障害者の投票環境改善を求める緊急申し入れ
2日、日本共産党東京都議団は「障害者の投票環境改善を求める緊急申し入れ」を小池百合子都知事並びに澤野正明東京都選挙管理委員会委員長あてに行いました。選挙管理委員会事務局の河合健総務課長が応対しました。
申し入れでは、参加した各都議が、状況を質問し、実際に障害者当事者やご家族から聞いた実態を述べ、投票における障害者への合理的配慮や投票所の改善を求めました。
河合課長は「たくさんのご要望いただき、承りました」とこたえました。
★申し入れを行う(左2人目から)池川友一、米倉春奈、原のり子、里吉ゆみ、福手ゆう子、
とや英津子、藤田りょうこ、曽根はじめ、和泉なおみ、大山とも子、の各都議
東京都知事 小池百合子 殿
東京都選挙管理委員会委員長 澤野正明 殿
2025年5月2日
日本共産党東京都議会議員団
障害者の投票環境改善を求める緊急申し入れ
2024年10月の衆議院選挙での投票率は53.85%、東京都においても56.06%と低いものでした。昨年の衆議院選挙でも、障害のある方々への合理的配慮を欠く問題事例が声として寄せられています。
いうまでもなく、投票はきわめて重要な政治参加の権利です。障害者権利条約(第29条政治的及び公的活動への参加)で位置付けられ、東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例でも「必要かつ合理的な配慮(「合理的配慮」)を行う」と義務付けています。「合理的配慮の提供を欠く」という差別は許されません。そもそも、障害や難病などの有無にかかわらず、誰でも投票できるよう準備しておくことは、行政や選挙管理委員会の責務です。
さらに、今年は「東京都障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する条例」(以下、障害者情報コミュニケーション条例)が全会派一致で成立しました。
障害者情報コミュニケーション条例の基本理念では「全ての障害者が、社会を構成する一員としてあらゆる分野の活動に参加するため、意思疎通等に係る手段について、選択の機会が確保され、その障害の種類及び程度に応じ必要かつ有効な手段を選択することができるようにすること」と謳われています。選挙に関する情報を、障害の特性に応じた有効な手段で得ることができるよう、不断に改善を行っていくことが求められます。
今年、1月29日に障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会から、「障害者の参政権保障を求める要望書」が選挙管理委員長宛に出されています。その中でも、「まだまだ不便を感じ、参政権が十分に保障されていない面が多くあります」と訴えています。
日本共産党都議団としても、継続して議会で質問を重ねてきましたが、この間改善された課題もある一方で、残念ながら多くの課題が残っています。障害者の方々の参政権を保障するため、6月の都議会議員選挙から改善していただくよう、緊急に以下のことを要望するものです。
1、公報について
- 公示後、一日も早く公報が届くようにすること。
- 点字・音声・拡大文字などの選挙公報が、必要な人に迅速に届くようにすること。
2、投票所での投票について
- 期日前投票所をふやし、投票時間や期間をできるだけ、どの投票所でも最大に設定できるようにすること。投票当日も時間の短縮はしないこと。
- 全ての投票所で点字版・拡大文字版の候補者名簿を必ず用意すること。期日前投票所に点字や拡大文字盤の候補者名簿を初日から配置すること。
- 全ての投票所でバリアフリーを徹底すること。多目的トイレや駐車場、点字ブロックがある場所を投票所とすること。そうした設備が設置されているかどうか周知すること。また、これらの設備の設置支援を行うこと。
- 宣誓書の記入は障害の特性に応じて、障害者手帳や保険証の提示で代筆が可能なことを周知し、職員に徹底にすること。
- 投票の秘密が守られるよう、障害の特性に応じた対応をとること。改めて、合理的配慮に関する通知を徹底すること。
- 障害のある人には、きちんと研修して合理的配慮を理解した係員が付き添って誘導すること。
- 障害のある人には、介助者が付き添えるようにすること。
- 障害者の介助や代理投票の際に、「投票の秘密」が最大限守られるよう努めること。
- 投票箱に点字シールを必ず貼るように徹底すること。
- 記載台は記入の際にぐらつかない机を使用すること。高さや明るさを調節できるよう改善すること。車いすでも書きやすい机を用意すること。
- 記載台前に貼る候補者の一覧に、写真を貼るなど、知的障害・発達障害の方に配慮すること。
- 投票所における点字対応を徹底すること。標準型点字器の設置支援を進めること。
- 以上の点を、区市町村選管、投票所内の係員に徹底すること。
3、その他
- 不在者投票病院・施設に指定されていない病院や施設に入っている人の投票を保障できるよう、国に基準の緩和を働きかけるとともに、他の方法での投票について周知すること。
- 代理投票や郵便投票についての情報提供を改めておこなうこと。郵便投票について、要件の緩和を国に求めること。
- 投票所への移動支援を認めるよう国に働きかけるとともに、都として支援すること。
以 上