都営交通「18歳まで子ども運賃」条例 (都営交通4条例改正案)について

記者会見を行う(左から)里吉ゆみ都議(世田谷区)、福手ゆう子都議(文京区)、米倉春奈都議(豊島区(2025.2.24)
日本共産党都議団は2月24日(火)、都営交通「18歳まで子ども運賃」条例(都営交通4条例改正案)について記者会見を行いました。
都営交通「18歳まで子ども運賃」条例
(都営交通4条例改正案)について
2026年2月24日
日本共産党東京都議会議員団
●都民の声をうけた日本共産党都議団の交通提言・選挙公約の具体化
「部活の試合や練習試合があるたびに、親に1,000円以上出してもらって悪い気がする」「高校までは頑張って自転車で通学して貰っています」…子どもの交通費の負担に悩む声が数多く寄せられています。日本共産党都議団は昨年1月、「地域公共交通の危機打開・充実への提言」を発表し、バスも鉄道も「小児運賃」の対象年齢を拡大し、6歳から18歳まで運賃半額の「子ども運賃」にすることを提案しました。昨年6月の都議会議員選挙でも、都営交通の子ども料金を18歳まで拡大し、通学定期は半額にすることを公約しました。今回の条例改正提案は、これらの提言や公約の具体化です。
●条例改正案の特徴
都営交通の4つの事業、都営地下鉄、都営バス、都電、日暮里・舎人ライナーについて、いずれも子ども運賃の対象が現在、小学生のみとなっているものを、18歳まで引き上げる提案です。
●なぜ条例改正が必要なのか
(1)東京の子どもたち、保護者の声から
昨年末、東京新聞に調布市在住の中学生が「バス運賃に中学・高校生用の枠を設けることを提案します」と投稿しました。中学生になってバスを使うことが増えて、運賃が高いことに驚いたと言います。
私たちが実施したWebアンケートでも、中学生から、通学で都営バスを使うので負担が「デカい」というコメントがありました。
通学、部活の遠征、通塾など、中学生・高校生になれば当然、行動範囲が広がります。そのときに交通費が足かせとなり、子どもたちがのびのびと行動することを妨げられている実態があるということです。子どもたちの成長・発達を保障する政治の責任が問われています。
Webアンケートには、子育て中の親御さんから多くの回答がありました。子どもたちに「いろいろな体験をしてほしい」、「選択肢を広げていただきたい」、「いろいろな活動に打ち込める環境づくりの一助になる」といった声が多く寄せられました。「体験格差」に触れたコメントも複数ありました。
同時に、保護者の声で目立ったのは、「交通費が高くて大変」「家計を圧迫している」「交通費がこれから重くのしかかるようになるのではという不安」「中学入学後が今からこわい」「中学生になると、交通費でどんどん千円札が飛んで行き…下二人が順次中学生に…合計いくらになるのか、正直怖い」など、交通費負担に苦しみ、恐れる声です。厳しい物価高騰、負担増が続く中での、子育て世代のリアルな声です。文部科学省の子どもの学習費調査でも、公立学校の学校教育費の中で最も負担が重いものは「交通費」です。
(2)子ども運賃の考え方のアップデートが必要
子ども運賃の考え方を、今日の子ども政策にもとづいてアップデートすることが必要です。
子ども運賃の対象年齢を12歳までとする根拠となっているのは、地下鉄の場合、今から84年前-昭和17年(1942年)の鉄道省令-「鉄道運輸規程」です。
今日、子どもの権利条約、こども基本法、そして東京都こども基本条例では、教育を無償で受ける権利を保障し、文化、芸術、レクリエーション、余暇のための平等な機会を提供し、「全てのこどもが誰一人取り残されることなく、将来への希望を持って、伸び伸びと健やかに育っていく環境を整備していかなければならない」(都こども条例)としています。また、子どもの権利条約と都のこども基本条例では18歳未満を「児童」「こども」としています。84年前の省令の規定では、こうした今日のこども政策の到達点に十分応えることができないことは明らかです。
(3)生活できる東京/子育てできる東京に
物価高騰と特に住宅費用の暴騰で、東京は生活しにくい、子育てしにくい街になりつつあります。総務省が2月3日に発表した「住民基本台帳人口移動報告」では、東京は引き続き転入超過でしたが、転入者数は前年より1万人以上減少しました。特に23区が減少傾向にあります。
そうした中、品川区が学用品や制服などの無償化に続き、区内に住む18歳以下の子どもを対象にプールなどの区の施設の料金を無料にしたり、世田谷区が子育て世帯などに定住応援金として30万円を交付するなどのとりくみが始まっています。
小池知事も2月18日の所信表明で「チルドレン・ファースト」を表明し、新年度予算案でも子育て支援の施策を数々打ち出していますが、子どもの交通費はいわばその「死角」になっています。
子ども運賃の考え方をアップデートし、くらしや子育の支援をよりいっそう強めるために、都が率先して足を踏み出すべきです。
●アジアや欧米の先進事例に学んで、公共交通政策の大転換を
私たちが調べた範囲では、他の自治体で、鉄道運輸規程などを超えて、公営交通の子ども運賃の対象を広げているところは見当たりませんでした。
一方、海外では、例えば韓国・ソウル市はバスが準公営制ですが、子ども料金(6歳~12 歳/一般料金より50%割引)の他に、青少年(13歳~18 歳) 料金があり、一般料金より20%割引となります。
スコットランドは5歳から21歳までバスは無料です。
また、米・ニューヨーク市では昨年11月、民主的社会主義者のマムダニ氏が「フリーバス」を政策に掲げて新しい市長となりましたが、アメリカでは既に36都市以上でフリーバスが運行され、さらにその数が増えています。
こうした住民のくらしに根差した課題でこそ、いち早くアジアや欧米諸国の水準に追いつく必要があります。
また、日本共産党都議団の提言で明らかにしたように、日本では、地域公共交通の多くが事業者まかせにされ、運賃収入で採算をとるのが当然だとされていますが、このような国は日本だけだと言われています。フランスでもドイツでも、地域公共交通の事業費に対する運賃収入はおおむね3割~4割ていどで、差額は国や自治体などが補てんしています。
地域公共交通全体を「公共サービス」として位置づけ、地域公共交通への財政支援を都の責務とすることが必要です。
以上
記者会見での配布資料より
●記者会見で使用したパネル




