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質問・条例提案

2018.12.19

2018年第4回定例会に提出した文書質問

2918年第四回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 とや英津子

質問事項
一 城北中央公園調節池について

一 城北中央公園調節池について

 2018年7月の西日本豪雨による死者は200名を超え、避難者は4万2千人にのぼる大きな被害をもたらし、災害多発国日本の現実を改めて示しました。東京でも、同年8月末に世田谷区付近で1時間に110ミリメートル、練馬区では74ミリメートルの猛烈な雨を観測しています。日本は地震も起きやすく、台風の常襲コースに位置する地理的条件に加え、最近は豪雨の頻発のように従来と異なる様相をみせており、どの地域でも、あらゆる事態を想定し、備えを強めることが必要です。
 特に河川流域の市街化は雨水の流出形態に影響し、地球温暖化、異常気象と相まって集中豪雨や台風による洪水が頻繁に発生するようになっています。
 東京都は被害を最小限に抑えるため、河川の整備計画を策定してきましたが、練馬区内を流れる石神井川については新たな目標整備水準である時間75ミリの降雨に対応した調節池等を位置付けて「石神井川河川整備計画」(以下「計画」と言う)を変更し、2016年に国の認可を取得しています。
 石神井川は河川延長25.2キロメートル、小金井ゴルフ場付近に源を発し、小平市、西東京市から練馬区の三宝寺池、豊島園などから湧水を加え、板橋区から北区へと流れ、隅田川に合流する一級河川です。
 流域の歴史をみると、昭和初期には19.2%の市街地面積率であったのが、昭和30年代から40年代の10年間で急激に市街化が進み昭和40年代初期には78.5%に達しています。この流域では被害家屋100棟以上の浸水被害が出るなど対策が求められていました。
 そのため「計画」では、1時間あたり50ミリメートル規模の河道整備、公園整備等を活用した洪水を貯める調節池の整備、河川への流出を抑制する流域対策を位置づけています。調節池については、すでに上流部の西東京市に3ヶ所、練馬区の富士見調節池1ヶ所の4ヶ所において1時間あたり50ミリメートル対応の施設が整備されていますが、新たな目標整備水準に対応した調節池を6つの区間において整備していくこととしています。
 今回、都はその中の1つである新たな調節池を城北中央公園内に整備することとなり、2018年12月7日には地元住民への説明会が行われました。
 そこでお聞きします。

Q1 石神井川流域の調節池は、現在6つの区間で計画されていますが、城北中央公園調節池は、最も容量が大きく約25万㎥の規模です。この容量とした理由と調節池整備の効果についてお答えください。

Q2 「計画」では、「将来的には流域全体で1時間あたり100ミリメートル規模の降雨に対応できるよう治水水準の向上をはかる」とありますが、調節池以外の具体的な方法についてお答え下さい。
 城北中央公園調節池の工事はニューマチックケーソン工法で行うとの説明がありました。この工法は地下調節池をはじめ下水道処理場など幅広く用いられており、長い歴史と多くの実績を持つとのことです。
 一方、この工法は圧縮空気を鉄筋コンクリート製の函体であるケーソンの下部に送り込み、地下水圧と同じ圧力をかけながらケーソンを沈設する圧気工法です。そのため空気が漏出した場合、周辺の井戸や石神井川に酸欠空気が発生する恐れがあります。
 環境省によれば、酸欠空気は、吸入することによって息苦しさ、めまいなどの症状、末期には意識不明、呼吸停止、心臓機能停止など「酸素欠乏症」の症状がみられ、大変危険なものです。また、この酸欠空気が井戸、配管、壁面の割れ目を伝って周辺地域の地下室やトンネル、井戸等に漏出充満することで、住民に被害が生ずるとの見解を示しています。
 現在、外環本線シールド工事の影響で、世田谷区の野川では酸欠空気が発生したため、大問題になり、住民には不安が広がっています。

Q3 圧気工法を用いることによる、周辺の井戸や河川への影響についてお答えください。又、工事の計画に先立ち、工事区域の地質調査を行っていると思いますが、その結果の柱状図の提出を求めます。

Q4 酸欠空気の漏出が確認された場合の対応と健康への被害について具体的にお答えください。

Q5 工事にあたっては「法令の規定に基づき半径1キロメートル以内の範囲にある井戸・地下室の漏出の有無、その程度および酸素濃度を測定します」と述べていますが、1キロメートルの範囲の調査としている根拠と関係法令とは何をさしていますか。

Q6 1キロメートルの範囲以外で、住民が井戸の調査などを希望した場合調査はできますか。
 石神井川は、河川沿いに先土器時代以来の縄文、弥生、古墳、奈良、平安の時代まで遺跡をたどることができ、鎌倉時代以降は農地のかんがい用水として利用されてきたことが明らかになっています。また江戸時代には、石神井川以外の玉川上水、千川上水の用水も引かれ、石神井川流域の農業生産が飛躍的に増えたといわれています。
 この間の市街化に併せて河川整備が進められてきましたが、人工的なコンクリート護岸の連続が植物の生育を妨げ、街の景観特性との調和も難しくなったため、南田中団地付近や音無親水公園など、河道に入ることが可能な河川公園への整備や護岸の緩傾斜化による親水整備が行われてきました。
 都は、河川周辺の街並みや緑地等と一体となった河川景観・親水空間の保全・創出に努めると述べており、城北中央公園調節池の整備にあたっては、必要な治水機能を確保するとともに、公園と調和した親水整備を行うこととしています。

Q7 親水空間の整備にあたっては住民の声を直接聞く機会を設けるなどの対応を求めますが、いかがですか。さらに、石神井川の歴史も踏まえ、周辺環境とも調和のとれた親水空間を創出できるよう特段の努力を求めます。

とや英津子議員の文書質問に対する答弁書

一 城北中央公園調節池について

A1 新たな目標整備水準に対応した調節池の貯留量は、目標降雨により河川に集まる雨水を、下水道網や地形などを考慮して流域を分割したエリアごとに算定し、河川の流下能力を上回る部分を貯留するものとして計画しています。
 平成22年7月に板橋の雨量観測所で時間最大114ミリを記録した豪雨と同じ雨が降った場合でも、下流でのいっ水を防止するなどの効果を発揮します。

A2 石神井川河川整備計画において、「将来的には流域全体で1時間100ミリ規模の降雨に対応できるよう治水水準の向上を図る」としており、現在は、時間75ミリの降雨に対処するため、護岸や調節池の整備を進めています。

A3 本工事の施工に当たっては、周辺の井戸や河川への影響がないよう、函(かん)体下部の刃先を地下水に水没させた状態で掘削するとともに、漏気回収装置を設置します。
 また、資料等の開示については、適切に対応します。

A4 本工事の施工に当たっては、健康への影響がないよう、函(かん)体下部の刃先を地下水に水没させた状態で掘削するとともに、漏気回収装置を設置します。
 本工事で採用するニューマチックケーソン工法は、酸素欠乏症等防止規則第24条の対象となるため、規則にのっとり適切に対応します。

A5 労働安全衛生法に規定する「酸素欠乏症等防止規則」に基づき、調査範囲を決定しています。

A6 調査は、労働安全衛生法に規定する「酸素欠乏症等防止規則」に基づき、工事区域の周囲1キロメートル以内の範囲で実施します。

A7 親水空間の整備に当たっては、地元区や公園管理者などと調整し、進めていきます。

以 上

 

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