まれたものです。

 日本共産党都議団は、都議会野党第1党・19議席の力を生かして、条例提案や毎年行っている予算組み替え提案などを含め、都民のみなさんの願いにこたえ、くらしに希望がもてる予算にするために全力をつくします。
 声をあげれば政治は変わります。力を合わせて、都民に寄り添う都政を実現していきましょう。

以上

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