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質問・条例提案

2018.06.27

2018年第2回定例会に提出した文書質問

2018年第二回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 斉藤まりこ

質問事項
一 都営住宅について
二 公衆浴場の利用券について

一 都営住宅について

 貧困と格差が広げられるアベノミクスの政策のなかで、安心して住むことができる都営住宅のニーズがますます高まっています。住宅確保要配慮者については、単身高齢者だけでも今後10年間で100万世帯の増加が見込まれるなど、安心して暮らせる住宅セーフティネットとしての都営住宅の役割が一層求められています。2018年5月の一般募集の応募倍率は、足立区では20倍から40倍のところが多くあり、中には100倍を超えるところもある状況です。
 そのなかで、足立区での都営住宅の管理戸数のこの数年間の推移をみると、2011年3月末の管理戸数31,338戸から、年々減り続けて、2017年3月末には30,090戸と、合計で1,248戸も減っています。これまでも、建て替えのタイミング等で年ごとに戸数が増減することもありましたが、2011年以降は減少し続けています。
 「もう10年も申し込みをしているのに都営住宅に入れない」という高齢の方や、シングルマザーでもなかなか入れないという声がたくさんある中で、足立区民は都営住宅の新規増設をくり返し訴えてきました。ところが、実際には新規増設どころか、約1,200戸も減っている現状に、区民の不安の声が届いています。

Q1 足立区内の都営住宅の管理戸数が1,200戸以上も減っている理由をお答えください。

Q2 減少した管理戸数を元に戻す計画はありますか。ないとしたらその理由は何ですか。

Q3 元の管理戸数を維持することを求めますが、いかがですか?

 次に都営住宅の使用承継制度について伺います。
 都営住宅のニーズが高まるなかでも新規増設がされない状況のもとで、現在の入居者を追い詰めているのが、使用承継制度の厳格化です。私は足立区の都営住宅にお住まいの方々から、「この制度を改善してほしい」「せめて配偶者だけでなく、一親等までの承継を認めてほしい」という声がたくさん寄せられています。
 足立区内の50代のある男性は、80代の母親の介護のために、仕事を辞めざるをえなくなりました。母親は認知症を患い、精神状況も不安定なために、日常生活の中で離れられる時間がない状況です。3時間ほどのデイサービスに行く日もありますが、その時間だけで働ける仕事は見つからず、いまは貯金の切り崩しと母親の年金で暮らしています。男性は、自分が60歳になる前に母親が亡くなることになれば、収入がない中で、住まいからも追い出されることになることについて、非常に大きな不安に苛まれながらすごしています。
 都内では、過去には使用承継が認められずに、都営住宅から追い出され、近所の公園でホームレスの状態になって、近隣住民に発見されたということもありました。

Q4 都営住宅の厳しい使用承継の制度があらたな貧困を生み出している状況をどう認識していますか。

Q5 現状を改善するために、使用の承継をせめて一親等まで認めるべきですがいかがですか。

 わが党がこれまでも、この問題について繰り返し改善を求めていますが、東京都は「入居者と非入居者間の公平性のため」と繰り返しています。2016年9月に行われた都市整備委員会で、使用承継が認められない理由はなぜか、というわが党からの質問に対して、都は「入居者と非入居者間の公平性を著しく損なうもの」と答弁をしました。

Q6 わが党は、資格要件を満たしながら都営住宅に入れない都民が多くいることを踏まえて、新規増設をするべきだと、都民の声とともに繰り返し求めています。その声に背を向けて、新規増設を行わない東京都こそが、「入居者と非入居者間の公平性」を損なわせているのではありませんか?都民のニーズに応えて、都営住宅の新規増設を行なうことを求めますが、いかがですか?

 60歳未満で病弱の方が使用承継をする際に求められる診断書について伺います。
 60歳未満でも使用承継が認められるケースの中に、「病弱者」という条件があります。その状況を証明するために、医師の診断書が必要とされていますが、都立病院か公社病院の診断書しか認められていないことに、「かかりつけ医の診断書も認めてほしい」という切実な声があがっています。
 足立区内には都立病院も公社病院もなく、比較的近い駒込病院や墨東病院、東部地域病院でも、自宅から病院までは電車を乗り継いで1時間以上かけて行かなければなりません。このことが病弱者の方々に大きな負担を強いています。
 都立病院と公社病院の診断書だけを認めることについて、昨年3月の都市整備委員会でのわが党の白石たみお都議の質問に対して、都市整備局は「制度の趣旨を踏まえた診断ができるよう、組織的に周知を図るということで徹底している」という答弁をしています。しかし、「周知徹底」といっても、3、4枚のA4のペーパーを10年間に2度送付しているというだけということが明らかになりました。そのQアンドAには「あくまで医学的見地から患者の病状を記載していただくもの」と記されています。

Q7 あくまでも医学的な見地に立って、「疾患の程度、ぐあいや日常生活に与える影響などを可能な限り記載」することが求められているのなら、むしろ普段から患者の病状を把握しているかかりつけ医のほうが正確に判断ができるのではないでしょうか?認識をお伺いします。

Q8 また、病状が重い人ほど、遠くの病院にいくことが困難であることを東京都はどのように認識していますか?

Q9 病弱者の使用承継にあたって、かかりつけ医など、必要な病院やクリニックに、都立病院等と同様に制度の趣旨を説明した書類を送付のうえ、その診断書を認めることを求めますが、いかがですか?

 次に期限なしの子育て世帯の募集について伺います。
 今年1月から期限なしの子育て世帯の都営住宅の募集が毎月行われるようになったことは重要な前進です。非正規雇用の広がりのなかで、低廉に安心して住める住宅のニーズは若い世代でも高まっています。また団地の高齢化が進む中で、若い世代が入居して住み続けられるようにしてほしいという声は高齢の方々からも多く寄せられています。
 しかし、募集に出される部屋は比較的低倍率の住戸を中心とされているため、その多くは多摩地域に偏り、23区での募集はわずかしかありません。足立区でもほんの数戸の募集があるだけです。

Q10 都心で働く子育て世代や共働き世帯が増えている状況を踏まえて、また、どこの団地でもソーシャルミックスを進めて、地域の活性化につなげるためにも、毎月募集の子育て世帯向けの都営住宅に所在地の制限をなくすことを求めますが、いかがですか?

 さいごに、「病死等の理由で発見が遅れた住宅」への入居募集の方法について伺います。
 「病死等の理由で発見が遅れた住宅」への入居募集の方法が変わり、一般募集と一緒になったことで、応募できる機会が減ってしまったという声が多く上がっています。いわゆる「事故住宅」は、これまでは一般募集とは別に、年3回、都庁か東京都住宅供給公社の窓口で直接受け付けていました。一般募集と一緒にしたことで、周知が進み、郵送での受付もできるようになりましたが、一般募集か「病死等の理由で発見が遅れた住宅」かどちらかを選ばなくてはならないために、年間あたりの申し込みができる機会は7回から4回へと減ってしまいました。

Q11 募集の機会を維持するためにも、「病死等の理由で発見が遅れた住宅」は、一般募集とは申し込みの機会を分けたうえで、周知の徹底と郵送での申し込みの受付を行なうべきだと思いますが、いかがですか?それができない場合は、その理由も教えてください。

二 公衆浴場の利用券について

 区市が高齢者を対象に発行している銭湯の入浴券は、外出支援やコミュニティの形成にも大変役立ち、足立区でも「ゆ〜ゆ〜湯」入浴証が多くの高齢者に親しまれています。しかし、銭湯の廃業が相次ぐなかで、入浴券が支給されても利用できない地域があります。
 足立区の中川地域では、中川3丁目にあった銭湯が2年前に廃業になり、いまでは住民は隣接している葛飾区まで足を延ばして銭湯を利用しています。しかし、足立区の入浴証は使うことができません。銭湯に行くことをあきらめてしまった方々も多くいます。一方で、同じ足立区の小台宮城地域では、隣接している北区の銭湯で足立区の入浴証を使うことができます。区市の対応がまちまちであるために、住んでいる地域によってサービスが利用できるところとできないところに差が生じています。
 2015年12月の一般質問で、隣接区のサービスの相互利用について、区市に働きかけをしてほしいと要望したわが党の小竹ひろ子都議の一般質問に対して、都は「入浴券配布における隣接区市間の相互利用について、すでに検討を依頼しており、引き続き働きかけを行なってまいります」と答弁しています。

Q1 高齢者の入浴券配布における隣接区市間の相互利用について、区市への働きかけと相互利用の状況は現在、どのようになっているでしょうか。

 隣接区のサービスの相互利用ができれば、利用者にも浴場振興にもメリットがあります。都民・高齢者の公衆浴場の利用を通じての健康の増進、外出促進とコミュニティ形成の増進を図ること、そして、銭湯という日本独自の文化を守って地域活性化につなげるためにも重要な施策です。

Q2 公衆浴場振興の面からも、東京都から区市に対して、先行事例を紹介するなどして、相互利用の促進の働きかけを強めていただきたいと思いますが、いかがですか?

斉藤まりこ議員の文書質問に対する答弁書

一 都営住宅について

A1 都営住宅については、地元区市町と協議しながら、真に住宅に困窮する都民に公平かつ適切、的確に供給するよう努めており、管理戸数については、建替え等により変動するものです。
 今後とも、住宅セーフティネットの中核としての機能を果たせるよう、適切に維持更新していきます。

A2 都営住宅については、地元区市町と協議しながら、真に住宅に困窮する都民に公平かつ適切、的確に供給するよう努めています。
 今後とも、住宅セーフティネットの中核としての機能を果たせるよう、適切に維持更新していきます。

A3 都営住宅については、地元区市町と協議しながら、真に住宅に困窮する都民に公平かつ適切、的確に供給するよう努めています。
 今後とも、住宅セーフティネットの中核としての機能を果たせるよう、適切に維持更新していきます。

A4 都営住宅への入居は、公募が原則となっています。
 公募の例外である使用承継によって、長年にわたり同一親族が居住し続けることを認めることは、入居者、非入居者間の公平性を著しく損なうことになります。
 このため、真に住宅に困窮する低額所得者に対して的確に都営住宅が供給されるよう、使用承継を認める範囲を、配偶者、高齢者、障害者及び病弱者に限ることとしています。
 なお、使用承継の対象とならない方には、直ちに退去を求めるのではなく、6か月の退去猶予期間を設けるとともに、公社住宅の募集情報の提供や区市町の相談窓口の紹介などを行っています。
 また、特に生活保護受給世帯については、区市町の福祉部門と連携して住宅の確保に努めるなど、きめ細かい対応に努めています。

A5 都営住宅の使用承継制度は、公営住宅の入居者と非入居者間の公平性を確保する観点から、高齢者、障害者など居住の安定を図る必要がある方への一層の配慮を加えた上で、承継の厳格化を求める平成17年の国の通知や平成18年の東京都住宅政策審議会の答申も踏まえ、原則として配偶者に限っています。

A6 都営住宅については、これまでも既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や管理の適正化に努めてきました。
 今後とも、社会経済情勢が変化する中で、重要な役割を果たしている都営住宅について、既存ストックの有効活用を図り、住宅セーフティネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでいきます。

A7 都は、都立病院又は東京都保健医療公社が設置した病院に対して、病院経営本部と連携して、同本部を通じて都営住宅の使用承継制度の趣旨、承継の際に必要な診断書の記載事項やそれらを記載する理由などについて、十分な説明を行っています。
 これにより、都立病院又は公社病院の医師は、使用承継制度の趣旨を理解した上で客観的で的確な診断を行い、診断書を発行するものと考えています。

A8 他の病院に長期入院中で、都立病院又は公社病院を受診することが困難な場合でも、入院中の病院の診断書により使用承継を認めることができる場合があるため、個別の相談に応じています。

A9 公募の例外である使用承継により、都営住宅への継続居住を認めるかどうかは、重要な判断となります。
 この判断を行うためには、都が設置した都立病院又は都が中心となり設立した東京都保健医療公社が設置する病院の医師に、制度の趣旨を踏まえた上で的確に診断を行っていただいています。
 その他の病院に対しては、都が組織的に周知徹底することは必ずしもできないと考えており、制度の趣旨について、全ての医師に理解していただくことは非常に困難です。

A10 都はこれまで、都民共有の財産である都営住宅の有効活用を図りながら、若年世帯の入居希望に応えるため、期限付きの入居制度を活用して、若年ファミリー世帯に応募資格を限定した募集を行っています。
 現在、年2回、約1,500戸の募集を行い、子育て世帯の支援に努めています。
 これに加え、平成30年1月から、期限付きでない若年ファミリー世帯向けの毎月募集を行っています。

A11 病死等の理由で発見が遅れた住宅については、平成29年まで、入居を希望する方が都庁及び東京都住宅供給公社の窓口に来訪した上で住宅を選び応募する直接受付を、年3回行ってきました。
 平成30年2月からは、募集の公平性と応募する方の利便性に鑑み、年4回の定期募集と統合して、他の募集と同様にパンフレットに対象住戸を掲載するとともに、郵送による受付ができるよう制度改正を行っています。
 この変更に際しては、平成29年10月及び同年11月の募集パンフレットに改正内容を記載し、また、直接受付に来訪された方に対してお知らせのチラシをお渡しして周知に努めています。

二 公衆浴場の利用券について

A1 都は、隣接区市間における入浴券の相互利用について、毎年、区市の公衆浴場担当者が参加する連絡会において、働きかけを行っています。
 現在、19区市において、高齢者を対象に隣接する区市で利用可能な入浴券を配布する取組を実施しています。

A2 区市の公衆浴場担当者が参加する連絡会では、隣接する区市で利用可能な入浴券を配布する取組を実施している区市の事例を紹介するとともに、相互に情報共有が図れるよう、担当者の名簿を提供しています。

 今後も引き続き、働きかけを行っていきます。

以 上

 

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