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質問・条例提案

2018.06.27

2018年第2回定例会に提出した文書質問

2018年第二回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 原田あきら

質問事項
一 東京都の最低賃金につい里吉ゆみ、

一 東京都の最低賃金について

 全国労働組合総連合は2015年から2016年にかけて北海道・岩手・福島・秋田・青森・山形・宮城・新潟・埼玉・静岡・愛知・大阪・広島の13道府県で「労働者がふつうの暮らしをするにはどのくらい費用がかかるのか」を明らかにするため、最低生計費について調査を行い、昨年結果を発表しました。現在ではさらに福岡県が加わり、14道府県で調査が行われています。
 なお、この調査で言われている「ふつうの暮らし」とは以下の基準です。
 ・ 25平方メートルの1DKアパートに住み、家賃は各地域の最低価格帯の物件。通勤には、公共交通機関を利用する地域と、自家用車を利用せざるをえない地域とがある。
 ・ 冷蔵庫、炊飯器、洗濯機、掃除機、石油ストーブなどは、量販店の最低価格帯で購入する。
 ・ 1か月の食費は、約30,000円から40,000円。昼食は、男性はコンビニなどでお弁当を買うケースが多く(1食あたり500円)、女性は弁当を持参が多い。飲み会・ランチは月2回から3回行っている。
 ・ 衣服は、男性は背広2着から3着を、女性はジャケット2着とスカート3着から4着を着回す。
 ・ 帰省などを含めて1泊以上の旅行は年に2回から4回で、1回当たりの費用3万円から4万円。月に2回から4回は、恋人や友人と遊んだり、ショッピングに行ったりして、オフを楽しむ(1回2,000円)。
 この調査でとりわけ重要な点としては、ひとり暮らしの若者がふつうに暮らすためには、全国どこでも月額22万円から24万円ほど(税・社会保険料込み)が必要との試算結果が出たことです。年額に換算すると約270万円前後。試算の月額を、賃金収入で得るとすると、時給換算で1,300円から1,400円前後(中央最低賃金審議会で用いる労働時間=月173.8時間で除した)となり、一般の労働者の所定内労働時間に近い月150時間で時給換算した場合には、ほぼ1,500円に達します。
 この調査は現在の地域別最低賃金の加重平均額848円との差が大きく、最低賃金額と必要な生計費が大きく乖離していることを明らかにしたものです。
 東京都に近い自治体ではさいたま市で調査が行われ、月額24万2,000円、時給で1,400円から1,600円が必要という結果になりました。

Q1 現在、東京都の最低賃金は958円であり、都内で1日8時間、1ヶ月20日間働いても15万円程度、年収も184万円程度にしかなりません。
 現在の東京都の最低賃金額について妥当と言えるか、都の認識を伺います。

Q2 東京都で労働者がふつうの暮らしをするのに必要な最低賃金額を把握するため、都として最低生計費を調査することが必要と考えますが、都の認識を伺います。

 最低賃金は中央最低賃金審議会が夏頃に示す目安をもとに、地方最低賃金審議会によって審議され、決定されます。
 日本共産党都議団は47都道府県に対し、最低賃金の引き上げのため、国に申入れや要望を行っているかアンケート調査を行いました。その結果、11の道府県で要望を行っていることがわかりました。
 新潟県、大阪府、福岡県では国に対し、最低賃金の改善を求める要望、意見書を知事名で提出しています。

Q3 政府はかつて、政府や経団連も含めた合意目標で2020年までに加重平均1,000円にするとしていました。しかし、昨年3月にまとめた働き方改革実行計画では年限が消え、「年率3%程度をめどに引き上げ、1,000円を目指す」に後退しました。「年率3%程度」では加重平均1,000円到達は2023年までずれ込みます。
 食料品、日常生活に欠かせない消耗品など、値上がりを続けており、毎年の最低賃金の改定でも追いつかず、実質賃金は下がり続けています。
 東京都における人間らしい働き方を実現するためにも、国に対し最低賃金引き上げを都として要望すべきと考えますがいかがですか。

Q4 最低賃金引き上げと合わせて、中小・零細企業に向けた支援制度の創設・拡充を国に求めるべきですがいかがですか。

 鳥取地方最低賃金審議会では藤田鳥取大教授が座長のもと、審議会公開にふみきりました。傍聴者の存在が審議を活性化させていると伺っています。こうした中、鳥取県では国が示した「目安」よりも引き上げ額が2年連続で多くなっています。
 一方で東京地方最低賃金審議会は一部傍聴が可能なものの、全面公開ではなく、具体的な審議の様子は傍聴ができません。

Q5 議論の活性化や情報公開の観点からも、東京地方最低賃金審議会の全面公開を都として求めることが必要と考えるがいかがですか。

原田あきら議員の文書質問に対する答弁書

一 東京都の最低賃金について

A1 最低賃金の仕組みは、労働者の生活の安定や経済の健全な発展に寄与するものであり、その額は、法に基づき、公益・労働者・使用者の三者の代表が審議し、地域の労働者の生計費や賃金、企業の支払い能力を考慮して、国が決めることとなっています。
 都は、この制度が適正に運用されるべきと考えています。

A2 東京都の最低賃金の決定に当たっては、東京労働局長が毎年、賃金実態を把握することを目的とした調査を実施しています。

A3 最低賃金は、法に基づき、地域の労働者の生計費や賃金、企業の支払い能力を考慮して国において決めることとなっており、都としてはこの制度が適切に運用されるべきものと考えています。

A4 国においては、中小・零細企業の生産性向上を支援することで、各企業の事業場内における最低賃金の引き上げを図る制度を有しています。

A5 東京地方最低賃金審議会については、国の規程により、「会議は原則として公開とする。ただし、公開することにより、個人情報の保護に支障を及ぼすおそれがある場合、個人若しくは団体の権利利益が不当に侵害されるおそれがある場合又は率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合には、会長は会議を非公開とすることができる。」とされています。
 都としては、この規程に基づき、国の責任において審議会が運営されていると認識しています。

以 上

 

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